肝胆相照(かんたんそうしょう)
→ 友人同士が、互いに心の底まで打ち明けて親しく交わること。
友人同士というわけにはいかないかもしれないが、ビジネスにおいても親しく交わる関係はある。
起業家と投資家の関係や社長やスタッフとの関係も親しく交わるという意味では遠くないような気がする。
とはいえ、ビジネスの規模だったりタイミングもある。
親しかった関係が崩れたり、崩れたけれどもまた戻ったりと、とても面白い世界でもある。
そんな中、面白い記事を見つけたので紹介していこう。
日本発の人気テレビ番組
私と歳が近い人だとリアルタイムで見たことがある人も多いと思うが、2001年10月〜2004年3月まで日本テレビで放送されていた人気番組がある。
¥マネーの虎という番組で、成功者とされる社長たちが起業家たちのプレゼンに対して出資をするという番組である。
実はこの番組のフォーマットはアメリカやイギリスをはじめとして、9ヶ国に輸出されて人気番組になっている。
2016年からアメリカでも展開されている、シャーク・タンクという番組で人気になっているビジネスがあるという。
今回の記事はこの前提を知っていた方が楽しめるので、知らなかった人は予備知識として入れてから読み進めて欲しい。
アメリカの億万長者が買った「じゃがいもビジネス」
(出典:Forbes)
シャーク・タンクで人気になったビジネスが、アメリカの28歳の起業家リアド・ベヒートによってプレゼンされたものだ。
番組中に著名な億万長者のケビン・オレアリーが投資を決めた「ポテト・パーセル」である。
そのビジネスモデルは、9.99ドル(約1,150円)で、じゃがいもに手書きのメッセージを書いて郵送するというものだ。
特別なテクノロジーが使われているわけでもなく、革新的だとはお世辞にも言えない、ただただそれだけのビジネスである。
ところが、シャーク・タンクで放映されると、7万個のメッセージつきポテトを完売したという。
そして、今や年間6桁ドルの売上げを上げるまでとなっている。
アメリカ版マネーの虎であるシャーク・タンクは、数人の億万長者投資家が審査員として参加している。
リアド・ベヒートがプレゼンした際に、投資家の1人であるマーク・キューバンは、信じられないほどバカバカしい(It’s just stupid on a stick)と発言。
同様に億万長者審査員のロリ・グライナーも真に受けるのは愚の骨頂だろうとコメントしている。
そんな中、上述したケビン・オライリーの反応は違った。
既にこのビジネスが受注件数12,000件、月に21万5,000ドル(約2,450万円)の売上があることがポイントになった。
契約後60日間は受注1件ごとにロイヤリティを1ドルを受け取ることを条件に、5万ドルで10%の株式を買うことを申し出たのだ。
じゃがいもビジネスの実態
実は、ポテト・パーセルのアイディアは出資を受けたリアド・ベヒートが発端ではない。
2015年にReddit(レディット)の投稿でスタンプがベタベタ押されたじゃがいもを見たテキサス在住のアレックス・クレイグが思いついたものだ。
ちなみに、Reddit(レディット)は、アメリカの掲示板型ソーシャルニュースサイトで、英語圏のユーザをターゲットにしている。
ニュース記事、画像のリンクやテキストを投稿し、コメントをつけることができるという、今の時代には特段違和感のないソーシャルニュースサイトだ。
2021年1月の月間利用者数は4億3,000万人という発表をしている。
話を戻すと、アレックス・クレイグの発案を当時のガールフレンドは、1個も売れるがないとバカにしたそうだ。
ところが、クレイグがRedditで宣伝したら、翌日に2,000ドル(約20万円)分の注文が来たという。
数ヶ月語には、月1万ドル(約100万円)の利益を出すようになったそうだ。
そして、その頃にアレックス・クレイグがリアド・ベヒートとオンラインチャットルームで出会う。
それから、2015年10月には、クレイグは4万2,000ドルでメッセージつきポテトのビジネスをべヒートに売却することに同意した。
その後今日まで3年間、リアド・ベヒートはビジネスを継続することになるという流れだ。
ポテト・パーセルの今
ポテト・パーセルは、14.99ドル(約1,700円)出せば、じゃがいもの上に誰かの写真を印刷できる、ポテトパルという特別メニューを注文できる。
誕生日などの記念日などに、グリーティングカード感覚で使って欲しいとリアド・ベヒートは語っている。
また、そんなポテト・パーセルに出資した億万長者のケビン・オレアリーはニューヨーク・タイムズにこう発言している。
ポテト・パーセルは、シャーク・タンクを通して投資を決めた銘柄の中でもトップ5に入るビジネスだと。
そして、ポテト・パーセルは、International potato(国際的なじゃがいも)というサービスもあり、アメリカ国外への配送にも対応している。
世界展開もできる体制が整っているということだ。
まとめ
起業することを大層なことだと考えすぎている人がいると感じることがある。
起業というのはあくまで手段の1つであって、難しいことをたくさんやらないといけないと思い込んでいる人もいる。
でも、考えてみて欲しい。
今回紹介したポテト・パーセルのようにちょっとしたアイデアがビジネスとして形になる場合も十分にあるということだ。
もちろん、なんでもかんでも当たるほどビジネスをやるというのは甘くはないが、なにも難しくばかり考える必要もない。
まずはライトにやってみるということの方がよっぽど大事で、そういう意味では、世の中にはまだまだ可能性のあるビジネスチャンスがあるということだ。
リアド・ベヒートはプレゼンで失笑を受けた場面もあったけれども、1人の投資家であるケビン・オレアリーからの出資でビジネスとして成立したという事実。
そう、世の中はなにが起こるかわからないのである。
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