News

お知らせ

2025年10月19日 投稿:swing16o

世界の本当の大きさTOP 20:メルカトル図法に騙されるな!

无何之郷(むかのきょう)
→ 荒涼として果てしなく広い所。

世界地図を見るとき、あなたは何を感じるだろうか。

グリーンランドが南米大陸と同じくらいの大きさに見える。

ロシアがアフリカの2倍はありそうだ。日本はアメリカと比べると米粒のように小さい。

しかし、これらはすべて錯覚だ。

私たちが日常的に目にする世界地図の多くは「メルカトル図法」という投影法で描かれている。

この図法は1569年にフランドル(現ベルギー)の地理学者ゲラルドゥス・メルカトルが発表したもので、大航海時代の航海用地図として革命的な発明だった。

経線と緯線が直角に交わり、任意の2点を結ぶ直線が一定の角度を保つため、羅針盤を使った航海に最適だったのだ。

だが、この図法には致命的な欠点がある。

高緯度に行けば行くほど、面積が実際よりも極端に拡大されてしまうのだ。

荘子が『逍遥遊』で語った「无何之郷」──何も無い果てしなく広い理想郷。

まさに私たちが見ている世界地図は、本当の大きさを歪めた虚構の「无何之郷」かもしれない。

赤道付近の国々は実際よりも小さく、北極や南極に近い国々は実際よりも遥かに大きく描かれている。

今回は、この歪んだ世界地図の真実を暴き、実際の国の面積TOP 20を徹底的に解説する。

そして、なぜ500年近く経った今でもメルカトル図法が使われ続けているのか、その理由にも迫っていこう。

このブログで学べること:地図が教えてくれない地球の本当の姿

このブログを読めば、以下のことが明確に理解できる。

まず、メルカトル図法がどれだけ面積を歪めているのか、具体的な数値とともに把握できる。

例えばグリーンランドの実際の面積は216万km²だが、メルカトル図法の地図上ではアフリカ大陸(3,037万km²)と同じくらいの大きさに見える。

実際にはアフリカはグリーンランドの約14倍も大きい。

次に、世界の国の面積トップ20を正確なデータとともに学べる。

ロシアが圧倒的な1位であることは知られているが、2位のカナダと3位のアメリカの面積がほぼ同じであること、7位のインドが意外に大きいこと、12位のグリーンランドがデンマークの自治領であることなど、知られざる事実が満載だ。

そして、なぜこれほど歪んだ地図が今も使われ続けているのか、その歴史的・技術的背景を理解できる。

Googleマップをはじめとする現代のウェブ地図も、実はメルカトル図法(正確にはWebメルカトル)を採用している。

それには合理的な理由がある。

最後に、地図投影法の本質──球体を平面に変換する際の必然的なトレードオフについて深く理解できる。

角度、距離、面積、方位。すべてを同時に正確に表現することは数学的に不可能だ。だからこそ、目的に応じて最適な地図を選ぶ必要がある。

メルカトル図法の衝撃的な歪み:グリーンランドとアフリカの真実

問題提起から始めよう。

あなたは今、世界地図を思い浮かべてほしい。

グリーンランドはどのくらいの大きさに見えるだろうか。

おそらく、南米大陸やアフリカ大陸と同じか、それに近い大きさに感じるはずだ。

しかし、実際の面積を比較すると、驚愕の事実が明らかになる。

  • グリーンランドの実際の面積:2,166,086 km²
  • アフリカ大陸の実際の面積:30,370,000 km²

アフリカ大陸はグリーンランドの約14.5倍も大きい。

これは誇張でも何でもない。

メルカトル図法では、緯度60度付近では面積が約4倍に拡大され、グリーンランドが位置する緯度70度以上では、面積が実に17倍にも拡大されてしまう。

具体的な数値で見てみよう。

メルカトル図法における面積の拡大率は、緯度によって以下のように変化する。

  • 赤道(緯度0度):拡大率 1倍(正確)
  • 緯度30度:拡大率 約1.33倍
  • 緯度45度:拡大率 約2倍
  • 緯度60度:拡大率 約4倍
  • 緯度75度:拡大率 約15倍以上

これは、緯線の長さが高緯度ほど短くなるにもかかわらず、メルカトル図法ではすべての緯線を赤道と同じ長さで表現するため、横方向に拡大される。

そして、正角性(角度の正確さ)を維持するために、縦方向も同じ比率で拡大しなければならない。

その結果、面積が緯度の2乗に比例して拡大されてしまうのだ。

別の例を見てみよう。

  • スカンディナビア半島(ノルウェー・スウェーデン・フィンランド)の合計面積:約1,145,000 km²
  • インドの実際の面積:3,287,263 km²

インドはスカンディナビア半島全体の約2.9倍の大きさだ。

しかし、メルカトル図法の地図を見ると、スカンディナビア半島の方が大きく見える。

これは、スカンディナビア半島が北緯55度から70度に位置するのに対し、インドが北緯8度から35度に位置するためだ。

さらに衝撃的なのは、南米大陸とロシアの比較である。

  • 南米大陸全体の面積:約17,840,000 km²
  • ロシアの実際の面積:17,098,242 km²

南米大陸全体の方がロシアよりもわずかに大きい。

しかし、メルカトル図法の地図では、ロシアが圧倒的に巨大に見える。

これは、ロシアの大部分が北緯50度以上に位置するためだ。

なぜこれが問題なのか?

メルカトル図法の歪みは、単なる数学的な興味の対象ではない。

私たちの世界認識そのものに深刻な影響を与えている。

まず、教育現場での影響が大きい。

多くの学校で使用される世界地図がメルカトル図法であるため、子供たちは歪んだ世界観を刷り込まれる。

「アフリカは小さい」「ヨーロッパは大きい」という誤った印象が形成され、それが大人になっても残り続ける。

実際のデータを見てみよう。

  • アフリカ大陸の面積:30,370,000 km²
  • ヨーロッパ全体の面積:約10,180,000 km²

アフリカはヨーロッパの約3倍も大きい。

さらに驚くべきことに、アフリカ大陸の中には以下の国々がすべて入ってしまう。

  • アメリカ合衆国(9,826,675 km²)
  • 中国(9,596,961 km²)
  • インド(3,287,263 km²)
  • 日本(377,975 km²)
  • イギリス(242,495 km²)
  • フランス(643,801 km²、海外領土含む)
  • ドイツ(357,114 km²)
  • スペイン(505,992 km²)
  • イタリア(301,336 km²)

これらすべてを合わせても、約25,139,612 km²で、まだアフリカの方が大きい。

次に、経済的・政治的な影響も無視できない。

世界のGDPや人口の分布を理解する際、面積の歪みは重大な誤解を生む。

例えば、アフリカ大陸には54の国があり、総人口は約14億人(2023年時点)に達する。

これは世界人口の約17%だ。

しかし、メルカトル図法の地図を見ると、アフリカが世界に占める重要性が過小評価されがちになる。

具体的なデータで見るアフリカの実際の大きさ

アフリカ大陸に収まる国々の面積比較は下記のとおりだ。

  • アメリカ + カナダ + メキシコ(北米三国合計):約21,775,720 km²
  • ヨーロッパ全体:約10,180,000 km²
  • これらを合わせても:約31,955,720 km²
  • アフリカ単独:30,370,000 km²

つまり、アフリカはほぼ北米全体とヨーロッパ全体を合わせた広さに近い。

また、地政学的な観点からも問題がある。

冷戦時代、西側諸国(主に北半球の高緯度)が地図上で大きく見えることで、その影響力が実際以上に強調された。

逆に、赤道付近の発展途上国は実際よりも小さく見えることで、その重要性が過小評価されがちだった。

2013年には、ドイツの建築家カイ・クラウゼが「The True Size of Africa」というインフォグラフィックを発表し、アフリカの本当の大きさを視覚化して世界に衝撃を与えた。

このインフォグラフィックは、アメリカ、中国、インド、ヨーロッパの主要国をすべてアフリカの地図の中に配置し、それでもまだ余裕があることを示した。

別の視点から見る歪み:日本とブラジルの意外な関係

問題をさらに別の角度から見てみよう。

今度は私たちの母国、日本を基準に考える。

  • 日本の面積:377,975 km²
  • ブラジルの面積:8,514,877 km²

ブラジルは日本の約22.5倍の大きさだ。

しかし、メルカトル図法の世界地図を見ると、この差はそれほど大きく感じられない。

なぜなら、日本は北緯24度から45度に位置し、ある程度の拡大補正を受けているのに対し、ブラジルは南緯5度から33度に位置し、赤道に近いため比較的正確に表示されるからだ。

もっと驚くべき比較をしてみよう。

  • 北海道の面積:83,424 km²
  • オーストリア・スイス・ベルギー・オランダの合計面積:約145,000 km²

メルカトル図法では北海道が比較的大きく見えるが、実際にはこれら4つのヨーロッパの国を合わせた方が1.7倍以上大きい。

しかし、地図上では北海道とこれらの国々がほぼ同じくらいの大きさに見える。

これは、北海道が北緯41度から45度に位置するのに対し、これらのヨーロッパ諸国が北緯43度から52度に位置し、双方とも拡大されているためだ。

では、実際の国の面積トップ20を見ていこう。

ここからが本題だ。

世界の面積TOP 20:データで見る地球の本当の姿

実際の国の面積を、正確なデータとともに詳しく見ていく。

各国の特徴や、意外な事実も交えながら解説しよう。

1位:ロシア連邦 – 17,098,242 km²

圧倒的な1位はロシアだ。

全世界の陸地面積(約148,940,000 km²)の約11.5%を占める。

東西の長さは約10,000km、時差は11時間もある。

ロシアだけで、ヨーロッパ全体の約1.7倍の面積を持つ。

興味深いのは、ロシアの人口密度が1km²あたり約8.4人と極めて低いことだ。

これは世界平均の約60人/km²と比べると、いかにロシアが広大で人口が希薄かがわかる。

シベリアの永久凍土地帯が国土の大部分を占めるため、居住可能な地域は限られている。

2位:カナダ – 9,984,670 km²

カナダは世界第2位の面積を誇る。

アメリカとほぼ同じ大きさだが、人口はわずか約3,900万人(2023年)で、アメリカの約3億3,300万人と比べると8.5分の1程度だ。

カナダの北部は北極圏に位置し、広大なツンドラ地帯が広がる。

実はカナダには世界最大の淡水湖であるスペリオル湖の一部が含まれており、内陸水域の面積も膨大だ。

3位:アメリカ合衆国 – 9,826,675 km²

アメリカは中国とほぼ同じ面積で、僅差の3位だ。

ただし、CIA World Factbookの計算方法では、五大湖の水域や領海を含めるか否かで順位が変動する。

歴史的には、1997年まで中国が3位、アメリカが4位とされていた時期もあった。

アメリカの特徴は、多様な気候帯を持つことだ。

北はアラスカの極寒地帯から、南はフロリダやハワイの熱帯気候まで、あらゆる環境が存在する。

4位:中華人民共和国 – 9,596,961 km²

中国の面積は、アメリカとほぼ同じだが、人口は約14.1億人(2023年)と、アメリカの約4.2倍もいる。

人口密度は約147人/km²で、アメリカの約36人/km²と比べると4倍以上高い。

中国の国土には、世界最高峰のエベレスト(チョモランマ)を含むヒマラヤ山脈から、ゴビ砂漠、チベット高原、長江流域の肥沃な平野まで、極めて多様な地形が含まれる。

5位:ブラジル – 8,514,877 km²

南米最大の国であり、南米大陸の約47.7%を占める。

世界最大の熱帯雨林であるアマゾンの約60%がブラジル国内にある。

ブラジルの面積は、オーストラリアよりも約10%大きい。

しかし、メルカトル図法ではオーストラリアの方が大きく見えることがある。

これは、ブラジルが赤道を挟んで南北に広がるのに対し、オーストラリアが南半球の中緯度に位置するためだ。

6位:オーストラリア – 7,741,220 km²

オーストラリアは世界最大の島国であり、大陸国家でもある。

面積はヨーロッパ全体の約76%に相当する。

興味深いのは、オーストラリアの人口がわずか約2,600万人(2023年)で、人口密度が3.4人/km²と極めて低いことだ。

国土の大部分は乾燥地帯や砂漠で、人口の約90%が沿岸部の都市に集中している。

7位:インド – 3,287,263 km²

インドは意外に大きい。

日本の約8.7倍の面積を持つ。

そして人口は約14.2億人(2023年)で、中国を抜いて世界第1位となった。

人口密度は約432人/km²と非常に高い。

インドの北部にはヒマラヤ山脈が聳え、南部は熱帯気候、中央部には広大な平原が広がる。

この多様な地形と気候が、インドの文化的多様性の基盤となっている。

8位:アルゼンチン – 2,780,400 km²

南米第2位の面積を持つアルゼンチンは、日本の約7.4倍の大きさだ。

北部の亜熱帯地域から、南部のパタゴニアの氷河地帯まで、南北に細長く伸びる国土は多様な気候帯を含む。

アルゼンチンの人口は約4,600万人で、人口密度は約16.5人/km²と比較的低い。

首都ブエノスアイレス都市圏に人口の約3分の1が集中している。

9位:カザフスタン – 2,724,900 km²

世界最大の内陸国であるカザフスタンは、中央アジアに位置し、ロシアと中国に挟まれている。

旧ソ連から独立した国の中では最大の面積を持つ。

カザフスタンの人口は約1,900万人で、人口密度は約7人/km²と低い。

国土の大部分はステップ(草原)や半砂漠地帯だ。

10位:アルジェリア – 2,381,741 km²

アフリカ最大の国であるアルジェリアは、かつてはスーダンが最大だったが、2011年に南スーダンが独立したため、アルジェリアがトップとなった。

国土の約80%はサハラ砂漠に覆われており、人口の大部分は北部の地中海沿岸地域に集中している。

人口は約4,500万人で、人口密度は約19人/km²だ。

11位:コンゴ民主共和国 – 2,344,858 km²

アフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国(旧ザイール)は、アフリカで2番目に大きい国だ。

世界第2位の熱帯雨林であるコンゴ盆地の大部分を占める。

人口は約9,900万人(2023年)で、人口密度は約42人/km²。

豊富な天然資源を持つが、長年の内戦により開発が遅れている。

12位:グリーンランド(デンマーク領)– 2,166,086 km²

グリーンランドは世界最大の島だ。

デンマークの自治領であり、独立国ではないが、その面積は驚異的に大きい。

しかし、人口はわずか約5.6万人で、世界で最も人口密度が低い地域の一つだ(約0.026人/km²)。

国土の約80%が氷床に覆われており、居住可能な地域は沿岸部に限られる。

メルカトル図法で最も歪んで見える地域の代表例がグリーンランドだ。

13位:サウジアラビア – 2,149,690 km²

アラビア半島の大部分を占めるサウジアラビアは、世界最大の石油埋蔵量と生産量を誇る。

国土の大部分は砂漠で、ルブアルハーリ砂漠(空白地帯)は世界最大の砂砂漠の一つだ。

人口は約3,600万人で、人口密度は約17人/km²。

石油収入により急速な都市化が進んでいる。

14位:メキシコ – 1,964,375 km²

北米の南部に位置するメキシコは、ラテンアメリカで5番目に大きい国だ。

人口は約1.3億人で、スペイン語圏では最大の人口を持つ。

メキシコの地形は多様で、高原、山脈、砂漠、熱帯雨林が存在する。

文化的にも、先住民文化とスペイン文化が融合した独特の文化を持つ。

15位:インドネシア – 1,904,569 km²

世界最大の島嶼国家であるインドネシアは、約17,000の島々から成る。

主要な島はジャワ島、スマトラ島、ボルネオ島(カリマンタン)、スラウェシ島、ニューギニア島(西半分)だ。

人口は約2.8億人で、世界第4位。

人口密度は約147人/km²だが、ジャワ島には人口の約6割が集中し、人口密度は1,100人/km²を超える。

16位:リビア – 1,759,540 km²

北アフリカに位置するリビアは、国土の約90%がサハラ砂漠に覆われている。

人口は約700万人で、人口密度は約4人/km²と極めて低い。

リビアは豊富な石油資源を持つが、2011年の内戦以降、政情が不安定な状況が続いている。

17位:イラン – 1,648,195 km²

中東の大国イランは、日本の約4.4倍の面積を持つ。

人口は約8,800万人で、人口密度は約53人/km²。

イランの地形は複雑で、高原、山脈、砂漠が混在する。

ペルシャ湾とカスピ海に面し、戦略的に重要な位置にある。

18位:モンゴル – 1,564,110 km²

世界で最も人口密度が低い独立国の一つであるモンゴルは、人口約340万人で、人口密度はわずか約2.2人/km²だ。

国土の大部分はステップや砂漠で、ゴビ砂漠の一部を含む。

モンゴルは歴史的にチンギス・ハンが築いた巨大帝国の発祥地として知られている。

19位:ペルー – 1,285,216 km²

南米の西海岸に位置するペルーは、アマゾン熱帯雨林、アンデス山脈、太平洋沿岸の砂漠という3つの異なる地域から成る。

人口は約3,400万人で、人口密度は約26人/km²。

インカ帝国の中心地として、豊かな歴史と文化遺産を持つ。

20位:チャド – 1,284,000 km²

アフリカ中央部に位置する内陸国チャドは、国土の北部がサハラ砂漠、中部がサヘル地帯、南部がサバンナという多様な気候帯を持つ。

人口は約1,700万人で、人口密度は約13人/km²。

世界最貧国の一つに数えられ、政情も不安定だ。

なぜメルカトル図法は今も使われるのか?

ここまで見てきたように、メルカトル図法には重大な欠点がある。

それなのに、なぜ500年近く経った今でも広く使われているのだろうか。

答えは、目的にある。

メルカトル図法の最大の利点は、正角性、つまり角度が正確であることだ。

地図上の任意の2点を結ぶ直線は、常に一定の角度で経線と交わる。

これを「等角航路」または「航程線」と呼ぶ。

大航海時代、羅針盤を頼りに航海する船乗りにとって、この特性は革命的だった。

目的地までの方角を測り、その方角を維持しながら進めば、必ず目的地に到着できる。

現在位置が多少ずれても、方角さえ合っていれば目的地に向かえる。

GPSがない時代、これは極めて実用的だった。

もう一つの大きな理由は、技術的な利便性だ。

メルカトル図法では、経線と緯線が直交する長方形のグリッドを形成する。

これはデジタル地図、特にタイル方式の地図(Googleマップなど)にとって理想的だ。

地図を正方形のタイルに分割し、必要な部分だけをロードできる。拡大・縮小の計算も単純で、コンピュータ処理に適している。

実際、現代のウェブ地図で使われる「Webメルカトル」は、メルカトル図法を改良したものだ。

地球を完全な球体と仮定し(実際は楕円体だが)、緯度約85度以上の極地を切り捨てることで、地球全体を正方形に収めている。

これにより、タイル分割とズーム機能が効率的に実装できる。

しかし、問題は依然として残る。

私たちは、航海用の地図世界認識の基準として使い続けている。

これは本質的におかしい。

航海では面積の正確さはそれほど重要ではないが、地理教育や世界情勢の理解には致命的だ。

実は、メルカトル図法以外にも様々な地図投影法が存在する。

  • モルワイデ図法:面積が正確で人口分布図などに使われる。
  • 正距方位図法:中心からの距離と方位が正確で航空図に使われる。
  • ロビンソン図法:面積、角度、距離のバランスを取った妥協案としてNational Geographicが採用していた。
  • グード図法:海を切り取って大陸の形を保つ。
  • ピータース図法:面積が正確で赤道付近の国を適切に表現。

それぞれに長所と短所があり、目的に応じて使い分けるべきだ。

しかし、現実には、メルカトル図法の圧倒的な普及により、多くの人がこれを「正しい世界地図」だと思い込んでいる。

数学的な真実を言えば、球体を平面に投影する際、以下の4つの特性を同時に満たすことは不可能だ。

  1. 角度の正確さ(正角性)
  2. 面積の正確さ(正積性)
  3. 距離の正確さ(正距性)
  4. 方位の正確さ(正方位性)

これは「ガウスの驚異の定理」として知られる数学的事実だ。

どれかを正確にすれば、他が犠牲になる。

メルカトル図法は角度を選び、面積を犠牲にした。

モルワイデ図法は面積を選び、角度を犠牲にした。

つまり、完璧な地図は存在しない

まとめ

荘子が『逍遥遊』で語った「无何之郷」──何も無い果てしなく広い理想郷。

私たちが日常的に見ている世界地図は、ある意味で虚構の「无何之郷」だ。

実際の大きさを歪め、私たちの世界認識を歪めている。

しかし、それは悪意によるものではなく、技術的な必然と歴史的な経緯によるものだ。

重要なのは、地図の限界を理解することだ。

メルカトル図法は航海用としては優れているが、世界の実際の姿を理解するには不適切だ。

グリーンランドはアフリカの14分の1しかない。

アフリカは北米とヨーロッパを合わせた広さに近い。

ロシアは確かに巨大だが、南米大陸の方がわずかに大きい。

この記事で紹介した面積トップ20のデータを見れば、世界の本当の大きさが見えてくる。

1位のロシア(1,710万km²)から20位のチャド(128万km²)まで、各国の実際の広さを知ることで、地政学的な理解も深まる。

なぜロシアが広大な領土を持ちながら人口密度が低いのか。

なぜアフリカが経済的に重要なのか。

なぜインドと中国が世界の人口の3分の1以上を占めるのか。

そして、なぜ今も私たちはメルカトル図法を使い続けるのか。

それは、Googleマップをはじめとするデジタル地図の技術的な利便性と、500年の歴史による慣性によるものだ。

しかし、教育現場では、メルカトル図法だけでなく、モルワイデ図法や正距方位図法も併用すべきだ。

目的に応じて最適な地図を選ぶ──これが真の地理リテラシーだ。

最後に、荘子の言葉に戻ろう。

「大樹を无何之郷の広漠の野に植えて、その側で逍遥せよ」

无何之郷──何も無い果てしなく広い理想郷。

しかし、本当に何も無いのだろうか。

いや、そこには無限の可能性と、私たちがまだ気づいていない真実がある。

地図の歪みを理解すること。

それは、世界の本当の姿を見る第一歩だ。

メルカトル図法という色眼鏡を外し、地球の真の広がりを感じること。

そこから、新しい世界認識が始まる。

データは嘘をつかない。

けれども、データの見せ方は私たちを騙すことができる。

世界地図を見るとき、あなたはもう騙されない。

グリーンランドが巨大に見えても、それが実際には日本の約5.7倍に過ぎないことを知っている。

アフリカが小さく見えても、それが実際には世界の陸地面積の約20%を占める巨大な大陸であることを知っている。

「无何之郷」──果てしなく広い世界。

それを正しく理解することで、私たちの視野は真に広がる。

地図は世界を表現する道具に過ぎない。

本当の世界は、データの中にある。

 

<参考データ>

  • CIA World Factbook
  • United Nations Statistics Division
  • 国土地理院
  • Wikipedia「国の面積順リスト」
  • National Geographic

※本ブログの執筆にあたっては、複数の信頼できる情報源から2025年10月時点の最新データを使用しています。

 

【X(旧Twitter)のフォローをお願いします】

植田 振一郎 X(旧Twitter)

stakの最新情報を受け取ろう

stakはブログやSNSを通じて、製品やイベント情報など随時配信しています。
メールアドレスだけで簡単に登録できます。