【Day 2/365|1日1金融用語】単利 ——「複利より得することがある」と言われたカナの話

【Day 2/365|1日1金融用語】単利 ——「複利より得することがある」と言われたカナの話

昨日は複利の話をしました。
100万円が30年で432万円になるという、あの話です。

では、世の中の金融商品は全部複利にすればいいのでしょうか。
実際には、わざわざ「単利」で設計された商品がいくつもあります。
今日はその理由を見ていきます。

単利を学ぶカナの4コマ・起
カナ「複利ってすごい! じゃあ全部、複利のやつにすればいいんですね!」

気持ちはわかります。
でも、銀行や証券会社の窓口には、単利の商品が普通に並んでいます。

単利を学ぶカナの4コマ・承
カナ「あれ…この国債、単利って書いてある。えっ、損する商品ってこと…?」

損ではありません。
むしろ、目的によっては単利のほうが合理的です。

単利を学ぶカナの4コマ・転
カナ「でも、増え方が小さいのに合理的ってどういうことですか?」
サトル「利息を毎年受け取って使うなら、単利のほうが素直なんだよ。複利は“使わない”のが前提だからね。」

種明かしです。
複利と単利の違いは、優劣ではなく、お金の使い道の違いでした。

単利を学ぶカナの4コマ・結
カナ「増やしたいのか、受け取りたいのか…先に決めるのが大事なんだ」

そういうことです。
ここからは、単利をもう少しくわしく見ていきます。

単利とは?

単利とは、最初に預けた元本に対してだけ利息がつく仕組みです。
増えた利息は元本に加わらないので、毎年の利息はずっと同じ額です。

100万円を年5%で預けた場合、単利なら毎年きっかり5万円。
1年目も5万円、10年目も5万円、30年目も5万円。
グラフにすると、まっすぐな直線になります。

一方の複利は、増えた分が翌年の元本に加わります。
だから年を追うごとに利息自体が増えていき、曲線を描きます。

数字で並べるとこうです。

100万円・年5%の場合です。

  • 10年後:単利150万円/複利162万8,895円
  • 20年後:単利200万円/複利265万3,298円
  • 30年後:単利250万円/複利432万1,942円

こう見ると、単利は明らかに分が悪いように見えます。

でも、この比較にはカラクリがあります

先ほどの表は、単利で受け取った利息を、一円も使わなかった場合の数字です。
でも単利の商品は、そもそも利息を受け取ることを前提に設計されています。

100万円・年5%の単利なら、毎年5万円が手元に入ってきます。
10年で合計50万円。

この50万円は、その都度使えるお金です。

一方の複利は、10年後に162万8,895円になっていますが、その間は1円も使えません
使った瞬間に複利の連鎖が止まるからです。

つまり両者の違いは、成績の優劣ではありません。
今使うお金か、将来のためのお金かという、目的の違いです。

単利が使われている身近な例

  • 個人向け国債:半年ごとに利子が支払われます。受け取った利子は自動では再投資されないので、実質単利です
  • 定期預金(利子受取型):満期を待たずに利子を受け取るタイプ。長期預金には複利型もあり、契約時に選べることがあります
  • 高配当株の配当金:受け取った配当を使えば単利、再投資すれば複利。これは自分で選べます
  • 年金や定期収入を目的とした運用:そもそも受け取って生活費に充てるのだから、複利にする意味がない

最後の例が分かりやすいと思います。
老後に毎月の生活費を受け取るのが目的なら、「使わずに増やす」複利は目的に反します。

借金側では、単利のほうがありがたい

昨日、リボ払いの話をしました。
年15%の金利で、10万円の借金が5年で20万円になるという話です。

あれがこわいのは、利息にさらに利息がつくからです。
もし完全な単利なら、10万円・年15%・5年で利息は7万5,000円。

合計17万5,000円で止まります。
複利の20万1,136円とは、2万6,000円ほどの差が出ます。

つまり、こういうことです。

  • 受け取る側(預ける・投資する)は、複利のほうが有利
  • 支払う側(借りる)は、単利のほうが有利

同じ仕組みでも、自分がどちら側に立っているかで、有利・不利がひっくり返ります。

短期なら、どちらでもほぼ同じ

もうひとつ大事なことがあります。
1年なら、単利も複利も完全に同じです。

100万円・年5%なら、どちらも1年後は105万円。
3年でも差は7,625円、たった0.7%程度です。

だから短期の商品を選ぶときに「単利か複利か」で悩むのは、ほぼ意味がありません。
それより金利そのものと、手数料を見るべきです。

単利と複利の差が意味を持ちはじめるのは、10年を超えたあたりからです。

では、私の100万円はどっちか

この連載では、私が実際に100万円を運用しています。
目的は「使うお金」ではなく「1年でどこまで動くかを見ること」なので、受け取った配当は基本的に再投資側に回します。

ただし、この判断は毎回迷うはずです。
相場が下がっているときに配当を再投資するのは、頭では正しくても手が止まるものです。
そういう迷いも含めて、月に1度の記録で全部書きます。

よくある質問(FAQ・全6問)

Q1. 単利と複利は、商品のどこを見れば分かる?

商品の概要書や契約書に「利息の計算方法」として明記されています。
定期預金なら「単利型」「複利型」と直接書かれていることが多いです。
投資信託なら「分配金受取型」が単利的、「分配金再投資型」が複利的です。

Q2. 途中で単利から複利に切り替えられる?

商品によります。
投資信託の場合、受取型と再投資型は別のコース扱いで、切り替えには一度売却が必要なことがあります(売却すれば課税されます)。
株式の配当なら、受け取ったお金を自分で再投資するだけなので、いつでも切り替えられます。

Q3. 単利の商品は選ぶ価値がない?

そんなことはありません。
定期的に現金が入るというのは、生活設計の上で大きな価値です。
「増やす」だけが金融の目的ではありません。

Q4. インフレを考えると、単利は不利?

その側面はあります。
単利は元本が増えないので、物価が上がると元本の購買力は目減りします。
ただし受け取った利息を使わずに自分で運用すれば、実質的に複利にできます。
インフレ自体は Day 4 で扱います。

Q5. 単利でも「72の法則」は使える?

使えません。
72の法則は複利専用です。
単利なら計算はもっと簡単で、「100 ÷ 年利(%)」で倍になる年数が出ます。
年5%なら 100÷5=20年。

複利の14.2年と比べて、およそ6年の差です。

Q6. 「複利効果」と宣伝する商品は信用していい?

仕組みとしての複利は事実ですが、利回りが保証されているかは別の話です。
「複利だから安心」ではなく、「何%で回るのか」「その%は確定か見込みか」を見てください。
複利は利回りを増幅する仕組みであって、利回りを生む仕組みではありません。

まとめ

単利は、元本にだけ利息がつく仕組みです。
長期で見れば複利に劣りますが、それは「利息を一切使わない場合」の話です。
受け取って使うことが目的なら、単利は何も悪くありません。
そして借金をする側に回れば、単利のほうがはるかに安全です。

🎯 今日の1手(実践)

今持っている金融商品をひとつ選んで、利息や分配金がどうなっているかを見てみてください。
口座に振り込まれていますか。

それとも自動で再投資されていますか。
もし振り込まれたまま放置しているなら、それは「複利のつもりで単利になっている」状態です。
使うのか、増やすのか。

今日1回だけ、そこを決めてみる。

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⚠️ ご注意

本記事は筆者個人の投資記録および一般的な金融知識の解説であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
記載の運用実績は筆者個人の資金によるものです。
投資判断はご自身の責任において行ってください。
なおコンプライアンス上、当社の取引先に関連する銘柄は取引対象外としています。