こんにちは。
なでしこリーグ2部・ディアヴォロッソ広島でプレーしながら、株式会社stakで勤務している秋庭未奈です。
前回は「完璧よりも成長を大切に」について書かせていただきましたが、今回は「悔しさの中に見えた、ほんとうの価値」というテーマで、今の私が感じていることを綴ってみたいと思います。
勝てなかったけど、涙が出るほど嬉しかった瞬間
これまでずっと、「結果がすべて」だと信じてサッカーに向き合ってきました。
勝つことが何よりも大切で、努力の価値さえも勝敗で決まる―そう思っていたのです。
どれだけ頑張っても、負けてしまえば意味がない。
そう言い聞かせて、自分を奮い立たせてきました。
でも、そんな私の価値観が大きく揺らぐ出来事がありました。
ある試合で敗れ、落ち込んでいたとき、小さな女の子が駆け寄ってきてくれたのです。
「今日もすごくかっこよかったよ!」―その言葉は、驚くほどまっすぐに心に届きました。
悔しさでいっぱいだった胸の中に、じんわりと温かいものが広がって、涙が出そうになったのを今でも覚えています。
「ああ、私は大切なものを見落としていたのかもしれない」
勝ち負けでは語れない、もっと深い価値が確かにそこにありました。
みなさんは最近、心が動かされた瞬間はありましたか?
勝ち負けや結果とは別の、“何か”に触れた経験があれば、ぜひ思い出してみてください。
主役じゃなくても、私にしかできない役割がある
私は、常に試合に出続ける選手ではありませんでした。
ピッチに立つ日もあれば、ベンチで声を出している日もある。
ときにはメンバーから外れ、スタンドから試合を見守ることもありました。
そんな立場だったからこそ、自分にできること、自分にしかできないことを、必死で探し続けてきたのだと思います。
ある試合では、私はベンチからずっと声を出し続けていました。
悔しさを抱えながらも、「自分の声でチームの力になりたい」―その思いだけで、声を張り続けていました。
試合後、ピッチに立っていた仲間が「未奈の声があったから思い切ってプレーできた」と伝えてくれた言葉は、今でも私の支えになっています。
「試合に出ること」だけが役割ではない―そう気づいた瞬間でした。
キャプテンではないけれど、裏方の仕事を任されるようになったとき、「自分を信じて任せてくれた」と感じることができました。
チームの一員として必要とされている、その実感は、何よりも心強いものでした。
目立つことだけが価値ではありません。
前に立つ人を支える力、環境を整える力、声で背中を押す力―それらも立派な「チームの力」だと、今では胸を張って言えます。
この考え方は、きっとスポーツに限ったものではありません。
職場でも、家庭でも、どんな場所でも「自分の役割をどう果たすか」が、その場にいる意味をつくるのだと思います。
勝ち負けよりも胸に残った人とのつながり
これまでの競技生活のなかで、忘れられない言葉がいくつもあります。
それは、勝った試合で浴びた歓声や拍手ではなく―負けたあとにかけていただいた言葉たちでした。
「今日のプレー、すごく感動しました」
「ナイスチャレンジだったよ」
「次も楽しみにしてるから、頼んだよ」
そんな言葉を、私は何度もいただいてきました。
試合に出ていたときも、ベンチにいたときも、ベンチ外から試合を見守っていたときも。
どんな立場であっても、気にかけ、声をかけてくれる方々の存在は、私にとってかけがえのない支えでした。
結果が出せなかった日でも、「見てくれている人がいる」「信じてくれる人がいる」と思えることが、どれほど心強かったか分かりません。
その経験を通して、私は気づきました。
人は、パフォーマンスや結果だけに心を動かされるわけではないということ。
全力で取り組む姿勢、あきらめずに立ち向かう姿、周囲への思いやり
そんな“人としての在り方”が、誰かの心に届くこともあるのだと、実感しました。
もしかしたら、自分の言葉や行動が、誰かの力になっているかもしれない。
そう思えるようになってから、私はより丁寧に、より真剣に、日々の過ごし方や人との関わりを大切にするようになりました。
スポーツの意味が変わった瞬間
かつての私は、「スポーツ=勝負の場」だと信じていました。
勝つことこそに価値があり、負ければすべてが水の泡になる
そう思い込んで、自分を追い込みながら日々を過ごしていたのです。
けれど今は、そうではありません。
今の私にとって、スポーツは人と人とをつなぐもの。
勝ち負けを超えたところにあるその本質を、ようやく心から感じられるようになりました。
サッカーを通じて出会えた人たちは、私の人生にとってかけがえのない宝物です。
応援してくれる方々、支えてくれる仲間、声をかけてくださる地域の皆さん。
勝ったときは喜びを分かち合い、負けたときはそっと背中を押してくれる
そんな人たちに囲まれてプレーできる今が、本当に幸せです。
ある日、試合には敗れたものの、観に来てくださった方から「今日も元気をもらいました」と声をかけられたことがありました。
その瞬間、悔しさ以上に、「やっていてよかった」と心から思えたのです。
結果が出なかったとしても、そこに学びや気づきがあり、自分の姿が誰かの力になることもある。
スポーツの本当の価値は、数字だけでは測れない場所にあるのだと、私は知りました。
これは、人生にもきっと通じることだと思います。
「結果がすべて」と信じていると、人はどこかで自分を追い詰めてしまいます。
でも「過程にも意味がある」と気づけたとき、人は本当の意味で強くなれるのかもしれません。
今の自分の道にも、挑戦にも、きっと意味がある
そう信じて、これからも前に進んでいきたいと思います。
うまくいかない自分も、大切な自分
スポーツは、勝ち負けだけがすべてではありません。
そこにある感情の動き、自分自身の成長、人とのつながり
それこそが、本当の意味での価値だと、私は経験を通して知ることができました。
「勝ったから偉い」「負けたからダメ」―そんな単純な世界ではありません。
今日もどこかで、誰かが誰かに声をかけ、励まし、支え合っている。
見えないところで、誰かが誰かの力になっているのです。
もし今、「結果が出せていない自分なんて、意味がない」と感じている人がいたら、どうか覚えていてください。
あなたの努力は、誰かの目にきっと届いています。
あなたの存在が、そっと誰かを支えているかもしれません。
目に見える成果だけでは測れない“あなたらしい価値”が、きっとあります。
私も、これからまた迷ったり悩んだりしながら進んでいくと思います。
でも、自分を信じて踏み出す一歩一歩が、誰かの勇気になると信じて―これからもこの道を歩んでいきます。
ディアヴォロッソ広島について
ディアヴォロッソ広島は、全22試合のうち前期を終え、現在は後期リーグに突入しています。
後期リーグが始まってすでに4試合を終えました。
現在の私たちは、5試合連続の引き分け中。負けてはいないものの、勝ちきれない試合が続いています。
勝ち点「1」ではなく「3」を積み重ねるために、改善すべき点があると感じています。
ホーム戦では、毎回たくさんの方々、そして多くの小学生たちが温かいエールを送ってくれます。
その声援は、私たちにとって大きな力になっています。
中断期間までに残されたホーム戦は、あと1試合。
その試合で皆さんと一緒に喜びを分かち合えるよう、全力で臨みたいと思います。
また、遠くアウェイの地でも、変わらぬ応援を送ってくださる方々の存在に、心から感謝しています。
その応援に結果で応えるためにも、日々のトレーニングから一歩一歩、できることを積み重ねていきます。
これからも、一試合一試合を大切に、仲間とともに前へ進んでいきます。
引き続き、温かいご声援をよろしくお願いいたします。
【2025プレナスなでしこリーグ2部 第16節】
日にち:6月21日(土)
会場:アースケア敷島サッカー・ラグビー場(群馬県)
対戦相手:バニーズ群馬FCホワイトスター
キックオフ:11:00
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