昨日はDay 52「受渡日(T+2)」で、約定した株とお金が実際に動くのは、約定日から数えて3営業日目だという話をしました。
今日は、その注文を出す前の、もっと手前の話です。 そもそも、株は1株から買えるのか。
カナはこの1週間で、注文のしかた・板・約定・受渡日と、注文画面の読み方をひと通り覚えました。 残っていたのは、画面のいちばん上にある「株数」の欄でした。

カナ「受渡日まで分かったから、次はいよいよ1株買ってみたいんです」
その「1株」が、今日の入口です。 リボが済んでからの話として、入口の値段は先に知っておいて損はありません。
画面に出ている株価は、1株あたりの値段です。

カナ「1株3,000円なら、3,000円あれば買えますよね?」
そこが今日の分かれ道です。 1株3,000円なのは本当です。
でも、取引所では1株ずつは売り買いしていません。

カナ「え、1株ずつは買えないんですか?」
サトル「取引所での売買は100株が1単位(単元)だ。3,000円の株なら1回で30万円いる。ただ、証券会社によっては1株から買える単元未満株のしくみもある。そのかわり、値段の決まり方や権利に違いがある。」
種明かしです。 Day 48からDay 51、昨日のDay 52まで、架空の例がずっと「100株」「200株」「300株」だったのは、このためでした。取引所の板に並ぶ注文は、100株の倍数だけです。
1株の値段は「株価」、取引所で買うのに必要な最低の金額は「株価 × 100」。2つは別の数字です。

カナ「取引所で買うなら、1株の値段じゃなくて100株ぶんが入口の値段なんですね」
そういうことです。
ここからは、単元株のしくみ、入口の値段をカナの手取りと並べるといくらか、単元未満株で何ができて何が違うのか、そして私の100万円の記録に何を足すのかを、順に見ます。
単元株と単元未満株とは?
単元株とは、取引所で売買するときの1単位のことです。 国内株式では、東京証券取引所が「2018年10月1日をもって内国株の売買単位を100株へ統一しました」としているとおり、上場している国内の株式は、どの銘柄も100株が1単元です。
取引所で買えるのは、100株・200株・300株と、100株の倍数だけです。 150株や1株は、取引所の板には並べられません。
単元未満株とは、この100株に満たない株のことです。 1株〜99株を持つことはできますし、証券会社によっては、1株から売買できるサービスを用意しています。
ただしその売買は、取引所の板に注文を並べるのではなく、証券会社が用意したしくみの中で行われるのが一般的です。 ここが、これまで見てきた成行・指値・板の話と違うところです。
入口の値段は、1株の値段の100倍
入口の値段を、株価ごとに並べます。
- 株価 500円の株:1単元 = 500円 × 100株 = 5万円
- 株価 3,000円の株:1単元 = 30万円
- 株価 1万円の株:1単元 = 100万円
3つ目は、1単元でちょうど100万円です。100万円を持っていても、1万円の株なら、1単元(手数料を除いて100万円ちょうど)で全部を使い切ります。
ここが今日いちばん大事なところです。
株価だけを見て「高い」「安い」と言っても、入口の値段は分かりません。 株価3,000円は「3,000円で買える」という意味ではなく、「30万円から買える」という意味です。
カナの数字で並べます。Day 7で見た手取りは月24万円(264杯)でした。
- 株価3,000円の株の1単元30万円は、手取りの1.25か月分(30万円 ÷ 24万円)
- ラーメンなら 330杯(30万円 ÷ 909円)。手取り1か月の264杯より、66杯多い
1回の注文が、1か月の手取りより大きい。 取引所で株を買うということは、最初からこの大きさの単位で買うということです。
実際の数字で見る:東証の「入口の値段」の平均は約24.5万円
1単元の金額(株価 × 100株)を、東京証券取引所は「投資単位」と呼んでいます。 東証が2026年3月に公表した資料「投資単位の引下げに向けた取組の状況」では、2026年2月末時点の、東証に上場している国内株式の投資単位は次のとおりでした。
- 平均:24万5,029円(ラーメン約270杯。カナの手取り1か月分とほぼ同じ)
- 中央値(金額の順に並べて真ん中の会社):15万7,650円(約173杯)
- いちばん高い会社:755万円
平均が中央値より9万円ほど高いのは、何百万円もする一部の株が平均を引き上げているからです。
東証は上場規程(第445条)で、上場会社に、投資単位が50万円未満になるよう努めることを求めています。 一方、東証が2025年4月24日に公表した「少額投資の在り方に関する勉強会 報告書」のアンケートでは、個人投資家が望む投資単位として「10万円程度」という答えがいちばん多く、26.2%でした。
ルールの目安は50万円未満、個人が望むのは10万円程度、実際の平均は約24.5万円。 今日の例の「株価3,000円=30万円」は、東証の平均より少し高い入口です。
単元未満株なら、1株から
単元未満株のしくみを使えば、同じ株価3,000円の株を1株3,000円(3杯と少し)から持てます。 入口の値段が100分の1になります。
私の口座がある三菱UFJ eスマート証券では、このしくみを「プチ株」と呼んでいて、「1株から少額で売買できます」と案内しています。 取引手数料については「都度取引も積立も無料」とし、配当や株式分割については「株数に応じて配分されます」としています。
(証券会社によって、名前も、手数料も、扱う銘柄も違います。 これは私の口座の例です。 )
ただし、100株を取引所で買うのと、同じではありません。 違いは大きく3つです。
- 値段の決まり方:取引所の板に自分の注文を並べるのではなく、証券会社が決めたタイミングと値段で約定するのが一般的です。Day 49の指値のように「この値段より高くは買わない」と線を引けるとは限りません。 注文の出し方と約定のしかたは、証券会社ごとに確認が必要です
- 議決権:株主総会で議決に加わる権利は、単元ごとに与えられます。100株に満たない株には、議決権がありません(株主総会は Day 75「株主総会」で扱います)
- 株主優待:優待をもらえる株数は会社ごとに決まっていて、100株以上を条件にしている会社が多くあります。1株では条件に届かないことがほとんどです
逆に、配当は持っている株数に応じて受け取れます(配当の受け取り方は Day 56「配当金の受け取り方式」で扱います)。
私の100万円と、単元株
この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。
昨日、記録に足したのは約定の行に「受渡日」を足す決まりでした。 答え合わせの現金は受渡日で数えます。
今日足すのは、注文の行に「単元株か単元未満株か」と「1単元の金額が100万円の何%か」を書く決まりです。
理由は2つあります。
1つ目は、同じ「買った」でも、単元未満株はDay 48〜52で決めた書き方がそのまま当てはまらないからです。 板の最良気配もスプレッドも、自分で引いた指値もない約定なら、それを分けて書いておかないと、あとで数字を並べたときに比べられません。
2つ目は、1単元の大きさそのものが、この100万円の動かし方を縛るからです。 株価1万円の株なら1単元で100%、3,000円なら30%。1単元が大きい株ほど、1回の注文で100万円の大きな割合が1つの銘柄に寄ります。 それを、注文のたびに数字で残します。
記録には、こう書きます。「注文の行:単元株(取引所)か単元未満株(証券会社のしくみ)かの別。単元株なら、1単元の金額と、それが100万円の何%か。」 実際の数字は、月1回の運用記録で出します。
カナの欄は、今日も空欄です。 でも、1つだけ書けることが増えました。「最初の1株は、30万円ではなく3,000円からでも始められる。ただし、値段の線は引けないかもしれない」。
よくある質問(FAQ・全6問)
Q1. 2018年より前は、1単元は100株ではなかったのですか?
会社ごとに違っていました。 100株の会社もあれば1,000株の会社もあり、注文のたびに売買単位を確かめる必要がありました。 全国の証券取引所は2007年に、まず100株と1,000株の2種類に集約し、最後は100株にそろえる計画を出しました。 2種類への集約は2014年4月1日に終わり、100株への統一は2018年10月1日に完了しました。
Q2. 入口の値段が東証の平均より高い株は、避けたほうがいいのですか?
入口の値段は、会社の良し悪しとは関係ありません。 株価 × 100株で決まるのは、1回の注文の大きさだけです。 ただし、入口が大きい株ほど、1回の注文で手元のお金の大きな割合が1つの銘柄に寄ります。 だから私の記録では、1単元が100万円の何%かを、注文のたびに書きます。
Q3. 単元未満株でも配当はもらえますか?
持っている株数に応じて受け取れます。 1株なら1株分の配当です。 ただし、株主優待は100株以上を条件にしている会社が多く、1株では届かないことがほとんどです。
Q4. 単元未満株を1株ずつ100回買えば、100株をまとめて買うのと同じ値段になりますか?
同じになるとは限りません。 単元未満株は、証券会社が決めたタイミングと値段で、注文ごとに約定するのが一般的です。 分けて買えば、そのたびの株価で約定するので、合計の値段は100株をまとめて買ったときとずれます。 手数料も証券会社ごとに違うので、買う前に確かめてください。 なお、100株に満たないあいだは議決権がありません。
Q5. 単元未満株を買い足して100株になったら、どうなりますか?
100株そろえば、1単元の株になります。 議決権も、100株以上が条件の株主優待も、その会社の決まりに沿って対象になります。 単元未満株として少しずつ買い、あとで1単元にする、という持ち方もあります。
Q6. 1単元がとても高い株は、どうすれば買いやすくなりますか?
会社の側が、1株を何株かに分けて株価を下げることがあります。 これを株式分割といい、1単元あたりの金額も下がります。 株式分割は、明日の Day 54「株式分割」で扱います。
まとめ
国内株式は、取引所では100株が1単元です(2018年10月1日に統一)。 株価3,000円の株を取引所で買う入口の値段は30万円、ラーメン330杯で、カナの手取りの1.25か月分です。株価と入口の値段は、100倍違う別の数字です。 東証の投資単位の平均は24万5,029円(2026年2月末)で、30万円は平均より少し上の入口です。
単元未満株のしくみなら1株から持てますが、値段の決まり方が違い、議決権はなく、株主優待も届かないことが多い。 配当は株数に応じて受け取れます。
私の100万円では、注文ごとに単元株か単元未満株かを分け、単元株なら1単元が100万円の何%かを書きます。
🎯 今日の1手(実践)
昨日は、今日約定したときの受渡日と、今月末に現金にするための最後の約定日を控えました。今日は、Day 48から見てきた気になる株の「入口の値段」を出します。 手順は2つです。
1つ目。 その株の株価に100を掛けて、1単元の金額を出します。 そして、それが自分の手取りの何か月分か、ラーメン(909円)の何杯分かを書きます。今日の日付と株価と一緒に控えてください。
2つ目。 自分が使っている(使う予定の)証券会社が、単元未満株を1株から売買できるかを確かめます。 できる場合は、そのサービスの名前と、手数料、約定の値段の決まり方の説明を1行ずつ書き写します。 今日はここまでで、実際に注文はしません。
Day 49で呼値の刻みに合わせた指値、Day 50で板のスプレッド、Day 51で約定の平均値段、Day 52で受渡日と月末現金化の最後の約定日を控えてきました。
今日の「気になる株の1単元の金額(手取り何か月分・何杯分)と、単元未満株を扱っているかを、日付つきで控えること」で47個目です。
🔗 あわせて読みたい
- Day 52「受渡日(T+2)」 — 約定した株とお金が動くのは3営業日目という話。今日はその注文の「株数」の話
- Day 7「可処分所得」 — 手取り24万円・264杯。1単元30万円の重さを測った物差し
- Day 50「板情報」 — 板に並ぶのは100株の倍数の注文だけ。単元未満株はこの板の外で売買される
- Day 41「証券口座」 — 単元未満株を扱うかどうかも、証券会社ごとに違う
⚠️ ご注意
本記事は筆者個人の投資記録および一般的な金融知識の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
記載の運用実績は筆者個人の資金によるものです。
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なおコンプライアンス上、当社の取引先に関連する銘柄は取引対象外としています。



