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2021年7月1日 投稿:swing16o

本を読むのは善でマンガを読むことは悪なのか?

韋編三絶(いへんさんぜつ)
→ 何度も繰り返し本を読むこと。

本を読むことを推奨する人が未だに多い。

一方で、本ではなく漫画を読むことを否定する人も一定数いるという事実がある。

果たして、本を読むことは良しとして漫画を読むことは悪なのだろうか。

国語に関する世論調査

文化庁が国語に関する世論調査を行っている。

平成7年度(1995年)から毎年行われている世論調査で、言葉に対する世論調査といったところだ。

令和元年度「国語に関する世論調査」の結果の概要

(出典)文化庁

 

具体的には、国語が乱れていると感じる人、つまり言葉遣いについてどのように感じている人が多いかの調査といってもいいだろう。

まあ、多くの人が簡単に想像できるだろうが、乱れていると感じる人が多いという結果になるのが定石だ。

というのも、メディアが若者言葉とか流行語といったものを祭り上げるため、最近の若者はという定番の拒絶が入るからである。

ただ、忘れてはいけないのが人類の歴史上、日本のみならず世界中で若者の言葉遣いに対して苦言を呈している書物などのエビデンスが残っている。

要するに、いつの時代も一定数が言葉が乱れているという主張をしているということである。

読書に関する世論調査

国語に関する世論調査は、毎年少しずつ調査項目が変わっている。

そんな中、冒頭の議論について読書についての調査が行われている年がある。

平成14年度(2002年)より約5年ごとに実施されていて、最新の調査は平成30年度のものだ。

平成 30 年度「国語に関する世論調査」の結果の概要

(出典)文化庁

 

調査対象は16歳以上の全国16歳以上の男女で、調査対象総数は3,590人のうち、有効回答数は1,960人。

果たして、政府が主体の調査でたった2,000人弱のデータがどのくらいの信憑性があるのかという疑問もあるが、指標の1つとして書いていこう。

まず、調査時期が2019年2月〜3月ということなので、2年以上前ということが大前提だ。

その前提の中での1つ目の調査項目は6つしかないので、1つずつ書き出していこう。

1.1か月に大体何冊くらい本を読むか

1ヶ月読書量(出典)文化庁

読まないが 47.3%、1冊以上読むと答えた人の割合が 52.6%となっている。

過去の調査結果(平成20年度、25年度)と比較すると、そこまで変化はない。

2.人が最も読書すべき時期はいつ頃だと考えるか

本を読む時期(出典)文化庁

10歳代が40.7%と突出していることがわかる。

特徴的なのは、調査をするごとに若年化しているということで、はやいうちに本を読ませようとしている傾向にある。

3.読書量は以前に比べて減っているか、それとも増えているか

読書量の変化(出典)文化庁

読書量は減っているが67.3%と過去の調査から着々と減っている。

4.読書をすることの良いところは何だと思うか

読書のいいところ(出典)文化庁

この項目については、正直あまり意味のない調査というか感覚でエビデンスがない部分だと思うので割愛しよう。

5.自分の読書量を増やしたいと思うか

読書を増やしたいか(出典)文化庁

そう思うが28.0%、ややそう思うが32.4%なので、そう思うの合計は60.4%となっている。

ただ、前回調査に比べるとそう思うの合計は6%近く減っていて、特にそう思うは9%近く減少している。

6.電子書籍を利用しているか

電子書籍(出典)文化庁

よく利用するが8.0%、たまに利用するが17.2%なので、利用するの合計は25.2%となっている。

前回調査と比べると、よく利用するとたまに利用するのいずれも増加している。

利用するの合計は約8%増加して、紙の本・雑誌・漫画しか読まないが約7%減少しているのが特徴だ。

読書に関する世論調査に対する疑問

この調査に大きく違和感を覚えたのは最後の電子書籍の利用についてだ。

そもそも、読書の中に漫画や雑誌を読むことが含まれていないということである。

読書の概念は活字だけを意味しているというのは、もはや時代遅れではないだろうか。

電車やバスなどの公共機関に乗ってみて欲しい。

ほとんど全員がスマホを片手にしていて、漫画を読んでいる人が多いと感じる人は多いはずだ。

それだけ、活字ではなく漫画に可処分時間を割いている現状をもっと徹底して調査すべきだろう。

漫画から得られる知識は案外多く、漫画の業界は絶好調だ。

マンガアプリにみる時代の変化

国語に関する世論調査の電子書籍の概念も曖昧な気がするが、マンガアプリは電子書籍に含まれているのだろうか。

というのも、マンガアプリを運営している企業の中には絶好調の企業も多い。

例を挙げるならば、ピッコマだろう。

運営はカカオジャパンというところで、韓国で圧倒的に使われているチャットツールであるカカオトークを展開する日本法人だ。

日本でいうところのLINEにあたるチャットツールを運営しているカカオジャパンだが、先日600億円の資金調達を発表した。

これにより、カカオジャパンの時価総額は約8,000億円となり、メルカリの時価総額に並ぶ規模になっている。

カカオジャパンによると、ピッコマのダウンロード数は2,700万を超えているということで、売上の大半がピッコマによるものということだ。

他にも、マンガBANG!といったマンガアプリも絶好調で2,000万ダウンロードを超えている。

 

この傾向は日本だけでなく、世界中でマンガが読まれているのだ。

それも1コマ1コマが縦スクロールになっていたりと日本のコミックとは違う表示のされ方をしたりと新しい文化が生まれている。

それだけコンテンツが簡単に提供できるようになったプラットフォームが増えており、もはや本とマンガを区別する垣根がなくなっているように思う。

マンガであれば簡単に読めて知識も入るという人も多いはずだ。

 

はっきりいって、言葉遣いや国語の乱れなど本を読むことで防ぐことなどできないのだ。

大切なのは教養を身につけることで、その手法は本を読むことでもマンガを読むことでもいい。

コンテンツが溢れている今の時代に、なにを選択するのか、その能力を高める教育が必要になっていると感じている。

 

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植田 振一郎 Twitter

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