【Day 45/365|1日1金融用語】つみたて投資枠と成長投資枠 ——「どちらも非課税で、商品の選べる幅が違うだけなんですね」と気づいたカナの話

【Day 45/365|1日1金融用語】つみたて投資枠と成長投資枠 ——「どちらも非課税で、商品の選べる幅が違うだけなんですね」と気づいたカナの話

昨日はDay 44「新NISA」で、NISAは日本に住む18歳以上なら誰でも使える非課税の箱だという話をしました。
今日は、その箱の中にある2つの仕切りを見ます。 昨日の記事で、年間の上限額と一緒に名前が出てきた「つみたて投資枠」と「成長投資枠」です。
カナは「誰でも使える箱」だと分かって、少し身を乗り出しました。 そこで次に引っかかったのが、この2つの名前でした。

つみたて投資枠と成長投資枠を学ぶカナの4コマ・起
カナ「NISAの中に「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があるって本当ですか?」

本当です。 しかも、同じ年に両方使えます。
ただ、名前だけを並べると、どちらかを選ばなければいけないように見えてしまいます。

つみたて投資枠と成長投資枠を学ぶカナの4コマ・承
カナ「「成長投資枠」の方がたくさん増えるお得な枠なんですよね?」

そこが今日の分かれ道です。 「成長」という言葉は、いかにも増えそうに聞こえます。
でも、枠そのものは何も増やしません。 増えるかどうかを決めるのは、枠の中に入れた商品です。

つみたて投資枠と成長投資枠を学ぶカナの4コマ・転
カナ「利回りが良い方が成長投資枠なんじゃないんですか?」
サトル「利回りの良し悪しの話じゃない。『つみたて投資枠』は、国が定めた基準を満たす長期・積立向きの投資信託を、コツコツ買うための枠。『成長投資枠』は、個別株や幅広い投資信託にも使える、より選べる商品が多い枠だ。どちらも同じNISA口座の中にあって、非課税なのは共通している。」

種明かしです。 同じ投資信託を、つみたて投資枠で買っても成長投資枠で買っても、値動きは1円も変わりません。
変わるのは「その枠に入れられる商品の範囲」と「買い方」と「年間の上限額」の3つだけです。
「成長」は、増える約束ではなく、選べる範囲の広さにつけられた名前です。

つみたて投資枠と成長投資枠を学ぶカナの4コマ・結
カナ「どちらも非課税で、商品の選べる幅が違うだけなんですね」

そういうことです。
ここからは、2つの枠の違いを「商品・買い方・上限額」の3つで並べ、376本という数字の意味、1,800万円を埋めるのに何年かかるか、カナの手取りから見た月10万円の重さ、そして私の100万円がどちらの枠に入っているのかを、順に見ます。

つみたて投資枠と成長投資枠とは?

どちらも、NISA口座の中にある非課税の枠です。 枠の中で出た売却益や配当には、特定口座なら引かれる約20.315%の税金がかかりません(上場株式の配当は、受け取り方によっては課税されます。 受け取り方は Day 56「配当金の受け取り方式」で扱います)。
違いは3つだけです。 金融庁の比較表から、そのまま並べます。

  • 年間の上限:つみたて投資枠 120万円/成長投資枠 240万円(合わせて 360万円)
  • 生涯の上限:2つ合わせて 1,800万円。そのうち成長投資枠で使えるのは 1,200万円まで
  • 買える商品:つみたて投資枠は「つみたてNISAの対象商品」。成長投資枠は上場株式・投資信託など幅広いが、「①整理・監理銘柄 ②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等」は対象外

非課税で持てる期間は、どちらも無期限です。 口座を開ける期間も恒久化されています。 対象は18歳以上です。

買い方にも違いがあります。つみたて投資枠は、決まった日に決まった額を買う「積立」でしか使えません。 成長投資枠は、積立でも、まとまった額を一度に買う「一括」でも使えます。
つまり、つみたて投資枠は「何を・どう買うか」の両方に枠がはめてある枠で、成長投資枠はその枠がゆるい枠です。

実際の数字で見る:つみたて投資枠で買えるのは376本、手数料の平均は0.27%と0.34%

つみたて投資枠で買える商品は、金融庁に届け出られた商品だけです。 金融庁の届出一覧では、2026年10月16日時点で376本あります。
内訳は、投資信託(公募投信)が365本、ETFが11本です。 投資信託365本のうち、株式だけに投資するものが201本、株式と債券などを組み合わせたものが164本です。
この本数は、届出があるたびに変わります。 9月24日時点では371本でした。 1か月足らずで5本増えたことになります。 自分で調べるときは、本数と一緒に日付を控えるのが大事です。

投資信託そのものは、この376本の外にもたくさんあります。つみたて投資枠は、その中から「長期・積立・分散に向いている」と国が線を引いた、ごく一部だけが入れる枠だということです。

線の引き方の1つが、手数料です。 指数に連動する投資信託(指定インデックス投信)の場合、保有している間ずっとかかる信託報酬に法令上の上限があります。

  • 投資先が国内の指定インデックス投信:上限0.5%(実際の平均は 0.27%)
  • 投資先が内外・海外の指定インデックス投信:上限0.75%(実際の平均は 0.34%)

平均は、上限の半分前後です。 100万円を持っていれば、1年でかかる信託報酬は、国内なら約2,700円、内外・海外なら約3,400円の計算になります。 ラーメンなら3〜4杯分です。

Day 1で「手数料1%の差で、30年後に108万円違う」と書きました。手数料が高い商品は、最初からこの枠に入れない。 それがつみたて投資枠の設計です。
信託報酬そのものは、Day 64「信託報酬」で正面から扱います。

成長投資枠は、この線がずっとゆるい。 個別株も入れられます。選べる範囲が広いぶん、選び間違える範囲も広い。 ここが「成長」という名前の、もう半分の意味です。

1,800万円は、何年で埋まるのか

上限額を年数に換えてみます。

  • 両方を毎年いっぱいまで使う:360万円 × 5年 = 1,800万円
  • つみたて投資枠だけを使う:120万円 × 15年 = 1,800万円
  • 成長投資枠だけを使う:240万円 × 5年 = 1,200万円で打ち止め

最後の行が大事です。成長投資枠だけでは1,800万円に届きません。 生涯の上限1,800万円を使い切るには、少なくとも600万円はつみたて投資枠で買う必要があります(1,800万円 − 1,200万円)。
逆に、つみたて投資枠だけなら1,800万円まで全部使えます。「たくさん入る」のは、名前の印象とは逆で、つみたて投資枠の側です。

月々の金額でも換えてみます。

  • 月3万円(年36万円):1,800万円まで 50年
  • 月1万円(年12万円):1,800万円まで 150年

上限が実際に問題になるのは、毎月かなりの額を入れられる人だけです。 多くの人にとっては、「上限まで埋まるか」より「何年続けられるか」のほうが、ずっと大事な問いになります。

なお、1,800万円は買ったときの金額で数えます。 値上がりして時価が2,000万円になっても、上限を超えたことにはなりません。 売ったときの枠の扱いは、下のFAQのQ5で触れます。

月10万円は、カナにとって何杯分か

つみたて投資枠の年120万円を12か月で割ると、月10万円です。

Day 7で見たカナの標準モデルは、手取り月24万円でした。 ラーメン1杯909円で換えると、手取りは264杯。 月10万円は110杯です。
手取りの約42%(10万円 ÷ 24万円 = 41.7%)を、毎月つみたて投資枠に入れ続ける計算になります。

ここが今日いちばん大事なところです。
年120万円・年240万円は「使い切るべき目標」ではなく、「ここまでなら非課税にできる上限」です。 上限いっぱいに入れなければ損をする、という制度ではありません。 月1万円でも、非課税になるのは同じです。

では、非課税の重さはどれくらいか。 月1万円・年12万円を入れて、1年で5%増えたとします(あくまで計算上の仮定です)。

  • 増えた額:12万円 × 5% = 6,000円
  • 特定口座なら引かれる税金:6,000円 × 20.315% = 1,218円(ラーメン1杯と少し)
  • NISAなら:0円

1年目の差は、ラーメン1杯分です。 小さく見えますよね。
でもDay 3で見たとおり、税金は「倍になる日」を後ろにずらします。 年5%なら、税引後は約3.98%。 72の法則で14.4年と18.1年、約4年の差です。非課税の価値は、金額ではなく年数に出ます。

そしてカナには、枠を考える前に片づけることがあります。 年15%のリボの残りです。 Day 1で書いたとおり、年15%の借金を返すことは、年15%のリターンを確定で得るのと同じ意味を持ちます。非課税の枠より先に、確定15%の返済が来ます。

私の100万円と、2つの枠

この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。

昨日、記録に足したのは「NISA口座」の欄でした。 答えは「未開設。非課税枠は未使用」。
今日足すのは、「NISAのどちらの枠に入っているか」の欄です。

答えは、どちらの枠にも入っていません。 昨日書いたとおりNISA口座を開いていないので、枠を選ぶ段階にもいません。 私の100万円は、特定口座(源泉徴収あり)の中にあります。

ただ、この欄を空欄で済ませずに、1行足しておきます。
もし今からNISAに入れるとしても、つみたて投資枠には合いません。 つみたて投資枠は、国が選んだ376本を積立で買う枠です。 私がやっているのは、Day 1・Day 3で書いた「守りに入らない・1年で答えを出す」ほうで、中身を自分で選び、動かすタイミングも自分で決めます。枠の設計と、私の運用の向きが逆なのです。 成長投資枠なら中身は選べますが、そもそも口座を開いていないので、今日の答えは「どちらの枠にもない」です。

記録には、こう書きます。「NISA枠:なし(口座未開設)。仮に使うとしても、中身を自分で選んで動かす以上、つみたて投資枠の条件(376本・積立のみ)には合わない。」
カナはまだ証券口座を持っていないので、この欄は空欄です。空欄のままでいい理由が、今日は1つはっきりしました。 枠より先に、リボがあるからです。

よくある質問(FAQ・全6問)

Q1. つみたて投資枠と成長投資枠、どちらが増えやすいですか?

どちらでも同じです。 同じ投資信託を買えば、どちらの枠でも値動きは同じです。 枠が違うのは、入れられる商品の範囲・買い方・年間の上限額の3つだけです。 増えるかどうかは、枠ではなく中身で決まります。 「成長」という名前に引っ張られて値動きの大きい個別株を選べば、大きく増えることも、大きく減ることもあります。

Q2. その年に使わなかった枠は、翌年に繰り越せますか?

繰り越せません。 年120万円・年240万円は、その年ごとの上限です。 使い残した分を翌年に足すことはできません。 ただし生涯の1,800万円は、何年かけて埋めてもかまいません。 期限はないので、毎年少しずつでも、上限に届くまで使い続けられます。

Q3. つみたて投資枠で個別株は買えますか?

買えません。 つみたて投資枠で買えるのは、金融庁に届け出られた投資信託とETFだけで、2026年10月16日時点で376本(投資信託365本・ETF11本)です。 個別株は成長投資枠で買います。 ETFも、つみたて投資枠で買えるのは届け出られた11本だけで、それ以外のETFは成長投資枠で買います。

Q4. 成長投資枠なら何でも買えますか?

買えないものがあります。 金融庁の比較表では「①整理・監理銘柄 ②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等」が対象外です。 上場株式でも、上場廃止のおそれがある銘柄(監理銘柄)や、上場廃止が決まった銘柄(整理銘柄)は入れられません。

Q5. つみたて投資枠で買った投資信託は、いつでも売れますか?

いつでも売れます。 「積立でしか使えない」のは買うときの決まりで、売るときには縛りがありません。 一部だけ売ることもできます。 売った分の枠は、買ったときの金額のぶんだけ、翌年に戻ります(Day 44で見た枠の再利用です)。 ただし戻るのは翌年なので、売ったその年のうちに、売った分の枠で買い直すことはできません(その年の枠がまだ残っていれば、その範囲では買えます)。

Q6. 毎月10万円入れないと損ですか?

損ではありません。 年120万円・年240万円は非課税にできる上限であって、目標ではありません。 月1万円でも、その分は非課税です。 手取りの中から無理なく続けられる額で考えるほうが、年数を味方にできます。

まとめ

つみたて投資枠と成長投資枠は、どちらもNISA口座の中の非課税の枠です。 違いは増え方ではなく、何を・どう買えるか。 つみたて投資枠は年120万円まで、金融庁の基準を満たした376本を積立で買う枠。 成長投資枠は年240万円まで、上場株式を含む幅広い商品を一括でも積立でも買える枠です。
生涯の上限は2つ合わせて1,800万円で、成長投資枠はそのうち1,200万円まで。「たくさん入る」のは、実はつみたて投資枠の側です。
月10万円はカナの手取りの約42%、ラーメン110杯分。 上限は目標ではありません。 私の100万円は、どちらの枠にも入っていません。

🎯 今日の1手(実践)

昨日は、自分がNISA口座を持っているか、持っていない場合はどの金融機関で開設できるかを確認しました。今日は、その金融機関の「つみたて投資枠」で、実際に何本の商品が買えるかを確認します。 手順は2つです。

1つ目。 その金融機関のサイトで、つみたて投資枠の取扱本数を調べます。 金融庁に届け出られているのは全体で376本(2026年10月16日時点)です。 自分の金融機関がそのうち何本を扱っているかを、今日の日付と一緒に控えてください。
2つ目。 「月いくらなら無理なく続けられるか」を、手取りに対する割合で1行書きます。 月10万円は手取り24万円の約42%でした。 自分の数字で、月1万円なら何%か、月3万円なら何%かを出してみてください。 今日はここまでで、どの商品を買うかは決めません。

Day 38で自分の銀行の金利を日付つきで控え、Day 39で店頭表示金利と適用金利の差、Day 40で固定か変動か、Day 41で証券口座の有無、Day 42で一般口座か特定口座か、Day 43で源泉徴収のあり・なし、Day 44でNISA口座の有無を控えてきました。
今日の「つみたて投資枠の取扱本数と、無理なく積み立てられる額の手取り比を、日付つきで控えること」で39個目です。

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⚠️ ご注意

本記事は筆者個人の投資記録および一般的な金融知識の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
記載の運用実績は筆者個人の資金によるものです。
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なおコンプライアンス上、当社の取引先に関連する銘柄は取引対象外としています。