苛政猛虎(かせいもうこ)
国民に重税などを強いる過酷な政治は、虎よりも凶暴で人々を苦しめるということ。
重税することが必ずしも過酷な政治という判断になるかは別として、税金の種類や仕組みについて詳しく知らないという人が案外多いのではないだろうか。
所得税や消費税といった税金があることは多くの人が知っているとは思うが、それぞれの税金の位置づけがどういったものなのか、あなたは説明できるだろか。
このことも何度も書いているが、知らないことは悪いことではない。
けれども、知らないことが多いと、人税において損をすることも多いということはしっかり頭に叩き込んでおいた方がいい。
ということで、今回はみんなが避けがちな税金の基礎知識についてまとめておこう。
税金の種類
そもそも、税金の種類はどのくらいあるのだろうか。
税金の種類は、約50種類あると覚えておくといいだろう。
そして、税金は大きく課税主体が国である国税と課税主体が地方公共団体(都道府県や市町村)である地方税に分類される。
さらに、国税と地方税は、税金の納め方によって、直接税と間接税に分類される。
と書いていくといきなり混乱してしまうかもしれないので、大きく分けて全部で4パターンあると覚えておくといい。
- 国税かつ直接税の税金
- 国税かつ間接税の税金
- 地方税かつ直接税の税金
- 地方税かつ間接税の税金
それから、国税は国が徴収する税金のこと、地方税は都道府県や市町村などの地方公共団体が徴収する税金のことをいう。
また、直接税は税金を納める義務がある人と税金を負担する人が同じである税金のことで、納税者が直接税金を支払うことになってる税金である。
例えば、所得税、つまり個人の1年間の利益(所得)にかかる税金が代表的だ。
法人税、つまり会社や協同組合などの法人の利益(所得)に課される税金は、個人の場合の所得税に該当する税金という位置づけなので同様に国税かつ直接税となる。
一方で、間接税は納税の義務がある人と税金を負担する人が異なる税金のことで、税金を負担する人が異なる。
税金を負担する人が支払った税金は、その税金を預かった納税の義務がある人が、代わりに国や地方自治体へ納めるという仕組みだ。
こちらの例を挙げるとすると、消費税、つまり商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金が代表的だ。
買い物をする場合を考えればいい。
気に入った服を買ったとしよう。
実際に納税するのは製造業やサービス業などを経営している事業者(会社、企業)である。
けれども、負担するのは消費者、要するに買い物をした人が支払っているということをイメージすれば、理解できるだろう。
2021年12月現在のの消費税率は10%と認識されているが、税法上では厳密にいうと、消費税7.8%+地方消費税2.2%という内訳になっているが、このあたりは細かいので割愛でいいだろう。
国税かつ直接税の税金
ということで、もう少し細かくどういった税金があるのか、4パターンの税金について触れておこう。
まずは、国税かつ直接税の税金についてだが、上述した所得税が代表的だ。
くり返しになるが、個人の1年間の利益(収入、所得)にかかる税金のことで、日本では累進課税制度が採用されている。
所得が多くなるに従って、段階的に税率が高くなるというものだ。
課税所得金額は、所得税の課税対象となる個人所得の金額のことで、納税者の個々の事情を考慮して設けられた所得控除というものを差し引いた額で決まる。
課税所得によって、かかる税率が5%~45%まで規定されている。
2021年12月現在の具体的な規定は、下記のとおりだ。
1)課税所得金額:1,000円〜1,949,000円
税率:5% / 控除額:0円
2)課税所得金額:1,950,000円〜3,299,000円
税率:10% / 控除額:97,500円
3)課税所得金額:3,300,000円〜6,949,000円
税率:20% / 控除額:427,500円
4)課税所得金額:6,950,000円〜8,999,000円
税率:23% / 控除額:636,000円
5)課税所得金額:9,000,000円〜17,999,000円
税率:33% / 控除額:1,536,000円
6)課税所得金額:18,000,000円〜39,999,000円
税率:40% / 控除額:2,796,000円
7)課税所得金額:40,000,000円以上
税率:45% / 控除額:4,796,000円
他にも、復興特別所得税、先述した法人税、相続税、贈与税といった税金が、国税かつ直接税の税金だという位置づけだ。
法人税、相続税、贈与税にも所得税と同様に、金額に応じて税率と控除額が決まっており、詳しく知りたい人は調べてみるといいだろう。
国税かつ間接税の税金
こちらの代表例は、なんといっても上述した消費税だろう。
他にも酒税、たばこ税あたりは聞いたことがある人も多いのではないだろうか。
揮発油税(きはつゆぜい)と呼ばれる自動車のガソリンを製造場から出荷した際にかかる税金もここのカテゴリだ。
揮発油税と地方揮発油税とを併せて、ガソリン税ともいわれており、消費税と同様のイメージをしてもらえればわかりやすいはずだ。
消費者(ガソリンを入れた人)が支払っている税金だが、実際に納税する義務があるのは石油会社という具合だ。
また、関税や印紙税も国税かつ間接税の税金であることも知っておくといいだろう。
地方税かつ直接税の税金
県民税、事業税、自動車税、固定資産税あたりが代表的な税金だと覚えておこう。
県民税は、都道府県民税の略称で、自治体が住民サービスなどを行うことを目的としてかかる税金のことをいう。
個人の住所や法人の事務所、事業所などがある都道府県に対して納める税金である。
事業税は、個人や法人が事業を営んでいる場合、その所得にかかる税金のことで、課税所得×税率で算出する。
自動車税とは、その名のとおり自動車にかかる税金だが、軽自動車や特殊車両は除かれることも併せて知っておこう。
固定資産税とは、土地や建物、事業で使う機械などを所有している際にかかる税金のことである。
他にも、不動産取得税、自動車取得税、市町村民税といった税金もこのカテゴリに入る。
地方税かつ間接税の税金
地方消費税、市町村たばこ税、入湯税あたりが、このカテゴリの代表例である。
チラッと触れたが、地方消費税とは、商品を買った際やサービスの提供を受けた際にかかる税金で、消費税10%のうち、2.2%が該当する(2021年12月現在)。
市町村たばこ税とは、たばこの製造者などが、たばこの小売販売業者に売り渡した際にたばこの本数に応じてかかる税金のことだ。
入湯税とは、温泉に入浴した際にかかる税金のことである。
他にも、道府県たばこ税、ゴルフ場利用税、軽油引取税といった税金もこのカテゴリに含まれる。
まとめ
ザッと書き出してみたが、いかがだろうか。
まずは、耳にしたことのある税金がどういったカテゴリに入っているかを知っておくといいだろう。
そして、大きく分けて税金は4つのパターンに集約されており、それぞれのイメージを持っておくと、税金のことを聞いたときに知らないと顔を下に向ける機会も減る。
こういった授業がなぜ小中学校の義務教育でされないのか甚だ疑問ではあるが、そんなことに文句をつける暇があったら、自分で学べばいい。
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