【Day 56/365|1日1金融用語】配当金の受け取り方式 ——「どこで受け取るかを決めるのも、NISAの使い方の一部だったんですね」と気づいたカナの話

【Day 56/365|1日1金融用語】配当金の受け取り方式 ——「どこで受け取るかを決めるのも、NISAの使い方の一部だったんですね」と気づいたカナの話

昨日はDay 55「権利確定日と権利付き最終日」で、配当をもらうには、権利確定日の2営業日前の権利付き最終日までに約定させておく必要があるという話をしました。 そして、配当から先に引かれた税金が戻るかどうかは、受け取り方と関係がある、とも書きました。
今日は、その受け取り方です。 配当は、どこで、どうやって受け取るのか。
カナは昨日、権利付き最終日の数え方を覚えて、あとは振り込まれるのを待つだけだと思っていました。

配当金の受け取り方式を学ぶカナの4コマ・起
カナ「権利付き最終日まで分かったから、あとは配当が振り込まれるのを待つだけですよね?」

振り込まれる先を、先に決めておく必要があります。 配当の受け取り方は1つではありません。
そして、その選び方で、手元に残る金額が変わることがあります。

配当金の受け取り方式を学ぶカナの4コマ・承
カナ「配当って、どこに振り込まれても同じですよね?」

そこが今日の分かれ道です。 銀行口座でも証券口座でも、お金はお金です。
でも、NISAを使う人にとっては、同じではありません。

配当金の受け取り方式を学ぶカナの4コマ・転
カナ「え、受け取り方で税金が変わることがあるんですか?」
サトル「配当の受け取り方は4つある。NISA口座で持っている株の配当を非課税にするには、証券会社の口座で受け取る『株式数比例配分方式』を選んでいる必要がある。ほかの方式だと、NISAでも税金が引かれる。」

種明かしです。 NISAの非課税は、NISA口座の中で受け取った配当に使える、というしくみです。銀行口座や郵便局の窓口で受け取った配当は、証券会社の口座を通っていないので、NISA口座の中の配当として扱えません。
だから、NISAの株の配当を非課税にするには、配当が証券会社の口座に入ってくる受け取り方を選んでおく必要があるのです。

配当金の受け取り方式を学ぶカナの4コマ・結
カナ「どこで受け取るかを決めるのも、NISAの使い方の一部だったんですね」

そういうことです。
ここからは、4つの受け取り方の違い、NISAで非課税になる条件、特定口座での差し引きとの関係、選ぶときの注意、そして私の100万円の記録に何を足すのかを、順に見ます。

配当金の受け取り方式とは?

配当金の受け取り方式とは、上場株式の配当を、どこで、どうやって受け取るかの決まりです。 証券保管振替機構(株の記録を管理している機関)の案内から、そのまま並べます。

  • 株式数比例配分方式:「お取引のある証券会社等の口座の残高(配当基準日時点の残高)に応じ、証券会社等を通じて、保有するすべての銘柄の配当金を受け取る方式です。」
  • 登録配当金受領口座方式:「あらかじめ指定した1つの金融機関預金口座で、保有するすべての銘柄の配当金を受け取る方式です。」
  • 個別銘柄指定方式:「銘柄ごとに、あらかじめ指定した金融機関預金口座で配当金を受け取る方式です。」(証券保管振替機構は「単純取次ぎ方式」と呼んでいます)
  • 配当金領収証方式:「発行会社から郵送される配当金領収証を、ゆうちょ銀行等の窓口に持参することで、配当金領収証と引き換えに配当金を受け取る方式です。」

大きく分けると、証券会社の口座に入るのは株式数比例配分方式だけで、残りの3つは銀行や郵便局で受け取る方式です。

NISAで非課税になる条件

日本証券業協会は、こう書いています。
「特定口座内での損益通算やNISA口座における上場株式の配当金等の非課税措置を受けるためには、株式数比例配分方式を選択する必要がございます。」

架空の例で比べます。Day 45の成長投資枠で、株価3,000円・1株配当60円の株を100株持っていたとします(Day 55と同じ架空の株です)。 配当は、税金を引く前で 6,000円です。

  • 株式数比例配分方式を選んでいる:NISAの非課税が使えるので、受け取るのは 6,000円
  • それ以外の方式を選んでいる:NISAで持っていても課税され、所得税・復興特別所得税918円と住民税300円、計 1,218円が引かれて 4,782円

ここが今日いちばん大事なところです。
NISA口座で株を持っていても、受け取り方を選び間違えると、配当は非課税になりません。 差は6,000円の配当で1,218円、ラーメン1杯と少し。 配当が多いほど、差も大きくなります。

実際の数字で見る:NISAの成長投資枠で、半年に約4.7兆円の国内株が買われた

NISAで株を持つ人は、どれくらいいるのでしょうか。 公表されている数字を2つ並べます。

  • NISA口座の数:3,048万口座(金融庁「NISA口座の利用状況調査(令和8年6月末時点)」、2026年10月2日公表)
  • 成長投資枠で買われた金額:2026年1〜6月で8兆7,095億円。 そのうち60%が株式(ETF・REITを含む)で、株式のうち90%が国内株(日本証券業協会「NISA口座の開設・利用状況(証券会社全社・2026年6月末時点)」、2026年9月)

8兆7,095億円の60%の90%を計算すると、約4兆7,000億円です。 半年のあいだに、これだけの国内株(ETF・REITを含む)が、証券会社のNISAの成長投資枠で買われたことになります。
その株に配当が出たとき、非課税で受け取れるかどうかは、1人1人が選んだ受け取り方式で決まります。 仮に、この4兆7,000億円分の株の配当利回りが、Day 55で見たプライム市場の平均と同じ2.07%だとすると、1年の配当は約970億円。 そのすべてに約20.315%がかかれば、約200億円です(仮の計算です)。 受け取り方式の選び方1つで動く金額は、全体で見ると、これくらいの大きさになります。

特定口座の「差し引き」とも関係する

日本証券業協会の文には、もう1つ「特定口座内での損益通算」が入っていました。
昨日のDay 55で、権利付き最終日に買って権利落ち日に売り、損が出た場合、売った損と配当を差し引けば、先に引かれた税金が戻ることがある、と書きました。これを特定口座(源泉徴収あり)の中で自動的にやってもらうには、配当が証券会社の口座に入ってくる株式数比例配分方式である必要があります。

ほかの方式で受け取った配当は、証券会社の口座の外にあるので、口座の中で差し引けません。 差し引きたければ、自分で確定申告をすることになります。 差し引きのしくみそのものは、Day 58「譲渡損益と損益通算」で扱います。

選ぶときの注意

  • 株式数比例配分方式は、証券会社で申し込みます。 口座を開くときに一緒に選べることもあります。どうすれば選べるかは、証券会社ごとに確かめます
  • 選んだ方式は、持っているすべての銘柄に当てはまります。 株式数比例配分方式なら、証券保管振替機構の案内のとおり「保有するすべての銘柄の配当金」が証券会社を通じて入ります
  • 切り替えは、配当の基準日より十分前に済ませておきます。 締め切りは証券会社ごとに違うので、申し込むときに確かめます

私の100万円と、配当金の受け取り方式

この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。

昨日、記録に足したのは持っている株ごとに「権利確定日・権利付き最終日・権利落ち日」の3つを書き、注文がそのどれの前か後かを書く決まりでした。
今日足すのは、「配当の受け取り方式」の欄です。

私の100万円は、NISAではなく特定口座(源泉徴収あり)にあります(Day 1・Day 44)。 だから、「NISAの非課税が使えるかどうか」の心配はありません。
それでも、この欄は空けておけません。昨日書いた「配当と売った損の差し引き」を口座の中で自動でやってもらえるかどうかが、この欄で決まるからです。 1年のあいだに、配当を受け取った株を損して売ることは、十分ありえます。

記録には、こう書きます。「配当の受取方式:口座の設定画面で確認した方式を書く。株式数比例配分方式でなければ、配当と売った損の差し引きは口座の中では行われない、と書き添える。」 確認した方式は、月1回の運用記録で出します。

カナの欄は、今日も空欄です。 でも、口座を開く日に選ぶことが1つ決まりました。「NISAを使うなら、配当の受け取り方は株式数比例配分方式」。

よくある質問(FAQ・全6問)

Q1. 株式数比例配分方式を選ぶと、何か損をすることはありますか?

税金の面で損をすることは、ふつうはありません。 気をつけたいのは、選んだ方式が、持っているすべての銘柄に当てはまることです。 「この銘柄だけ銀行口座で受け取る」という使い分けはできません。 また、証券会社を2つ使っていると、配当はそれぞれの口座に分かれて入ります。

Q2. 銀行口座で受け取っていた配当を、あとから非課税にしてもらえますか?

できません。 NISA口座の株でも、株式数比例配分方式以外で受け取った配当は、受け取ったときに税金が引かれ、あとからNISAの非課税に戻す方法はありません。 気づいた時点で切り替えて、次の配当から非課税で受け取れるようにします。

Q3. 株主優待も、配当の受け取り方で変わりますか?

変わりません。 配当の受け取り方式は、お金で受け取る配当の話です。 株主優待は、権利確定日に株主名簿に載っている人に、会社から届きます。 優待の条件や届き方は、会社ごとの案内で確かめます。

Q4. 特定口座でも、受け取り方は関係ありますか?

あります。 特定口座(源泉徴収あり)の中で、配当と売った損を自動で差し引いてもらうには、株式数比例配分方式である必要があります。 ほかの方式なら、差し引くには自分で確定申告をします。

Q5. 受け取り方は、どこで変えられますか?

株式数比例配分方式は、証券会社で申し込みます。 口座を開くときに選べることもあります。 締め切りは証券会社ごとに違うので、配当の基準日より十分前に済ませておきます。

Q6. 証券会社を2つ使っていたら、配当はどちらに入りますか?

株式数比例配分方式なら、基準日の時点でそれぞれの口座にある株数に応じて、それぞれの証券会社に入ります。 証券保管振替機構の案内にある「お取引のある証券会社等の口座の残高(配当基準日時点の残高)に応じ」は、この意味です。

まとめ

配当の受け取り方は4つ。 証券会社の口座に入るのは株式数比例配分方式だけで、ほかの3つは銀行や窓口で受け取ります。
NISA口座の株の配当が非課税になるのは、株式数比例配分方式を選んだときだけです。 架空の例の配当6,000円なら、非課税で6,000円、それ以外の方式では1,218円引かれて4,782円でした。 NISA口座は3,048万口座(2026年6月末)あり、成長投資枠では半年で約4兆7,000億円の国内株が買われています。
特定口座の中で配当と売った損を自動で差し引いてもらうのも、この方式のときです。 私の100万円では、口座で確かめた受け取り方式を記録に書きます。

🎯 今日の1手(実践)

昨日は、気になる株の権利確定日と、そこから数えた権利付き最終日・権利落ち日を控えました。今日は、配当の受け取り方を確かめます。 手順は2つです。

1つ目。 証券口座を持っているなら、配当の受け取り方式が何になっているかを、口座の設定画面で確かめます。 持っていないなら、使う予定の証券会社のよくある質問のページで、株式数比例配分方式の申し込み方を1行書き写します。今日の日付と一緒に控えてください。
2つ目。 気になる株の1株あたりの年間配当に100を掛け、1単元の配当を出します。 そして、それに約20.315%を掛けた額(税金のだいたいの額)と、引いたあとの額を並べて書きます。 NISAで持つなら、株式数比例配分方式のとき税金は0円、とも書き添えます。 配当がない会社なら「なし」と書きます。 今日はここまでで、実際に注文はしません。

Day 52で受渡日と月末現金化の最後の約定日、Day 53で1単元の金額、Day 54で分割されたときの入口の値段、Day 55で権利付き最終日・権利落ち日を控えてきました。
今日の「自分の配当の受け取り方式(または申し込み方)と、気になる株の1単元の配当・税金・税引き後を、日付つきで控えること」で50個目です。

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⚠️ ご注意

本記事は筆者個人の投資記録および一般的な金融知識の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
記載の運用実績は筆者個人の資金によるものです。
投資判断はご自身の責任において行ってください。
なおコンプライアンス上、当社の取引先に関連する銘柄は取引対象外としています。