緑葉成陰(りょくようせいいん)
→ 女性が嫁いで子を産み育て、豊かに繁栄することのたとえ。
唐の詩人・杜牧(803〜852年)が詠んだ「嘆花」という詩に、こんな一節がある。
「狂風落尽深紅色、緑葉成陰子満枝」——激しい風が深紅の花びらをすべて散らし、緑の葉が陰をなすほど茂り、枝には子が溢れている。
この詩は杜牧が若い頃に結婚を約束した女性を、14年後に訪ねたところ、すでに子持ちの妻になっていたという逸話に基づくとされている。
「緑葉成陰」とは元々、女性が嫁いで多くの子を産み育てることのたとえとして使われてきた四字熟語だ。
しかし私はこの言葉を、もう少し別の角度から受け取りたい。
緑の葉が陰をなすほど茂るのは、根がしっかりと大地を掴んでいるからだ。
誰かの庇護ではなく、自分自身の根で地面を捉え、養分を吸い上げ、葉を広げる。
その姿が、今回のブログのテーマだ。
家系の力でも、夫の資産でもなく、完全に自分の力だけで経済的な成功を掴んだ女性たち——彼女たちはなぜ、そこまで到達できたのか。
データと事実で追いかけると、共通する法則が見えてくる。
緑葉成陰の本質——1200年前の詩が今日の私たちに問いかけること
杜牧が「嘆花」を詠んだのは唐代(618〜907年)のことだ。
「花」が若く美しい女性を、「緑葉成陰子満枝」が嫁いで子を育て充実した人生を送る女性を象徴している。
中国の古典においては、この「緑葉成陰」は婚姻と繁栄の象徴だった。
しかし時代を越えて現代の文脈に置き直すと、この四字熟語は「根を張り、自分の力で豊かに広がること」という普遍的な意味を帯びてくる。
緑の葉が陰をなすほど茂るには、まず根が必要だ。
深く、太く、大地に刻まれた根。
それは才能であり、努力であり、「自分はこれで生きる」という覚悟だ。
今回のブログでは、その覚悟を持って自分の根で地面を掴んだ女性たちを、エビデンスとともに紹介する。
まず問題を直視する——日本の女性経営者の現在地はどこにあるか
緑の葉が茂る前に、まず土壌を確認しておきたい。
2024年、日本の女性社長の数は64万9,262人(東京商工リサーチ調査)に達し、全社長に占める割合が初めて15%を超えた。
2010年の21万2,153人から14年で約3倍に増えたことは、確かに目覚ましい進歩だ。
◆ビジュアルデータ①「日本の女性社長 推移」
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2010年:21万2,153人(女性社長率:非公表)
2023年:61万2,224人(女性社長率:14.96%)
2024年:64万9,262人(女性社長率:15.24%、初の15%超)
→14年間で約3倍(206%増)
出典:東京商工リサーチ「全国女性社長分析調査(2024年)」
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しかし一方で、深刻なデータもある。
2024年の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によれば、男性の月額賃金を100とした場合、女性は75.8にとどまる。
つまり、同じ時間働いても女性は男性より約24%低い賃金しか得られていないという現実だ。
◆ビジュアルデータ②「男女賃金格差(2024年)」
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男性の月額賃金:36万3,100円
女性の月額賃金:27万5,300円
女性は男性比で75.8%(格差24.2%)
管理職に占める女性比率:14.6%(内閣府、2023年)
米国の管理職女性比率:42.6%(同比較)
G7(主要7か国)最低水準:日本
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さらに、帝国データバンクの調査では女性社長が経営する企業の69.8%は売上1億円未満の小規模事業者だ。
数は増えているが、規模はまだ小さい。
この「土壌の現実」をまず直視した上で、それでも自力で大きな根を張った女性たちを見ていく。
世界の自力成功女性——根が深い者は嵐でも揺れない
フォーブスが毎年発表する「自力で成功した女性」ランキングには、いくつかの共通点がある。
まず世界規模で見ると、自力でビリオネア(資産10億ドル超)になった女性に特徴的な3つの分野がある。ファッションやコスメなど「美を売るビジネス」、歌やトークなど「才能を売る職業」、そして独自の知的財産を持つ分野だ。
◆ビジュアルデータ③「自力成功女性の主要事例」
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【オプラ・ウィンフリー(米国)】
総資産:約28億ドル(2023年末時点)
出身:ミシシッピ州、未婚のシングルマザーの子として誕生
出発点:9歳で性的虐待を受け、10代で妊娠・死産を経験
転機:16歳でラジオ局アルバイト → 19歳でニュースキャスター
→「オプラ・ウィンフリー・ショー」(1986年〜2011年)で全米制覇
→ 2003年に49歳でビリオネア入り
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【リアーナ(バルバドス出身)】
総資産:推定17億ドル超(フォーブス調査)
音楽収入以外の稼ぎ:フェンティビューティ(2017年ローンチ)
→ 発売後数週間で1億ドル(約108億円)を売り上げ
→ 世界で最も裕福な女性ミュージシャンに(2019年)
事業の特徴:50種類以上のファンデーション色展開で多様性を体現
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【トリー・バーチ(米国)】
自分の名前を冠したブランドを世界370店舗に展開
2022年の売上:17億5,000万ドル(約2,500億円)
特記:「トリーバーチ財団」を設立し女性の経済的自立を支援
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この3人に共通するのは、「自分が使いたいものを作った」という原点だ。
オプラは自分が語りたいことを語った。
リアーナは自分の肌に合うコスメがないから作った。
トリーバーチは自分が着たいファッションを世に出した。
「自分の体験」が「世界の需要」と一致したとき、事業は加速する。
なぜ彼女たちは稼げたのか——私が考える「根を張る力」の正体
私はstak, Inc. のCEOとして、日々「どうすれば事業が根を張るか」を考えている。
照明や空間のIoT事業であっても、ブログ執筆であっても、根の張り方は同じだと思っている。
自力で成功した女性たちを分析していくと、私が考える「根を張る力」には3つの共通要素がある。
一つ目は、「自分ごとであること」だ。
オプラが語った言葉、リアーナが作ったコスメ、トリーバーチが売ったファッション——すべて最初に「自分が欲しい」「自分が困っている」という一人称の動機がある。
他人のために作ったものではなく、自分の課題を解決するために動いたことが、圧倒的な熱量を生む。
二つ目は、「プラットフォームを自分で持ったこと」だ。
オプラは制作会社Harpo Productionsを自ら設立し、番組の権利を手中に収めた。
リアーナはLVMHと組みながらもブランドの主導権を維持した。
自分のメディア、自分のブランド、自分の販路——プラットフォームを持った者が長期的に勝つ。
三つ目は、「逆境を物語に変えたこと」だ。
オプラは貧困・虐待・10代での妊娠という体験を隠さず、むしろそれを語ることで視聴者との信頼を築いた。
苦しんだ人間だからこそ、苦しんでいる人間の心に届く。
◆ビジュアルデータ④「日本の女性起業家の課題(デル・テクノロジーズ調査)」
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起業事業の年間売上
「1,000万円未満」:68.3%(最多)
「1億円以上」:5.0%(少数)
ビジネス上の課題上位
1位:専門知識・技術の習得(45.5%)
2位:経営知識の習得(43.7%)
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この数字を見ると、日本の女性起業家の課題は「知識と経験の蓄積」にある。
逆に言えば、そこを埋めさえすれば、まだ伸びしろは十分にある。
まとめ
緑葉成陰——緑の葉が陰をなすほどに茂るのは、根が深いからだ。
1200年前に杜牧が詠んだ詩の中の「緑葉成陰子満枝」は、最初は女性の婚姻と繁栄を描いた言葉だった。
しかし今この時代に生きる私には、それは別の意味に映る。
家系でも夫でもなく、自分の力で根を張り、葉を広げ、陰を作る——それが「現代の緑葉成陰」の本質だ。
2024年、日本の女性社長は64万9,262人に達したが、管理職に占める女性比率はまだ14.6%でG7最低水準だ。
世界では、オプラ・ウィンフリーが28億ドルの資産を持ち、リアーナのフェンティビューティが発売後数週間で1億ドル(約108億円)を売り上げた現実がある。
その差を生んだのは、才能の差でも運の差でもないと私は思っている。
「自分ごと」で動いたかどうかの差だ。
誰かのために、社会のために、と言いながらも、最終的に最も強い動機は「自分が欲しい」「自分が困っている」という一人称の課題だ。
私がstak, Inc. でIoTや照明に取り組んでいるのも、根っこは同じだ。
自分が社会に感じた課題を、自分の会社で解決する。
プラットフォームを持ち、逆境を物語に変え、一人称の動機で動き続ける。
緑葉成陰とは、そういう生き方を選んだ人間の結果だ。
あなたの根は、今どこに向かっているだろうか。
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