雲泥万里(うんでいばんり)
→ 天にある雲と地にある泥とでは万里もかけはなれていることから、相違のはなはだしいこと。
世界中にスタートアップは日々登場している。
多くの夢を持った起業家がチャレンジしている姿は大歓迎だし、なによりもいい刺激になる。
そんなスタートアップが注目される場面としての典型は資金調達をしたりすることで、企業の評価額が爆発的に上がるときである。
ユニコーン企業という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。
スタートアップで爆発的に評価額が上がったイケイケのスタートアップだと思ってもらえればいい。
ユニコーン企業とは?
- 評価額が10億ドル(約1,100億円)以上
- 会社設立10年以内
- 非上場企業
- テクノロジー系の企業であること(必須ではない)
この条件に当てはまる、イケイケのスタートアップをユニコーン企業という。
2013年頃に生まれた言葉で、当時は設立間もないのに評価額が10億ドルを超えると企業はまだ珍しかった。
ところが、そこから情勢は変わりつつあり、2020年には106社がユニコーン企業の仲間入りをしている。
2021年5月の時点で、世界に682社のユニコーン企業が存在している。
直近の2020年に増えたユニコーン企業は、ソフトウェア系とフィンテック系が16%増、続いてEC系が14%増というデータが出ている。
新型コロナウイルスの影響で、リモートワークを推奨する企業が増えたことでクラウドサービスの需要が高まったこと、外出自粛でECへの注目が高まったことが要因とされている。
そんなユニコーン企業が最も多いのは、2020年6月時点で、アメリカに228社が集中している。
第2位は中国で、122社のユニコーン企業が存在し、アメリカと中国で世界のユニコーン企業の半分以上を占めている。
第3位はイギリスの25社、インド、ドイツ、韓国、ブラジル、イスラエルと続いている。
日本はというと10社しかない。
ユニコーン企業トップ3
ByteDance(バイトダンス)
動画投稿サービスのTikTokなどを所有する中国の企業で世界最大級のスタートアップと称されている。
評価額は$140B(約15兆4,000億円)を超える。
Stripe(ストライプ)
インターネット向けの決済インフラとして急成長しているアメリカの金融サービス企業である。
いわゆるフィンテックの分野で、eコマースウェブサイトやモバイルアプリケーション向けに、決済処理ソフトウェアとアプリケーションプログラミングインターフェースを提供している。
評価額は$95B(約10兆4,500億円)を超える。
SpaceX(スペースX)
イーロン・マスクが起業したアメリカの宇宙事業を手がける企業である。
民間月旅行の最初の搭乗客が元ZOZOの社長、前澤友作氏であることを発表したことでも話題になった。
評価額は$74B(約8兆1,400億円)を超える。
日本のユニコーン企業一覧
株式会社Preffered Networks
機械学習などの研究と実用化を行っている企業で、評価額は3,564億円。
株式会社TRIPLE-1
半導体システム「KAMIKAZE」を開発している企業で、評価額は1,641億円。
株式会社Paidy
後払い決済サービスを提供する企業で、評価額は1,439億円。
株式会社クリーンプラネット
新水素エネルギーの実用化研究を行う企業で、評価額は1,298億円。
スマートニュース株式会社
ニュースアプリを運営する企業で、評価額は1,242億円。
株式会社TBM
紙やプラスチックの代替になる新素材「LIMEX」を開発する企業で、評価額は1,237億円。
Spiber株式会社
バイオ素材開発をする企業で、評価額は1,148億円。
リキッドグループ株式会社
仮想通貨取引関連の金融サービスを提供する企業で、評価額は1,127億円。
GVE株式会社
電子カルテプラットフォームやCBDCプラットフォームを開発する企業で、評価額は1,117億円。
株式会社Mobility Technologies
タクシーアプリ「GO」を提供する企業で、評価額は1,093億円。
ユニコーン企業の上にあるデカコーン企業とヘクトコーン企業
ユニコーン企業はとにかくイケイケのスタートアップだということは先述したとおりだ。
企業価値が10億ドル(約1,100億円)以上という日本の上場企業でも達成できていない評価をされていることは本当に素晴らしいことだ。
そんなユニコーン企業の概念にはさらに2つの上位概念がある。
1つ目はデカコーン企業である。
評価額が100億ドル(約1兆1,000億円)以上という企業で、世界に29社しかない。
驚くべきなのは、さらに上のヘクトコーン企業と呼ばれる企業が存在する。
もうお分かりだと思うが、評価額が1,000億ドル(約11兆円)以上という企業で、世界に1社しかない。
その1社が、今まさにイケイケのTikTok(ティックトック)のサービスを展開している、中国のByteDance(バイトダンス)である。
この事実がどのくらい強烈なのかというと、日本企業の時価総額TOP3は下記のとおりである。
- トヨタ自動車:約32兆5,000億円
- キーエンス:約15兆6,500億円
- SONYグループ:約14兆800億円
もはやスタートアップが、日本企業の第2位の位置に届こうとしているのである。
ByteDance(バイトダンス)の設立は2012年3月である。
あっという間に世界中で支持をされることになったTikTokの勢いがどれだけのものか、しっかりと受け止めるべきである。
まとめ
一般名詞化してきた、ユニコーン企業という言葉に加えて、デカコーン企業、ヘクトコーン企業という言葉も知っておくといいだろう。
テック系のスタートアップの王道は、資金調達をくり返し上場するというものだが、ユニコーン企業になると必ずしも上場(IPO)がゴールとは限らなくなる。
というのも、そもそも上場する最大のメリットは資金調達をすることにある。
それが資金が潤沢にあるとなると、わざわざ上場する意味もないと考えても不思議ではないからである。
ましてや、デカコーン企業やヘクトコーン企業ともなれば、なおさらである。
とはいえ、TikTok(ティックトック)を保有するByteDance(バイトダンス)も常に上場するという話題が出ては否定されてのくり返しだ。
先日も2022年までに香港市場に上場する計画というメディアの報道もあった。
世界で唯一のヘクトコーン企業であるByteDanceの動きに今後も注目したい。
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