昨日は、Day 33「元本保証」で幅ゼロの正体を読みました。幅ゼロは性質ではなく、誰かの約束でした。 その末尾で、幅がある側の「真ん中」——国内株式の4.8%——は誰も約束していない数字だ、と書きました。
今日は、その「真ん中」の正体を見ます。

カナ「4.8%は誰も約束してないって言ってましたけど、約束はなくても、来年はだいたいそれくらい増えるってことですよね」
約束がないことは、昨日で覚えました。 それでも「真ん中」と聞けば、そのあたりに落ちそうに見える。 そう読むのは自然です。 でも、違います。
今日はその「そのあたり」を、数字で崩します。

カナ「じゃあ100万円なら、4万8千円を来年の予定に入れておけばいいんですね」
入れてはいけません。 ここが、今日いちばん実害の出るところです。4万8千円は「来年もらえる額」ではなく、「候補を比べるための目盛り」です。 予定に入れた瞬間に、目盛りが約束に化けます。

カナ「でも3回に2回は85万6千円から124万円って……4万8千円ちょうどになることなんて、あるんですか?」
サトル「まず、ない。期待値は当たる数字じゃない。全部の結果に確からしさを掛けて足した、比べるための目盛りだ。目盛りを予定に入れたら、予定が外れる。」
種明かしです。
期待値は「平均すればこうなる」という数字で、1回の結果としては、ほとんど起きません。 コインの例なら、起きるのは+2万円か−1万円のどちらかだけ。+5,000円という結果は、1回も起きない。 それでも、別のコイン——表で+1万円、裏で−1万円、期待値ゼロ——と並べれば、選べます。 裏はどちらも−1万円で同じ。 表だけが+2万円と+1万円で違う。下側が同じなら、期待値の高いほう。 起きない数字が、比べるときには効く。これが期待値の使い方であって、当てる使い方ではありません。

カナ「一度も起きない数字が、目盛りになるんですね」
そういうことです。
ここからは、期待値の出し方、真ん中との関係、そして Day 29 の決まり③とどう両立するのかを、順に見ます。
期待値とは?
期待値とは、起こりうる結果のそれぞれに、その結果が起こる確からしさ(確率)を掛けて、全部足した数字です。式は1本です。
期待値 = 結果① × 確率① + 結果② × 確率② + …
コイン投げで数えます。 表が出れば+20,000円、裏が出れば−10,000円。 表と裏は半々(確率0.5ずつ)。
- +20,000円 × 0.5 = +10,000円
- −10,000円 × 0.5 = −5,000円
- 足して、期待値 = +5,000円
1回投げると、起きるのは+20,000円か−10,000円のどちらかです。 +5,000円は起きません。
では+5,000円は何の数字か。100回投げたときの、1回あたりの平均の見込みです。 表50回・裏50回なら、+100万円−50万円=+50万円。 100で割って+5,000円。回数を重ねるほど、1回あたりの結果は期待値に近づいていきます。 1回では遠い。 100回なら近い。期待値は「回数」と一緒に読む数字です。
⚠️ 用語を1つ。 この連載で「真ん中」と呼んできたものは、期待値のことです。 Day 31 で GPIF の期待リターン——国内株式4.8%、国内債券0.5%(過去30年投影ケース)——を「散らばりの真ん中あたりに置かれた期待」と書きました。「期待リターン」の「期待」は、期待値の「期待」です。 「期待している」「そうなってほしい」ではなく、確からしさを掛けて足した数字という意味です(GPIF の数字の出し方がコインとどう違うかは、次の節で断ります)。
真ん中は、真ん中に落ちない
国内株式に100万円を1年。 Day 31 の数字をそのまま使います。
- 期待値(真ん中) … +4.8% = +48,000円(税引前)
- 3回に2回の幅 … 85万6千円〜124万円
- 20回に19回の幅 … 66万4千円〜143万2千円
48,000円ちょうど増える年は、まず来ません。 ただし相場では、「ちょうど」で言えばどの額も来ない。大事なのは、真ん中の近くに落ちる保証もないことです。 3回に2回は−14万4千円から+24万円のどこか。 真ん中なので、48,000円に届かない年はおよそ半分。 その大半——全体で見ればおよそ4割(釣鐘型の目安)——は、額面で減ります。
それでも4.8%は「真ん中」です。もし同じ条件で1年を100回やれたなら、1回あたりの平均は4.8%に近づく。 でも私たちは、1年を1回ずつしか生きません。 何年も持てば回数は増えます。ただ、そのお金を使う年は1回で、その年に平均が来る保証はない。 期間と幅の話は Day 31 と同じで、今日はしません。だから期待値は「来年の見込み」ではなく、「候補を並べたときの位置」として読みます。
⚠️ GPIF の4.8%は、コインのように確率を掛けて足した数字ではありません。 経済の前提(過去30年投影など)を置いて算出した見込みで、前提が4つあるから数字も4つある(7.5%/7.0%/4.8%/4.0%。 Day 31)。「どれが来るかは、GPIFにも分かりません。」と Day 31 で書いたとおりです。 それでも読み方は同じで、幅の真ん中に置かれた、当たらない数字。 今日は4.8%を借りますが、「4.8%と決まっている」わけではないことは忘れないでください。
目盛りとして使う——2つを同じ目盛りに載せる
期待値の使いどころは、選ぶ前です。 候補を同じ目盛りに載せて比べる。
1年定期0.500%(段2)と国内株式(段3)。 100万円・1年・税引前で並べます。
- 1年定期 … 期待値 +5,000円、幅 ゼロ(銀行の約束。Day 33)
- 国内株式 … 期待値 +48,000円、幅 ±19.19%(約束なし。Day 33)
期待値だけ見れば、約10倍。 でも Day 31 で書いたとおり、真ん中だけで選ぶことはしません。 幅を横に置く。片方は幅ゼロで確定、片方は幅つきでおよそ4割は減る。 その幅を、そのお金を使う月に引き受けられるか——これが選ぶときの3点セットです(真ん中・幅・引き受けられる月か)。
期待値は、その3点のうちの1点目。目盛りの1本目であって、答えではありません。
⚠️ 税は、増えたときだけ引かれます(Day 31)。 だから幅がある側の「税引後の期待値」は、税引前に0.79685を掛けた数字にはなりません(減った年には税がかからないので、単純には出せない)。今日は税引前で並べました。 1年定期の税引後3,984円と並べたいときは、国内株式も税引後にしなければ比べられない——その計算は今日はしません。同じ条件で並べる。 目盛りの鉄則です。
予定に入れない——目盛りが約束に化ける瞬間
ここが今日いちばん大事なところです。
カナの「4万8千円を来年の予定に入れる」は、期待値の使い方として間違いです。 理由は2つ。
1つ目。 48,000円は当たらない。 起きるのは3回に2回で−14万4千円〜+24万円のどこか。 真ん中なので、予定に入れた48,000円に届かない年はおよそ半分。 その大半——全体でおよそ4割——は額面で減る。 予定の側から見れば、2年に1年は穴が開きます。
2つ目。 予定に入れた瞬間、目盛りが約束に化ける。 Day 33 で、段3には約束がないと読みました。48,000円を予定に入れることは、誰もしていない約束を、自分で自分にすることです。 そして約束が破られたとき——届かなかった年に——「期待値どおりにならなかった」と数字を責める。 でも期待値は、最初から当たる数字ではありませんでした。責める相手を間違えています。
予定に入れていいのは、約束のある側だけです。 1年定期の3,984円(税引後)は、満期まで置く前提での銀行の約束(途中で出せば0.400%。 Day 33 の③は残ります)。 これは予定に入れられます。幅がある側の真ん中は、予定ではなく目盛り。 Day 27「生活防衛資金」で運用しているお金を3行に入れなかった理由を、今日の言葉で言い直すと——「真ん中は予定に入れられないから」です。
Day 29 の決まり③と、どう両立するか
Day 29 で、機会費用を数える決まりの③を「確定していないものは数えない」と決めました。 そして、経済学では期待値で数えるのが普通だが、この連載ではそれをしない、と書きました。
今日「期待値を目盛りとして使う」と言うのは、あれと矛盾しないのか。 はっきりさせます。
矛盾しません。 「値段」と「目盛り」は別のものだからです。
- 決まり③は、値段の話です。値段とは、引き算に使う1つの確定した数字——「これを選んだ値段は、諦めた次善の○円」の○円。確定していないものは、値段にしない。 段3の期待値を「諦めた1つ」の欄に書くことは、今日も、これからもしません。
- 今日の目盛りは、位置の話です。目盛りとは、幅と組で候補の横に置く位置。1つの数字で答えを出さず、幅と使う月と3点で見る(Day 31)。答えを出さないから、確定していなくてよい。
言い換えると、期待値は、値段としては前も後も使わず、目盛りとしては選ぶ前に位置を比べ、選んだ後は「想定した幅の真ん中」としてだけ残します。 当たったか外れたかは書きません。
実は Day 31 で、この2つを同じ段落で使っていました。1段目「リボを返す値段は、諦めた段3の将来の増え分だが、確定していないので決まり③で数えない——値段ゼロ」。2段目「仮に真ん中4.8%をそのまま15%と並べても届かず」。1段目が値段、2段目が目盛り。 別の道具を、別の用途で使っていた、ということです。
そして Day 20 の「判定せず、事実だけを残す」が、ここにつながります。期待値を目盛りにして選んだ結果が悪くても、選び方が悪かったとは限りません。 コインの例で−10,000円が出た回は、選び方が間違っていたのではなく、裏が出ただけです。選び方の良し悪しは選ぶ前の3点(真ん中・幅・使う月)で決まり、結果の良し悪しはその年の引きで決まる。 2つは別の帳簿です。 だから結果は、判定せず事実だけ書く。
リボがある人は、今日も関係ありません
Day 30 で負債の印をつけ、Day 31・Day 32 でリボがある人は段3を返済へと書きました。 今日の話でも変わりません。 むしろ、はっきりします。
リボの15%は確定で、段3の4.8%は期待値です。 確定の15%と、当たらない4.8%を同じ目盛りに載せると——4.8%が15%に届かないうえに、4.8%は当たらない数字。 Day 31 で「仮に真ん中4.8%をそのまま15%と並べても届かず」と書いたのは、この意味でした。目盛りで見ても、答えは返済です。
カナは、いま段3を売ってリボを返しているところです。 今日の話はカナにとって「リボが消えたあと、段3の真ん中をどう読むか」の予習で、「4万8千円を予定に入れない」は、その予習のいちばん大事な1行です。
私の100万円と、真ん中の欄
この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。
昨日、記録に足したのは「約束の範囲」を書くことでした。 答えは「元本保証:なし(100万円全額)」。
今日足すのは、「真ん中(期待値)」を書く欄を、「超えるべき線」とは別に作ることです。
Day 6 で実質を併記、Day 7 で税引後、Day 8 で分母、Day 9 で元手の出どころ、Day 10 で自分の税率、Day 11 で住民税10%込み、Day 12 で預金の線、Day 13 で変化の原因の切り分け、Day 14 で通貨の内訳、Day 15 でドル建て、Day 16 で理論値だと断ること、Day 17 で通貨自体が割安だと明記すること、Day 18 で制度が動いた日付、Day 19 で書く順番、Day 20 で判定せず事実だけを残すこと、Day 21 で残高と流れを分けること、Day 22 で分子と分母のどちらが動いたかを書くこと、Day 23 で実質を何で割ったかを書くこと、Day 24 で引いた数字がどの版なのかを書くこと、Day 25 で運用の成績を黒字の日数に換算すること、Day 26 で「一度だけ決めたこと」と「その場で決めたこと」を分けること、Day 27 で生活防衛資金を運用の口座に混ぜないこと、Day 28 で現金になるまでの営業日数を書くこと、Day 29 で諦めた1つを書くこと、Day 30 で負債の側を書くこと、Day 31 で想定した幅の中か外かを書くこと、Day 32 で中身どうしの向きを書くこと、Day 33 で約束の範囲を書くこと。
今日足すのは、真ん中の欄を、線の欄と分けることです。
なぜ分けるのか。この100万円の「超えるべき線」は、1年定期の税引後3,984円でした(Day 29)。これは約束のある側の数字です(Day 33)。 一方、この100万円の「真ん中」は、誰も約束していない期待値。 同じ欄に書くと、来月の私が「線=目標」「真ん中=見込み」を混ぜて読む。 線は超えるかどうかを事実として書く相手、真ん中は候補を比べたときの位置。性質が違う数字を、同じ欄に並べない。
⚠️ 正直に書きます。 私はまだ、この100万円の真ん中を書けません。 Day 32 と同じで、内訳を数えていないからです。 真ん中は中身ごとの期待値を割合で混ぜて出す数字で(Day 32 の「真ん中は割合どおりに混ざる」)、内訳が出るまで出せない。 内訳・標準偏差・相関・想定幅は、Day 32 で来月まとめて書くと決めました。真ん中の欄も、その回に埋めます。 今日作ったのは欄であって、数字ではありません。
もう1つ、今日決めたこと。その欄に書く真ん中を、毎月の報告で「予定」として扱いません。 1年後に線を超えたか超えなかったかは事実として書く(Day 20)。真ん中に近かったか遠かったかは、Day 31 の「想定した幅の中か外か」で書く。 真ん中どおりになったかどうかは、書きません。 幅つきの数字に、1点で当たったか外れたかを書いても意味がないからです。
よくある質問(FAQ・全6問)
Q1. 期待値がプラスなら、やれば増えるということですか?
「回数を重ねれば、1回あたりの平均はプラスに近づく」という意味では、そうです。 1回でプラスになるという意味では、違います。
コインの例(表+20,000円・裏−10,000円)の期待値は+5,000円ですが、1回投げれば半分の確率で−10,000円です。 100万円を国内株式に1年置く期待値は+48,000円ですが、釣鐘型の目安でおよそ4割の年は額面で減ります。
期待値がプラスかどうかは、候補を選ぶときの目盛りです。「増える」と読み替えた瞬間に、予定に化けます。 Day 33 で見た「約束のない側」に、自分で約束を足している状態です。
Q2. 期待値は、どう計算するんですか?
結果 × 確率を、全部足します。
表+20,000円(確率0.5)、裏−10,000円(確率0.5)なら、+20,000×0.5 +(−10,000)×0.5 = +10,000 −5,000 = +5,000円。 結果が3つなら3つ、10通りなら10通り、全部掛けて足す。確率の合計は必ず1(100%)になります。
⚠️ 相場の期待値は、コインのように確率が分かっているわけではありません。 GPIF の4.8%は、経済の前提を置いて算出した見込みです。式は同じでも、確率のほうが「分からない」。 だから Day 31 で「期待リターンが1つに決まっていないこと自体が、分からないの証拠」と書きました。
Q3. 期待値が高いほうを選べばいいんですよね?
期待値だけでは選びません。 幅と、そのお金を使う月と、3つ揃えてから選びます。
1年定期は期待値5,000円・幅ゼロ、国内株式は期待値48,000円・幅±19.19%(100万円・税引前)。期待値は約10倍ですが、幅のほうは「ゼロ」と「±19.19%、およそ4割は減る」の差です。 空白の月に使うお金なら、Day 27 のとおり幅ゼロの側に置く。期待値は3点セットの1点目であって、答えではありません。
Day 31 の言い方に戻れば、同じ期待値なら幅の小さいほう。 幅を引き受けるのは、期待値がそのぶん高いときだけ。 どちらも、期待値と幅を両方見ています。
Q4. Day 29 で「確定していないものは数えない」と言ったのに、期待値を使うのは矛盾では?
矛盾しません。 「値段」と「目盛り」が別のものだからです。
Day 29 の決まり③は、値段——引き算に使う1つの確定した数字——に、確定していないものを入れない決まりです。 段3の期待値を「諦めた1つ」の欄に書くことは、今日もしません。
今日の期待値は、目盛り——幅と組で候補の横に置く位置——です。 1つの数字で答えを出さず、真ん中・幅・使う月の3点で見る。答えを出さないから、確定していなくてよい。
Day 31 は同じ段落でこの2つを使っていました。 「値段ゼロ」(③)と「仮に真ん中4.8%を並べても届かず」(目盛り)。別の道具を、別の用途で。 目盛りとして使うことは、Day 29 も止めていません。
Q5. 期待値どおりにならなかったら、選び方が間違っていたということですか?
違います。 選び方と結果は、別の帳簿です。
コインで−10,000円が出た回は、選び方が悪かったのではなく、裏が出ただけです。 国内株式で額面が減った年も同じで、3回に1回は幅の外、およそ4割は額面で減ると、選ぶ前から分かっていました。
だから Day 20 で決めたとおり、結果は判定せず事実だけを書く。 選び方の良し悪しは選ぶ前の3点(真ん中・幅・使う月)で決まり、結果の良し悪しはその年の引きで決まる。結果で選び方を責めると、次の選び方が歪みます。
Q6. 私の100万円の期待値は、いくらですか?
まだ書けません。 内訳を数えていないからです。
真ん中は、中身ごとの期待値を割合で混ぜて出す数字です(Day 32 の「真ん中は割合どおりに混ざる」)。 内訳が出ていないので、真ん中も出せない。内訳・標準偏差・相関・想定幅と一緒に、Day 32 で決めた来月の回に書きます。
今日決めたのは、書く欄を「超えるべき線(3,984円・約束あり)」とは別に作ることと、その欄の数字を予定として扱わないことです。線は超えたかどうかを事実で書く。 真ん中は、当たったか外れたかを書かない。 幅つきの数字に、1点の当たり外れはないからです。
まとめ
期待値とは、起こりうる結果のそれぞれに確率を掛けて、全部足した数字。式は「結果×確率の合計」1本。 Day 31 から「真ん中」と呼んできた国内株式の4.8%は、GPIF の期待リターン=期待値の位置に置かれた数字でした(コインのように確率×結果で出した数字ではなく、前提を置いた見込み)。
期待値は、当たる数字ではありません。 表+20,000円・裏−10,000円のコインの期待値は+5,000円ですが、1回投げて+5,000円になることは一度もない。 相場では「ちょうど」はどの額も来ず、真ん中の近くに落ちる保証もない。 100万円を国内株式に1年置く期待値は+48,000円(税引前)ですが、3回に2回は85万6千円〜124万円のどこかで、釣鐘型の目安でおよそ4割は額面で減る。 回数を重ねれば1回あたりは期待値に近づく——でも私たちは1年を1回ずつしか生きない。
期待値は、選ぶ前に候補を並べる「目盛り」。 1年定期5,000円(幅ゼロ・約束あり)と国内株式48,000円(幅±19.19%・約束なし)を同じ目盛りに載せて、真ん中・幅・使う月の3点で選ぶ。 期待値はその1点目。
予定には入れない。 4万8千円を来年の予定に入れれば、届かない年はおよそ半分(2年に1年は穴が開く)、その大半——全体でおよそ4割——は額面で減る。約束のない側(Day 33)に、自分で約束を足すことになる。 予定に入れていいのは、約束のある側だけ。
Day 29 の決まり③とは矛盾しない。 ③は「値段(引き算に使う確定した数字)に、確定していないものを入れない」、今日は「目盛り(幅と組で置く位置)として比べる」。値段としては使わず、目盛りとしてだけ使う。 Day 31 の「値段ゼロ」と「仮に4.8%を並べても届かず」は、その2つを並べて使っていた。 結果は Day 20 のとおり判定せず事実だけ——選び方と結果は別の帳簿。
リボがある人は、今日も段3を返済へ。 確定15%と、当たらない4.8%。 目盛りで見ても答えは同じです。
私の100万円には、「真ん中の欄」を線の欄と分けて作りました。 数字は内訳と一緒に来月。真ん中どおりになったかどうかは、書きません。
🎯 今日の1手(実践)
昨日、Day 28 の地図の各行に「約束の範囲」を書きました。今日は、約束のない行——段3——にだけ、「真ん中」を書きます。 そして、その真ん中が予定に化けていないかを確かめます。 手順は3つです。
1つ目。 段3の行に、真ん中を円で書く。
Day 32 の1手で段3を4つの箱(国内債券/外国債券/国内株式/外国株式)に分けたなら、箱ごとに額 × 期待リターン(過去30年投影ケース:0.5%/2.2%/4.8%/5.4%)を掛けて、足します。税引前で書きます(税は増えた年にだけかかるので、幅がある側の税引後の期待値は単純には出せません)。
たとえば段3が50万円・全部国内株式型なら、50万円 × 4.8% = 24,000円(税引前)。 これが真ん中です。
⚠️ 箱に「不明」があるときは、Day 32 と同じで判定は保留。 目論見書で投資対象を確かめてから戻ってください。
2つ目。 その真ん中が、どこかの「予定」に入っていないかを探す。
来年の旅行の足しに、ボーナス代わりに、リボの返済原資に、家賃の一部に——「段3が増えたぶんで〇〇する」と決めているものがあれば、それが予定です。 頭の中にあるものも数えます。
あれば、その予定の横に「真ん中は当たらない・届かない年はおよそ半分」と書いて、来年の収入の欄から、段3の真ん中の行(上の例なら24,000円)を消します。 予定そのものは残して構いません。外すのは、収入として数えていた行だけです。 空いた穴を埋めるなら、Day 27 の3行のうち「その上」の行から。 下限・基準線には手をつけません。段3の真ん中で埋め直すのだけは、しないでください。
3つ目。 真ん中の横に、Day 31 の幅を並べる。
50万円・国内株式型なら、真ん中24,000円の横に、Day 31 の1手で出した片側の振れ幅約9万6千円を書きます。真ん中2万4千円、幅9万6千円。 幅は真ん中の4倍です。 来年「幅の中か外か」を書くときの幅は、真ん中±幅=−7万2千円〜+12万円です(Day 31 の1手は真ん中をゼロにして下側だけを見たので、今日は下側が少し上に動きます)。 この2つが並んでいれば、真ん中を予定に入れようとする手が止まります。
読み方はこうです。まず段3がゼロなら1つ目で終わり。 「予定」の行だけは、当たれば必ず先にやり、外したらその下の2行に戻る。 それ以外は上から順に、最初に当たった1つだけ。
- 段3がゼロ … 「段3:無し」のまま。今日書くことはありません
- リボ・カードローン・分割払い(Day 30 の印)が残っている … 段3は返済へ(Day 31 のまま)。今日の1手は、返済が終わったあとの予習として読んでください。 確定15%と当たらない4.8%は、目盛りで見ても答えが同じです
- 2つ目で「予定」が見つかった … 今日の1手で、いちばん先にやる1行です。 収入の欄から段3の行を消し、穴は「その上」の行で埋める。穴が埋まらないなら、その予定自体を見直す。 段3の真ん中で埋め直すのだけは、しないでください。箱に「不明」があっても、これだけは先にやります(真ん中の数字が無くても、予定から外すことはできます)。外したら、下の2行に戻ってください
- 「不明」の箱がある … 真ん中の判定は保留。 目論見書で投資対象を確かめてから、下の分岐に戻ってください
- 予定は見つからず、真ん中と幅が並んでいる … 目盛りとして正しく置けています。「真ん中○円・幅○円・予定なし」と1行書いて終わりです。来年、この行の真ん中どおりになったかは書かず、真ん中±幅の中か外かだけを書いてください(Day 31)
⚠️ 2点、断ります。
① 今日の1手は、期待値の高いものに乗り換えることではありません。 持っているものの真ん中を書き、予定に化けていないかを確かめることです。期待値が高いほうへ動くかどうかは、幅と使う月を揃えてからです(Day 31)。
② 期待リターンの数字は GPIF の前提の1つ(過去30年投影)を借りたもので、決まっている数字ではありません。「4.8%と決まっている」と書かないでください。 「GPIF の過去30年投影ケースを借りた」と書き添えるのが、Day 24 の「引いた数字がどの版か」と同じ作法です。
Day 7 で手取り率、Day 8 で基本給比率、Day 9 で標準報酬月額、Day 10 で実効税率、Day 11 で住民税倍率、Day 12 で何もしなかった場合の額、Day 13 で金利感応度、Day 14 で外貨比率、Day 15 でドル建て換算、Day 16 で往復コスト率、Day 17 で割安率、Day 18 で会合の日付、Day 19 で7つの棚卸し、Day 20 で自分DI、Day 21 でGDP比率、Day 22 で分母を替えて確かめること、Day 23 で引く相手を書くこと、Day 24 で実質の昇給率、Day 25 で自分の1枚、Day 26 で固定費率、Day 27 で3行の並べ方、Day 28 で段ごとの日数、Day 29 ですぐ出せる状態の値段、Day 30 で純資産、Day 31 で段3の振れ幅、Day 32 で中身どうしの向き、Day 33 で約束の範囲。
今日の「段3の真ん中」で28個目です。 昨日は幅ゼロの行に、誰の約束が乗っているかを書きました。今日は、約束のない行に、当たらない数字を目盛りとして置いています。
真ん中は目盛り。 幅は引き受けるもの。 約束は読むもの。ここまでで、段3を「持つ側」の読み方は揃いました。
では、真ん中がプラスだと言える根拠は、どこから来るのか。 同じ「幅を引き受ける」でも、真ん中がプラスと言えるものと、言えないものがあります。 その線引きの言葉が、明日です。
明日 Day 35「投資と投機の違い」では、真ん中の根拠を見ます。明日、そこに着きます。
🔗 あわせて読みたい
- Day 33「元本保証」 — 幅ゼロの正体は誰かの約束、と読んだ話
- Day 31「リスクとリターン」 — 真ん中4.8%と幅±19.19%で85万6千円〜124万円を出した話
- Day 29「機会費用」 — 確定していないものは値段として数えない、と決めた話
- Day 27「生活防衛資金」 — 運用しているお金を3行に入れなかった話
- Day 20「景気」 — 判定せず事実だけを残す、と決めた話
⚠️ ご注意
本記事は筆者個人の投資記録および一般的な金融知識の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
記載の運用実績は筆者個人の資金によるものです。
投資判断はご自身の責任において行ってください。
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