遠塵離垢(おんじんりく)
→ 仏教語で現世での迷いを断ち切ること。
迷いを断ち切るということは、決断をするということだ。
人生は決断の連続だという言葉があるとおり、まさにあらゆる場面で決断は必要になる。
どこの学校に行くか、どこの会社に就職するかといった大きな決断から、ランチになにを食べるかといった小さな決断も含めると、まさに決断の連続であることがわかる。
そして、そんな決断を大きく左右するものに投資や出資がある。
そんな分野で昨今、注目を集めているのが、ソフトバンクグループのソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)である。
2017年に発足した当初の運用額は約10兆円からスタートしており、今や約14兆円を超える運用額規模の大きさもさることながら、孫正義社長の一挙手一投足が常に話題になっている。
ソフトバンク・ビジョン・ファンドのエコシステム
(出典:Bloomberg)
2021年8月10日に、ソフトバンクグループの孫正義社長が決算発表を行った。
そこで、ビジョン・ファンドなどを通じた投資事業で既に2兆円を現金化し、再投資に振り向けており、エコシステムができつつあるとの認識を示した。
細かい内容を記すと、2021年6月末時点の保有株式価値から純負債を引いた時価純資産(NAV)は26兆5,000億円。
このうち上場株の比率は87%、非上場株が13%となっている。
投資先の国別比率は米国34%、中国23%、中国を除くアジアが25%、欧州が13%という構成だ。
中国については、新規投資ベースでは全体の11%程度にまで減少しているという。
同時に、分散化できるようになったと強調し、ただ一つリスクを取っているのはAI(人工知能)革命だと述べている。
中国企業への出資に関しては、新たなルール、規制が始まろうとしているので、様子を見てみたいとし、現在は消極的な姿勢を示した。
更に2号ファンドへの出資も発表しており、ソフトバンクグループによる積極的な投資が今後も増える見込みである。
そんな、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)は、今までは日本の企業に投資をしていなかったこともあり、批判されることもあった。
ところが、2021年10月29日に神奈川県藤沢市にあるバイオベンチャーのアキュリスファーマに第1号案件として出資を決めた。
SVFの日本出資第1号案件の背景
今まで、日本企業への出資をしていなかった理由は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの仕組みにあるとされている。
2017年に発足したビジョンファンドの1号ファンドは約10兆円、2020年に開始した2号ファンドも投資枠は4兆円超まで拡大して、今や14兆円という巨額を動かしている。
そんな1号ファンドは、サウジアラビアの政府系ファンドなど外部投資家が出資していたこともあり、1社当たりの最低投資金額が1億ドル(100億円強)と決められていた。
ところが、2号ファンドはソフトバンクグループが全額出資している。
さらに、昨今、スタートアップの評価額が世界中で高騰していて、なかなか出資することが難しくなっているため、1社あたりの投資規模も1号ファンドに比べて小さくなった。
加えて、上記でも述べた中国でテック系の企業への規制が強くなったことから、投資先を分散し始めたという経緯がある。
そんな中、日本での初めての投資先として、この2号ファンドが出資したのがアキュリスファーマ社ということになる。
このアキュリスファーマ社は、フランスの製薬会社であるバイオプロジェットファーマが開発し、欧米での製造販売が承認されている睡眠障害の治療薬のピトリサントの日本での臨床開発や販売に関する独占的な権利を保有している。
新薬開発だけでなく、今後はAI(人工知能)などを活用したデジタルソリューションの開発も進めるとしている。
日本国内で会社設立から1年未満で70億円近くの資金を集めるスタートアップは異例中の異例で、今後の展開に注目したい。
孫正義社長が目をつけた「巨大ファンド」の投資先
2021年8月時点で、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の投資先数は、1号ファンドが92社(全持分の売却済み11社を含む)、2号ファンドは161社(投資完了前の43社を含む)となっている。
(出典:東洋経済Plus)
2017年に発足した運用総額10兆円の1号ファンドでは、物流やフィンテック、モビリティ分野の投資が多かった。
一方で、2020年に開始した投資枠4兆円の2号ファンドは、消費者向けサービスを筆頭に、法人向けのソフトウェア、製薬・医療分野の投資を急加速している。
1号ファンドに比べ、グローバルで著名なベンチャーは少なく、特定の地域でシェアが高い企業や、より専門的なサービスや技術を手がける企業が多い。
どんな企業に出資しているかは、非常にわかりやすく記事に掲載されているので、一読をオススメする。
まとめ
孫正義社長は2021年5月の決算説明会で、下記のように語っていた。
世界に1000社くらいAI(人工知能)分野のユニコーンがある中で、日本には3社くらいしかない。
決定的にAI革命から遅れを取ってしまっている。
日本でAI(人工知能)のユニコーン軍団が育つようにするにはどうしたらいいのか、日々考えをめぐらせている。
アイデアはあるが、今ここで語るのは時期尚早だ。
そして、2021年10月に日本向けの投資チームを立ち上げたことが発表された。
実際に第1号案件も決まり、今後日本国内のスタートアップにも出資が増えていくだろう。
もちろん、stak社のことにも興味を持ってもらい、実際に出資までという下心もある。
ソフトバンクグループとIoTの分野はシナジーが高く、stak社のポテンシャルは実現可能性も高く世界観も素晴らしいと思っている。
是非、一度話をさせてもらいたい。
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