昨日はDay 51「約定」で、注文に相手が見つかって売買が成立することを見ました。Day 49の架空の例は「300株注文・100株約定・200株失効」でした。
今日は、その約定した100株が「いつ自分のものになるのか」を見ます。 昨日の種明かしのあとで、「それは明日見ます」と残しておいた話です。
カナはDay 28で「株は現金になるまでに数営業日かかる」と聞いていました。 その数営業日に、名前があります。

カナ「「受渡日」って、約定した日と同じ日のことなんですか?」
違う日です。 Day 28で見た「現金になるまでの日数」の、株の場合の数え方が今日の用語です。
約定日と受渡日は、ふつう2営業日離れています。

カナ「約定したら、その場でお金の受け渡しも完了してますよね?」
そこが今日の分かれ道です。 画面の上では、約定した瞬間に保有株数が増えたり、売った代金が表示されたりします。
でも、株の名義とお金が実際に動くのは、その場ではありません。

カナ「取引が成立したら、その日に全部終わるものだと思ってました」
サトル「実はそこにずれがある。『受渡日』は、約定した株やお金が実際に受け渡される日のことだ。国内株式の場合、約定日を含めて3営業日目、つまり約定日の2営業日後(T+2)が受渡日になる。約定してもすぐに現金化できるわけではない。」
種明かしです。 約定は「約束が定まった日」、受渡は「約束が果たされる日」です。約束と実行のあいだに、2営業日の準備期間があるのです。
「T+2」のTは Trade(取引)の頭文字で、「取引の日から2営業日後」という意味です。 東京証券取引所は、ふつうの取引(普通取引)を「売買契約締結の日から起算して3日目(休業日を除きます。)の日に決済を行う売買」と定めています。

カナ「約定した日にすぐ現金化できるわけじゃないんですね」
そういうことです。
ここからは、受渡日の数え方、祝日をはさむと何日延びるか、売ったお金がいつ使えるか、答え合わせの日から逆算するとどうなるか、そして私の100万円の記録に何を足すのかを、順に見ます。
受渡日とは?
受渡日とは、約定した売買について、買った人には株が、売った人には代金が、実際に渡される日です。
国内株式のふつうの取引では、JPXの定めにあるとおり「売買契約締結の日から起算して3日目(休業日を除きます。)」です。約定日を1日目として、土日・祝日などの休業日を飛ばして数えた3日目、と読みます。
ふつうの週なら、こうなります。
- 月曜に約定 → 水曜が受渡日
- 火曜に約定 → 木曜
- 水曜に約定 → 金曜
- 木曜に約定 → 土日を飛ばして翌週の月曜
- 金曜に約定 → 土日を飛ばして翌週の火曜
Day 28で見た「2026年10月7日(水)に申し込むと株は10月9日(金)」も、この数え方です。
祝日をはさむと、何日延びるか
休業日を飛ばして数えるので、祝日が入ると受渡日はさらに後ろにずれます。 この記事が公開される前日を例にします。
- 2026年10月30日(金)に約定:1日目
- 10月31日(土)・11月1日(日):休業日なので数えない
- 11月2日(月):2日目
- 11月3日(火):文化の日で休業日なので数えない
- 11月4日(水):3日目 = 受渡日
約定から受渡まで、カレンダーでは5日かかります。「2営業日後」は、「2日後」ではありません。
ここが今日いちばん大事なところです。T+2の「2」は営業日で数えるので、週末と祝日が重なるほど、カレンダーの日数は長くなります。 年末年始や連休の前に売るときは、とくにこのずれが大きくなります。
売ったお金は、いつ使えるか
株を売って約定すると、証券会社の画面には売った代金が表示されます。 でも、その代金を銀行口座へ出金できるのは、原則として受渡日以降です。
証券会社によっては、受渡日より前でも、売った代金の分で次の株を買えることがあります。 ただしそれは証券会社の中での扱いで、お金そのものが手元に来るのは受渡日です。
これは、Day 27の生活防衛資金を株の口座に置かない理由の1つでもあります。 今日の例なら、10月30日(金)に売っても、現金になるのは11月4日(水)。急な出費の日に売っても、その日には間に合いません。
答え合わせの日から、逆算する
この考え方は、「いつまでに現金にしたいか」から逆算するときに役立ちます。
たとえば、2026年11月30日(月)に現金として手元に置きたいとします。 受渡日が11月30日になる約定日は、2営業日さかのぼって——
- 11月30日(月):3日目(受渡日)
- 11月28日(土)・29日(日):休業日なので数えない
- 11月27日(金):2日目
- 11月26日(木):1日目 = この日までに約定している必要がある
「月末に現金」なら、最後に約定できるのは、月末の最終営業日の2営業日前です。 月末の日に売っても、その月のうちには現金になりません。
実際の数字で見る:T+2は2019年から、年内最後の約定は12月28日
まず、「2営業日」という数字そのものの歴史です。 日本の株式は、2019年7月16日(火)の約定分から、受渡日が3営業日後(T+3)から2営業日後(T+2)に1日短くなりました。 それより前に株を売っていた人は、いまより1営業日遅く現金を受け取っていたことになります。
海外では、さらに短くなっています。 アメリカの株式は2024年5月28日(火)から、1営業日後(T+1)です。 受渡までの日数は、国と時代で変わる数字です。
次に、いちばん近い大きな山、年末です。 東証は12月31日から1月3日まで休みで、2026年の最後の営業日(大納会)は12月30日(水)です。
- 12月28日(月)に約定:12月29日(火)が2日目、12月30日(水)が受渡日。 年内に受け渡される最後の約定日です
- 12月30日(水)に約定:年末年始の休みを飛ばして、1月4日(月)が2日目、2027年1月5日(火)が受渡日
この2日の違いは、税金の年にも関わります。 特定口座では、売った利益や損失を、原則として受渡日の年で数えます。 12月30日に売った分は、2026年ではなく2027年の取引として扱われます。 年内の利益と損失を相殺したいなら、12月28日までの約定が目安です。
もう1つ、連休の例です。 2027年のゴールデンウィークは、4月29日(木)が昭和の日、5月3日(月)〜5日(水)が祝日です。
- 4月28日(水)に約定:1日目
- 4月29日(木):祝日
- 4月30日(金):2日目
- 5月1日(土)〜5日(水):休業日
- 5月6日(木):3日目 = 受渡日
カレンダーでは8日かかります。 同じ「T+2」でも、ふつうの週の2日と、連休前の8日では、現金が手元に来るまでの長さがまったく違います。
私の100万円と、受渡日
この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。
昨日、記録に足したのは「注文」と「約定」を分けて書く決まりでした。 約定の行には、株数・平均値段・代金を書きます。
今日足すのは、約定の行に「受渡日」を1つ加える決まりです。
理由は、この連載の「答え合わせ」にあります。Day 47で、この100万円の使う日は2027年9月だと書きました。 1年後に「いくらになったか」を現金で見せるなら、見るべきは約定日ではなく受渡日です。
仮に2027年9月30日(木)を答え合わせの日にして、その日に現金になっていたいなら、最後の売りは2営業日前の9月28日(火)までに約定している必要があります。 9月30日に売ったのでは、答え合わせの日には、まだ現金になっていません。
もう1つ、月1回の記録の締め日にも関係します。 締め日の直前に約定した取引は、「約定済み・受渡前」の状態で月をまたぎます。 記録にはそれを分けて書きます。
記録には、こう書きます。「約定の行に受渡日を足す。締め日に受渡前の取引があれば、約定済み・受渡前として分けて書く。答え合わせの現金は受渡日で数える。」 実際の数字は、月1回の運用記録で出します。
カナの欄は、まだ空欄です。でも、最初の注文の日に書く日付が、1つから2つになりました。
よくある質問(FAQ・全6問)
Q1. 受渡日は、すべての取引で約定日の2営業日後ですか?
国内株式のふつうの取引は、約定日から数えて3営業日目(T+2)です。 投資信託は商品ごとに決まっていて、Day 28で見た例では、換金代金の受け取りは申込受付日から数えて5営業日目や6営業日目でした。 何を売るかで、現金になる日は変わります。
Q2. 年末に売った株の利益は、どちらの年に入りますか?
特定口座では、原則として受渡日の年に入ります。 2026年の東証の最後の営業日は12月30日(水)なので、年内に受け渡されるのは12月28日(月)までの約定です。 12月29日・30日に約定した分は、受渡日が2027年1月になるので、2027年の取引として数えます。 年内の利益と損失をまとめて計算したいなら、この日付を先に確かめておきます。
Q3. 受渡日より前に、売った代金を出金できますか?
原則としてできません。 出金できるのは受渡日以降です。 証券会社によっては、受渡日の前でも売った代金の分で次の株を買えることがありますが、お金そのものが手元に来るのは受渡日です。 受渡日の前に次の株を買えるのは、売った代金が受渡日に入ることを前提に、証券会社の中で先に使わせてもらっている扱いだと考えると分かりやすいです。
Q4. 買うときも、受渡日は同じ数え方ですか?
同じです。 買った場合は、受渡日に代金を支払い、株の名義が自分に移ります。 買いでも売りでも、約定日から数えて3営業日目です。 ただし多くの証券会社では、注文を出す時点で、代金を払えるだけのお金(買付余力)が口座にあるかを確かめます。 受渡日に払えばいいからといって、注文のときにお金がなくてよいわけではありません。
Q5. 受渡日は、昔から約定日の2営業日後だったのですか?
いいえ。 日本の株式は、2019年7月16日の約定分から、3営業日後(T+3)だったものが2営業日後(T+2)に短くなりました。 アメリカの株式は、2024年5月28日から1営業日後(T+1)になっています。 受渡までの日数は、国や時代で変わることがあるので、外国株を売買するときは、その国の数え方も確かめておきます。
Q6. 受渡日はどこで確認できますか?
約定したあとの取引報告書や、証券会社の取引履歴に表示されます。 約定日と受渡日が並んで書かれていることが多いので、2つの日付を見比べてみてください。 それぞれの曜日も書き添えておくと、祝日や連休をはさんだときに、カレンダーの日数がいつもより延びていることに気づきやすくなります。
まとめ
受渡日とは、約定した株と代金が実際にやりとりされる日です。 国内株式のふつうの取引は、約定日を1日目として休業日を飛ばした3営業日目(T+2)です。
2026年10月30日(金)に約定すると、土日と文化の日をはさんで受渡日は11月4日(水)。 「2営業日後」は「2日後」ではありません。
現金として使える日は受渡日で決まるので、「月末に現金」なら最後の約定は月末の最終営業日の2営業日前。 私の100万円では、約定の行に受渡日を足し、答え合わせの現金は受渡日で数えます。
🎯 今日の1手(実践)
昨日は、株数を増やして成行で買ったときの約定の平均値段を出しました。今日は、自分のカレンダーで受渡日を数えてみます。 手順は2つです。
1つ目。 「今日約定したら、受渡日はいつか」を数えます。 今日を1日目にして、土日と祝日を飛ばして3営業日目を出してください。今日の日付と一緒に控えます。
2つ目。 今月末に現金にしたいとしたら、最後に約定できる日を出します。 月末の日(土日なら、その前の営業日)を受渡日にして、2営業日さかのぼります。 祝日があれば、それも飛ばします。 今日はここまでで、実際に注文はしません。
Day 48で成行の最悪の値段、Day 49で呼値の刻みに合わせた指値、Day 50で板のスプレッド、Day 51で約定の平均値段を控えてきました。
今日の「今日約定したときの受渡日と、今月末に現金にするための最後の約定日を、日付つきで控えること」で46個目です。
🔗 あわせて読みたい
- Day 51「約定」 — 注文に相手が見つかって売買が成立すること。今日はその約定の「続き」
- Day 28「流動性」 — 現金になるまでの日数には段があるという話。株は3営業日目、投資信託は5〜6営業日目の例
- Day 27「生活防衛資金」 — 急な出費に備えるお金を、株の口座とは分けて置く話
- Day 47「NISAとiDeCoの使い分け」 — この100万円の使う日は2027年9月、と書いた話。答え合わせは受渡日で数える
⚠️ ご注意
本記事は筆者個人の投資記録および一般的な金融知識の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
記載の運用実績は筆者個人の資金によるものです。
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なおコンプライアンス上、当社の取引先に関連する銘柄は取引対象外としています。



