叱咤激励(しったげきれい)
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WBCが盛り上がっているが、国際試合などで必ずあるイベントが国歌斉唱だ。
日本の国歌が君が代であることは周知の事実だが、そもそも君が代が生まれた経緯について話せる人は少ないのではないだろうか。
かくいう私も全く知らなかったので、君が代と世界の国歌について調べてみることにした。
君が代が生まれた経緯
日本の国歌である君が代は、平安時代から続く歌物語の源氏物語の一節をもとに、明治時代につくられた。
当時、明治政府は、欧米諸国に追随して国家の象徴を整備する必要があると考え、国歌制定もその一環として進められたという経緯だ。
明治政府は、国歌制定のために明治天皇に依頼し、天皇自身が君が代の採用を決定した。
この決定は、当時の天皇が神格化され、神聖不可侵とされていたことから、天皇の決定が神の意志であるとして、国民からも広く受け入れられた。
その後、君が代は、日本国憲法において国家の象徴とされ、現在も国民の尊重を受けることとなる。
ただし、一部の人々からは、君が代の歌詞が歴史的および政治的な背景を持ち、不適切だとの批判があるのも事実だ。
世界の国歌の歴史とエピソード
日本の国歌である君が代ができた経緯については上述したとおりだが、日本以外の国の国歌についてもできるだけ多く簡単に紹介していこう。
アメリカ合衆国:星条旗よ永遠なれ
アメリカ合衆国の国歌の星条旗よ永遠なれは、1814年の米英戦争中にアメリカ軍がイギリス軍の攻撃を撃退した際、フランシス・スコット・キーがその様子を詠んだ詩の星条旗がもとになっている。
初めは星条旗の曲に様々な歌詞が付けられたものが、後に標準的な歌詞が定められた。
ドイツ連邦共和国:ドイツの国歌
ドイツ連邦共和国の国歌のドイツの国歌は、19世紀に作曲された歌曲のドイツの歌をもとに、歌詞が改められたものだ。
第二次世界大戦後、東西ドイツが分断されたため、東ドイツと西ドイツではそれぞれ異なる国歌が使用されていた。
それが、1990年にドイツ統一が実現したタイミングで、旧西ドイツの国歌が再び全ドイツの国歌となった。
イギリス:神よ女王陛下を守り給え
イギリスの国歌の神よ女王陛下を守り給えは、1745年に作曲されたゴッド・セイヴ・ザ・キングという曲をもとに、1836年に歌詞が付けられた。
ただ、イギリス国外で演奏される際には、歌詞が変更されて英国万歳という形で歌われることもある。
フランス:ラ・マルセイエーズ
フランスの国歌のラ・マルセイエーズは、1792年のフランス革命期にフランス国防軍の将校であったロアン・ド・リールが作詞作曲した。
歌詞はフランス革命の理念を表現したもので、現在でもフランスの国民的な歌として親しまれている。
イタリア:イタリアの賛歌
イタリアの国歌のイタリアの賛歌は、19世紀に統一運動が進んでいたイタリアで1861年に作曲された。
作詞者はガッパリーニ、作曲者はマメリという人物となっている。
歌詞はイタリア統一の理想を表現したもので、イタリア国民に愛されている。
スペイン:マルシェア・レアル
スペインの国歌マルシェア・レアルは、18世紀に作曲された。
スペイン独自の音楽ジャンルであるフラメンコの影響を受けたとされており、歌詞は存在せず、楽曲のみが国歌となっている。
オーストリア:オーストリアの歌
オーストリアの国歌のオーストリアの歌は、19世紀に作曲された。
作曲者はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの息子、フランツ・クサーヴァー・モーツァルトとなっている。
歌詞はオーストリアの美しい自然、文化、そして国民の誇りを歌ったものとして浸透している。
スウェーデン:願いの歌
スウェーデンの国歌の願いの歌は、19世紀初頭にトルバルド・リンドグレーンによって作曲された。
その後、別の音楽家が18世紀に日本の国歌である君が代を聞いたという話があるが、それは誤報であると考えられている。
スウェーデンの国歌の願いの歌は、スウェーデンの独立と国家の発展を祝福し、祈りを込めて作曲された。
フィンランド:フィンランディア
フィンランドの国歌のフィンランディアは、19世紀に作曲された。
作曲者はジャン・シベリウスで、歌詞は存在せず、楽曲のみが国歌となっている。
スイス:スイスの賛歌
スイスの国歌「スイスの国歌」は、19世紀に作曲された。
作曲者はアルバン・ベルクで、歌詞はスイスの自然、伝統、そして国民の団結を歌ったものだ。
ベルギー:ブリャンカ・ポルタイユ
ベルギーの国歌のブリャンカ・ポルタイユは、19世紀に作曲された。
作曲者はフランソワ・ヴァン・キュックで、歌詞はベルギー独立戦争での勝利と国民の団結を歌ったものだ。
トルコ:イスタンブールの衛兵隊行進曲
トルコの国歌のイスタンブールの衛兵隊行進曲は、20世紀初頭に作曲された。
作曲者はムスタファ・ザーデ・ジョイェフで、歌詞は存在せず、楽曲のみが国歌となっている。
イラン:イランの国歌
イランの国歌のイランの国歌は、20世紀に作曲された。
作曲者はハッサン・ルーハーニーで、歌詞はイランの歴史や文化、そして国民の誇りを歌ったものだ。
ロシア連邦:神よ、ツァーリを護り給え
ロシア連邦の国歌である神よ、ツァーリを護り給えは、19世紀に作曲されたロシア正教会の聖歌の神よ、ツァーリを守り給えをもとに、1991年に歌詞が改められたものだ。
ソビエト連邦時代には、労働者の歌という歌が国歌とされていたが、ソ連崩壊後に現在の国歌が制定された。
カナダ:オーカナダ
カナダの国歌のオーカナダは、1880年代に作られた。
作詞者はアドルフ・バッソン、作曲者はカルメン・ロベルジュだ。
英語版とフランス語版があり、両方が公式に認められている。
メキシコ:愛国の歌
メキシコの国歌の愛国の歌は、19世紀に作曲された。
作曲者はハイメ・ヌノー・ラミレスで、歌詞はメキシコの独立戦争での勝利と国民の愛国心を歌ったものだ。
ブラジル:ブラジル愛国歌
ブラジルの国歌のブラジル愛国歌は、19世紀に作曲された。
作曲者はフランシスコ・マヌエル・ダ・シルバで、歌詞はブラジルの自然、文化、そして国民の愛国心を歌ったものだ。
韓国:愛国歌
韓国の国歌の愛国歌は、韓国独立運動の中で作曲された。
作詞者は崔南善、作曲者は金容権で、歌詞は韓国の美しい自然と豊かな文化、そして独立への決意を歌ったものだ。
インドネシア:インドネシア・ラヤ
インドネシアの国歌のインドネシア・ラヤは、独立運動の中で作曲された。
作詞者はワハイディン、作曲者はウサマ・パシャで、歌詞はインドネシア独立のために戦った英雄たちとインドネシアの団結を歌ったものだ。
インド:ヴァンデ・マータラム
インドの国歌のヴァンデ・マータラムは、独立運動の中で作曲された。
作詞者はバンデ・マトラム、作曲者はラビンドラナート・タゴールで、歌詞はインドの自由と独立への願いを歌ったものだ。
オーストラリア:先祖たちの土地に
オーストラリアの国歌の先祖たちの土地には、20世紀初頭に作曲された。
作詞者はアンドルー・ボートン・パターソン、作曲者はピーター・ドッドで、歌詞はオーストラリアの自然と文化、そして国民の団結を歌ったものだ。
まとめ
世界各国の国家の生まれた経緯を簡単に紹介してみたが、いかがだろうか。
改めて日本の国家である君が代について、歌詞は知ってはいるけれども意味がいまいちわからないという人も多いだろう。
現代風に理解するならば、そもそも君が代は、祖国や国民を讃える歌だという大前提がある。
そして、日本を愛する心を持つ人々に捧げる歌で自由と平和を願い、誇りを持ち、未来に向かって進んでいこうといった意味が込められている。
その一方で、歴史的および文化的な背景を持つ複雑な歌だという位置づけでもある。
意訳には私個人の解釈が含まれるため、慎重に取り扱うことが必要だということも併せて添えておきたい。
いずれにせよ、卒業式のシーズンに君が代がどういう背景で誕生したのかということについては、知っておいて損はないだろう。
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