昨日はDay 25「家計収支」で、出ていく側をはじめて数えました。
単身世帯全体の消費支出173,042円、10の費目、黒字66,684円。
今日は、その10項目を2つに分けます。
分けてみると、分け方そのものが違っていた、という話です。

カナ「自分の1枚、作りました。黒字、出ました。で、10項目のどこから削れば」
出たのが大きいです。 順番どおり、黒字が先でした。

カナ「食費が一番大きいから、食費ですよね?」
大きい順に見るのは自然です。 でも、削る順番はそこでは決まりません。

カナ「金額の大きさで選ぶんじゃ、ないんですか?」
サトル「先に見るのは、その額が『いつ決まったか』だ。契約の日に決まっている出費は、1回動かせば毎月効く。」
種明かしです。
食費は、毎回レジで額が決まります。 今日我慢しても、明日また決め直す。家賃や通信料は、契約した日にもう決まっています。 今月どれだけ我慢しても変わらないし、逆に、1回契約を変えれば来月から黙って減り続ける。減らし方が、まったく別のものです。
試しに、Day 23 の線19,000円を12で割ってみてください。

カナ「月1,584円で、あの線と同じ額が残るんですか」
そういうことです。19,000円を12で割ると1,583.3円。
月1,584円なら年19,008円。 運用で越えなければならなかった線と同じ額が、別の財布で残ります。
ここからは、この2つの違いを見ていきます。
固定費と変動費とは?
もとは会社の会計の言葉です。売上が増えても減っても変わらない費用が固定費、売上に連れて増えたり減ったりする費用が変動費。 家計に持ってくると、こうなります。
固定費 = 契約で額が決まっていて、毎月ほぼ同じ額が出ていく支出
家賃、電気・ガス・水道の基本料金、スマホの通信料、定期券、動画や音楽の月額、習い事の月謝、車の駐車場代。共通点は、「払う」と決めた日と「額が決まった」日が同じで、その後は毎月自動で出ていくことです。
変動費 = 使うとき・買うときに、その場で額が決まる支出
食料、日用品、服、飲み会、旅行、本、電気・ガス・水道の使った分。共通点は、いくら使うか・買うかどうかを、そのときの自分が決められることです。
昨日は「毎月ほぼ同じ額が出ていくもの」と「月によって変わるもの」と書きました。
今日はそれを一段はっきりさせます。毎月同じ額になる理由が「先に決まっているから」なら固定費。
結果としてたまたま同じなら、変動費です。
ここが今日いちばん大事なところです。分けるものさしは、金額の大きさではありません。
額が「いつ」決まるかです。
家賃も、動画の月額も、同じ固定費。
1か月の食費も、コンビニの1回も、同じ変動費。
Day 20「景気」で「自分DI」の3項目に固定費を入れたとき、「自分で動かせるもの」として増減だけを聞き、何を固定費と呼ぶかは決めていませんでした。 今日ここで決めます。
減らし方が、まったく違う
変動費を減らすのは、我慢です。 今日の飲み会を1回断る、服を1枚買わない。
効くのはその1回ぶんで、明日はまた同じ判断が待っています。
Day 25 で書いた「支出を1日ぶん(5,689円)減らす」は、これです。削れるのはその1回ぶん。
固定費を減らすのは、手続きです。 スマホの契約を見直す、使っていない月額を解約する、電気の契約を切り替える。面倒なのは1回だけ。
その代わり、翌月から、何もしなくても毎月減り続けます。
数字で見ます。
- Day 23 で置いた「物価に負けない線」 … 年19,000円
- 12で割ると … 月1,583.3円
- 月1,584円の固定費を落とすと … 年19,008円。線と同じ額です
19,008円は、Day 25 の黒字1日ぶん(2,192円)で数えると8.7日分。 100万円を1年運用して超えなければならなかった線と同じ額が、固定費なら月1,584円の手続き1回で、運用とは別に手元に残る。
⚠️ ただし、これで100万円が物価に追いついたわけではありません。 100万円のほうは Day 23 のとおり、いまの金利では実質マイナスのままです。増えたのは黒字であって、運用の成績ではない。 財布が別です。
Day 25 で「削れるのはその1回ぶん、19,000円のほうは毎年立ちはだかる線」と書きました。固定費だけは、線と同じ性質を持っています。
1回動かせば、効果が毎年続く。
比べておきます。変動費で1日ぶん我慢すると5,689円、1回きり。
固定費で月1,584円落とすと、年19,008円、毎年。 後者は前者の3.3倍で、しかも翌年も出ます。
Day 6「購買力」の909円で数えると、月1,584円はラーメン1杯(切り捨て)、年19,008円は20杯です。
月に1杯ぶんの固定費で、年20杯が残る。
⚠️ 断っておきます。これは運用が要らないという話ではありません。 削った効果は毎年続きます。
ただし同じ契約を2回削ることはできず、削れる総額には底があります。 家賃はゼロにできないし、通信料もゼロにはなりません。
運用は、黒字を足すたびに元手が増え、働く額そのものが大きくなる。順番は、固定費の手続きが先、そのうえに運用が乗る。
それだけです。
10の費目を、分けてみる
Day 25 の10費目を、固定費と変動費に分けます。173,042円が2つの金額に割れる——はずでした。 実際にやると、こうなります。
- 住居 21,667円 … 家賃は固定費。修繕費は変動費
- 光熱・水道 13,333円 … 基本料金は固定費。使った分は変動費。1つの請求書の中に両方
- 交通・通信 19,334円 … 通信料・定期券は固定費。電車代・ガソリンは変動費
- 教養娯楽 21,173円 … 月額サービス・月謝は固定費。本・旅行・映画は変動費
- 食料 49,321円 … ほぼ変動費。ただし定期宅配や社食の月額があれば固定費
- その他の消費支出 28,396円 … 交際費・こづかいは変動費。仕送りは、額を先に決めて毎月送っているなら固定費
- 保健医療 8,754円 … 通院・薬は変動費。額を決めて毎月届く宅配があれば固定費
- 家具・家事用品 6,120円/被服及び履物 4,908円 … ほぼ変動費
- 教育 37円 … 月謝は固定費。単身世帯全体では、ほぼ出ていない
10項目のうち、丸ごと片側に入るものが1つもありません。 家計調査の費目は「何に使ったか」(用途)で切ってあり、固定費と変動費は「いつ額が決まったか」で切ります。軸が違うので、費目の合計をそのまま固定費の合計にはできません。
正直に書きます。
173,042円を「固定費いくら・変動費いくら」の2つの数字に分けることは、この記事ではしません。
家計調査には「固定費」という項目がなく、費目の中で契約分がいくらかは公表されていない。手元の感覚で割り振れば数字は出ますが、それは Day 25 で「出さない」と決めた寄せ集めと同じものです。
分けられるのは、あなたの明細だけです。
それが今日の1手になります。
「減らせないもの」は、10費目の外にいた
Day 25 では、この10項目を「減らせるもの」と「減らせないもの」に分けると書きました。分けてみたら、「減らせないもの」は10費目の中にはいませんでした。
本当に自分の意思で減らせないものは、Day 7「可処分所得」で見た税と社会保険料です。
家計調査ではこれを非消費支出と呼び、消費支出173,042円の外側に置いています。
つまり 10費目の中は、全部「減らせるもの」です。 違いは減らせるかどうかではなく、1回の手続きで減るか、毎回の我慢で減るかでした。
もう1つ、外側にいるものがあります。生命保険の保険料と、住宅ローンの返済です。
家計調査ではどちらも消費支出ではなく、別の欄(実支出以外の支払)に入ります。
家計の固定費として最も重いことの多い2つが、173,042円の中に入っていません。 Day 25 では、持ち家の家賃相当額が入らないから住居が低く見える、と書きました。
もう1つ、持ち家の人が毎月払っているローン返済も、この173,042円の外にあります。
あなたの固定費を数えるときは、この2つを忘れずに足してください。 家計調査の10費目を眺めているだけでは出てきません。
私の100万円と、一度だけ決めたこと
この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。
今日、記録に足すことを1つ決めました。
運用の中身を、「一度だけ決めたこと」と「その場で決めたこと」に分けて書く。
Day 6 で実質を併記、Day 7 で税引後、Day 8 で分母、Day 9 で元手の出どころ、Day 10 で自分の税率、Day 11 で住民税10%込み、Day 12 で預金の線、Day 13 で変化の原因の切り分け、Day 14 で通貨の内訳、Day 15 でドル建て、Day 16 で理論値だと断ること、Day 17 で通貨自体が割安だと明記すること、Day 18 で制度が動いた日付、Day 19 で書く順番、Day 20 で判定せず事実だけを残すこと、Day 21 で残高と流れを分けること、Day 22 で分子と分母のどちらが動いたかを書くこと、Day 23 で実質を何で割ったかを書くこと、Day 24 で引いた数字がどの版なのかを書くこと、Day 25 で運用の成績を黒字の日数に換算すること。
今日足すのは、固定費と変動費と同じ分け方を、運用の記録にも使うことです。
運用にも、決めた日に決まる部分があります。 毎月いくら積み立てるか、どの口座を使うか、手数料はいくらか。これは一度決めたら、あとは自動で動きます。 私が毎月どう感じても変わらない。
一方で、その場で決める部分もあります。 何をいつ買うか、売るか。これは毎回、その場の私が決めています。
理由は1つです。成績が動いたとき、どちらが動かしたのかを分けないと、翌月に何を直せばいいか分からないからです。
Day 21「GDP」で残高と流れを分け、Day 22「実質GDP」で分子と分母のどちらが動いたかを書くと決めたのと、同じ考え方です。「一度決めたこと」の側が悪ければ手続きを変える。
「その場で決めたこと」の側が悪ければ、それは私の判断の問題です。
そして1つ、先に書いておきます。私はまだ、固定費の月1,584円を出していません。 今日この記事で読者に「1回の手続き」を勧めた本人が、自分の契約を見直していない。来月の公開までに、見直した結果を書きます。 減らせなかったなら、減らせなかったと書きます。
よくある質問(FAQ・全6問)
Q1. 食費は変動費と言いますが、毎月だいたい同じ額です。固定費ではないんですか?
固定費ではありません。 「毎月同じ額かどうか」だけでは足りず、「その額がいつ決まったか」まで見ます。
食費が毎月5万円前後でも、その5万円は買うたびに決まった結果としてそうなっているだけで、来月はレジで変えられます。家賃は、来月レジで変えられません。 そこが違いです。
結果として額が安定していることと、額が先に決まっていることは、別のことです。
Q2. 固定費を減らすなら、いちばん大きい家賃から手をつけるべきですか?
大きさの順ではなく、手続きの軽さの順です。
家賃は確かに最大の固定費ですが、引っ越しには敷金・礼金・引っ越し代がかかり、減らすための手続きそのものに数十万円かかることがあります。
一方、使っていない月額サービスや通信料の見直しは、手続きにお金がかからず、翌月から効きます。 月1,584円という線は、家賃ではなくこちら側の話です。
軽い手続きから始めて、重いものは「引っ越す機会があったとき」に回す——それで十分です。
Q3. 電気代やガス代は、固定費ですか、変動費ですか?
両方が1枚の請求書に入っています。
基本料金の部分は契約で決まっているので固定費、使った分は変動費です。家計調査の「光熱・水道」13,333円も、この2つが混ざった数字です。
だから電気代を減らすには、契約の見直し(固定費側・1回)と使い方の見直し(変動費側・毎日)の2つの入り口があります。
どちらか片方だけ見て「減らせない」と決めないでください。
Q4. 家計調査の10費目を、そのまま固定費と変動費に分けることはできませんか?
できません。 費目は「何に使ったか」で切られていて、固定費と変動費は「いつ額が決まったか」で切るからです。
本文で見たとおり、10費目のどれも、丸ごと片側には入りません。 家計調査には「固定費」という項目そのものが存在しません。
ちなみに家計調査には、別の分け方があります。消費支出の全体が1%増えたとき、その費目が何%伸びるか(支出弾力性)で、1.00未満を「基礎的支出」、1.00以上を「選択的支出」と分けるものです。
これは「必需品か、そうでないか」の軸で、固定費と変動費の軸ともまた別です。3つの軸を混ぜないでください。
Q5. サブスクを1つ解約するより、投資で増やすほうが早くないですか?
同じ大きさで比べると、逆です。
月1,584円の固定費を落とすと年19,008円。これを運用で出すには、100万円に対して税引後1.9%、税引前で約2.4%の利回りが1年間必要です。
Day 23 で見たとおり、いまの普通預金0.400%・定期預金0.500%では届きません。
ただし同じ契約を2回削ることはできず、削れる総額には底があります。 運用は黒字を足すたびに元手が増え、働く額が大きくなる。先に固定費、そのうえに運用。
どちらかを選ぶ話ではありません。
Q6. 生命保険料や住宅ローンは、家計調査の10費目に入っていないんですか?
入っていません。 家計調査では、生命保険の保険料も住宅ローンの返済も、消費支出ではなく「実支出以外の支払」という別の欄に入ります。
だから173,042円の中には、この2つが入っていません。 家計の固定費のなかで最も重くなりやすい2つが、費目の表の外側にいる。
自分の固定費を数えるときは、必ずこの2つを足してください。 10費目だけ見ていると、固定費を小さく見積もります。
まとめ
固定費とは、契約した日に額が決まり、毎月ほぼ同じ額が自動で出ていく支出。
変動費は、使うとき・買うときにその場で額が決まる支出。
分けるものさしは金額の大きさではなく、額が「いつ決まったか」です。
減らし方は正反対です。変動費は毎回の我慢で、効くのはその1回ぶん(1日ぶんなら5,689円)。
固定費は1回の手続きで、翌月から毎月減り続ける。
Day 23 で置いた「物価に負けない線」年19,000円を12で割ると、月1,584円(年19,008円・黒字8.7日分・ラーメン20杯)。固定費を月1,584円落とすと、運用とは別の財布で、線と同じ額が毎年残ります。 ただし100万円が物価に追いついたわけではなく、削れる総額には底があります。先に固定費、そのうえに運用です。
家計調査の10費目は「何に使ったか」で切ってあり、どの費目も丸ごと片側には入りません。 だから173,042円を2つの金額に分けることは、この記事ではしませんでした。 分けられるのは、あなたの明細だけです。
そして「減らせないもの」は10費目の中にはいませんでした。税と社会保険料は非消費支出として外側にあり、生命保険料と住宅ローン返済も外側にあります。 自分の固定費を数えるときは、この2つを忘れずに足してください。
🎯 今日の1手(実践)
昨日は自分の1枚(手取り・使った額・黒字)を作りました。今日は、その「使った額」を2つに割ります。
先月の支出から、「契約で額が決まっているもの」だけを抜き出して、合計してください。
やり方は1つです。 口座とカードの明細を上から見て、「これ、今月の自分が決めた額か?」と1行ずつ聞きます。
「いいえ、契約のときに決まっていた」なら固定費。 家賃、通信料、電気・ガス・水道の基本料金、定期券、月額サービス、月謝、駐車場代、そして生命保険料と住宅ローン返済(家計調査の外にあるものも、あなたの明細には載っています)。
「はい、その場で決めた」なら変動費。 合計しなくて構いません。昨日の「使った額」から固定費の合計を引けば、残りが変動費です。
出た数字を、こう読んでください。
1つ目。
固定費の合計 ÷ 先月の手取り。
これがあなたの固定費率です。他人と比べる数字ではありません(Day 25 と同じ理由で、分母の出どころが違います)。来月、同じ計算をしたときの比較対象です。
2つ目。
固定費の合計 ÷ 黒字の1日あたり(Day 25 の3行目 × 12 ÷ 365)。
あなたの固定費は、黒字の何日分か。 連載モデルの黒字なら1日2,192円です。この日数が、来月の比較対象です。 固定費を1件落としたとき、この日数がどれだけ縮むかで効きを見ます。
3つ目。
固定費の一覧を、上から順に「いま使っているか」で見てください。
使っていない月額が1つでもあれば、それが月1,584円の候補です。大きい順ではなく、手続きが軽い順に。解約1件で月1,584円に届けば、Day 23 の線と同じ額を、運用の前に、黒字の側で作れています。
⚠️ 1点だけ。固定費が多いことは、失敗ではありません。 家賃は住む場所の値段で、保険料は備えの値段です。知っておくべきなのは、毎月の支出のうち「もう決まっている額」がいくらで、「まだ決められる額」がいくらかです。
それが分かっていれば、来月の判断が具体的になります。
Day 7 で手取り率、Day 8 で基本給比率、Day 9 で標準報酬月額、Day 10 で実効税率、Day 11 で住民税倍率、Day 12 で何もしなかった場合の額、Day 13 で金利感応度、Day 14 で外貨比率、Day 15 でドル建て換算、Day 16 で往復コスト率、Day 17 で割安率、Day 18 で会合の日付、Day 19 で7つの棚卸し、Day 20 で自分DI、Day 21 でGDP比率、Day 22 で分母を替えて確かめること、Day 23 で引く相手を書くこと、Day 24 で実質の昇給率、Day 25 で自分の1枚。
今日の「固定費率」で20個目です。 Day 20 の自分DIでは定義せずに増減だけを聞いた固定費を、今日はじめて中身を決めて数えました。
明日 Day 27「生活防衛資金」では、この固定費の合計を、別の目的に使います。
収入が止まったとき、何か月ぶん持っておけば、契約を切らずに済むのか。 Day 23 で「何のために置くのか」と送った預金の話が、ここで戻ってきます。今日出した固定費の合計が、明日の材料です。
🔗 あわせて読みたい
- Day 25「家計収支」 — 出ていく側をはじめて数え、黒字66,684円と10の費目を出した話
- Day 20「景気」 — 自分DIの3項目に、自分で動かせるものとして固定費を入れた話
- Day 23「名目値と実質値」 — 19,000円という線を置いた話
- Day 7「可処分所得」 — 自分の意思で減らせない、税と社会保険料の話
- Day 6「購買力」 — 金額ではなく「何が買えるか」で見る話
⚠️ ご注意
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