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2020年1月9日 投稿:swing16o

ハッタリと嘘の狭間で 第6話〜第10話

第6話

俺はクラウドファンディングを開始することにイケイケだった。

とにかく世間にアピールして、注目を集めて一気に一気に高みへ昇ってやるんだ!

プロジェクトの内容も少しずつ決めていく中、エンジニアの上本から話があると連絡があった。

その内容はelephantを全否定するものだった。

開発の部分は上本に任せており、ずっとやってきた本人から、このタイミングでelephantを止めましょうと言われたことに、正直戸惑いを隠せなかった。

時間とカネを捻出した以上、すぐにでも回収したいという気持ちが全面に出ていたのだと思う。

elephantの弱点は簡単にまとめると下記のとおりだ。

  1. 製造原価が高く販売価格が50,000円程度と高額になる

  2. サイズやデザイン性に優位性を感じない

  3. amazonやGoogleが発売するスマートスピーカーが間もなく日本に来る(それもおそらく10,000円以下で)

  4. 正確にはIoTデバイスではない

となると、勝てるのか?

今思えば、本当に冷静な判断だったと思う。

当時は知見もなく、プロトタイプを4つ作るのに3Dプリンタ業者に20万円で依頼したりと後々やられたいた。。こと明確になり、全てが甘かった。

そして、上本は否定するだけでなく、新案の構想も持ってきた。

なるほど、これならイケる!

elephantのクラウドファンディングの申請をまさに1週間後にはしよう!となっていた中でのストップ。

少なからず、ストップしたことへのショックもあった。

でも、2017年5月にstakの原型を上本が持ってきて、ここに賭けてみよう!と気持ちを固めた。

そして、新たな挑戦が始まる。

第7話

stakの構想は当初からほとんどブレることなく進んでいる。

機能拡張型・モジュール型IoTデバイスと称している。

最大の特徴は3つある。

  1. ソフトウェアとハードウェアのいずれも機能が拡張していくこと。

  2. マグネットで簡単に取り付け取り外しができること。

  3. 他のIoTデバイスとの連携が容易にできる仕様になっていること。

キャッチコピーは「あなたのお家をぷちスマート化」。

まだまだIoTという言葉が浸透しているようで浸透していない。

スーパーにstakが置いてあっても、おばちゃんが卵を買う感覚で売れていく時代になったらいいな。。そんな想いが込められてのスタート。

ただ、このときは、stakの前にいろいろと構想を練ってプロトタイプまで作り上げたときとは全てが規模が違ったことは知る由もない。

いつもどおり楽観的な俺は、まあ余裕でできるだろう!と高を括っていた。

振り返る前に言っておこう。

最低3回、いや4回以上、stakは資金ショートにより終わっていたタイミングがある。

第8話

「モノづくり」のハードルが下がった。

この言い回しを近年耳にしたことがある人もいるのではないだろうか。

その理由の1つに挙げられるのがクラウドファンディングの登場にあるだろう。

確かにそのとおりなのかもしれない。

でも、この言葉には裏側があることを忠告しておこう。

モノは簡単に作れても、売れるということとは全く別次元であるということ。

いくら入念に計画を立てたとしても、そのとおりにいくほど甘くはない。

面白い発想だね!とか使ってみたい!という感想と財布の紐が緩むのは全く別問題なのだ。

今から夢を持って「モノづくり」を始めようとしている人へ忠告しておこう。

ノリが過ぎると痛い目を見る。

ノリが過ぎるとこんな感じになるというリアルを紹介していくことにしよう。

第9話

第3弾の「モノづくり」の際にプロトタイプの依頼をした。

その際に3Dプリンタで外注したのだが、4つで20万円というもの。

今思えばとんでもなくボッタクられていた。

なぜなら、stakの構想に至ってから3Dプリンタを購入したのだが、1台は50万円。

もう1台はクラウドファンディングの商品だったので20万円以下で購入ができた。

そこで何度も試作品を作ることになるのだが、フィラメントと呼ばれる3Dプリンタの元になる素材を買ったとしても1つ作るのはたかが知れいてる。

データを起こさないといけないので、CAD(キャド)と呼ばれるソフトが触れないといけない人材は必要だが、4つで20万円というのがいかに高額だったかということを思い知らされた。

このように無知は損をする。

外注に出すときに知識がないことは害虫を寄せ付けることになる。

笑顔でヘラヘラと近づいてくる輩には要注意だ。

まあ、こんなことは序の口だ。

「モノづくり」における落とし穴の本質はこんな小さなことではない。

第10話

stakの開発までにしてきた「モノづくり」は今思えば、本当にレベルの低いものだった。

というのも、stakは機能拡張型・モジュール型という特徴から、モノづくりといっても実質3つのパーツを作らなければならない。

1つは頭脳の部分になるstak本体。

この中にはWi-FiチップやBluetoothが内蔵されていて、まさにstakの司令塔になる部分だ。

2つ目は、今や認知度も上がってきたスマートリモコンのモジュール。

赤外線送信チップを埋め込むことで、TVやエアコンなどの赤外線リモコンが操作できる部分である。

3つ目は、スマートライトのモジュールで、LEDチップを埋め込んだライトが便利に使えるという部分。

要するに、同時に3つの「モノづくり」を行うということだ。

また、1つずつ作っても連動しなければならないので、ハード面だけでなくソフト面も同時に作らないといけない。

となると、プロトタイプまでは自分たちで作った方がコストもスピードもはやいという判断をした。

そして、3Dプリンタを購入して、基板の設計もして、という流れになった。

ここでも上本の活躍は光った。

 

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