【Day 46/365|1日1金融用語】iDeCoとは ——「iDeCoは老後専用で、60歳まで引き出せない制度なんですね」と気づいたカナの話

【Day 46/365|1日1金融用語】iDeCoとは ——「iDeCoは老後専用で、60歳まで引き出せない制度なんですね」と気づいたカナの話

昨日はDay 45「つみたて投資枠と成長投資枠」で、NISAの中の2つの枠は増え方ではなく「何を・どう買えるか」が違うだけだという話をしました。
今日は、NISAの外にあるもう1つの非課税の制度を見ます。 iDeCoです。
カナは「非課税の箱」がもう1つあると聞いて、NISAの親戚のようなものだろうと思いました。 半分は当たっていて、半分は大きく外れています。

iDeCoとはを学ぶカナの4コマ・起
カナ「iDeCoって、NISAとは別の投資の仕組みなんですか?」

別の仕組みです。 NISAは「投資の利益に税金をかけない」制度でした。 iDeCoは「年金」の制度です。
根っこが違うので、税金の軽くなり方も、お金を出せる時期も違います。

iDeCoとはを学ぶカナの4コマ・承
カナ「NISAともう1つ非課税の口座を持てばいいってことですよね?」

そこが今日の分かれ道です。 「非課税」という言葉だけを並べると、同じ種類の箱が2つあるように見えます。
でもiDeCoには、NISAにない約束が1つついています。

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カナ「NISAと同じで、いつでも引き出せる口座なんですよね?」
サトル「そこが一番の違いだ。iDeCoは老後の資金を作るための私的年金制度で、掛金も運用益も非課税になるが、原則60歳になるまで引き出せない。NISAはいつでも引き出せるが、iDeCoは老後専用の長期の箱だと考えるといい。」

種明かしです。 税金が軽くなる代わりに、お金を出せる日を60歳より後に固定する。 それがiDeCoの取引です。
ひとつだけ正確に言い直しておきます。 サトルの「掛金も非課税」は、正しくは「掛金の全額が、その年の所得から差し引かれる」という意味です。 そして60歳以降に受け取るときには、受け取った額が税金の計算の対象になります(ただし、そのときに使える控除があります)。
入口と途中は軽く、出口では数える。 これがiDeCoの税金の形です。

iDeCoとはを学ぶカナの4コマ・結
カナ「iDeCoは老後専用で、60歳まで引き出せない制度なんですね」

そういうことです。
ここからは、iDeCoの税金が軽くなる3つの場面、カナの給与で1年にいくら軽くなるか、60歳まで出せないことの重さ、2026年12月に予定されている変更、そして私の100万円がiDeCoに入っているのかを、順に見ます。

iDeCoとは?

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を出し、自分で運用商品を選び、その結果で受け取る額が決まる年金です。 国民年金や厚生年金のように国が運用するのではなく、運用するのも結果を引き受けるのも自分です。

税金が軽くなる場面は3つあります。 厚生労働省の説明をそのまま並べます。

  • 出すとき:掛金は「全額所得控除」。その年の所得から、払った掛金の全額が引かれます
  • 増やしているとき:「運用益:運用中は非課税」。特定口座なら引かれる約20.315%がかかりません
  • 受け取るとき:一時金なら「退職所得控除」、年金として受け取るなら「公的年金等控除」の対象になります

NISAにあるのは、このうち2つ目だけでした。iDeCoは、1つ目の「出すとき」にも税金が軽くなるのが大きな違いです。
そして引き出しについて、厚生労働省は「原則60歳に到達した場合に受給することができる」と書いています。

掛金の上限は、働き方で決まる

掛金の上限は、年金の加入区分で決まります。2026年10月時点の厚生労働省の説明では、次のとおりです。

  • 自営業者など(第1号被保険者):月 68,000円
  • 会社員で、会社に企業年金がない人:月 23,000円
  • 会社員で、会社に企業年金がある人:月 20,000円
  • 公務員:月 20,000円
  • 専業主婦(夫)など(第3号被保険者):月 23,000円

同じ会社員でも、会社の制度によって上限が変わります。自分がどれに当たるかは、給与明細ではなく会社の制度で決まるので、人事や総務に確認するのが確実です。

カナの給与で、1年にいくら軽くなるか

Day 11で、カナの年間の税金を全部出しました(額面月30万円・年360万円のモデル)。

  • 所得税(復興特別所得税込み):年 44,500円(課税所得 872,000円・税率5%)
  • 住民税:年 151,200円(課税所得 1,482,000円・所得割10%)

カナの会社に企業年金がないとして、上限の月23,000円・年276,000円をiDeCoに出したとします。

  • 所得税:課税所得 872,000円 → 596,000円。税額は 29,800円+復興特別所得税625円 = 30,425円 → 100円未満を切り捨てて 30,400円。14,100円軽くなる
  • 住民税:課税所得 1,482,000円 → 1,206,000円。所得割は148,200円 → 120,600円。調整控除(2,500円)は変わらないので、27,600円軽くなる
  • 合計:年 41,700円。ラーメン1杯909円で 約46杯 です

出した276,000円に対して、41,700円。割合にすると約15.1%です。
Day 11で「控除1万円の価値は、税率5%の人なら約1,510円」と書きました。 276,000円は27.6万円なので、1,510円 × 27.6 = 41,676円。100円単位の切り捨てを除けば、同じ答えです。

実際の数字で見る:加入者は406万人、手数料は月171円

iDeCoを使っている人は、406.2万人です(2026年8月末。 国民年金基金連合会の公表データ)。 対象が広がる前の2016年12月末は30.6万人だったので、約13倍になりました。 下の内訳は、大和総研が同じデータをまとめた2026年4月末(395.2万人)のものです。

  • 会社員・公務員:337.9万人(全体の約86%)。 そのうち、会社に企業年金がない会社員が 202.7万人
  • 自営業者など:40.5万人
  • 専業主婦(夫)など:15.4万人

加入できる人のうち、実際に入っている人の割合は約5.8%です(2026年4月末)。 Day 44で見たNISA口座は3,048万口座でした。 口座数と人数なので単純には比べられませんが、iDeCoはその約7.5分の1です。
「60歳まで出せない」という約束が、それだけ重く受け止められている、とも読めます。

もう1つ、見落とされやすい数字があります。 手数料です。 iDeCoは、運用の成績とは別に、どの金融機関で入っても次の手数料がかかります(運営管理手数料が0円の金融機関の場合)。

  • 加入するとき:2,829円(1回だけ)
  • 掛金を出している間:月171円(国民年金基金連合会105円+信託銀行66円)。 1年で 2,052円
  • 掛金を止めても:運用を続けている間は月66円

カナが月23,000円を出す場合、軽くなる税金41,700円から年2,052円を引くと、約39,600円です。 これなら手数料はほとんど気になりません。
でも、最低額の月5,000円(年6万円)だと話が変わります。 軽くなる税金は約9,100円。 そこから年2,052円の手数料を引くと、約2割強が手数料で消えます。掛金が少ないほど、決まった額の手数料が重くなる。 金額を決めるときは、この引き算も一緒にしておくのが大事です。

ここが今日いちばん大事なところです。
この約15.1%は、運用の成績とは関係なく、出した年に1回だけ確定で戻ってくる数字です。 翌年も掛金を出せば、その年の分がまた軽くなります。 ただし、複利のように前の年の分が働き続けるわけではありません。
そして、軽くなる割合は税率で変わります。 所得税の税率が20%の人なら、同じ1万円の控除で約3,042円(Day 11)。税率が低い人ほど、iDeCoの「出すとき」の得は小さくなります。

60歳まで出せない、の重さ

カナは40歳未満です(Day 9のモデル)。 つまり、今日iDeCoに入れたお金は、少なくとも20年以上出せません。

しかも、60歳ちょうどに受け取れるとは限りません。 厚生労働省の説明では、加入していた期間が10年に満たないと、受け取り始められる年齢が段階的に遅くなり、最も遅い場合は65歳からです。

Day 28で、お金には「すぐ出せる」の段があるという話をしました。 普通預金は今日、特定口座の株は数営業日後。iDeCoの段は「20年以上先」です。 どれだけ増えていても、途中で出す手段は、ごく限られた条件を満たす場合を除いてありません。

だから、Day 27の生活防衛資金は、iDeCoの中には置けません。急な出費に使えないお金は、生活を守るお金としては数えられないからです。
カナの場合、順番ははっきりしています。 まず年15%のリボの残り。 次に生活防衛資金。 iDeCoを考えるのは、その両方が済んでからです。

2026年12月に予定されている変更

厚生労働省は「2025年の制度改正」として、次の変更を2026年12月1日施行予定としています。

  • 上限の引き上げ:会社員・公務員など(第2号加入者)は「月額6.2万円に引き上げられます」。自営業者など(第1号加入者)は「月額7.5万円に引き上げられます」
  • 企業年金の有無の差をなくす:会社員の上限は、企業年金がある人もない人も同じ考え方に揃います。 企業年金がある人は、会社の掛金と合わせて月6.2万円までです
  • 加入できる年齢の引き上げ:一定の条件を満たせば、60歳以上70歳未満でも加入・掛金の継続ができるようになります

この記事が公開される2026年10月の時点では、まだ施行前です。 上の「掛金の上限」はいまの数字で書いています。
金融機関の案内では、増やせるのは2026年12月分の掛金(引き落としは2027年1月)からで、手続きの受付時期は金融機関ごとに違います。 増額を考えるなら、自分の金融機関の案内を日付つきで確認するのが確実です。
上限が上がっても、60歳まで出せないという約束は変わりません。 むしろ、入れられる額が増えるほど、20年以上動かせないお金が増えるということです。

私の100万円と、iDeCo

この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。

昨日、記録に足したのは「NISAのどちらの枠か」の欄でした。 答えは「なし(口座未開設)。仮に使うとしても、つみたて投資枠の条件には合わない」。
今日足すのは、「iDeCoに入っているか」の欄です。

答えは、入っていません。 そして、この連載では入れません。 理由は制度ではなく、この連載の約束の側にあります。
Day 1で書いたとおり、この100万円は2026年9月〜2027年9月の1年間で運用し、毎月すべてを公開します。 1年後に「いくらになったか」を、現金に換えられる形で見せるのがこの連載の背骨です。60歳まで出せない箱に入れた瞬間、1年後の答え合わせができなくなります。

記録には、こう書きます。「iDeCo:対象外。1年で結果を公開する100万円は、60歳まで引き出せない箱には入れない。」
カナの欄は、今日も空欄です。空欄の理由は昨日と同じで、枠より先にリボがあるからです。

よくある質問(FAQ・全6問)

Q1. iDeCoとNISAは、何がいちばん違いますか?

お金を出せる時期です。 NISAはいつでも売って引き出せますが、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。 税金の面では、iDeCoは掛金が全額所得控除になる(出すときに軽くなる)点がNISAと違います。 どちらをどう使い分けるかは、Day 47「NISAとiDeCoの使い分け」で扱います。

Q2. iDeCoに手数料はかかりますか?

かかります。 加入するときに2,829円、掛金を出している間は毎月171円(年2,052円)が、どの金融機関でもかかります。 これに加えて、金融機関によっては運営管理手数料がかかります(0円のところもあります)。 掛金を止めて運用だけを続ける場合も、月66円はかかり続けます。 掛金が月5,000円なら、軽くなる税金の約2割強が手数料で消える計算なので、金額と一緒に確認しておくのが大事です。

Q3. 受け取るときには税金がかかりますか?

受け取った額は、税金の計算の対象になります。 ただし、一時金で受け取るなら退職所得控除、年金で受け取るなら公的年金等控除が使えます。 「出口で数える」代わりに、そこで使える控除がある、という形です。 退職所得控除は、掛金を出した年数が20年以下なら「40万円 × 年数」(最低80万円)です。 たとえば20年なら800万円までは、一時金で受け取っても税金がかかりません。 ただし、会社の退職金を同じ時期に受け取ると、この控除を分け合う形になることがあります。

Q4. 掛金はいくらまで出せますか?

2026年10月時点では、加入区分で決まります。 自営業者などは月68,000円、企業年金のない会社員は月23,000円、企業年金のある会社員は月20,000円、専業主婦(夫)などは月23,000円です。 2026年12月1日から、会社員・公務員などは月6.2万円、自営業者などは月7.5万円に引き上げられる予定です。 企業年金がある会社員は、会社の掛金と合わせて月6.2万円までになります。

Q5. 60歳より前に引き出す方法はありますか?

原則ありません。 ごく限られた条件を満たす場合を除いて、途中で引き出すことはできません。 さらに、加入期間が10年に満たないと、受け取り始められる年齢が最も遅い場合で65歳まで遅くなります。 急な出費に備えるお金は、iDeCoの外に置いておく必要があります。

Q6. iDeCoでも元本割れすることはありますか?

あります。 iDeCoは自分で運用商品を選ぶ制度なので、値動きのある商品を選べば、受け取る額が掛金の合計を下回ることもあります。 税金が軽くなることと、運用で増えることは別の話です。

まとめ

iDeCoは、自分で掛金を出して自分で運用する私的年金です。出すとき(掛金の全額所得控除)・増やしているとき(運用益非課税)に税金が軽くなり、受け取るときは控除つきで数えられます。
カナのモデルで月23,000円・年276,000円を出すと、所得税と住民税が年41,700円(約46杯)軽くなります。 出した額の約15.1%です。
そのかわり、お金は原則60歳まで出せません。 カナなら20年以上先です。 2026年12月1日には上限の引き上げ(会社員など月6.2万円)が予定されていますが、この約束は変わりません。 私の100万円は、1年で答え合わせをする以上、iDeCoには入れません。

🎯 今日の1手(実践)

昨日は、自分の金融機関のつみたて投資枠の取扱本数と、無理なく積み立てられる額の手取り比を控えました。今日は、自分がiDeCoでいくらまで出せて、出したら1年でいくら税金が軽くなるかを確かめます。 手順は2つです。

1つ目。 自分の加入区分を確認します。 会社員なら、会社に企業年金があるかどうかで上限が変わります(2026年10月時点で月23,000円か月20,000円)。 分からなければ人事・総務に聞いて、今日の日付と一緒に控えてください。
2つ目。Day 10で出した自分の所得税の税率に、住民税の10%を足して、上限額の1年分に掛けます。 税率5%なら、5%+10%=15%、復興特別所得税を含めると約15.1%で「年276,000円 × 約15.1% = 約41,700円」。 これが、自分にとっての「出すときの得」の目安です。 今日はここまでで、加入するかどうかは決めません。

Day 41で証券口座の有無、Day 42で口座区分、Day 43で源泉徴収のあり・なし、Day 44でNISA口座の有無、Day 45でつみたて投資枠の取扱本数と手取り比を控えてきました。
今日の「自分のiDeCoの上限額と、1年分の掛金で軽くなる税額を、日付つきで控えること」で40個目です。

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⚠️ ご注意

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