昨日はDay 38で、預金金利の決まり方を見ました。 銀行は、補完当座預金制度という土台(年1.25%、2026年9月24日から)の上に、他行の動きと差の取り分を見ながら、自分で数字を積み増して預金金利を決めていました。今日は逆側、借りる側です。 銀行は、高い数字(店頭表示金利)から、自分の判断でどれだけ引くかを決めています。積み増すか、引くか——向きは逆でも、「銀行が自分で数字を決めている」という構造は同じです。

カナ「住宅ローンの金利って年1%くらいって聞くから、利息なんて大した額にならないですよね?」
そうとも言い切れません。 年1%という数字は小さく見えても、借りる額と期間しだいで、支払う利息の合計は数百万円単位になります。

カナ「1%なら、3,000万円借りても年30万円くらいでしょう?」
年30万円だけでは終わりません。 年1.195%は「その時点の残高に対して年1.195%」という意味で、返済期間が35年なら、その1%強を35年間払い続けることになります。 それに、いま示されている「1.195%」自体も、元は別の数字から引かれたあとの数字です。

カナ「え、35年間ずっと1.195%なら、そんなに増えないですよね?」
サトル「1.195%が35年続くと、利息だけで672万円を超える。しかも、その1.195%は、店頭表示金利3.375%から銀行が自分の判断で2.18ポイント引いた数字だ。店頭表示金利のまま借りていたら、利息は2,100万円を超えていた。」
種明かしです。
「1%」という金利の数字だけを見ていると、総額の重みを見誤ります。 期間をかけて積み上がる利息の合計は、金利が1桁台の前半でも、借りる額によっては住宅そのものの価格に近づく金額になります。そして、その「1%」がどこから来ているかにも、銀行の判断が1回入っています。

カナ「店頭表示金利からどれだけ引いてもらえるかで、総額が1,000万円以上変わるんですね」
そういうことです。
ここからは、店頭表示金利と適用金利の関係、35年間で利息がいくらになるかの計算、そして私の100万円に「借りている額」があるのかを、順に見ます。
ローンと利息の総額とは?
ローンには、2つの金利が出てきます。店頭表示金利(銀行が最初に掲示する、いちばん高い基準の数字)と、適用金利(そこから優遇=引き下げをして、実際に借りる人に適用される数字)です。 三菱UFJ銀行の住宅ローンでは、変動金利の店頭表示金利が年3.375%、【ずーっと一律優遇コース】の適用金利が年1.195%(2026年10月1日現在)。この2つの差、年▲2.18%が「優遇幅」です。
「ローンと利息の総額」とは、この適用金利をもとに、借入期間の終わりまでに支払う利息を全部足した金額です。 元利均等返済(毎月の返済額を一定にする方式)の場合、総返済額から借りた元金を引いた残りが、総利息になります。 月々の返済額がいくら小さく見えても、払う回数(=期間の長さ)を掛け合わせると、利息の合計は大きな金額になります。
銀行が見ている「もう一つの土台」:店頭表示金利からの引き下げ幅
昨日見た預金金利では、銀行は低い土台(補完当座預金制度の1.25%)の上に自分で積み増していました。ローンでは逆に、高い店頭表示金利から、自分の判断でどれだけ引くかを決めます。 三菱UFJ銀行の住宅ローン(新規お借り入れ、2026年10月1日現在)では、こうなっています。
- 変動金利:店頭表示金利 年3.375% → 適用金利 年1.195%(引下幅 年▲2.18%)
- 固定3年:店頭表示金利 年5.68% → 適用金利 年2.95%(引下幅 年▲2.73%)
- 固定10年:店頭表示金利 年6.53% → 適用金利 年3.75%(引下幅 年▲2.78%)
- 固定20年:店頭表示金利 年8.19% → 適用金利 年4.46%(引下幅 年▲3.73%)
引下幅は、期間が長い固定金利ほど大きくなっています。 これは、期間が長いほど店頭表示金利そのものが高く設定されているためで、優遇後の適用金利で見ると、変動と固定の差はもっと小さく見えます(この「変動」と「固定」のどちらを選ぶかは、明日Day 40「固定金利と変動金利」で正面から扱います)。
⚠️ この優遇幅は、借りる人によって同じではありません。 三菱UFJ銀行の説明には「審査結果によってはご希望にそいかねる場合があります(借入利率が異なる場合があります)」とあります。年齢・勤続年数・給与振込の利用・団体信用生命保険への加入可否など、条件を満たしているかで、実際に引いてもらえる幅は変わります。 今日示した1.195%は「【ずーっと一律優遇コース】適用金利」として示されている数字で、全員が必ずこの数字になるわけではありません。
3,000万円を35年借りたら、総利息はいくらか
ここからは、元利均等返済の計算式を使った、筆者自身によるシミュレーションです(三菱UFJ銀行が公表している数字そのものではありません)。 借入額3,000万円・返済期間35年・金利が完済まで変わらないと仮定した場合で計算します。
- 適用金利 年1.195%で借りた場合:毎月の返済額 約8万7,439円、総返済額 約3,672万4,532円、総利息 約672万4,532円
- 店頭表示金利のまま年3.375%で借りた場合:毎月の返済額 約12万1,824円、総返済額 約5,116万6,203円、総利息 約2,116万6,203円
差は、総利息だけで約1,444万円。 優遇の2.18ポイントが、35年という長さを通すと、この金額になります。
⚠️ 3点、断ります。
① これは筆者が計算した試算です。 実際の返済額は、銀行の計算方法(うるう年の扱いや端数処理など)により、円単位で多少異なることがあります。
② 変動金利は、名前のとおり変動します。 35年間ずっと年1.195%のままという前提は、計算を分かりやすくするための仮定です。 実際には市場金利の動きに応じて見直されます(Day 40で扱います)。
③ 借入時の諸費用(借入金額の2.2%など)は含んでいません。 総額で比べるときは、利息だけでなく諸費用も別に確認する必要があります。
私の100万円と、借りている額
この連載では、私が実際に100万円を1年間運用しています。
昨日、記録に足したのは「決める人」の欄でした。 答えは「いません。値をつけているのは市場です」。
今日足すのは、「借りている額」の欄です。 私の100万円は、誰かから借りたお金なのか。
Day 6で実質を併記、Day 7で税引後、Day 8で分母、Day 9で元手の出どころ、Day 10で自分の税率、Day 11で住民税10%込み、Day 12で預金の線、Day 13で変化の原因の切り分け、Day 14で通貨の内訳、Day 15でドル建て、Day 16で理論値だと断ること、Day 17で通貨自体が割安だと明記すること、Day 18で制度が動いた日付、Day 19で書く順番、Day 20で判定せず事実だけを残すこと、Day 21で残高と流れを分けること、Day 22で分子と分母のどちらが動いたかを書くこと、Day 23で実質を何で割ったかを書くこと、Day 24で引いた数字がどの版なのかを書くこと、Day 25で運用の成績を黒字の日数に換算すること、Day 26で「一度だけ決めたこと」と「その場で決めたこと」を分けること、Day 27で生活防衛資金を運用の口座に混ぜないこと、Day 28で現金になるまでの営業日数を書くこと、Day 29で諦めた1つを書くこと、Day 30で負債の側を書くこと、Day 31で想定した幅の中か外かを書くこと、Day 32で中身どうしの向きを書くこと、Day 33で約束の範囲を書くこと、Day 34で段3の真ん中を線の欄と分けること、Day 35で真ん中の出どころを書くこと、Day 36で間に立つ人を書くこと、Day 37で倒れたときに前に出る人を書くこと、Day 38で決める人がいるかいないかを書くこと。
今日足すのは、借りている額を書くことです。
答えは、借りていません。 私の100万円は自己資金で、段3に負債はゼロです。 Day 30で負債の側を書いてもらったとき、私自身の段3の行にも同じ質問をしていて、答えは変わっていません。 記録には、こう書きます。「借りている額:ゼロ。返しても返しても減らない、という重みは私にはありません。」
カナはいま、段3を売ってリボを返しているところです。リボにも、今日と同じ「総利息」があります。 カードローンの金利は、住宅ローンよりずっと高いのがふつうです(三菱UFJ銀行のカードローン「バンクイック」は年1.4%〜14.6%、住宅ローンの適用金利1.195%よりずっと高い水準です)。返済を急ぐ理由は、ここにもあります。
よくある質問(FAQ・全6問)
Q1. なぜ店頭表示金利と、実際に借りる金利が違うんですか?
店頭表示金利は基準の数字で、そこから銀行が審査結果に応じて「優遇(引き下げ)」を決めるからです。
三菱UFJ銀行の住宅ローンでは、店頭表示金利年3.375%に対して、適用金利は年1.195%(【ずーっと一律優遇コース】、2026年10月1日現在)。 差の年▲2.18%が優遇幅です。
Q2. 優遇(引き下げ)は誰でも同じ幅を受けられますか?
同じとは限りません。 三菱UFJ銀行の説明には「審査結果によってはご希望にそいかねる場合があります(借入利率が異なる場合があります)」とあります。 年齢・勤続年数・給与振込の利用など、条件を満たしているかで、実際の幅は変わります。
Q3. 変動金利と固定金利、総利息はどちらが少ないですか?
今日の数字だけでは決められません。 適用金利で比べると変動年1.195%・固定20年年4.46%と差がありますが、固定金利は「その金利で固定される安心」に対する対価でもあります。この選び方は、明日Day 40「固定金利と変動金利」で正面から扱います。
Q4. 3,000万円を35年で借りると、総利息はいくらですか?
筆者の試算では、適用金利年1.195%が完済まで変わらないと仮定した場合、総利息は約672万4,532円です。 店頭表示金利のまま年3.375%だったと仮定すると、約2,116万6,203円。 差は約1,444万円です。 実際の金額は金利の変動や銀行の計算方法により変わります。
Q5. 総利息を減らすには、金利以外に何がありますか?
借入期間を短くすること、頭金を増やして借入額そのものを小さくすることの2つが、金利と並ぶ主な要素です。 期間が短いほど、また借りる額が小さいほど、払う回数と対象元金が減り、総利息は小さくなります。
Q6. 私の100万円にも、この「借りている額」はあるんですか?
ありません。 私の100万円は自己資金で、段3に負債はゼロです。 返しても返しても減らない総利息という重みは、私にはありません。
まとめ
ローンと利息の総額とは、銀行が店頭表示金利から自分の判断でどれだけ優遇(引き下げ)するかによって、支払う利息の合計額が大きく変わる、という金額の大きさそのものです。 三菱UFJ銀行の住宅ローンでは、店頭表示金利年3.375%に対して適用金利年1.195%(引下幅▲2.18%、2026年10月1日現在)。3,000万円を35年で借りた場合、この差だけで総利息は約1,444万円変わる(筆者試算)。 優遇幅は借りる人によって同じではなく、審査結果しだいです。 私の100万円には、借りている額はありません。
🎯 今日の1手(実践)
昨日は、自分の銀行の預金金利を日付つきで控えました。今日は、自分(または将来)のローンについて、店頭表示金利と適用金利の差を確かめます。 手順は2つです。
1つ目。 もしローンを借りているなら、契約書か銀行のマイページで、自分の適用金利を確認します。 借りていない、または検討中なら、興味のある銀行の「ローン金利」ページで、店頭表示金利と、優遇後の適用金利(キャンペーン金利・当行所定の優遇コース等)の両方を、今日の日付と一緒に控えてください。
2つ目。 店頭表示金利と適用金利の差(優遇幅)が、何ポイントかを計算します。 差が大きいほど、銀行があなたに大きな優遇をしている(=審査上の条件を満たしている)ということです。 今日はここまでで、良し悪しの判定はしません。
Day 7で手取り率、Day 8で基本給比率、Day 9で標準報酬月額、Day 10で実効税率、Day 11で住民税倍率、Day 12で何もしなかった場合の額、Day 13で金利感応度、Day 14で外貨比率、Day 15でドル建て換算、Day 16で往復コスト率、Day 17で割安率、Day 18で会合の日付、Day 19で7つの棚卸し、Day 20で自分DI、Day 21でGDP比率、Day 22で分母を替えて確かめること、Day 23で引く相手を書くこと、Day 24で実質の昇給率、Day 25で自分の1枚、Day 26で固定費率、Day 27で3行の並べ方、Day 28で段ごとの日数、Day 29ですぐ出せる状態の値段、Day 30で純資産、Day 31で段3の振れ幅、Day 32で中身どうしの向き、Day 33で約束の範囲、Day 34で段3の真ん中、Day 35で真ん中の出どころ、Day 36で間に立つ人、Day 37で前に出る人の線、Day 38で自分の銀行の金利を日付つきで控えること。
今日の「店頭表示金利と適用金利の差を、日付つきで控えること」で33個目です。
🔗 あわせて読みたい
- Day 38「預金金利の決まり方」 — 銀行が土台の上に積み増して預金金利を決める話。今日はその裏側
- Day 30「資産と負債」 — 負債の側を家計の記録に書いた話
- Day 12「政策金利」 — 店頭表示金利の土台となる金利水準を見た話
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