昨日は、Day 34 で「真ん中」の正体を見ました。期待値は当たらない。 選ぶ前の目盛り。 予定には入れない。 その末尾で、真ん中がプラスだと言える根拠はどこから来るのか、言えるものと言えないものがある、と書きました。
今日は、その線引きの言葉——投資と投機——を見ます。 Day 4 で「この線引きそのものは Day 35 で正面から扱います」と予告した回です。

カナ「真ん中が目盛りなのは分かりました。で、その目盛りがプラスかどうかって——投資と投機の違いですよね? 長く持つか、すぐ売るか」
よく聞く分け方です。 長く持てば投資、短く売れば投機。 知るぽるとの説明にも「短期間で」とあります。でも、それだけだと今日の話は終わりません。 期間は「引きの割合」を動かしますが、真ん中の出どころは動かさないからです。

カナ「じゃあ、何でも長く持てば投資になるんですね」
なりません。 ここが今日いちばん実害の出るところです。真ん中がプラスと言えないものは、何年持っても真ん中はプラスになりません。 長く持つと変わるのは「引きの割合」——それは Day 34 の「回数を重ねれば近づく」を年に当てた話です。 でも真ん中そのものは、期間では動かない。

カナ「でも昨日の真ん中って、長く持っても当たらないんじゃ……何がプラスの根拠になるんですか?」
サトル「期間で分けるな。真ん中がどこから来るかで分ける。相手の負けから来るなら、全員で足すとゼロだ。外から入ってくるものがあるなら、足してもゼロにならない。」
種明かしです。
投資と投機を分けるのは、「真ん中の出どころ」です。
お金を出した先が、利益や利子を生んで、それが自分に入ってくる——これが投資の真ん中。 会社が稼いだ利益の一部が配当として、国や銀行に貸したお金が利子として、外から入ってくる。 株の値上がりも、会社の利益が積み上がって値段に映った部分は、外から来たものです。 だから、持っている人全員で足しても、ゼロにはならない。
外から入ってくるものが無く、値段が動くこと自体を当てにする——これが投機の真ん中。 自分の利益は、誰かの損。 持っている人全員で足すと、ゼロです。 Day 34 のコインを2人で賭けたときと同じ構造です。

カナ「違いは期間じゃなくて、真ん中の出どころだったんですね」
そういうことです。
ここからは、2つの定義、全員で足す見方、期間というもう1本の軸、そして私の100万円を2本の軸で読み直すことを、順に見ます。
投資と投機の違いとは?
まず、公的な言い方を2つ並べます。
- 投資 … 金融庁「資産形成の基本」より、「利益を見込んでお金を出すこと」。株式や投資信託の購入がこれにあたる、と続きます
- 投機 … 金融広報中央委員会「知るぽると」の用語集より、「投資も投機も儲けを狙うことでは同じで、投資にもリスクがつきものであるが、投機はよりハイリターンを狙って、ハイリスクの下、短期間で利益を得ようとする行為を指す」
「儲けを狙うことでは同じ」——ここは押さえてください。 どちらも真ん中をプラスにしたい。 違うのは、その真ん中の根拠です。
この連載では、こう線を引きます。
投資 = 真ん中の根拠が「外から入ってくるもの」にある。 お金を出した先が利益や利子を生み、それが自分に来る。 持っている人全員で足しても、ゼロにならない。
投機 = 真ん中の根拠が「相手の負け」にある。 外から入ってくるものが無く、値段の動きそのものを当てにし、自分の利益は誰かの損。 持っている人全員で足すと、ゼロ。
⚠️ 用語を1つ。 「外から入ってくるもの」を、この連載では利益と利子と呼びます。 会社が稼いだ利益、借り手が払う利子。それがどう運ばれて手元に来るのかは、明日 Day 36「金融機関の役割」で見ます。 今日は「入ってくるものが、ある/ない」だけを見てください。
全員で足すと、どうなるか
Day 34 のコインを、もう一度使います。表で+20,000円、裏で−10,000円。 期待値は+5,000円。
昨日は、この賭けを1人で見ていました。 今日は誰が払うのかを見ます。
コインの表が出て+20,000円を受け取るとき、その20,000円はどこから来たのか。 誰かが払っています。 相手がいる賭けなら、自分の+20,000円は、相手の−20,000円です。
- 自分の真ん中 … +5,000円
- 相手の真ん中 … −5,000円
- 2人で足すと … ゼロ
片方の真ん中がプラスに見えるのは、相手の真ん中がマイナスだからです。全員で足すと、ゼロ。 これが「相手の負けが根拠」の構造です。 誰かが胴元として手数料を取れば、全員で足した数字はマイナスになります。
⚠️ コインは、表裏の確率が分かっている例なので、始まる前に「自分が+5,000円側」と分かります。相場の投機には、その確率表がありません。 誰の真ん中がプラスかは、始まる前には誰にも分からない。 分かっているのは、全員で足せばゼロ以下ということだけです。
投資は、足してもゼロになりません。 GPIF が国内株式に置いた4.8%(過去30年投影ケース。 Day 31)は、経済の前提を置いて算出した見込みで(Day 34)、その根っこにあるのは会社が利益を生むこと——今日の言葉で言えば、外から入ってくるものです。 株を持っている人全員で足したとき、その真ん中がプラスと言えるのは、会社が稼いだ利益が、配当や値上がりとして外から入ってくるから。 1年定期の0.500%も同じで、利子が外から入ってくる。 全員で足してもゼロにならない。
ここで、いちばん多い反論に答えます。「株を高く売って儲けたとき、高く買った相手は損ではないのか。それは相手の負けでは?」
違います。 買った相手も、会社が利益を生み続けるなら、その先の真ん中はプラスです。 売り手の益は買い手の損ではありません。 株の値上がりは、3つに分けて読みます。
1つ目、利益に裏づけられた部分。 歴代の持ち主全員で足すと、会社が生んだ利益の合計に一致する。外から入ってきたものです。
2つ目、引き。 利益の裏づけのない上下で、選ぶ前は上にも下にも同じ幅(Day 31 の±19.19%)。その日株を持っている全員に、同じ向きで来る。 コインのように自分の+が相手の−になるのではないので、相手の負けではなく、みんなが一緒に浴びる幅です。
3つ目、裏づけのない上昇だけを受け取って売った人と、その値で買った人の間で、事後に移る差。 これだけが、投資の側に混じる「相手の負け」です。 値段が利益から離れて上がりすぎた場面——バブルと呼ばれるもの——で大きくなります。
投資の側の商品でも、3つ目が主役になれば、その部分は投機の構造です。 線①は道具の名前ではなく、真ん中が何で支えられているかに引きます。
⚠️ この連載の読み方で言えば、GPIF が年金積立金を「投資」の側で運用しているのは、全員で足してゼロのものにみんなのお金は置けないから、と読めます。 GPIF 自身の説明ではなく、今日の線で読んだときの見え方です。
⚠️ もう1つ。投資の側にも手数料はあります(売買の手数料、投資信託の信託報酬)。 今日「手数料を引けばマイナス」と書いたのは投機側の全員合計の話で、投資側が手数料ゼロという意味ではありません。 手数料の話は、この連載では別の回で正面から扱います。
期間は、もう1本の軸
カナの「長く持てば投資」は、半分正しくて、半分違います。
正しい半分。 Day 34 で、回数を重ねるほど1回あたりの結果は真ん中に近づく、と見ました。これを年に当てると、長く持つほど、結果に占める「引き」の割合は小さくなり、真ん中の割合が大きくなる。 だから真ん中がプラスのものは、長く持つほどプラスに近づきます。 知るぽるとの「短期間で」は、この裏返しです。短期間は、引きの割合が大きい。
⚠️ ただし Day 34 で書いたとおり、そのお金を使う年は1回で、その年に真ん中が来る保証はありません。 長く持てば近づく——保証ではなく、割合の話です。
違う半分。真ん中がプラスでないものは、長く持っても真ん中はプラスになりません。 全員で足してゼロのものを10年持っても、全員で足せばゼロのまま。期間は、真ん中の高さを変えない。 真ん中に近づく速さを変えるだけです。
だから軸は2本です。
- ① 出どころ … 外から入ってくるもの(利益・利子)があるか、相手の負けか。今日の線。 投資か投機かは、ここで決まる
- ② 引きの割合 … 期間が短いほど、結果は真ん中より引きで決まる。Day 34 の軸。 投資の側にいても、短ければ結果はほぼ引き
知るぽるとの3つ——ハイリターン狙い・ハイリスク・短期間——を、この2本に振り分けると、「短期間」と「ハイリスク」は②、「ハイリターン狙い」は真ん中の話です(ハイリスク=幅が大きい、は Day 31 の言葉。 幅が大きいほど、結果に占める引きの割合も大きくなるので②に置きます)。
この連載では、①で投資と投機を分け、②は Day 34 の読み方で見ます。 ①を飛ばして「長く持っているから投資だ」と言うのは、Day 33 の言い方なら、約束の中身を読まずに「保証」と呼ぶのと同じです。
同じ道具でも、受け取る中身が変わる
ここが今日いちばん大事なところです。
株式や投資信託は、①出どころでは投資の側です。 会社が利益を生み、外から入ってくるものがある。でも②引きの割合は、持ち方で変わります。
今日買って明日売る。 その1日で会社が生む利益は、ほとんどありません。その1日の結果は、ほぼ全部、全員で共有する上下——引き——です。 この上下は、コインのように自分の+が相手の−になるのではなく、その日株を持っている全員に同じ向きで来る。 だから相手の負けではない。 ただ、外から入ってくるものもほぼゼロ。 ①は投資の側でも、受け取る中身は引きだけ。
10年持つ。 10年ぶんの利益と利子が積み上がり、結果に占める引きの割合は、1日よりずっと小さくなる。 引きは残ります——Day 34 のとおり、近づくのであって、保証ではありません。
線①は道具に引けます。 線②は持ち方で決まります。 同じ株式でも、1日で回す人と10年持つ人では、受け取る中身の内訳が違う。 前者はほぼ引き、後者は利益の割合が増える。知るぽるとが「短期間で」と書いたのは、②の側の話で、①が相手の負けに変わるわけではありません。
⚠️ 「値段が動くものは全部投機」ではありません。 投資の側のものも値段は動きます(Day 31 の±19.19%)。 分けるのは値段が動くかどうかではなく、その動きの真ん中が、外から入ってくるもので支えられているか(①)です。
リボがある人は、今日も関係ありません
Day 30 で負債の印をつけ、Day 31・Day 32 でリボがある人は段3を返済へと書きました。 今日の線引きで、もう1つはっきりします。
リボの15%は、投資でも投機でもなく、確定した支払いです。 相手の負けでも、外から入るものでもない。自分から外へ、確実に出ていくもの。 ①も②も考える前に、確定で出ていく15%を止める——順番は Day 30 から変わりません。
カナは、いま段3を売ってリボを返しているところです。 リボが消えたあと、段3をもう一度持つときに、今日の①「真ん中の出どころ」を最初に見る。 それが今日のカナの予習です。
私の100万円と、Day 4 の「ギャンブル」
この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。
昨日、記録に足したのは「真ん中の欄」を線の欄と分けることでした。
今日足すのは、「真ん中の根拠」の欄です。 外から入ってくるもの(利益・利子)か、相手の負けか。
Day 6 で実質を併記、Day 7 で税引後、Day 8 で分母、Day 9 で元手の出どころ、Day 10 で自分の税率、Day 11 で住民税10%込み、Day 12 で預金の線、Day 13 で変化の原因の切り分け、Day 14 で通貨の内訳、Day 15 でドル建て、Day 16 で理論値だと断ること、Day 17 で通貨自体が割安だと明記すること、Day 18 で制度が動いた日付、Day 19 で書く順番、Day 20 で判定せず事実だけを残すこと、Day 21 で残高と流れを分けること、Day 22 で分子と分母のどちらが動いたかを書くこと、Day 23 で実質を何で割ったかを書くこと、Day 24 で引いた数字がどの版なのかを書くこと、Day 25 で運用の成績を黒字の日数に換算すること、Day 26 で「一度だけ決めたこと」と「その場で決めたこと」を分けること、Day 27 で生活防衛資金を運用の口座に混ぜないこと、Day 28 で現金になるまでの営業日数を書くこと、Day 29 で諦めた1つを書くこと、Day 30 で負債の側を書くこと、Day 31 で想定した幅の中か外かを書くこと、Day 32 で中身どうしの向きを書くこと、Day 33 で約束の範囲を書くこと、Day 34 で真ん中の欄を線の欄と分けること。
今日足すのは、真ん中の根拠を書くことです。
そして、Day 4 に戻ります。 あのとき私はこう書きました。「年1.7%に負けたくないという理由と、1年で大きく動かしたいという理由は、まったく別のものです。前者は堅実な話で、後者はギャンブルの話です。私がやっているのは後者です。」
今日の2本の軸で、この言葉を読み直します。 撤回しません。
①出どころ。 この100万円の中身が、外から入ってくるものを根拠にしているか、相手の負けを根拠にしているか。正直に書きます。 今日は書けません。 Day 32・Day 34 と同じで、内訳を数えていないからです。 内訳・標準偏差・相関・想定幅・真ん中と一緒に、来月の回で、中身ごとに「あり/なし」を書きます。 今日作るのは、その欄です。
②引きの割合。 これは今日、書けます。 この100万円は1年で、1年定期の税引後3,984円(Day 29)を超えようとしています。 Day 34 で見たとおり、1年という1回の結果は、真ん中よりも「引き」で決まる部分が大きい。 国内株式なら3回に1回は幅の外、およそ4割は額面で減る(釣鐘型の目安。 Day 31・34)。1年で答えを出すと決めた時点で、結果の大半をその年の引きに委ねている。 知るぽるとの3つのうち②に振り分けた「短期間・ハイリスク」に、私の使い方はそのまま当たります——知るぽるとの言い方では投機、この連載の①は来月。 Day 4 の「1年で大きく動かしたい」は、この意味でした。
だから記録には、こう書きます。「①真ん中の根拠:中身ごとに来月書く(あり/なし)。②引きの割合:1年で答えを出す=大きい。Day 4 の『ギャンブル』は②の意味で、撤回しない。」
Day 1・3・5・6 で「読者のみなさんは真似しないでください」と書いた根拠は、これでした。中身がどうであれ、1年で答えを出すという使い方が、真似する理由のないものだからです。
⚠️ 1つだけ、正直に。「1年で答えを出す」のは、この連載の企画のためです。 365日の連載で、1年後に事実を書くために、1年で区切っています。あなたの段3に、その区切りはありません。 使う年を遠くに置けるなら、②の割合は小さくなります。
よくある質問(FAQ・全6問)
Q1. 株式は投資ですか、投機ですか?
①出どころでは投資の側です。 ②引きの割合は、持ち方で変わります。
株式は、会社が生む利益が配当や値上がりとして外から入ってくる道具です。 GPIF が国内株式に4.8%の期待リターン(過去30年投影ケース)を置けるのは、この根拠があるからです。
ただし、今日買って明日売れば、その1日で会社が生む利益はほぼゼロで、結果はほぼ全部が全員で共有する上下——引き——になります。 ①は投資の側のまま、受け取る中身が引きだけになる。 知るぽるとの「短期間で」は、この②の側の話です。
Q2. 短期売買は、全部投機ですか?
①の線では、株式や投資信託の短期売買は投機ではありません。 ②の軸では、結果がほぼ引きだけになります。
期間は「引きの割合」を動かすだけで、真ん中の出どころは動かしません。 1日の売買で会社が生む利益はほとんどないので、その日の結果は全員で共有する上下で決まる——外から入ってくる部分をほとんど受け取れない、という意味で、知るぽるとが「短期間で」と書いた実態に近づきます。
逆に言えば、長く持つだけでは投資になりません。 ①が相手の負けのものは、10年持っても全員で足せばゼロです。①を見てから、②を見る。 順番はこれだけです。
Q3. 宝くじやギャンブルは、どこに入りますか?
①出どころが「相手の負け」の側です。 構造は、胴元の手数料つきの投機と同じです。
参加者が払ったお金を、当たった人に配り直す仕組みです。外から入ってくるものはありません。 運営側の取り分を差し引くので、参加者全員で足した真ん中はマイナスです。 どれだけマイナスかの割合は、今日は出しません(一次情報で確かめてから使うのがこの連載の決まりで、今日はそこまで手が届いていません)。
1人だけ見れば、当たった人はいます。でも Day 34 で見たとおり、それは「引き」であって「真ん中」ではない。 楽しみとして買うのは自由です。段3の行に書かないこと。 それだけです。
Q4. 私の100万円は、結局、投資ですか? 投機ですか?
①は来月の内訳の回で中身ごとに書きます。 ②は「大きい」。 Day 4 の「ギャンブル」は②の意味で、撤回しません。
中身が外から入ってくるものを根拠にしているか、相手の負けを根拠にしているかは、内訳を数えてから書きます(Day 32・34 で「来月」と決めた回)。 今日は欄を作るだけです。
②のほうは今日はっきりしています。1年で1年定期の3,984円を超えようとしている。 1年という1回の結果は、真ん中より引きで決まる部分が大きい(Day 34)。知るぽるとの3つのうち②の「短期間・ハイリスク」に、私の使い方はそのまま当たる(知るぽるとの言い方では投機、①は来月)。
だから「真似しないでください」と Day 1 から書いてきました。真似する理由がないのは、中身より先に、1年で答えを出すという使い方のほうです。
Q5. 投機は、やってはいけないことですか?
この連載では「やるな」とは書きません。 「段3の行に書くな」「予定に入れるな」と書きます。
投機は、全員で足すとゼロ以下の賭けです。 相場の投機にはコインのような確率表がなく、自分の真ん中がプラスかどうかは、始まる前に誰にも分からない(分かっているのは全体がゼロ以下ということだけ)。 だから Day 34 の「予定に入れない」が、投機ではいっそう強く効きます。
そして Day 27「生活防衛資金」の3行——下限・基準線・その上——のどこにも、投機のお金は置きません。置くなら、3行の外。 なくなっても3行が崩れない額だけ。 それは金融の話というより、楽しみの話です。
Q6. 「投資なら安全」ということですか?
違います。 投資の側にも幅はあります。
真ん中の根拠が外にあること(①)と、幅が小さいことは別です。 国内株式は投資の側ですが、幅は±19.19%(Day 31)。 3回に1回は幅の外、およそ4割は額面で減る(釣鐘型の目安。 Day 34)。投資の側にいても、1年の結果は引きで動きます(②)。
今日決めたのは、真ん中がプラスと「言える」か「言えない」かの線です。 言えるものを選び、幅を引き受けられる月を選び(Day 31)、約束の範囲を読み(Day 33)、真ん中を予定に入れない(Day 34)。「投資だから安全」は、そのどれも読んでいない読み方です。
まとめ
投資と投機の違いは、期間の長さではなく、真ん中の出どころ。 金融庁の言い方で投資は「利益を見込んでお金を出すこと」、知るぽるとの言い方で投機は「よりハイリターンを狙って、ハイリスクの下、短期間で利益を得ようとする行為」。「儲けを狙うことでは同じ」——違うのは根拠です。
投資 = 真ん中の根拠が「外から入ってくるもの」(会社の利益・利子)にある。 持っている人全員で足しても、ゼロにならない。 GPIF が国内株式に4.8%(過去30年投影ケース)を置けるのはこの側。 1年定期の0.500%も同じ側。 株の値上がりのうち利益に裏づけられた部分も外から来たもので、売り手の益は買い手の損ではない。
投機 = 真ん中の根拠が「相手の負け」にある。 Day 34 のコインを2人で賭ければ、自分の+20,000円は相手の−20,000円。全員で足すとゼロ、胴元の手数料を引けばマイナス。 相場の投機に確率表はなく、誰の真ん中がプラスかは始まる前に分からない。
軸は2本。 ①出どころ(今日の線)と、②引きの割合(Day 34 の軸)。 期間は②であって①ではない。 全員で足してゼロのものは、10年持ってもゼロ。 投資の側でも、1日で回せば結果はほぼ引きだけ。知るぽるとの「短期間・ハイリスク」は②、「ハイリターン狙い」は真ん中の話。
私の100万円は、①は来月、②は「大きい」。 1年で答えを出すと決めた時点で、結果の大半をその年の引きに委ねている。Day 4 の「ギャンブル」は②の意味で、撤回しない。 真似する理由がないのは、中身より先に、1年で答えを出す使い方のほう。
リボがある人は、今日も段3を返済へ。 15%は投資でも投機でもなく、確定で出ていくもの。
🎯 今日の1手(実践)
昨日、段3の行に「真ん中」を書きました。今日は、その真ん中の横に「出どころ」を書きます。 外から入ってくるもの(利益・利子)か、相手の負けか。 手順は3つです。
1つ目。 段3の中身ごとに、「外から入ってくるものがあるか」を書く。
投資信託なら目論見書の「投資対象」を見ます。投資対象が株式・債券・不動産(REIT)なら、「あり」。 会社の利益・借り手の利子・賃料が、その中に入っています。 ⚠️ 分配金を出さない投資信託でも「あり」です。 手元に来ていなくても、利益や利子はファンドの中に積み上がっています。
投資対象に会社・借り手・不動産がなく、値段の動きそのものを利益の源泉として説明しているものは、「なし」。 分からなければ「不明」。
2つ目。 「なし」の行があれば、昨日書いた真ん中を消し、予定に入っていないか確かめる。
全員で足してゼロ以下のものには、Day 34 の「額 × 期待リターン」の目盛りは置けません。昨日その行に真ん中を書いていたら、消して「相手の負け・真ん中なし」と書き直す。 そして Day 34 の2つ目と同じく、その額の増え分がどこかの予定に入っていないかを探す。 入っていたら外す。「なし」の行があれば、これがいちばん先にやる1行です。 終わったら、残りの「あり」の行で3つ目へ。
3つ目。 「あり」の行に、使う年を書く。
そのお金を使うのが来年なら、Day 34 のとおり結果の大半は引きで決まります。「あり・来年使う」の行は、①は投資の側でも、②の引きの割合が大きい状態です。 1年で答えを出す私の100万円と、②は同じ状態。使う年を遠くに置けるか、置けないなら段2(幅ゼロ)へ移すか、を横に書いてください。 ⚠️ 今日は書くだけです。 動かす判断は、幅と使う月を揃えてから(Day 31)。
読み方はこうです。まず段3がゼロなら1つ目で終わり。 「なし」の行があれば必ず先にやり、終わったら「あり」の行で下に戻る。 それ以外は上から順に、最初に当たった1つだけ。
- 段3がゼロ … 「段3:無し」のまま。今日書くことはありません
- リボ・カードローン・分割払い(Day 30 の印)が残っている … 段3は返済へ(Day 31 のまま)。15%は投資でも投機でもなく確定で出ていくもの。 今日の1手は、返済が終わったあとの予習として読んでください
- 「なし」の行がある … いちばん先にやる1行。 昨日の真ん中を消して「相手の負け・真ん中なし」に書き直し、予定に入っていれば外す。楽しみとして残すなら、なくなっても Day 27 の3行が崩れない額だけ。終わったら、「あり」の行で下の分岐に戻ってください
- 「不明」の行がある … 目論見書の「投資対象」を読んでから戻ってください。判定は保留
- 「あり」の行の使う年が、来年 … ①は投資の側、②は大きい状態です。「使う年を遠くにできるか/段2へ移すか」を1行書いて終わり。 動かすのは、幅と使う月を揃えてから
- 「あり」の行の使う年が、遠い … ①も②も揃っています。「根拠:あり・使う年:○年」と1行書いて終わり
⚠️ 2点、断ります。
① 今日の1手は、「なし」のものを売ることではありません。 段3の目盛りから外し、予定から外すことです。 売るかどうかは、別の判断です。
② 「あり」だから増える、ではありません。 真ん中がプラスと言えるだけで、幅は残ります(Q6)。 Day 31・33・34 の読み方は全部そのまま乗ります。
Day 7 で手取り率、Day 8 で基本給比率、Day 9 で標準報酬月額、Day 10 で実効税率、Day 11 で住民税倍率、Day 12 で何もしなかった場合の額、Day 13 で金利感応度、Day 14 で外貨比率、Day 15 でドル建て換算、Day 16 で往復コスト率、Day 17 で割安率、Day 18 で会合の日付、Day 19 で7つの棚卸し、Day 20 で自分DI、Day 21 でGDP比率、Day 22 で分母を替えて確かめること、Day 23 で引く相手を書くこと、Day 24 で実質の昇給率、Day 25 で自分の1枚、Day 26 で固定費率、Day 27 で3行の並べ方、Day 28 で段ごとの日数、Day 29 ですぐ出せる状態の値段、Day 30 で純資産、Day 31 で段3の振れ幅、Day 32 で中身どうしの向き、Day 33 で約束の範囲、Day 34 で段3の真ん中。
今日の「真ん中の出どころ」で29個目です。 昨日は約束のない行に、当たらない数字を目盛りとして置きました。今日は、その目盛りがプラスだと言える根拠が外にあるかを書いています。
「外から入ってくるもの」——会社の利益、借り手の利子。それは、どうやって私たちの手元まで運ばれてくるのか。 1年定期の0.500%は、銀行のどこから来るのか。 私たちと「借り手」の間には、誰かが立っています。Day 12「政策金利」で「なぜ政策金利1.0%が預金0.400%になるのか」と残した問いも、その誰かのところにあります。
明日 Day 36「金融機関の役割」では、外から入ってくるものを運ぶ側を見ます。明日、そこに着きます。
🔗 あわせて読みたい
- Day 34「期待値」 — 真ん中は当たらない目盛り、と決めた話
- Day 33「元本保証」 — 約束の中身を読まずに「保証」と呼ばない、と決めた話
- Day 31「リスクとリターン」 — 国内株式の真ん中4.8%と幅±19.19%を出した話
- Day 27「生活防衛資金」 — 下限・基準線・その上の3行を作った話
- Day 4「インフレーション」 — 私の100万円を「ギャンブルの話」と書いた話
⚠️ ご注意
本記事は筆者個人の投資記録および一般的な金融知識の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
記載の運用実績は筆者個人の資金によるものです。
投資判断はご自身の責任において行ってください。
なおコンプライアンス上、当社の取引先に関連する銘柄は取引対象外としています。



