【Day 14/365|1日1金融用語】金利差 ——「差が縮んでるのに、円が強くなった感じがしない」と首をかしげたカナの話

【Day 14/365|1日1金融用語】金利差 ——「差が縮んでるのに、円が強くなった感じがしない」と首をかしげたカナの話

昨日はDay 13「中央銀行の役割」で、金利を決めているのが政策委員会の9人だと確かめました。
今日は、その9人が決めた1.0%を、世界の中に置いてみます。

金利差を学ぶカナの4コマ・起
カナ「昨日の宿題やりました。嬉しい側が貯金100万円、痛い側がリボの残りでした」

きちんと両方書き出せました。

ここからが大事です。

金利差を学ぶカナの4コマ・承
カナ「率で見たら37倍も違ったんですけど……日本が1.0%なら、アメリカとかはどうなんですか?」

いい方向に目が向きました。
リボ払いの年15%を普通預金の年0.400%で割ると37.5倍。同じ「金利」という言葉でも、桁がまるで違います。
そして金利は、国ごとにも違います。

違うこと自体が、お金を動かします。

金利差を学ぶカナの4コマ・転
カナ「アメリカのほうが高いんですよね? じゃあ、ドルで持ったほうが得なんですか?」
サトル「差は2.6ポイントある。でもアメリカは2024年の秋から下げて、日本は上げてる。差は両側から縮んでるんだ。」

種明かしです。
金利差は、水位の差のようなものです。

ただし水位は、両側から動きます。

金利差を学ぶカナの4コマ・結
カナ「差が縮んでるのに、円が強くなった感じは全然しないです……」

そこに気づけたなら、上出来です。
ここからは、その「縮んでいるのに」を見ていきます。

金利差とは?

金利差とは、通貨や国のあいだの金利の開きのことです。

いちばんよく使われるのが日米金利差

日本とアメリカの金利を並べて、その差を見ます。
比べ方は2つあります。

  • 政策金利どうしを比べる … Day 12で見た、いちばん短い金利
  • 長期金利どうしを比べる … 10年物国債の利回り

短いほうは中央銀行が決めます。

長いほうは市場がつけます。同じ「日米金利差」でも、どちらの話をしているかで数字が変わります。

日本1.0%、アメリカ3.50〜3.75%

数字を並べます。

政策金利(2026年8月時点)

  • 日本:1.0%程度(2026年6月16日決定)
  • アメリカ:3.50〜3.75%(2025年12月10日の会合で決定・翌11日実施。2026年7月29日の会合まで据え置き)

アメリカの中心をとると3.625%。差は約2.6ポイントです。

10年物国債の利回り

  • 日本:2.887%(2026年8月24日)
  • アメリカ:4.64%(2026年8月25日)

こちらの差は約1.75ポイント政策金利の差より、1ポイント近く小さい。

同じ「日米金利差」でも、短い金利で見れば2.6ポイント、長い金利で見れば1.75ポイント。
ニュースで「日米金利差」と聞いたら、どちらの話かを確かめてください。

なお、アメリカの政策金利にはレンジがあります。

日本のように「1.0%程度」と1点で示すのではなく、「3.50%から3.75%のあいだ」という幅で示す。

国によって、決め方の作法まで違います。

差は、両側から縮んでいる

いま起きていることの本体は、差の大きさではありません。差が縮んでいく向きです。

アメリカは下げてきました(日付は実施日。

決定はいずれもその前日の会合です)。

  • 2024年9月19日:5.25〜5.50% → 4.75〜5.00%(0.5ポイント下げ)
  • 2024年11月8日:4.50〜4.75%
  • 2024年12月19日:4.25〜4.50%
  • 2025年9月18日:4.00〜4.25%
  • 2025年10月30日:3.75〜4.00%
  • 2025年12月11日:3.50〜3.75%

2024年9月から1.75ポイント。 そこから2026年7月の会合まで、5回連続で据え置いています。

※この記事の金利は2026年8月時点の数字です。

2026年9月15〜16日のFOMCと9月17〜18日の日銀会合の結果は反映していません。

最新はFRBの声明文と日本銀行の「金融市場調節方針」で確認してください。

日本は上げてきました。

Day 12で見たとおり、2024年3月のマイナス金利解除から5段階で1.0%まで。

片方が下げ、片方が上げる。 だから金利差は、両側から縮みます。
2024年8月の時点なら、アメリカ5.25〜5.50%(中心5.375%)に対して日本は0.25%程度。

差は約5.1ポイントありました。

それがいまは約2.6ポイント半分近くまで縮んでいます。

お金は、金利の高いほうへ流れると言われる。ただし条件がつく

金利差がなぜ話題になるのか。お金が動くからです。

同じお金を置くなら、0.4%より3%台のほうがいい。

だからドルを買って円を売る。

円を売る人が増えれば、円は安くなる。
これが「金利差が開くと円安になる」と言われる筋道です。

ただし、この説明には条件がつきます。為替が動かなければ、の話です。

たとえば100万円をドルに換えて1年間置いたとします。
ここで注意が要ります。受け取れるのは、政策金利の3.50〜3.75%でも、その差の2.6ポイントでもありません。 Day 12で見たとおり、預金金利は政策金利より下に来ます。
仮に円の預金より2%ぶん有利だったとしても、そのあいだに円高が3%進めば、金利で得た分は消えて、まだ足りません。 為替の動きは、金利差より大きく振れることがあります。

金利の差は確実に入ってきます。

為替の差は、確実に読めません。
この非対称が、金利差の話でいちばん抜け落ちるところです。

差が縮んでも、円安は止まらなかった

ここが今日いちばん正直に書きたいところです。

金利差は縮んでいます。

それなのに、円は安いままです。

  • 2026年8月25日17時のドル円は 159円44〜45銭(日本銀行の公表値)
  • 同じ日のユーロ円は 185円88〜92銭

そして2026年、日本政府は円買いの介入をしています。

財務省の公表によると、2026年4〜6月期の外国為替平衡操作は合計11兆7,349億円

すべて米ドル売り・日本円買いでした。

  • 2026年4月30日:6兆2,787億円
  • 2026年5月4日:7,802億円
  • 2026年5月6日:4兆6,759億円

※内訳を足すと11兆7,348億円で、合計と1億円ずれます。

財務省の公表値の端数処理によるものです。

4月30日の1日で6兆円を超えています。

介入をするということは、放っておくと円安が進むと判断されたということです。

金利差が縮んでいる最中に、です。

だから今日の結論は、こうなります。
金利差は、円安を説明する要因のひとつです。

全部ではありません。
「金利差が縮むから円高になる」と読むと、事実と合わなくなります。

実際、差は半分近くまで縮みましたが、円は159円台にいます。

説明が1つしかないときは、たいてい何かを見落としています。

私の100万円と、円建て100%という選択

この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。

今日、はっきり書いておくことがあります。
私の100万円は、100%円建てです。

これは「何もしていない」ではありません。円に全部賭けているという選択です。
日本円だけを持つことは、中立ではない。

円が安くなれば、私の100万円は世界の中で小さくなります。

Day 6「購買力」で、100万円が国内で1,250杯から1,100杯に減ったと書きました。あれは、日本の中だけで測った目減りです。
外から見た目減りは、それとは別に進んでいます。その話は明日 Day 15「円安と円高」で扱います。

だから運用記録に、今日から1つ足します。

Day 6で実質を併記、Day 7で税引後、Day 8で分母、Day 9で元手の出どころ、Day 10で自分の税率、Day 11で住民税10%込み、Day 12で預金の線、Day 13で変化の原因の切り分け。
今日足すのは、通貨の内訳を書くことです。

円建て何%、外貨建て何%。いまは円100%・外貨0%

それを毎回書きます。

書かないと、選んでいないように見えます。 円だけを持つのも、立派なポジションです。

よくある質問(FAQ・全6問)

Q1. 金利差が縮めば、円高になるんですか?

そう説明されることが多いですが、そのとおりにはなっていません。
2024年9月からアメリカは1.75ポイント下げ、日本は0.25%程度から1.0%まで上げました。

差は約5.1ポイントから約2.6ポイントへ縮んでいます。

それでもドル円は159円台です。
金利差は要因の1つで、全部ではありません。 貿易の動き、投資の動き、市場の予想。

動かす力はほかにもあります。

Q2. アメリカの金利のほうが高いなら、ドル預金にすれば得ですか?

金利だけを見れば有利ですが、為替が動きます。
まず、受け取れるのは政策金利の差そのものではありません。

それより下に来るドル預金の金利です。
仮に2%ぶん有利でも、そのあいだに円高が3%進めば足が出ます。

しかも外貨預金には為替手数料もかかります。
金利は確実に入り、為替は読めない。 この非対称を勘定に入れずに比べると、必ず金利のほうが良く見えます。

Q3. なぜアメリカの政策金利は「レンジ」なんですか?

決め方の作法が違うからです。
日本銀行は「無担保コールレートを1.0%程度で推移するよう促す」と1点で示します。

アメリカのFOMCは「フェデラルファンド金利の目標レンジを3.50〜3.75%に維持する」と幅で示します。
どちらも市場でつく金利を誘導する点は同じです。「アメリカの金利は3.625%」と1点で書かれていたら、それはレンジの真ん中を取った数字です。

Q4. 政策金利の差と、10年国債の差はどちらを見ればいいですか?

目的によります。
短い金利の差(約2.6ポイント)は、いまの金融政策の差そのものです。

長い金利の差(約1.75ポイント)には、これから何が起きると市場が思っているかが混ざっています。
いま長いほうの差が小さいのは、この先さらに差が縮むと市場が見ていることの表れとも読めます。

ただしこれは解釈で、事実ではありません。

Q5. 為替介入は誰がやっているんですか?

日本では財務省の所管です。 財務省が「外国為替平衡操作の実施状況」として金額を公表しています。
2026年4〜6月期は合計11兆7,349億円で、すべて米ドル売り・日本円買いでした。

1日あたりでは4月30日の6兆2,787億円が最大です。
Day 13で見たとおり、日本銀行の役割は金融政策です。為替介入と金融政策は、決める人が違います。

Q6. 金利差はどこで確認できますか?

それぞれの中央銀行のサイトです。
日本は日本銀行の「金融市場調節方針」、アメリカは連邦準備制度理事会(FRB)が公表するFOMCの声明文。

どちらも会合の当日に出ます。
長期金利のほうは、日本は財務省の「国債金利情報」、アメリカは財務省のイールドカーブのデータで確認できます。
まとめ記事の「日米金利差」を鵜呑みにせず、2つの数字を自分で引き算するのがいちばん確実です。

まとめ

金利差とは、国と国のあいだの金利の開きのことです。
政策金利で見ると、日本1.0%程度に対してアメリカ3.50〜3.75%で、差は約2.6ポイント

10年物国債で見ると日本2.887%、アメリカ4.64%で、差は約1.75ポイントどちらの金利で比べるかで、数字が1ポイント近く変わります。

そしていま起きているのは、両側からの縮小です。
アメリカは2024年9月から累計1.75ポイント下げ(長期金利差の1.75ポイントとは別の数字です)、日本は2024年3月のマイナス金利解除から1.0%まで上げました。

2024年8月には約5.1ポイントあった差が、いまは約2.6ポイント。半分近くまで縮んでいます。

それでもドル円は159円44〜45銭(2026年8月25日17時)。
2026年4〜6月期には、財務省が11兆7,349億円の米ドル売り・日本円買いの介入を実施しました。差が縮んでいる最中に、です。

金利差は、円安を説明する要因のひとつ。

全部ではありません。

🎯 今日の1手(実践)

今日は、自分のお金の何%が円建てかを計算してください。

預金、投資信託、株式、保険、財形。

すべて足して、そのうち外貨建てのものがいくらかを出します。

外貨建ての金額 ÷ 資産の合計 = あなたの外貨比率。

  • 0% → 円に100%賭けています。私と同じです。これは「何もしていない」ではなく、1つの選択です
  • 10〜30% → 外貨をいくらか持っています。円安のとき、この部分だけが逆に働きます
  • 50%以上 → 生活は円、資産は外貨。日々の支払いと資産の通貨がずれています

つみたてで全世界株や米国株のインデックスを買っている人は、気づかないうちに外貨建てを持っています。 投資信託の中身が外国の資産なら、それは実質的に外貨です。

正解の比率はありません。知らないまま持っているのが、いちばん危ないというだけです。

Day 7で手取り率、Day 8で基本給比率、Day 9で標準報酬月額、Day 10で実効税率、Day 11で住民税倍率、Day 12で何もしなかった場合の額、Day 13で金利感応度。
今日の外貨比率で8つ目です。

明日 Day 15「円安と円高」では、その円が世界の中でどれだけ小さくなったかを、数字で出します。
2020年末に1ドル103円だったものが、いま159円です。

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⚠️ ご注意

本記事は筆者個人の投資記録および一般的な金融知識の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
記載の運用実績は筆者個人の資金によるものです。
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なおコンプライアンス上、当社の取引先に関連する銘柄は取引対象外としています。