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2022年10月15日 投稿:swing16o

生活保護とベーシックインカムの違いとは?

国利民福(こくりみんぷく)
→ 国家の利益と国民の幸福。

国家の利益と国民の幸福の本質を述べるとなると、かなり壮大な概念だ。

国家はさておき、国民の幸福といっても人それぞれ幸福の度合いが違ってくるので複雑になる。

とはいえ、とどのつまり所得があればいいという結論に至る気がする。

そんな所得に関する問題解決の1つで注目されているのが、ベーシックインカムだ。

まずは、以前にもベーシックインカムについて書いているので、こちらを一読して欲しい。

16世紀に遡るすべての人に無条件で現金を配るベーシックインカムという制度

それでは、上述したブログとは、少し違った目線で改めてベーシックインカムについて書いてみよう。

今さら聞けないベーシックインカムってなぁに?

ベーシックインカムとは、性別や年齢、その他あらゆるものに制限されることなく、全ての人が国から一定額の現金を定期的かつ継続的に受け取れる社会保障制度のことだ。

ベーシックは基本、インカムに所得という意味で、日本では基礎的所得や基本所得などといわれる。

とはいえ、これまでなかった新たな制度なので、いろいろと議論が行われているということだ。

よく比較対象になるのが、公的扶助、つまり生活保護との違いだ。

同じ社会保障制度という位置づけから混乱する人もいるようだが、生活保護制度は経済的に困窮する人々の最低限の生活を保障するための社会保障制度だ。

ベーシックインカムとの違いは、お金を受け取る条件の有無だ。

生活保護を受給するためには収入面などいくつもの条件を満たさなければいけないが、ベーシックインカムは収入や財産などに関わらず、誰でも無条件で現金が支給される。

そのメリットとデメリットは、下記のとおりだ。

ベーシックインカムのメリット

ベーシックインカムが導入されることで、国民の生活は今よりゆとりのあるものに改善されるというのが推奨派の立場だ。

具体的には下記の4つが挙げられる。

  1. 長時間労働の削減および労働環境の改善
  2. 貧困や少子化の対策および解消
  3. 多様な働き方の実現
  4. 生活保護の不正受給問題の解決

まず、ベーシックインカムにより無条件に一定の収入を得ることができれば、生活のための労働に縛られる状況が緩和されることが期待される。

それにより、国民はより安心安全な働き方が可能な企業を選択できるようになる。

そうなれば労働環境が整備されていない企業は淘汰されることになり、企業を存続していく上でも労働環境の改善が図られるようになるという理論だ。

次に、多くの国民は最低限の生活を維持できるようになるので、必然的にお金の不安から解放されることになる。

となると、学びや趣味など自己投資の時間を持つことが実現できるようになるというわけだ。

それから、経済的な側面の不安から理由に子どもを持てなかった人たちにとっては追い風となり、少子化の解消も期待できるのである。

さらに、毎月一定額の所得、つまりは現金を得ることができれば、フルタイムの仕事に縛られることなくパートタイムや副業など働き方の選択肢が増える。

となると、家庭環境や健康状態など、なんらかの事情を抱えていても余裕を持って働くことができるようになる。

また、ベーシックインカムを導入すると、生活保護の不正受給問題の解決も見込めるといわれている。

上述した違いの1つにも繋がるが、最低限の生活が維持できる一定の現金が得られることで、不正をする心を抑制する効果が期待できるというわけだ。

ベーシックインカムのデメリット

一方で、当然デメリットも想定されるわけだが、それは主に下記のような。

  1. 労働意欲や競争意欲の低下に繋がる可能性
  2. 財源の確保
  3. 他の制度との整合性

まず、最も多いのが、ベーシックインカムが導入されることで労働意欲や他者との競争意欲が低下する可能性があるという指摘だ。

つまり、なにもせずに一定の現金が手に入るのならわざわざ働く必要がないとか、最低限の収入が得られるなら努力して人より優位なポジションを目指す必要はないという競争力が低下するという懸念だ。

次に、ベーシックインカムの実現には莫大な財源を確保しなければならないという課題が出てくる。

よく出る例として、国民1人につき7万円/月を支給する場合、年間約100兆円分の財源確保が必要となる計算になる。

この金額は現在の日本の年間国家予算と同規模で、ベーシックインカムを実現する上で大きなハードルとなるというわけだ。

それから、財源確保の問題と並行して、他の社会保障制度などの見直しが発生することが予測される。

その解決方法として、既出のブログにも書いたが、年金や医療など現在の社会保障からの流用や増税などの案などが出されているのが現況だ。

けれども、どのケースを採用したとしても、どこか特定の属性に該当する国民に対して不公平感を与えることになってしまうのが悩みの種となるわけだ。

新型コロナウイルスが与えた影響

このようにメリットとデメリットは当然想定されるわけだが、より議論が深まるきっかけとなったのが、新型コロナウイルスの影響だ。

コロナ禍では、多くの雇用が失われたケースや労働時間が制限されたことによる収入減が大きな問題となった。

ところが、現在の社会保障制度は、生活保護、年金、失業保険が軸となっていることから、いずれも労働が困難もしくは労働意欲があっても適職が見つからない国民に対する保障だ。

職はあっても収入減に陥っている国民は労働はしているということから、適用できる救済措置がないというのが現況なのである。

こういった状況を打破するために、ベーシックインカムの重要性、必要性を訴える声が大きくなったというわけだ。

実際に、新型コロナウイルスの影響に関する調査を全国20代独身女性350人を対象に行ったところ、56.5%が生活が苦しい、21.1%が月収赤字という回答があったという。

また、ひと月あたりの収入額で最も割合の多かった回答が20万円以上~23万円未満で20.3%、次いで18万円以上~20万円未満で16.9%、平均値173,325円、中央値180,000円という結果だった。

それに対して、月支出の平均値は143,685円、中央値は143,000円ということなので、そこまで余裕がないというのは理解できるだろう。

未曾有のウイルスによるパンデミックは、今後も起きる可能性は十分にあるからこそ、救済となる社会保障制度の仕組みの見直しが叫ばれているのである。

まとめ

ということで、ベーシックインカムについて書いてきたが、私個人的な意見も述べておこう。

結論から言うと、私は全面的にベーシックインカム制度の導入について賛成の立場である。

というよりも、おそらくなにをやるにしても問題は生じるので、まずは試験的にでもやってみるべきだと思っている。

上述したデメリットの財源の問題も、これまた既出のブログで書いたとおり、ある程度の解決の見込みがあるのであればやらない理由はないはずだ。

また、なにもしなくても現金がもらえることで、やる気がなくなる人が多くなるという懸念事項だが、私はそうは思わないのである。

確かに一定層はそういった人たちも生み出すだろうが、現金で付与されるのはあくまで最低限の所得、つまり現金だということがポイントだ。

最低限のところでの生活で満足できるのであればそれでいいが、私は絶対にそんなところで満足することはないと思う。

そして、そんな考え方の人は私の周りには少なからずいるし、そういった人たちはさらにベーシックインカムを良い方向に変化させるはずだ。

残念ながら、世の中には能力のある人とない人がどうしても生まれてしまう。

それは仕方のないことで、能力のない人が無理に働く必要はないと思っているし、働く意思のない人が無理やり働くことは返って非効率だという考え方だ。

誤解して欲しくないのだが、そういった人たちを否定しているわけではなく、生き方の多様性については肯定的だ。

多様性を認めるということは、どんな人たちも受け入れなければいけないというわけで、そんな世界を実現するためには、ベーシックインカムは有効だろうという主張をしている。

それを証明するためには、まずは試験的に始めることをやらなければ、議論も進まないというわけだ。

 

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植田 振一郎 Twitter

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