不揃いなカプリコ販売から考える食品ロスに対するエコ意識

2021-11-17 投稿: 植田 振一郎

開心見誠(かいしんけんせい)
→ 誠実に人に対すること。

誠実に人に対することは、主語が人であっても企業であっても当然のことである。

そんなことは誰もがわかっているにも関わらず、なかなかそれができないという人や企業も多いだろう。

その原因はいろいろあれど、全てが良い訳であると括ることができるように思う。

その解決方法として、とにかく行動を起こすというのは1つの手段かもしれない。

そんな取り組みの1つを紹介しようと思う。

食品ロスの実態

10月30日は、食品ロス削減の日と定められている。

食品ロスの定義は、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことである。

そんな食品ロスは、農林水産省と環境省の推計によると、2018年度に年間600万トン以上とのことだ。

600万トンといわれても、いまいちピンとこないと思うが、これは国民一人当たりに換算すると、毎日ご飯茶碗一杯分(約130g)を捨てている感覚だ。

おにぎりに換算すると、毎日1億2,000万個を廃棄していることになる。

そんな食品ロスだが、事業活動を伴って発生する食品ロスの事業系食品ロスが54%、各家庭から発生する食品ロスの家庭系食品ロスが46%となっている。

つまり、食品ロスを0%に近づけていくためには、企業と家庭の両軸で意識を持って施策を着実に実行していく必要があるということである。

食品ロスに対する企業の意識

ふぞろいな「カプリコ」発売 「食品廃棄物95%削減へ」江崎グリコの本気

(出典:Forbes)

ほとんどの人が、ジャイアントカプリコという名称で知られるお菓子を食べたことが一度はあるのではないだろうか。

ジャイアントカプリコと聞いて、アイスクリームの形で、上部がピンクのチョコレート、コーンの部分までチョコレートになっているとイメージできる人は多いはずだ。

そんなロングセラー商品であるジャイアントカプリコを販売している江崎グリコは、食品ロスにの削減に積極的に取り組んでいる企業の1つだ。

2021年10月22日には、形が不揃いなために販売することができずにいた、ジャイアントカプリコふぞろい品の販売を開始している。

価格は不揃い品10本セットで734円(税込)なので、通常商品が1本108円前後(税込)で販売していることを考えると、約30%引きという価格だ。

大手菓子メーカーが不揃い品を商品化するということは珍しく、江崎グリコもジャイアントカプリコが、冬のくちどけポッキーに次ぐ2商品目ということだ。

江崎グリコが不揃い商品を販売する理由

なぜ、江崎グリコ社は不揃い商品の販売に踏み切ったのか。

それには、サスティナブル方針が関係している。

江崎グリコ社では、2019年6月に事業を通じて社会に貢献するためのマテリアリティ(重要課題)20項目を特定した。

また、2021年3月にはマテリアリティ20項目をベースに、2050年をゴールとした中長期ビジョンである、Glicoグループ環境ビジョン2050を策定した。

Glicoグループ環境ビジョン2050は、下記の4つの分野について目標とKPIを設定している。

  1. 気候変動への対応および温室効果ガスの削減食品廃棄物の削減
  2. 持続可能な水資源の活用
  3. 持続可能な容器および包装資源の活用
  4. 食品廃棄物の削減

中でも、食品廃棄物の削減の目標として定められたのが、2030年に食品廃棄物を95%削減(2015年度比)するというものだ。

 

具体的に、食品会社から出る食品廃棄物を削減する方法は、大きく2つに分けられる。

1つ目は廃棄になる前にリサイクルする方法と、もう1つは廃棄が出ないように商品の製造および販売を模索する方法である。

リサイクルとは、リサイクル業者を通じて商品を飼料や肥料などの原材料として利用したり、メタン発酵によるガスとして利用する方法のことだ。

ただ、現実問題としてリサイクルは様々なところでの連携が必要となり、なかなか実行することが難しいとされる。

特に企業が大きくなればなるほど社内のオペレーションが複雑になる。

そこで、江崎グリコは食べられるモノなのだから、できるだけ人に食べてもらいたいという手法を選択したということだ。

訳あり商品を販売する方法

ジャイアントカプリコはチョコレートを膨らます製造工程で、チョコ部分の気泡が大きくなりすぎたりコーン部分が欠けてしまったりして、商品の規格を外れることがあるそうだ。

もちろん対策を行っていないわけではなく、機械や製造環境の改善を行ってはいるが、それでも世に出せない商品は一定数できてしまう。

そんな中、江崎グリコ社では2009年から冬季限定商品の冬のくちどけポッキーの不揃い品を限定販売してきた。

ジャイアントカプリコと同様に製造の過程で一部が折れたりかけたりした商品を安価で売ってきたのである。

とはいえ、そんな不揃い品たちは数量が限られているため、期間限定で販売チャネルを絞って展開している。

公式ショップの「ぐりこ・や」と「ぐりこ・やコーナー」の計8店舗のみで販売されている。

実は、江崎グリコ社内からは、不揃い品の販売に関してはブランドイメージを毀損するのではというネガティブな意見もあったそうだ。

けれども、環境やサステナビリティへの関心が高まっていて、単純に食品ロスがもったいないと感じる人が増えた傾向から販売に踏み切った。

不揃い品を販売する以外の取り組み

生産設備から出る廃棄、つまりフードロスだけでなく、製品の売れ残りから出るフードウェイストの削減にも取り組んでいる。

具体的には、商品の売れ残りが出ないように予測の精度を高めたり、製法や包材の工夫で賞味期限を延長したりする取り組みを構築している。

実際に、包材を変更することで賞味期限を延長した商品もある。

食品業界には、小売店に納品する際に賞味期間の3分の1を過ぎないように納品しなくてはいけないという、いわゆる3分の1ルールがある。

そのルールの緩和が期待されている。

まとめ

サスティナブルというワードが浸透してきた。

日本語に直訳すると、持続可能なといった言葉にされがちだが、少し感覚が違うように思う。

そもそも、こういう横文字が出てくると日本語に訳そうとする傾向がナンセンスなのである。

感覚でわかっていることが大切で、このサスティナブルな世の中を実現していくためには、当然テクノロジーが必要になってくる。

多くの企業で未来に向けて建設的な取り組みがされていることは、本当に素晴らしいことだ。

他社の取り組みも目に留まったものが見つかれば、随時紹介したい。

 

【Twitterのfollowお願いします】

植田 振一郎 Twitter

stakの最新情報を受け取ろう

stakはブログやSNSを通じて、製品やイベント情報など随時配信しています。
メールアドレスだけで簡単に登録できます。