引足救経 (いんそくきゅうけい)
→ 助けようとして逆に首吊りの足を引っ張ってしまう意から、行為と結果が相反すること。
顧客が本当に求める商品やサービスを生み、その情報を発信して、顧客がコスパ良く手に入れる状態を築くこと。
この一連の流れをマーケティングと呼ぶ。
簡単に置き換えると、人の心を掴む仕掛けをつくるということだ。
当然、上手くいくこともあれば、結果がついてこないこともある。
ということで、今回はマーケティングの成功事例を参考に集めてみた。
江戸時代に遡るマーケティングの元祖
日本史の授業で、平賀源内という人物のことを習った記憶をたどって欲しい。
江戸時代中頃から幕末に活躍した人物で、本草学者、地質学者、蘭学者、医者、殖産事業家、戯作者、浄瑠璃作者、俳人、蘭画家、発明家という多くの肩書きを持つ。
stak社のCEOとして刻まれているのは、エレキテルの修復に成功した人物としてというところだ。
エレキテルとは、摩擦を利用した静電気の発生装置で、西洋から日本に入ってきた。
当時の情報は現代と全く異なり、わずかな伝達と知識を頼りにするしかない。
そんな中で、平賀源内はエレキテルの修復に成功して静電気をバチッと見せることは当時は話題を集めた。
そして、平賀源内が仕掛けたとされる、マーケティングの元祖ともいえる風習が今でも続いている。
それが、土用の丑の日に鰻を食べるという風習だ。
このきっかけを作った人物だと語り継がれている。
そもそも、鰻の蒲焼きは味が濃くてこってりしているので、夏にはなかなか売れるものではなかった。
また、鰻の産卵期は冬で、多くの魚と同じく産卵前の脂を蓄えた秋から冬にかけてが最も美味しい旬とされている。
という事情も相まって、夏に鰻を食べるという風習はなかった。
そんな状況下で、夏にも鰻を売りたいという鰻屋が相談にいった先が、平賀源内のところというわけだ。
頼られた先の平賀源内が考え出したのが、丑の日だから「う」のつくものを食べると縁起が良いという語呂合わせだ。
そこに鰻は古来から精をつけるのに良い食べ物として知られていたことも加え、暑い夏を精のつく鰻で乗り切るという要素も加えた。
本日土用の丑の日
こう看板が掲げられた鰻屋の前には、気になった人々が足を止め、行列をなすようになっていったということである。
土用の丑の日
現代人には土用の丑の日といわれても刷り込まれているだけなので、ちょっと踏み込んでおこう。
土用の丑の日とは、「土用(どよう)」と「丑の日」の2つから成り立っている。
土用とは、新しい季節開始前の18日間に割り振られる期間のことを指す。
新しい季節の始まりを暦では、立春、立夏、立秋、立冬とし、毎年日付は異なる。
その4つの季節ごとに土用があるので、つまり土用は年に4回あるということになる。
なぜ、土なのかというと、この世のすべては、木・火・土・金・水の5つの要素でできているという中国伝来の陰陽五行説からきている。
万物の根源とされる木・火・土・金・水を、春=木、夏=火、秋=金、冬=水、と当てはめ、余った「土」を季節の変わり目に割り当てて土用(どよう)と呼んだのである。
年に4回ある土用のうち、夏の土用は梅雨明けや大暑に重なり体調を崩しやすいため、最も重要視されるようになったということだ。
一方で、丑の日とは、昔の暦では日にちを十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)で数えていたので、そのうちの丑に該当する日のことを指す。
要するに12日のサイクルで、夏の土用の18日の期間中に丑の日になるところとなると、2回くるときもあるというわけだ。
そんな両方の条件を満たしたのが、土用の丑の日で、2021年は7月28日(水)である。
マーケティングの目線
平賀源内がキャッチコピーの元祖、つまりマーケティングの元祖とされ、現代に様々な事例を生み出して来た人々がいる。
そんな例を挙げてみよう。
- 98円のリンゴ
- 120円のリンゴ
- 300円のリンゴ
この3つのリンゴを店頭に並べたときに、一番売れたリンゴはどれか想像つくだろうか。
答えは単純で一番安い98円のリンゴが圧倒的に売れた。
ところが、全く同じ3つのリンゴを使ってなんと4割以上が300円のリンゴを買った結果になった方法がある。
しかも、120円のリンゴも4割近く売れ、98円のリンゴはほとんど売れなかったという。
そのリンゴに仕掛けたストーリーを紹介しよう。
1)『青森産 ふじりんご』 98円
2)『今が旬!糖度12度の蜜がたっぷりのふじりんご』 120円
3)『無農薬!化学肥料不使用! キムラさんのりんご入荷』 300円
生産数が極めて少なく、めったに入荷しない非常にレアなりんごです。
青森のキムラさんが丹精込めて育てました(お一人様3個まで)
それからもう1つ。
今や子どもに大人気で親も簡単に作れるので便利だと世に浸透しているシリアル食品。
コーンフレークが有名だが、もともとはアメリカやイギリスの朝ごはんとして親しまれていたもので、日本にも入ってきた。
日本に入り始めた当時、日本では砂糖やチョコレートのかかったシリアル商品は、朝ごはんというよりもお菓子のイメージが強かった。
そこで、シリアル商品は、お菓子コーナーの棚に並べられていた。
ところが、なかなか売れていかない。
そんな状況を改善するために、とある手法を取り入れると、瞬く間に朝ごはんの仲間入りを果たすのである。
もちろん、商品の中身やパッケージはそのまま。
なにをしたのかというと、売り場を変えただけ。
今まではお菓子売り場に置いていたシリアル商品をパン売り場に変更した。
お菓子のイメージを朝ごはんのイメージに変えることで、一気にシリアル商品は朝ごはんの仲間入りしたのである。
先人に学ぶマーケティング理論
いろいろな先人のマーケティングの手法を紹介しているのは、難しいマーケティング理論を学ぶためではない。
ふと見落としがちな、簡単な方法で商品やサービスが陽の目をみる場合があるということだ。
売れている商品やサービスには必ず理由がある。
そのなぜに注目すると様々なヒントが生まれることは間違いない。
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