【Day 47/365|1日1金融用語】NISAとiDeCoの使い分け ——「当面使わないお金だけiDeCoに回して、残りはNISAなんですね」と気づいたカナの話

【Day 47/365|1日1金融用語】NISAとiDeCoの使い分け ——「当面使わないお金だけiDeCoに回して、残りはNISAなんですね」と気づいたカナの話

昨日はDay 46「iDeCo」で、iDeCoは出すときに税金が軽くなる代わりに、お金を出せる日が原則60歳より後に固定される制度だという話をしました。
今日は、NISAとiDeCoを並べて、どちらに何を入れるかを決める物差しを作ります。
カナは昨日の「約15.1%戻ってくる」という数字が、ずっと頭に残っていました。

NISAとiDeCoの使い分けを学ぶカナの4コマ・起
カナ「結局、毎月の余ったお金はNISAとiDeCoのどっちに入れるべきなんですか?」

いい質問です。 そして、この質問の答えは「どっち」ではなく「いつ」の側にあります。
リボが残っているうちは、まだどちらの番でもありません。 今日はその先の話として聞いてください。

NISAとiDeCoの使い分けを学ぶカナの4コマ・承
カナ「所得控除があるiDeCoを目一杯使うのが一番お得ですよね?」

そこが今日の分かれ道です。 税金だけを比べれば、iDeCoのほうが得に見えます。 NISAには「出すときに軽くなる」がありませんでした。
でも、昨日の約15.1%には値段がついています。出せない期間という値段です。

NISAとiDeCoの使い分けを学ぶカナの4コマ・転
カナ「控除がある方に全部入れた方が得なんじゃないですか?」
サトル「税制だけで考えると見誤る。iDeCoは60歳まで引き出せないから、数年以内に使う可能性があるお金を入れるのは向かない。まず生活防衛資金を確保し、当面使わないと言い切れる分だけiDeCo、それ以外の余裕資金はNISAで、というのが基本的な考え方だ。」

種明かしです。 iDeCoの得は「その年に1回、約15.1%」。 一方で、入れたお金が途中で必要になったとき、手元に出せるお金がなければ、借りるしかありません。
カナにとって一番身近な借り方は、年15%のリボです。1年分の得と、1年分の利息が、ほぼ同じ大きさなのです。

NISAとiDeCoの使い分けを学ぶカナの4コマ・結
カナ「当面使わないお金だけiDeCoに回して、残りはNISAなんですね」

そういうことです。
ここからは、NISAとiDeCoの違いを「出すとき・増やすとき・出せる日」の3つで並べ、41,700円と41,400円の比較、お金を「いつ使うか」で3つに分ける方法、税率で変わるiDeCoの重さ、そして私の100万円が「いつ使うお金」なのかを、順に見ます。

NISAとiDeCoの使い分けとは?

NISAとiDeCoの使い分けとは、同じ「非課税の制度」でも、お金を出せる日が違うことに合わせて、入れるお金を分けることです。
2つの違いを、これまでの2日分の数字で並べます。

  • 出すとき:NISAは何も変わらない/iDeCoは掛金の全額が所得から引かれる(カナのモデルで年276,000円 → 税金が年41,700円軽くなる)
  • 増やしているとき:どちらも非課税(特定口座なら約20.315%)
  • 受け取るとき:NISAはそのまま非課税/iDeCoは受け取った額が数えられる(退職所得控除・公的年金等控除つき)
  • 出せる日:NISAはいつでも(売れば数営業日で現金)/iDeCoは原則60歳以降(加入期間が10年未満なら最も遅くて65歳)
  • 年間に入れられる上限:NISAは360万円/iDeCoはカナの区分で27.6万円(2026年10月時点。 2026年12月からは74.4万円になる予定)

違いがいちばん大きいのは、最後から2つ目の「出せる日」です。税金の差は数万円。 出せる日の差は20年以上。 物差しの目盛りが、まったく違います。

41,700円の得と、41,400円の利息

ここが今日いちばん大事なところです。

カナが、ある年にiDeCoへ年276,000円を出したとします。 その年の税金は41,700円軽くなります(Day 11の給与モデルで計算した値です)。

ところが5年後、急な出費で276,000円が必要になったとします。 iDeCoの中にお金はあっても、60歳までは出せません。 手元に現金がなく、リボで借りたとすると——

  • 借りた額:276,000円
  • 年15%の利息:276,000円 × 15% = 41,400円(1年あたり)

iDeCoの1年分の得41,700円と、リボの1年分の利息41,400円。 差はたった300円です。 返すのに2年かかれば、利息のほうがはっきり上回ります。
Day 3の72の法則で言えば、年15%の借金は4.8年で2倍です。

iDeCoの税の得は、出したお金を60歳まで一度も必要としなかった場合にだけ、そのまま手元に残ります。 途中で1回でも「出せない」ことが原因で借りれば、その得は利息で相殺されていきます。
これが、サトルの「税制だけで考えると見誤る」の中身です。

実際の数字で見る:上限が月6.2万円になっても、15.1%と15%の関係は変わらない

Day 46で見たとおり、iDeCoの上限は2026年12月1日に引き上げられる予定です。 企業年金のない会社員なら、月23,000円から月62,000円(年744,000円)になります。
では、カナがその新しい上限まで出したら、どうなるか。 同じ給与モデルで計算し直します。

  • 所得税:課税所得 872,000円 → 128,000円。 税額は 6,400円+復興特別所得税134円 → 100円未満を切り捨てて 6,500円。38,000円軽くなる
  • 住民税:課税所得 1,482,000円 → 738,000円。 所得割は 148,200円 → 73,800円。 調整控除(2,500円)は変わらないので、74,400円軽くなる
  • 合計:年 112,400円。 ラーメン1杯909円で 約124杯、出した額の約15.1% です

一方で、同じ744,000円を途中でリボで借りれば、年15%の利息は 111,600円。差は800円です。 出す額を2.7倍にしても、得と利息はやはりほぼ同じ大きさのままです。
上限が上がって増えるのは、得の「割合」ではなく、閉じ込めるお金の「額」です。 月62,000円は、カナの手取り24万円の約26%にあたります。

もう1つ、Day 46で見た手数料(掛金を出している間は年2,052円)は、出す額によらず同じです。 月62,000円なら得112,400円に対して約1.8%、月5,000円なら約9,100円に対して約2割強。少なく出すほど手数料が重く、多く出すほど閉じ込める額が重い。 どちらに振れても、物差しは「いつ使うか」に戻ってきます。
なお、使っている人の数で言えば、NISA口座は3,048万口座、iDeCoの加入者は406.2万人です(2026年8月末。 Day 44・Day 46)。 iDeCoは、NISAの約7.5分の1です。

お金を「いつ使うか」で3つに分ける

そこで、手元のお金を「いつ使うか」で3つに分けます。

  1. すぐ使うかもしれないお金:生活防衛資金。Day 27で「下限=固定費×2」「基準線=下限+生活費×3」を出しました。これは預金に置きます。NISAにもiDeCoにも入れません
  2. 60歳より前に使う予定があるお金(1年後でも十数年後でも):引っ越し、車、結婚、学び直し。使う日が60歳より前に来るお金は、いつでも出せるNISA(や預金)の側です(値動きのある商品に入れるなら、使う日までの時間と振れ幅を合わせて考えます)
  3. 60歳まで使わないと言い切れるお金:ここだけがiDeCoの候補です

そしてその前に、年15%のリボの残りがあります。Day 1で書いたとおり、年15%の借金を返すことは年15%のリターンを確定で得るのと同じです。 iDeCoの約15.1%も「確定」ですが、出した年に1回だけで、しかも20年以上お金を閉じ込める代わりの15.1%。 リボ返済の15%は、残っている限り毎年効き、何も閉じ込めません。
だから順番は、①リボ ②生活防衛資金 ③60歳まで使わない分だけiDeCo ④残りはNISA になります。

「言い切れる」が大事です。 「たぶん使わない」は、3ではなく2に入れます。迷ったお金は、出せる側に置く。 出せる側に置いたお金は、あとからiDeCoに回せます。 iDeCoに入れたお金は、あとから出せる側には戻せません。

iDeCoの重さは、税率で変わる

iDeCoの「出すときの得」は、所得税と住民税の税率で決まります。Day 10・Day 11の数字で並べます。

  • 所得税の税率5%の人(カナのモデル):控除1万円あたり約1,510円。年276,000円なら約41,700円(出した額の約15.1%)
  • 所得税の税率20%の人:控除1万円あたり約3,042円。同じ年276,000円なら約84,000円(約30.4%)

同じ額を出しても、税率20%の人は、カナのおよそ2倍の得になります。
つまり、iDeCoの「閉じ込める代わりにもらえる得」は、人によって大きさが違います。得が小さい人ほど、閉じ込める値段のほうが相対的に重くなる。 税率5%のカナにとって、iDeCoが「60歳まで使わないと言い切れる分だけ」に絞られるのはこのためです。

私の100万円と、NISA・iDeCoの使い分け

この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。

昨日、記録に足したのは「iDeCo」の欄でした。 答えは「対象外。1年で結果を公開する100万円は、60歳まで引き出せない箱には入れない」。
今日足すのは、「このお金をいつ使うか」の欄です。

答えは、2027年9月です。 この100万円は、Day 1で書いたとおり2026年9月〜2027年9月の1年間で運用し、その時点でいくらになったかを全部公開します。使う日(=答え合わせの日)が60歳よりはるかに前に決まっているお金です。
今日の3つの分け方で言えば、2の「60歳より前に使う予定があるお金」のうち、いちばん近い「1年後」に入ります。 iDeCoの候補にならないのは、昨日の理由をこの物差しで言い直しても同じです。

記録には、こう書きます。「使う日:2027年9月(答え合わせの日)。60歳より前に使う日が決まっている=iDeCoではなく、出せる側のお金。」
カナの欄も、今日は1行だけ書けます。「①リボ(残りあり)→ ②生活防衛資金 → ③④はまだ」。 空欄ではなく、順番が書けるようになりました。

よくある質問(FAQ・全6問)

Q1. NISAとiDeCo、どちらを先に始めるべきですか?

「いつ使うか」で決まります。 60歳まで使わないと言い切れるお金があり、所得税の税率が高いほど、iDeCoの得は大きくなります。 言い切れないお金は、いつでも出せるNISAの側です。 どちらよりも先に、高い金利の借金の返済と、生活防衛資金の確保が来ます。

Q2. iDeCoの掛金は、あとから減らしたり止めたりできますか?

できます。 掛金の額は年に1回(4月から翌年3月までの間に1回)変えられ、月5,000円まで下げられます。 掛金を出すのを止めることもできます。 ただし、止めてもそれまでに入れたお金は60歳まで出せませんし、運用を続けている間は月66円の手数料がかかり続けます。 「出す額」は調整できても、「出せる日」は調整できない。 ここがNISAとの違いです。

Q3. 生活防衛資金は、NISAに入れておいてもいいですか?

入れません。 NISAはいつでも売れますが、値動きのある商品に入れれば、必要なときに減っているかもしれません。 Day 27の下限(固定費×2)と基準線(下限+生活費×3)は、預金に置くお金です。

Q4. 迷ったお金は、どちらに入れればいいですか?

出せる側(NISAや預金)に置きます。 出せる側のお金は、あとからiDeCoに回せます。 iDeCoに入れたお金は、原則60歳まで出せる側に戻せません。 戻れない方向の判断は、言い切れるときだけにします。

Q5. NISAとiDeCoは、同じ年に両方使えますか?

使えます。 2つは別の制度なので、片方を使ってももう片方の枠は減りません。 カナの区分なら、NISAに年360万円まで、iDeCoに年27.6万円まで(2026年12月からは74.4万円の予定)を、それぞれ別に使えます。 ただし、両方を使えるからといって、両方に入れる必要はありません。 「いつ使うか」で分けた結果、iDeCoの候補が0円なら、NISAだけで十分です。

Q6. 両方の上限まで使い切る必要はありますか?

ありません。 NISAの年360万円も、iDeCoの上限(カナの区分で年27.6万円、2026年10月時点。 12月からは74.4万円の予定)も、非課税にできる上限であって目標ではありません。 上限が上がっても、使い切る理由が増えるわけではありません。 手取りと、「いつ使うか」の3つの分け方から逆算して、無理のない額を決めます。

まとめ

NISAとiDeCoは、「いつ使うお金か」で振り分けます。
iDeCoは出すときに税金が軽くなり、カナのモデルで年41,700円(出した額の約15.1%)。 でも、そのお金が途中で必要になってリボで借りれば、1年の利息は41,400円。得は、60歳まで一度も必要としなかった場合にだけ残ります。
だから順番は、①リボ ②生活防衛資金 ③60歳まで使わないと言い切れる分だけiDeCo ④残りはNISA。 迷ったお金は出せる側に置きます。 私の100万円の使う日は2027年9月で、出せる側のお金です。

🎯 今日の1手(実践)

昨日は、自分のiDeCoの上限額と、1年分の掛金で軽くなる税額を控えました。今日は、自分のお金を「いつ使うか」で3つに分けて、それぞれの金額を書きます。 手順は2つです。

1つ目。 3行を書きます。「①すぐ使うかもしれない(生活防衛資金):◯円」「②60歳より前に使う予定がある:◯円(何に・何年ごろ)」「③60歳まで使わないと言い切れる:◯円」。今日の日付と一緒に控えてください。 高い金利の借金があるなら、その残高を①の上に書きます。
2つ目。 ③の金額と、昨日出したiDeCoの1年分の上限を並べます。 ③が上限より小さければ、iDeCoに入れられるのは③までです。 今日はここまでで、実際にどちらに入れるかは決めません。

Day 43で源泉徴収のあり・なし、Day 44でNISA口座の有無、Day 45でつみたて投資枠の取扱本数と手取り比、Day 46でiDeCoの上限額と軽くなる税額を控えてきました。
今日の「自分のお金を『すぐ・60歳より前・60歳まで使わない』の3つに分けて、金額を日付つきで控えること」で41個目です。

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⚠️ ご注意

本記事は筆者個人の投資記録および一般的な金融知識の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
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