挙国一致(きょこくいっち)
→ 国全体がある目的に向かい同一の態度をとること。
国全体がある目的に向かって同一の態度をとることは、現代では難しくなっているのかもしれない。
愛国心というか、国の壁をインターネットが超えるようになってから、垣根がなくなりつつあるように思う。
新しいサービスが毎日のように登場しては消えていく。
ある意味で国の役割を企業が担うようになっているのかもしれない。
2022年現在、その主役の1つを担っているのが、TikTokだろう。
TikTokについては、過去にもいくか記事を書いているので、お時間のある人は一緒に読んでもらいたい。
今回もまた、TikTokについてまとめてみたいと思う。
TikTokの現在地
コロナ禍で巣ごもりやリモートワークが定着し、需要が落ち込んでいた化粧品。
そんな中、口紅の分野で累計出荷数240万本を突破した、ケイト リップモンスターはカネボウ化粧品がTikTokのPRを仕掛けて大成功した事例の1つだ。
他にもTikTokを上手く活用して爆発的に売れている商品が増えていることから、TikTok売れという言葉が定着しつつある。
2017年にサービスを開始した、TikTokとは、一体なんなのか簡単に振り返ろう。
世界で30億ダウンロード、10億MAU(月間アクティブユーザ数) を超えるなど、グローバルでユーザが急激に拡大しているショート動画プラットフォームが、TikTokだ。
日本国内でも16歳以上のMAUが、2021年8月時点で約1,700万まで拡大している。
簡単にいうと、16歳以上の1,700万人が毎月TikTokを使っているというのだから、本当にスゴい。
とはいえ、SNSにありがちな構図の変化がTikTokにも起こりつつある。
Twitter、Facebook、InstagramといったSNSも最初は若者から火がついた。
その後に年代の幅が拡がるというのが共通した流れだが、TikTokもそうなりつつある。
25歳以下の構成比は、2019年8月~2021年8月の2年間で45%から40%に低下し、25歳以上の構成比は同期間内で55%から60%に増加している。
特に主婦層が増えており、2021年5月の時点で25~44歳の女性ユーザーのうち4人に1人が主婦ユーザだったという。
その理由は、忙しくて自分の時間がない中でホッとしたいときや、家族とのコミュニケーションツールとして利用されているというものだ。
そして、ユーザ層の拡大に合わせ、動画のジャンルも拡大している。
トレンドの音楽に合わせた口パクやダンス系などは下降トレンドで、コメディー系、グルメ、ペット、教育、スポーツ、美容、日常などと多様化しているのである。
また、機能にも変化が起きている。
投稿できる動画の時間が15秒から30秒、1分、3分と長くなっている。
それから、写り込みチャレンジ、スケアリースマイルといった創作意欲を刺激するエフェクトやテキストを自動で読み上げる機能なども使用できるようになった。
YouTubeと同じような流れがTikTokにも起きており、クオリティーの高い動画を配信するクリエイターが増えているという印象だ。
TikTokが消費を動かすプラットフォームになれた理由
そんなTikTokを上手く活用して、TikTok売れを実現するためには、どうすればいいのか。
なぜ、TikTokは消費を動かすプラットフォームになれたのか。
そのポイントは3つある。
1)隙間時間や暇な時間に気軽に見られること
TikTokの特徴である、おすすめフィードは検索しなくても短い動画がタイムラインに次々に流れてくる。
見たいものはサクッと見て、見たくない動画はスキップすることで、わずかな時間でもテンポ良くいくつもの動画を楽しめるのが特徴だ。
そして、ユーザの反応をAIで学習して、おすすめフィードの精度を上げていくというアルゴリズムを組んでいる。
ここにも検索からレコメンドという文化が浸透していることは、しっかりと認識しておくべきだ。
2)投稿の手軽さ
多くのサービスが登場している現代では、手軽さがとにかく求められる。
使いにくいと思われたスマホアプリやWebサービスにユーザが戻ってくることは、なかなかハードルが高い。
簡単で誰でもわかるというUI、UXになっていることが非常に重要なのである。
そういう意味でTikTokは、動画を投稿しやすい機能をそなえているため、UGC(ユーザ生成コンテンツ)が生まれやすく、商品の口コミや感想が発信されやすいのである。
3)アテンション(注意、注目)を集める視聴体験
縦画面でフルスクリーンの音声ありと、視聴者が注目注視するフォーマットになっていることが大きい。
他の主要プラットフォーム3社のユーザー平均よりも音声ONのユーザが160%、全画面視聴が162%だったというデータが出ている。
TikTok売れを実現する方法
TikTokユーザー追跡調査で、紹介された商品やサービスを購入したくなるのはどんな動画なのかという問いに対する回答がすべてだ。
調査結果は、目的意識なくたまたま見た動画が、目的意識を持ち見た動画を上回った。
それから、目的なく開く、たまたま面白い動画に出合えるから開くと答えた人の割合が他の主要プラットフォームの平均よりも高いという結果も出ている。
最もインパクトがあるのが、検索したくなるよりも興味を持つという意識の方が購入や使用をしたくなるというのである。
先述したとおりだが、Googleが生み出した検索の文化がレコメンドの文化に変遷しようとしていることを改めて強調しておこう。
そして、TikTokをどうマーケティングに活用すればいいのか。
そこには、3つのMがあるという。
モニター、ミングル、メジャーの3つだ。
1)モニター
モニターは、トレンドを常にウオッチし、取り入れることを意味している。
TikTokでいえば、流行りののミーム(模倣)やクリエイターをチェックすることだ。
2)ミングル
ミングルは、ユーザとの交流を図ることだ。
TikTokではハッシュタグチャレンジのようにユーザが参加しやすい企画になっているか、思わずコメントしたくなるようなツッコミどころがあるかなどがポイントになる。
3)メジャー
メジャーは、データを測定してPDCAを回して改善することだ。
TikTokではエンゲージメント指標や視聴時間などを確認することが重要だということである。
上記の3つのMに加えて、プレイする感覚も重要である。
プレイには、演奏する、遊ぶという2つの意味がある。
具体的には、音楽メインのプラットフォームなので音をうまく生かすこと、企業もユーザと一緒に楽しく遊ぶ気持ちが大事だということだ。
新しい機能がリリースされたら、すぐに使うというノリの良さも大切だ。
そこに、ライブ配信を活用してユーザとの交流を図ることも加味すればいいというのが、現時点での攻略法なのである。
まとめ
SNSが誕生して流行ってから成熟するまでのスピードが圧倒的にはやくなっていることが、こうしてまとめを書いているとよくわかる。
スマホが1人に1台渡ったことが大きな理由の1つだと思うが、それに合わせて行動を起こさないといけないということだ。
いいモノやサービスが売れるという前時代的な概念は、もはや前時代的でもなく、もう1つ前の概念となり、マーケティングとブランディングを制することが最重要だということだ。
そのキーポイントが、検索からレコメンドへという文化の変化であることは、最後にもう一度主張しておこう。
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