三者三様(さんしゃさんよう)
→ 考え方、やり方などが人それぞれ違うこと。
誰もが聞いたことがある四字熟語の1つではないだろうか。
そして、考え方、やり方などが人それぞれ違うということは、これまた誰もがそのとおりだと認めることではないだろうか。
それなのに、ビジネスを展開する上では、ペルソナの設定などを含めてKPIの設定を行うのが一般的だ。
半ば強引にでも一定のカテゴリに埋め込まないといけない場面も多いように思う。
個性が重視される多様性が求められる時代であることは理解しつつも、ビジネスをしていく上ではある程度の決め打ちが必要になる。
それをマーケティングやブランディングと呼んでいる節もあるだろう。
考え方、やり方などが人それぞれ違うことは十分知っている上で、仕掛けていくことが現代社会においては重要なのである。
マーケティングにおいて生み出される概念
世の中にある企業の95%が明日なくなったとしても影響はないといわれている。
それだけ現代社会はある程度のことが成り立ってしまっているということで、いわゆる衣食住の中でも最も生死に関わる食の部分を最重要視した結果だ。
そういった側面から捉えると、一次産業と呼ばれる業種が究極的に必要とされるものであるといえるわけだ。
となると、それ以外の産業で生計を立てている企業が明日なくなったとしても致命的ではないという極論だ。
とはいえ、いきなりそんな世界が到来することもないわけで、となるとそれ以外の産業で生計を立てていくためには、マーケティングやブランディングが必要になるということになる。
つまりは、時代に合わせて概念や指標を生み出していかなければいけない。
そして、ここ数年ですっかり定着した概念がZ世代、それから新たに生まれて定着しつつある概念がα世代だ。
Z世代について改めて考える
Z世代という概念は、もはや説明するまでもないと思うが、改めて書いておこう。
Z世代の年齢定義は諸説あるが、1990年半ば~2010年初頭に生まれた世代を指すことが多い。
具体的な年齢を記すとすれば、現在10代半ば〜25歳までの若者層を指すことが多く、その年齢幅は10年紀を超えているのも特徴だ。
そして、現在のマーケティングにおいては、このZ世代が新たな消費の担い手として注目を集める世代とされているわけだ。
事実、Z世代をテーマとする記事、報道、書籍の数は、直近の2年間で5倍以上に急増している。
とはいえ、上述したとおり、1990年半ば〜2010年初頭に生まれた世代とひとくくりにすると、実年齢は10歳以上差が生じてしまう。
この年齢差をまとめて同世代とすることには違和感を覚える人も多いだろう。
まさにそのとおりで、最近ではZ世代をさらに3分割する考え方を持っていた方がいいとされている。
ただし、学生を中心としたものになっていることは予め理解してもらいたい。
Z1:GRADS
まず、Z1:GRADSだが、2022年の時点で大学を卒業している層で、すでに社会人になっている23〜25歳だ。
その特性は下記が挙げられる。
- ミレニアル世代に象徴される他社承認による自己実現欲求の名残りがある
- お金よりも大切なものが社会にあるという意識が強い
Z2:アラウンド20
2つ目が、Z2:アラウンド20だが、2022年の時点で大学生の層で、19〜22歳だ。
その特性は下記が挙げられる。
- 自己承認による自己肯定感を高くしたい欲求がある
- お金のことをしっかり考えたい意識が高い
- Instagramへの投稿はさりげない自分を友人だけに公開
- 特に19〜20歳にテレビ離れを自覚する大学生が急増している
Z3:ティーンズ
最期が、Z3:ティーンズで、その名のとおり10代の高校生の層で、16〜18歳だ。
その特性は下記が挙げられる。
- ネットによるミーム(模倣によるヒット情報の拡散)が起こりやすい
- コロナ禍の影響で青春ぽいリアル体験や交友の習慣が引き継がれていない
- TikTok買いする傾向がある
こうやって細分化していくことが、昨今のマーケティングの中ではより重要になっている気がする。
α世代について改めて考える
α世代の概念は、2022年に12歳以下の世代で、上述したZ世代よりもさらに下の世代ということになる。
彼らが消費をするようになるまで、まだ時間がかかるということもあり、調査報告が少ないというのが実態だが、その中でも注目したいデータを取り上げていこうと思う。
まず、テレビの利用状況についてだ。
α世代である小学生の調査結果は下記のとおりだ。
- テレビ放送をリアルタイムで見る:40.8%
- 録画を見る:25.4%
- 無料動画を見る:19.1%
また、中学生の調査結果と比較すると下記のとおりだ。
- テレビ放送をリアルタイムで見る:42.2%
- 録画を見る:25.9%
- 無料動画を見る:14.5%
このデータから、テレビは今まさに流れているものをみるという受動的なスタイルだけではなく、より見たいものを能動的に選んで見るためのデバイスに変わったといえるだろう。
それよりも個人的に興味を持ったデータがあるのだが、それは最初にスマホやタブレット端末を利用した年齢だ。
α世代である小学生の調査結果は下記のとおりだ。
- 0〜1歳未満:5.2%
- 1〜3歳:35.3%
- 4〜6歳:25.0%
- 小学1年生〜3年生:21.3%
- 小学4年生〜6年生:9.8%
また、中学生の調査結果と比較すると下記のとおりだ。
- 0〜1歳未満:1.1%
- 1〜3歳:15.6%
- 4〜6歳:20.8%
- 小学1年生〜3年生:20.4%
- 小学4年生〜6年生:27.7%
- 中学生:13.3%
この結果が衝撃だったのは私だけではないはずだ。
小学生に入る前の段階で、6割のα世代はスマホやタブレットに触れているのである。
考えてみれば、α世代は2008年にiPhoneが日本に上陸した後に生まれ、生まれながらにスマホが身近な存在だ。
さらに、α世代の親の大多数を占めるミレニアル世代はスマホに対する抵抗がない世代なので、子どもが使用することに抵抗が少ないことも追い風となっているはずだ。
甥っ子や姪っ子たちと遊ぶときを思い出してみても、確かに必ずといっていいほどスマホやタブレットを使っているような気がする。
その方が楽だということもあるが、そうやって考えると小学生に入る前に6割の子どもたちがスマホやタブレットに触れたことがあるというのはむしろ少ないくらいかもしれない。
メタバースネイティブという概念
そして、次にマーケティングにおいて登場してきている概念の1つにメタバースネイティブというものがある。
これだけスマホやタブレットに触れることに抵抗がない世代たちは、簡単にオンラインゲームにアクセスする。
オンラインゲームを改めて説明する必要はないかもしれないが、スマホや家庭用ゲーム機などからインターネットを経由し、オンライン上で遊べるゲームを指す。
α世代である小学生のオンラインゲーム実施率は43.8%と高く、低学年でも40%が経験するという。
また、頻度はほぼ毎日が36.7%と最も多く、週に4~5日程度と合わせると過半数に達している。
そんなα世代がよく遊ぶオンラインゲームは下記のとおりだ。
- マインクラフト:53.5%
- フォートナイト:47.8%
- あつまれどうぶつの森:46.4%
- スプラトゥーン:33.9%
- Roblox:13.8%
オンラインゲームは、α世代にとってコミュニケーションの場になっていることにも注目したい。
友達とゲームの中に集合して遊ぶことがあると回答した割合が65.1%、友達とオンラインでおしゃべりしながらゲームするとの回答はα世代全体で55.4%に達している。
それから、ゲーミングプラットフォームである、Roblox(ロブロックス)内につくられたメタバース空間のNIKELAND(ナイキランド)では、アバターにナイキ製品を装飾するサービスがある。
このメタバース内で遊ぶということが少しずつデフォルトになっていくという見方が強く、こういった状況をメタバースネイティブという概念としているわけだ。
まとめ
考え方、やり方などが人それぞれ違うという個性が価値を生むということは理解され、多様性が求められる時代だ。
そこについてはなんの異論もないのだが、そんな個性あふれる人たちを巻き込んでビジネスを展開していく際に、マーケティングとブランディングが重要になることは幾度も説いている。
そんな中、新たに注目されるメタバースネイティブという概念について触れてみた。
その概念を理解するためには、ミレニアル世代、Z世代、α世代という世代別の概念も知っておかなければいけない。
つまり、単発的に概念が生まれているというわけではないということが、マーケティングやブランディングにおいては重要であることも改めて主張しておきたい。
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