三人成虎(さんにんせいこ)
→ 1人が言っただけでは疑うが、3人が村に虎が出たと言えば信じてしまう意から、嘘偽りも多くの人が言えば、事実になってしまうということ。
嘘と真実とは確かに曖昧な概念で、多くの人が信用してしまえば、それは真実になるという傾向はある。
それだけなにも考えずに日々を過ごしている人というのは多いといえるだろう。
だからこそ、ビジネスが成り立つというところもあるのだが、流行、つまりトレンドの生み出し方も似ているように思う。
よく流行は20年周期でくり返されるといわれるが、今回はトレンドについて書いていこう。
トレンドが20年周期でくり返される理由
トレンドが20年周期でくり返されるということを聞いたことがあるという人も多いだろう。
そして、トレンドというのは、やはりファッションが中心になるということは多くの人との共通した認識だと思う。
それでは、なぜほとんどの流行が20年周期でくり返されるのか。
そこには明確な理由がある。
まず、大前提としてトレンドは勝手に起こるわけではなく、必ず仕掛ける側の人がいるということをしっかりと認識する必要がある。
それから、そんあトレンドの仕掛け人たちのほとんどが、30〜40代の人たちだということを理解しよう。
その原因は至って単純で、今年はあるいは来年はこれをトレンドにするという決定権を持ち始めるのが、30代の社員が中心になるからだ。
そうすると必然的に30〜40代の人たちがトレンドを生み出す側になる。
決定権を持った30〜40代の人たちが、10代の青春時代に自分がなにを求めていたかを想い出して、現代風にアレンジして商品やサービスをつくる。
となると、約20年前に流行っていたものが新たなトレンド、つまり流行のベースになる。
これがトレンドが20年周期でくり返される所以だ。
このことは歳を重ねていくと確かにと納得できるところが出てくる。
私は2023年に42歳を迎える世代なので、20年周期でトレンドがくることを体感している。
例えば、たまごっち。
たまごっちがブームになったのは1996年で、それから約20年後に再び若い世代を中心にブームとなった。
また、私たちが高校生のときに流行っていたのはルーズソックスだが、そんなルーズソックスが2020年代に入ってまたブームになっているという。
2023年のZ世代トレンド予測
トレンドが若い世代を中心に巻き起こるということに関しては異論はないだろう。
そして、上述したとおり、トレンドは大体20年周期でくり返される。
このあたりを鑑みて、2023年のZ世代のトレンド予測が発表されている。
(出典:日経クロストレンド)
トレンドを導き出すために、Pinterest(ピンタレスト)が指標となっていることが興味深い。
というのも、Pinterestは、2013年から毎年世界共通のトレンド予測を発表していて、その的中率は3年連続で80%を超えているという。
そんなアメリカのPinterestが2022年12月7日に発表した、Pinterest Predicts 2023から2023年のトレンド予測をまとめていく。
なお、Pinterest(ピンタレスト)については、過去にブログを書いているので、詳しく知りたい方はこちらも併せて読んでもらいたい。
2023年のトレンド予測に話を戻すと、Pinterest Predicts 2023で発表されたトレンド予測は計27テーマもあったという。
そして、その中から、特にZ世代の間で広がる可能性の高い3つのトレンドが浮かび上がった。
日経クロストレンドの記事を引用させてもらったタイトルにあるとおり、まず外せない注目キーワードがセルフケアだ。
セルフケアとは、文字どおり自分で自分を癒やすことで、かつては誰かの協力を得て、自分の悩みを解決するようなセラピーの検索が多く見られたという。
それが、個人でできるセラピーの検索が急増している。
特に検索が増えているのが、絵日記を意味するアートジャーナルは前回比3,755%増、ライティングセラピーは前回比1,840%増となっている。
その背景にあるのが、SNS疲れだといわれている。
スマホが離せない人たちが蔓延しているなかで、癒やしが求められているというわけだ。
特に20代は他世代と比較し、睡眠、趣味、自由時間、入浴などの、自分をケアする行動を増やしたいと感じていることがわかっている。
さらに、自分の暮らしは自分で守るという意識が加速しているという結果も得られている。
ずっと続いているレトロトレンド
次に注目されているトレンドにレトロが挙げられている。
昔流行した物を現代のスタイルに取り入れるというトレンドが、特にファッションのカテゴリーで顕著に見られているという。
例えば、2000年代女子、サマーファッション ヴィンテージ 90年代の検索が増加し、それぞれの上がり幅は235%増と150%増になっている。
実際に、2000年代に流行ったアームカバーが約20年の時を経てまた若年層の間でトレンドとなっている。
もちろん、紫外線などから腕を守るために身に着けるという用途もあるだろうが、ファッションの一部としてより良く自分を見せるためという位置づけの方が強い。
Pinterestのトレンド予測によれば、このレトロトレンドはまだまだ続く気配があるという。
それから、なにもレトロトレンドはファッションの分野のみならず、インテリアの分野でも現代風なインテリアとビンテージの要素を混ぜたワードの増加が見られている。
例えば、ミックス インテリアデザイン ヴィンテージは850%増、モダン アンティーク ミックス家具は530%増という結果が出ている。
ECの普及がレトロトレンドを押し上げているという分析があるが、個人的にはそもそもレトロはいつの時代にもトレンドになっているように思う。
というのも、私が起業したのはまさにレトログッズに特化したフリマアプリをリリースするところから始まっている。
それは約10年前の出来事なのだが、そこから10年間のほとんどの期間でレトロブームという言葉がしばしば登場していたように思う。
私が起業したときに思ったのが、レトロという概念はずっと薄れることがないということだ。
なによりも、レトログッズはもはや生産できないものがほとんどなので、希少価値が自ずと高くなる。
となると、一定層がずっと求めることでさらに価値は上がっていくという好循環にあるのが最も魅力的な部分だということだった。
ジェンダーレスという新たなトレンド
最期に注目されているトレンドとして、ジェンダーレスが挙がっている。
そして、ジェンダーレスも他のカテゴリと同様にファッションの分野で注目されている。
例えば、レースやチュール素材、パールアクセサリーなどは、かつては女性らしさの象徴として女性が身に着けていた。
それをあえて男性が身に着け、中性的な装いに見せるファッションがトレンドする兆しだという。
実際、ユニセックスな名前という検索が90%増を記録していて、Pinterestユーザが子どもの名前を決める目的で検索しているそうだ。
まとめ
テクノロジーの進化によって、トレンド予測の精度が上がっていることを実感する。
テクノロジーと表現すると少々大袈裟に捉えられてしまうので、もっと簡単にSNSの普及という観点でまとめた方がいいかもしれない。
単純にデータが取りやすくなっている現代社会では、仕掛ける側も的確にターゲットを絞って狙えるというわけだ。
と同時にトレンドは細分化していくことも主張しておきたい。
というのも、多様化する時代においては、1つのトレンドをマスに向けてというのは非常に難しくなる。
ターゲットを絞っていかなければいけないのはマストで、そのターゲットの枠はどんどん狭くなっていくことは意識しておいた方がいいだろう。
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