【Day 61/365|1日1金融用語】投資信託とは ——「守られているのは値段じゃなくて、お金の置き場所なんですね」と気づいたカナの話

【Day 61/365|1日1金融用語】投資信託とは ——「守られているのは値段じゃなくて、お金の置き場所なんですね」と気づいたカナの話

昨日はDay 60「確定申告が必要なケース」で、源泉徴収ありの特定口座なら、株の利益のために確定申告をしなくて済むという話をしました。Day 53から8日間、株を1株買う入口から、配当と税金の出口まで見てきました。
今日から、別の入口に移ります。 株を1社ずつ選ぶのではなく、まとめて持つ方法です。
カナは、この8日間のメモを見返して、ため息をつきました。 Day 53で見た1単元30万円は、手取りの1.25か月分でした。

投資信託とはを学ぶカナの4コマ・起
カナ「株は1単元30万円だし、税金の話も多いし……。もっと少しのお金で、いろんな会社にまとめて投資する方法ってないんですか?」

あります。 それが今日の投資信託です。
たくさんの人のお金を1つにまとめれば、1人では買えない数の会社に、少しずつ投資できます。

投資信託とはを学ぶカナの4コマ・承
カナ「投資信託って、銀行の窓口で売ってる、元本が守られた商品ですよね?」

そこが今日の分かれ道です。 銀行の窓口でも売られているのは本当です。
でも、預金とは違います。

投資信託とはを学ぶカナの4コマ・転
カナ「え、元本保証じゃないのに、預けたお金が守られてるってどういうことですか?」
サトル「投資信託は、たくさんの人のお金をまとめて専門家が運用する商品だ。値下がりすれば元本割れする。ただし、集めたお金は信託銀行が自分の財産と分けて管理しているから、販売会社や運用会社がつぶれても、なくなることはない。」

種明かしです。 「守られている」には2つの意味があります。値段が守られているという意味と、置き場所が守られているという意味です。
投資信託で守られているのは、置き場所のほうです。 値段は、中に入っている株や債券の値動きで上がりも下がりもします。

投資信託とはを学ぶカナの4コマ・結
カナ「守られているのは値段じゃなくて、お金の置き場所なんですね」

そういうことです。
ここからは、投資信託のしくみ、関わる3つの会社の役割、基準価額と口数の数え方、値段が分からないまま買う「ブラインド方式」、そして私の100万円の記録に何を足すのかを、順に見ます。

投資信託とは?

投資信託の業界団体である資産運用業協会は、投資信託をこう説明しています。
「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」
そして、同じページに「投資信託は元本が保証されている金融商品ではありません」とも書いています。

株と比べると、違いは次のとおりです。

  • 株:自分で会社を選んで、1単元(100株)ずつ買う。入口の値段は株価の100倍
  • 投資信託:運用の専門家が選んだ、たくさんの会社や債券をまとめて持つ。少ない金額から買える(証券会社によっては100円から)

日本で売られている公募投資信託は、資産運用業協会の『数字で見る投資信託』によると、2026年9月末で「361兆1,505億円(5,837本)」です。5,837本あるということは、選ぶ側の手間は、株とは別の形で残るということです。

実際の数字で見る:家計の投資信託は193兆円、1年で36.8%増えた

日本銀行が2026年9月17日に公表した「2026年第2四半期の資金循環(速報)」によると、2026年6月末の家計(個人)の金融資産は次のとおりです。

  • 金融資産の合計:2,519兆円(前年より11.0%増)
  • 現金・預金:1,132兆円(構成比44.9%・前年より0.5%増)
  • 投資信託:193兆円(構成比7.7%・前年より36.8%増)
  • 株式等:486兆円(構成比19.3%・前年より47.0%増)

家計が持つ投資信託は、1年で3割以上増えました。 ただ、この増え方には、新しく買われたお金と、中身の値上がりの両方が入っています。 値上がりで増えた分は、値下がりすれば同じように減ります。
それでも、家計のお金のおよそ半分(44.9%)は今も現金・預金で、投資信託は預金の約6分の1です。 カナのように「預金しか持っていない」人は、今も多数派です。

関わる3つの会社

投資信託には、3つの会社が関わります。 資産運用業協会の説明から並べます。

  • 販売会社(証券会社や銀行など):「投資家ごとの口座を管理し、投資信託の販売や換金、分配金・償還金の支払いなどを行います。」
  • 運用会社:「投資信託を作り(設定)、投資家から集めた資金(信託財産)を運用します。」法律上は「委託者」と呼ばれます
  • 信託銀行:「投資家から集めた資産を大切に保管・管理します。」法律上は「受託者」と呼ばれます

ポイントは、お金を運用する会社と、お金を保管する会社が別だということです。
資産運用業協会は、信託銀行が信託財産を「自社の財産とは区別して保管・管理(分別管理)していて、いわば投資信託の金庫番のような役割を果たしている」と書いています。

だから、どこかが破綻しても、集めたお金はなくなりません。

  • 販売会社が破綻したら:「お金は販売会社を経由して、信託銀行が信託財産として管理しています。」
  • 運用会社が破綻したら:「運用会社は運用指図を行うだけで、信託財産の保管や管理は行っていません。」
  • 信託銀行が破綻したら:信託財産は信託銀行自身の財産と分けて管理することが「法律で義務づけられています。」

ただし、資産運用業協会も念を押しています。 「このように保全されていることと、投資信託が運用の結果、損失が発生する可能性のある元本保証のない金融商品であることとは別のことですから、ご注意ください。」
ここが今日いちばん大事なところです。置き場所は守られていても、値段は守られていません。 Day 41で見た証券口座の「分けて守られる」と同じで、守られるのは会社がつぶれたときの話です。 値下がりしたときの話ではありません。

基準価額と口数

投資信託の値段を基準価額といいます。 資産運用業協会は「純資産総額を投資信託の総口数で割ると、一口あたりの価額、すなわち『基準価額』が算出されます」とし、「1日に1つの価額として公表されます」と書いています。
多くの投資信託は、基準価額を1万口あたりの金額で表示します。

ここからは説明のための架空の例です。 基準価額が1万口あたり12,500円の投資信託を、1万円分買うとします。

  • 買える口数:1万円 ÷ 12,500円 × 1万口 = 8,000口
  • 翌日、基準価額が12,250円に下がったら:8,000口 × 12,250円 ÷ 1万口 = 9,800円

1万円で買ったものが、1日で9,800円になりました。これが元本割れです。 信託銀行がお金を守っていても、この200円の値下がりを誰かが補ってくれるわけではありません。
逆に基準価額が上がれば、同じ8,000口の値打ちは上がります。 持っているのは「金額」ではなく「口数」で、値打ち = 口数 × 基準価額です。

値段が分からないまま買う「ブラインド方式」

株は、板を見て「この値段で買う」と指値を出せました(Day 49)。 投資信託は違います。
資産運用業協会は「基準価額が公表されるのは、投資信託の取引の申込を締め切った後で、投資家は当日の基準価額が分からない状況で投資信託の取引を行います。このことを『ブラインド方式』といいます」と書いています。

理由も書かれています。 中身の値段が決まったあとに取引できると、「既存の投資家の利益が阻害されるため」です。 すでに持っている人に不公平にならないよう、誰もが同じ条件で、まだ決まっていない値段で買うしくみです。

だから、投資信託は「いくらで買うか」ではなく、「いくら分買うか」で注文します。 今日の架空の例のように「1万円分」と決めて、何口になるかは、その日の基準価額が決まってから分かります。

私の100万円と、投資信託

この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。

昨日、記録に足したのは年末に「確定申告をする・しない」と、その理由を書く決まりでした。
今日足すのは、投資信託を買ったら「金額」ではなく「口数」で記録する決まりです。

Day 45で書いたとおり、私の運用は中身を自分で選ぶほうです。 投資信託を使うかどうかは、まだ決めていません。
それでも、使う日のために決まりだけは先に置きます。 投資信託は1万円分買っても、翌日には9,800円かもしれません。「1万円持っている」と書いてしまうと、値下がりが記録から消えます。 口数で書いておけば、その日の基準価額を掛けるだけで、いつでも正しい値打ちが出ます。

記録には、こう書きます。「投資信託を買ったら、約定日・買った金額・口数・その日の基準価額(1万口あたり)を書く。月1回の記録では、口数 × その日の基準価額で値打ちを出す。」 実際の数字は、月1回の運用記録で出します。

カナの欄は、今日も空欄です。 でも、口座を開いたあとの選択肢が1つ増えました。「少しのお金で、たくさんの会社をまとめて持てる箱がある。ただし、値段は守られていない」。

よくある質問(FAQ・全6問)

Q1. 銀行の窓口で買った投資信託は、預金のように預金保険で守られますか?

守られません。 銀行で買っても、投資信託は預金ではないので、預金保険の対象ではありません。 守られているのは、信託銀行が分けて管理する「置き場所」です。 値下がりした分は、自分が受け止めます。

Q2. 基準価額が高い投資信託は、割高なのですか?

基準価額の高さだけでは、割高とも割安とも言えません。 基準価額は「中身の資産 ÷ 口数」なので、始まった時期や、それまでの値上がり、分配金の出し方で数字が変わります。 基準価額が1万口あたり12,500円でも20,000円でも、1万円で買えば、1万円分の中身を持つことに変わりはありません。

Q3. 販売会社や運用会社がつぶれたら、お金はなくなりますか?

なくなりません。 集めたお金は信託銀行が自分の財産と分けて管理しているからです。 運用会社は運用の指図をするだけで、お金を保管していません。 ただし、守られているのは置き場所で、値下がりした分が戻るわけではありません。

Q4. 投資信託を売ったお金は、すぐに受け取れますか?

すぐではありません。 売る(換金する)注文を出してから、お金が口座に入るまで数営業日かかります。 何日かかるかは投資信託ごとに決まっていて、海外に投資するものは長めになることがあります。 商品ページや目論見書の「換金代金の支払い」の欄で確かめられます。

Q5. 投資信託は、株のように値段を指定して買えますか?

一般的な投資信託は、できません。 基準価額は申し込みの締め切りのあとに決まるので、値段が分からないまま「いくら分」で注文します(ブラインド方式)。 取引所に上場している投資信託(ETF)は別で、Day 65「ETF」で扱います。

Q6. 投資信託は、いくらから買えますか?

少ない金額から買えます。 証券会社によっては、100円から買えるところもあります。 1単元(100株)が必要な株より、入口の値段はずっと低くなります。

まとめ

投資信託とは、投資家から集めたお金を1つにまとめ、専門家が株や債券に投資する商品です。 値段は基準価額で1日に1つ、元本保証はありません。
集めたお金は信託銀行が分けて管理するので、販売会社や運用会社が破綻してもなくなりませんが、守られているのは置き場所で、値段ではありません。 架空の例では、1万円で買った8,000口が翌日9,800円になりました。
日本の公募投資信託は2026年9月末で5,837本。 家計が持つ投資信託は2026年6月末で193兆円と、1年で36.8%増えました。
値段が分からないまま「いくら分」で買います。 私の100万円では、投資信託を買ったら口数で記録します。

🎯 今日の1手(実践)

昨日は、確定申告が必要かの3つの質問に答え、自分の口座が源泉徴収ありかなしかを書きました。今日は、投資信託を1本だけ見て、基準価額と口数を自分で計算します。 手順は2つです。

1つ目。 使っている(使う予定の)証券会社のサイトで、投資信託を1本選び、「基準価額」と「純資産総額」を書き写します。 どれを選ぶかは何でもかまいません。 基準価額が何口あたりの表示かも書きます。今日の日付と一緒に控えてください。
2つ目。 「1万円分買ったら何口になるか」を計算します。 1万円 ÷ 基準価額 × 1万口(1万口あたり表示のとき)です。 そのうえで、基準価額が2%下がったらいくらになるかも書き添えます。 今日はここまでで、実際に注文はしません。

Day 57で配当を総合課税にしたときの税金、Day 58で損と差し引いたあとの税金、Day 59で今年の最後の約定日と申告期間、Day 60で確定申告が必要かの答えを控えてきました。
今日の「投資信託1本の基準価額と純資産総額、1万円分買ったときの口数と2%下がったときの値打ちを、日付つきで控えること」で55個目です。

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⚠️ ご注意

本記事は筆者個人の投資記録および一般的な金融知識の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
記載の運用実績は筆者個人の資金によるものです。
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なおコンプライアンス上、当社の取引先に関連する銘柄は取引対象外としています。