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2021年8月23日 投稿:ueda

フランス婚にみるパートナーシップ制度PACSとは?

栄諧伉儷(えいかいこうれい)
→ 栄えて仲のよい夫婦のこと、結婚の賀詞。

結婚をしたいという漠然とした気持ちは今も昔も変わらずあるようだ。

でも、現状は婚姻率は低下の一途をたどっている。

その理由はいろいろといわれているが、やはり経済的な問題が一番大きいだろう。

1990年代後半から若い世代の生活環境が大きく変わってきたことが要因で、雇用の不安定化が婚姻率が上がらない最大の原因であると思う。

日本の男性にとっての結婚は安定した職を持つことが大前提となっている。

いやいや、今の時代はそんなことはないと反論を受けるかもしれないが、根本にある浸透した考え方が変わることはなかなか難しい。

人ぞれぞれに理想があることは十分に理解できるが、結局のところ、経済的に独立できるかという壁にぶつかっている。

つまり、学生を卒業してたら、就職して、結婚して、子供を作ってといった、いわゆる標準とされた人生とリアルがかけ離れている。

今や結婚は、頑張るといった抽象的な考え方、あるいは妥協するといった流れでするものになっている。

そして、地方では生まれてからずっと地元に住み、親が健在で友達のコミュニティもしっかりある若者たちがいる。

そういった若者の中には、地元の繋がりで仕事を得て、幼馴染みや紹介で結婚し、子供を産み育てているというパターンも多い。

これが今の日本の結婚の縮図で、本当に羨ましいと思える、幸せだと自他共に認める結婚はなかなか見つからない。

同棲以上、結婚未満の新しいカタチ

テレワークの普及で自宅にて過ごす機会が増えたことで、家庭が壊れたとか壊れかけているという話題を耳にする。

行動が制限されることで、ほぼ終日同じ空間で過ごすことや在宅勤務と家事の両立が難しく、ストレスが溜まることが要因である。

ひどい場合になると、家庭内暴力などにも結びつくこともある。

調査会社であるIFOPによると、フランスではロックダウンにより11%の人々がパートナーと距離を置きたい、4%の人々が永久に別れたいと回答したとのことだ。

一方で、カップル間の距離を近づけたという前向きな回答も30%あることに注目したい。

フランス婚という言葉がもてはやされているが、その根底にある制度がある。

1999年に制定された民事連帯契約制度「PACS(Pacte Civil de Solidarité)」である。

そのPACSは同性または異性の成人2名による、共同生活を結ぶために締結される契約(フランス民法第515-1条)と定義されている。

その制度は下記のように定められている。

1)締結及び解消手続き

締結は必要書類を揃えて公証人に依頼、または本人たちが市役所にて手続きを行うことで終了。

解消はどちらかが申し立てることで解消でき、煩雑な条件や手続きがない。

2)社会保障関係

どちらかが社会保険に加入していない場合、パートナーの社会保険(医療、死亡等)による保証を受けることができる。

また、出産や子どもに関する家族手当(Allocations familiales)についても結婚と同様に受給できる。

3)税制関係

所得税の共同申告が可能。

また、民法上の法定相続人に含まれないため遺言書が必要だが、遺言によって相続人となった場合は相続税が免除される。

贈与税に関しても一定の控除あり。

4)財産関係

PACS締結後に所得した不動産や車などの財産は共有とする。

ただし、相続や贈与によって得た財産には適用されない。

なお、PACS締結前の財産は、特別に定めない限り所有者に帰属する。

相続については法律婚と異なり、パートナーへの法定相続、遺留分はなく、遺言書が必要となる。

5)その他

・パートナー間の扶養義務や救護義務、生活維持のための必要な負債への連帯責任を負う。

・住居について、賃貸契約をしていたパートナーが離別または死亡した際、残された者が継承できる。

・共同での養子縁組不可(カップルの片方のみとの関係であれば可能)

PACS導入の背景

今でこそフランスは2013年に成立した「みんなのための結婚法(原:Le Mariage pour Tous)」により同性婚が認められている。

そんなフランスも実は、1980年代までは同性愛に関する刑事規則が存在し、異性愛と同性愛には法的な区別が残っていた。

その後、1985年に性的差別が人種差別同様禁止され、同性愛などの性的指向に基づく差別も禁止されることになった。

当時、法的地位を与えられていない同性カップルの保護についての議論が徐々に進められたことがきっかけとなったのである。

同性カップルは、事実婚の異性カップルには認められる社会保障や福利厚生などが認められないことや死別の際の財産の取扱いなど、様々な面でパートナーが社会的に認められないなどの不都合に直面していた。

そういった背景から、同性カップルの身分を保証するための運動が展開されていったのがPACSなのである。

PACSの定着

こうして導入されたPACSの制度を利用するのは異性カップルが多数だった。

ところが、利用カップルは年々増加定着し、今やPACSは法律婚と肩を並べるほどの存在となっている。

結婚に対する社会的価値観の変化が大きな要因だとされている。

女性の社会進出や性別役割分担からお互いの自立を重視するよう変化していったことなどが、その理由だ。

2018年には婚姻件数234,735件に対し、PACS締結数は208,871組となっている。

また、2016年の解消率は法律婚の離婚率55%に対し、PACSは解消率44%と法律婚よりも低い。

このようにフランスではすっかり定着しているのが、PACSなのである。

 

PACS締結カップルの間に子どもが生まれた場合、法律婚とは異なるためその子どもは非嫡出子となる。

ただ、そこに社会的な差別はなく、社会保障などは結婚と同様に受けられる。

加えて、子育てに対する支援策や、両親が共働きをしやすい環境が整備されているため、経済的メリットも手にすることができる。

フランスでは嫡出子・非嫡出子の区別なく、いかなる生まれでも子は同等の権利を有することが法制化されている。

その理由から、子どもが生まれて育つことに親の結婚は関係ない。

それが当たり前の社会であるため、未婚の親から生まれた子どもが肩身の狭い思いをするようなことがなく、法律婚家庭の子どもと変わらない生活ができる。

こういった文化がフランスには根付いているのである。

まとめ

海外の情勢を書くと、日本には当てはまらないと否定されることがある。

もちろん、全てを当てはめようとなど考えていない。

でも、海外や他の地域で上手くいっている政策や文化に焦点を当てることで、課題解決に向かう可能性は十分にある。

そんな意味も込めて、結婚という概念、文化を考えるきっかけになればと思う。

 

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植田 振一郎 Twitter

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