一度承諾すれば、それは千金にも匹敵する重みがあること。
企業のトップや政治家が責任を取って、その立場を退くことを選択することがある。
減俸したり、更迭されたりすることもある。
一度、その立場になることを承諾したのに、サラッと退くことを選択することに違和感を覚えることがある。
まあ、見苦しいほどにその立場に留まろうとするよりは、潔く去った方が好感が持てる場合もある。
いずれにせよ、論点は責任の取り方だ。
承諾することは、千金にも匹敵する重みがあることをしっかり認識することだ。
簡単にその場を去ることだけが責任の取り方ではない。
損害を出したのであれば、せめてトントンに持っていくまで責任を取って面倒を見るべきだと思う。
百歩譲って、トントンまで持っていくロードマップを描くことをしてから退くべきだろう。
イケイケなポジションは誰もがモチベーションが上がる。
一方で、敗戦処理ほど、メンタルを保つことが難しい。
これ以上、出血してはいけないというネガティブな部分を担うわけで、マイナスをプラスマイナスゼロに持っていくことがミッションだ。
プラスに持っていくことではない、あくまでプラスマイナスゼロに持っていくことで、評価されにくい。
いくら売上を作ったとか利益を作ったという方が評価されやすいし、プレーヤーとしてもやりがいを感じるだろう。
ちょうど1年前の今頃、緊急事態宣言により、家から出ることができなくて、これでもかというくらい時間があった。
無駄に朝と夜にお風呂に入ったり、友人に勧められた韓流ドラマを観たりしていた。
それでも時間を持て余して、アマゾンプライムビデオからなにを観ようか探していたときに、ついつい一気に観てしまったのが、この作品だ。
山一證券といえば、野村證券、大和證券、日興證券とともに日本四大證券の一角を担っていたが、1997年(平成9年)の11月24日に自主廃業した。
なんとなく、この史実を知ってはいたが、詳しいことは理解していなかった。
そんな人には本当にオススメの作品だ。
話の展開も面白く、飽きさせずに一気に観ることができる。
と同時に、未だにこの山一證券と同様のマインドの日本の大企業も多いのではないだろうかと思わせてくれる。
なぜ破綻に至ったのか、真相を追求するために社内調査委員たちが立ち上がるのだが、まさに敗戦処理の極みの仕事だ。
実話に基づいた展開は本当に見ごたえがある。
と同時に、完結したときに一体なにが残ったのだろうかという虚無感も出てくる。
責任を全うした7名の社内調査委員たちには敬意しかない。
けれども、そこに割いた時間と得られたものが財産になるだろうか。
承諾したことを全うした姿とのトレードオフを考えさせられる。
stak社の最高型を考えて最前線で動くことがCEOとしての役割だということは十分にわかっている。
多くの人を巻き込んでいる以上、その責任は重いということは十分に理解しているつもりだ。
その責任が日に日に大きくなっていることは、事業が拡大している、自分自身が成長していると受け取ろう。
その一方で、最悪のシナリオにも備えなければいけないという自分がいることも否めない。
全てが順調に上手くいけばいいが、必ずしもそうとは限らない。
そんなとき、どこまでやるのかをきちんと判断をしなければ、再起不能になってしまっては意味がない。
プラスの承諾、マイナスの承諾、いずれも千金にも匹敵する重みがある。
挑戦する以上は、そのいずれの立場を迎えたとしても、凛としていたい。
最前線で道を切り拓く立場であっても、敗戦処理を行う殿であっても、凛としていたい。
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