日本の資産である水資源について

2022-08-01 投稿: 植田 振一郎

行雲流水(こううんりゅうすい)
→ 空を行く雲と流れる水のことで、心の赴くままに、物に応じ事に従っていく態度、またそのような生き方をいう。

水は高いところから低いところに流れるのが自然の摂理だ。

日本は特に水資源が豊富ということで、キレイな川や湖が全国の至るところに存在する。

そして、日本に住んでいると、ほとんどのところで当たり前のように水道の蛇口をひねると水が出てきて、そのまま飲むことができる。

でも、実はこんなに恵まれた国は世界中を見ても、なかなかないということはしっかり知っておくべきなのだ。

なぜなら、この水資源が日本を再び世界から注目を集める強国にする可能性があるからである。

日本の水資源の現状と課題

日本での水利用の歴史は古く、古代から江戸時代は稲作農業中心に発展してきた。

そして、江戸時代から戦前は工業用水の利用増大に伴う近代水道の整備、戦後から現在までは高度成長と人口増加による需要増大に対応するための水資源の総合的な開発により発展してきた。

生活用水や工業用水は、1960年代半ばから2000年頃までの間に約3倍に増加した。

ところが、近年生活用水の使用量は横ばいで、 工業用水は回収利用が進んだため、新たに河川等から取水することが必要となる水量は少しずつ減少している。

また、日本の年平均地上気温は、この100年間に約1.26度の割合で上昇している。

日本の年降水量への影響だが、統計的に有意な長期的変化傾向は見られておらず、統計開始から1920年代半ばまでと1950年代に多雨期が一定数あった。

その後、1970年代から2000年代までは年ごとの変動が比較的大きくなっているというのが現状だ。

現在の年間の降水量は約6,500億㎥となっており、そのうち約35%は蒸発散し、残りの約4,200億㎥が日本の国土で我々が最大限利用することができる理論上の量、つまり水資源賦存量である。

肝心な年間年の取水量ベースは下記のとおりとなっている。

  • 生活用水:約150億㎥
  • 工業用水:約106億㎥
  • 農業用水:約535億㎥

合計量は約791億㎥になるわけだが、この他、養魚用水、消・流雪用水、火力発電所等用水や建築物用等として水が使用されている。

使用されない水は地下水として貯えられたり、海域へ流失したりしているというわけだ。

注目したいのは、日本の水道普及率は98%を超えているという素晴らしいインフラ化である。

近年ではミネラルウォーターの消費量増大や家庭用浄水器の普及が進むなど、安全でおいしい水に対する関心がますます高まっている。

安全でおいしい水を確保するためには、水源となる河川や湖沼等の水質を改善していくことが最重要課題といったところだろうか。

21世紀の深刻な水問題

とまあ、日本で生活をしていると、水について全くといっていいほど危機感もなく、それこそ当たり前に毎日水を使っているわけだ。

要するに、水に関しては無頓着というか、困ることはないと勝手に考えているわけだが、世界に目を向けると全く状況が異なる。

ここ数年の世界経済フォーラム、通称ダボス会議では、水危機は影響力の大きいグローバルリスクとして上位に位置している。

また、世界規模の目標であるSDGsでは、誰もが安全に水を使うことができる未来の必要性が明言されている。

なぜ、こんなにも水危機が叫ばれているのかというと、経済が発展した過去100年間における水の需要動向のデータによるものが大きい。

というのも、水消費の増加率は人口増加率に対して約2倍になることがわかっているのである。

2020年に約78億人だった世界人口は、2050年には約1.3倍の約100億人近くになると予想されている。

となると、水資源は最低でも現在の2.6倍の量が必要になると予測されるというわけだ。

いやいや、地球は水資源がたくさんあるじゃないかと思った人もいるだろう。

実際、地球上の海と陸の割合は7対3だといわれていることが、その大きな理由だと思われる。

これは大きな誤解で、人口増加に伴い水の需要が増大しても、地球上には限られた水資源しかないということを理解する必要があるのだ。

つまり、地球上に存在する水のうち、約98%が海水で淡水は約2%しかない。

さらに、淡水の大部分は南極や北極の氷山などであり、人間などの陸上生物が今すぐ利用できる水は全体の0.01%にも満たないのである。

気候変動による水資源の変化

人口増加による水問題もあるのだが、気候変動による水資源の確保にも変化が起きている。

日本は島国で海に囲まれ、自然の水循環が非常に上手くいっているため、水資源が豊富にあるように思える。

ところが、地球温暖化によって積雪量が少なくなるなどの気候変動があれば、顕著に影響が出るといわれている。

日本の水資源の多くは、雪解け水や雨水が約15年から20年かけて地面にしみこみ、溜まった地下水で賄われている。

そのため、気候変動が起こってもすぐに影響が出ることはない。

とはいえ、昨今の気候変動は多くの人が感じていることだろう。

実際、気候変動による水不足の影響は台湾で如実に表れている。

2020年に毎年来るはずの台風が1つも上陸しないという異常気象による降雨不足の影響で、約56年ぶりの深刻な水不足に陥ったという経験をしている。

そして台湾以外にも、世界中で気候変動が起きているというのが一般的な見方なのである。

2025年の水ビジネス市場

そんな水資源に関するビジネスチャンスだが、2025年には110兆円の規模に達するといわれている。

具体的にどんなビジネスがあるかといえば、まずダムや堰など水を貯めておくことのできる施設をつくる水源開発に関わる事業が挙げられる。

それから、安定的に工業用水を供給するシステムを提供する工業用水供給事業、上水道供給や下水処理事業、海水から淡水を作り出す海水の淡水化事業などもある。

これらの事業展開において、水処理のプラントメーカー、水道のメンテナンスサービス会社、水道コンサルティング会社、地方自治体などが関わってくることは想像できるだろう。

加えて、事業に投資する総合商社や金融機関など様々なプレーヤーが横断的に存在することになるのである。

ちなみに、2020年における水ビジネス分野の成長率は、世界全体で前年比プラス6%だった。

発展途上国だけを見ると前年比プラス12%だったという。

今後は、地球温暖化の影響により干ばつや洪水など自然がもたらす脅威が激しくなるにつれ、排水路や堤防などを新設する洪水対策が重要になるだろう。

他にも、災害時や緊急時に工業用水や地下水を飲料水レベルへ浄化する、仮設飲料水製造装置などを提供する、水災害防止市場への伸びも期待されている。

水なくして国家なしといわれるほどに、水が重要だということは先に挙げた台湾という国を見ればわかる。

台湾は、2020年度の半導体輸出額が過去最高の約36兆円を記録し、国と地域で見た半導体の生産能力は世界トップである。

そんな半導体産業には清浄な超純水が豊富に必要となる。

ところが先述したとおり、2020年は気候変動の影響で台風が1つも上陸せずに水資源が不足したことにより、世界の半導体需要を満たせない状態に陥っているというのだ。

そんな中、台湾経済部は、行政府を挙げて半導体産業を維持するため、海水淡水化や節水率の引き上げなど、その関連対策費として約51億円を計上したことを明らかにしている。

こういった事情からもいかに水が重要かということが理解できるだろう。

まとめ

日本の水資源の状況と世界でいかに水資源が危機にさらされているかをなんとなく理解してもらえたと思う。

当たり前のようにある日本の水資源は、世界でも稀であるということに実は価値が生まれようとしている。

直接的には理解されていないが、観光という大きなビジネスチャンスの裏側には豊富な水資源があることに注目が集まり始めているということだ。

世界中を見ても、これほどまでにどこにいっても水資源が豊富な地域は実はあまりなかったりする。

そんな水資源が豊かなことで、日本という国は観光地としての価値が上がっているというわけである。

たまたまという部分も大きいかもしれないが、しっかりと活用して世界中の人々を魅了すればいいのである。

 

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