四百四病(しひゃくしびょう)
→ 仏教で人間の病気を総称して言い、四百四病に入らない病気は恋わずらいのみ。
仏教用語などの宗教観が絡むワードは少々複雑だったりするので、一言で説明することが難しかったりする。
この四百四病という四字熟語も、まさにその1つだといえるだろう。
詳しく因数分解すると下記の意味になる。
そもそも、四百四病とは、古代中国の医学書である黄帝内経に記載されている病気の総称で、全身に存在する病気の数は四百四あるとされている。
とはいえ、現代の医学では、四百四病という用語は使用されておらず、そのままの意味での病気の数は存在しない。
現代の医学では、病気や症状を個別に分類している。
一般的な病気の分類
感染症
感染症は、細菌、ウイルス、真菌などが原因で発生する病気のことをいう。
風邪やインフルエンザ、肺炎、結核、性感染症などが代表的な感染症である。
アレルギー疾患
アレルギー疾患は、アレルゲンと呼ばれる物質に対して、過剰な免疫反応が起こることによって発生する病気のことをいう。
花粉症やアトピー性皮膚炎などが代表的なアレルギー疾患である。
内分泌疾患
内分泌疾患は、ホルモンの分泌や働きに異常が起こることによって発生する病気のことをいう。
糖尿病や甲状腺疾患などが代表的な内分泌疾患である。
神経疾患
神経疾患は、脳や神経系に異常が起こることによって発生する病気のことをいう。
脳卒中やアルツハイマー病、パーキンソン病などが代表的な神経疾患である。
循環器疾患
循環器疾患は、心臓や血管に異常が起こることによって発生する病気のことをいう。
高血圧や心筋梗塞、動脈硬化症などが代表的な循環器疾患である。
人類と病気との闘いの歴史
人類と病気との闘いの歴史は、人類が存在している限り続いているといっても過言ではない。
ということで、代表的な出来事や時代を振り返り、人類と病気との闘いの歴史を紹介していこう。
先史時代
石器時代や青銅器時代の人々は、病気やけがを治療するために、植物や動物の部位を使用していた。
また、先史時代の人々は、疫病が発生した場合には、神々に祈りをささげたり、巫女や呪術師に治療を依頼するなどの方法を用いていた。
古代エジプト
古代エジプトでは、多くの薬草や薬品が使用されていた。
また、エジプト人は、解剖学や生理学を研究しており、傷の治療には大量の蜂蜜を使用するなど、高度な医療技術を持っていた。
古代ギリシャ
古代ギリシャでは、ヒポクラテスなどの医師たちが、病気に対する理論を発展させ、医学の基礎を築いた。
また、古代ギリシャでは、公衆衛生にも力を入れており、都市の水道システムを整備するなど、予防医学の分野でも進展を遂げた。
ローマ帝国
ローマ帝国では、軍隊のために医療施設が整備され、医師たちは兵士たちの治療に当たっていた。
また、ローマ帝国では、公衆衛生にも力を入れており、浴場や公衆トイレなどの施設が整備されていた。
中世ヨーロッパ
中世ヨーロッパでは、キリスト教会が支配的な役割を担い、医療の分野でも大きな影響力を持っていた。
医師たちは、神の意志によって病気が発生すると考えられており、祈りや禁欲などの方法が用いられた。
近代医学の誕生
18世紀から19世紀にかけて、近代医学の誕生が進展した。
医師たちは、科学的な方法を用いて病気の原因を追求し、新しい治療法を開発するようになった。
また、19世紀には、公衆衛生の分野でも大きな進展があり、衛生観念が高まったことにより、感染症の発生率が低下した。
ワクチンの発明
18世紀後半には、天然痘に対するワクチンが発明された。
19世紀には、ジャーナリストのナポレオン・ボナパルトが、伝染病が蔓延するフランスで、人口統計学を用いた公衆衛生政策を立た。
その政策が効果をあげたことで、その後の公衆衛生政策に大きな影響を与えた。
抗生物質の発見
20世紀に入ると、抗生物質の発見により、感染症の治療が大きく進歩した。
また、20世紀には、ウイルス学や免疫学の分野でも大きな進展があり、様々な感染症や免疫関連疾患の治療法が開発された。
現代医療の進展
20世紀以降、医学の発展は飛躍的に進み、画像診断技術や遺伝子治療など、新しい技術や手法が次々と開発されている。
また、公衆衛生や予防医学の分野でも、大きな進展があった。
例えば、タバコやアルコールの害を訴える運動が展開され、がんや心臓病などの生活習慣病の予防に繋がった。
人類が克服した病気、感染症、疫病、疾患について
医学の進歩は確実にしており、人類が克服してきた病気、感染症、疫病、疾患などについては、下記が挙げられる。
天然痘(Smallpox)
天然痘は、発疹や高熱、出血などの症状を引き起こすウイルス感染症だった。
ところが、イングランドの医師エドワード・ジェンナーが1796年に天然痘ワクチンを開発した。
すると、1980年には世界保健機関によって根絶宣言が出された。
破傷風(Tetanus)
破傷風は、細菌によって引き起こされる感染症で、深い傷口から入り込んで筋肉や神経系を破壊することがある。
ワクチンが開発される以前は、死亡率が非常に高かった。
ところが、デンマークの医師アンドレアス・イェンセンが1924年に破傷風ワクチンを開発し、破傷風は大幅に減少した。
結核(Tuberculosis)
結核は、細菌によって引き起こされる感染症で、肺を中心に様々な臓器に感染することがある。
20世紀初頭には、結核は世界中で流行しており、多くの人が命を落としていた。
ところが、抗生物質の発明により、結核の治療が可能になり、現在では治療法も進化し完治することができるようになった。
ポリオ(Polio)
ポリオは、中枢神経系に感染するウイルスによって引き起こされる病気で、脊髄の神経細胞を攻撃し、重い身体の麻痺や呼吸困難を引き起こすことがあった。
1955年にポリオ予防ワクチンが開発された後、ポリオの発生率は急激に減少し、現在ではほぼ撲滅されている。
カリー(Cholera)
カリーは、腸管出血性の感染症で、飲料水や食品からの感染が主な原因となっている。
19世紀には、カリーが流行し、多くの人々が死亡した。
ところが、水道システムの整備や飲料水の浄化、予防的な手洗いなどの対策が実施され、カリーは大幅に減少した。
コレラ(Cholera)
コレラは、腸管に寄生する細菌によって引き起こされる感染症で、下痢や嘔吐などの症状を引き起こす。
19世紀には世界中で大流行し、多くの人々が死亡していた。
ところが、近代的な水道システムや衛生管理の改善、ワクチンの開発などにより、コレラの発生率は大幅に減少した。
HIV / AIDS
HIV/AIDSは、ウイルスによって引き起こされる感染症で、免疫力を破壊するため、重い病気や癌などを発症することがある。
現在では、HIV感染者の治療法が進歩し、投薬によって病気を管理することが可能になっている。
インフルエンザ(Infuruenza)
1950年代にインフルエンザワクチンの開発が進み、流行を予防することができるようになった。
癌(Cancer)
癌は、異常な細胞の増殖によって引き起こされる疾患で、多種多様なタイプがある。
遺伝子治療や放射線治療などの新しい治療法が開発され、現在では癌の治療法が進化している。
狂犬病(Rabies)
狂犬病は、ウイルスによって引き起こされる感染症で、動物や人間に噛まれることで感染する。
初期症状は発熱や嘔吐などであり、進行すると神経症状や意識障害が現れる。
ところが、狂犬病ワクチンの開発や、動物のワクチン接種、予防接種などにより、狂犬病は克服された。
麻疹(Measles)
麻疹は、ウイルスによって引き起こされる感染症で、高熱、発疹、咳、鼻水などの症状を引き起こす。
麻疹の予防接種が始まった後、麻疹の発生率は劇的に減少し、麻疹は撲滅されるべく取り組んでいる。
ハンセン病(Leprosy)
ハンセン病は、細菌によって引き起こされる感染症で、皮膚や神経系を中心に損傷を引き起こすことがある。
抗生物質が登場する以前は、この病気は不治の病とされていたが、現在は治療法があり、完治することができる。
マラリア(Malaria)
マラリアは、蚊によって媒介される熱帯病で、発熱や頭痛、筋肉痛などの症状を引き起こす。
適切な予防策や蚊の駆除などにより、マラリアの感染率は減少している。
また、投薬や予防接種も行われている。
伝染性菌病(Infectious Bacterial Diseases)
伝染性菌病には、炭疽症、赤痢、ブドウ球菌感染症、破傷風などがある。
抗生物質の発明により、これらの病気の治療が可能になり、予防法も確立され、現在では死亡率は大幅に減少している。
精神障害(Mental Disorders)
精神障害には、うつ病、統合失調症、不安障害などがある。
これらの疾患には、薬物療法や心理療法などが効果的で、現在では多くの人がこれらの疾患から回復することができる。
腸管出血性大腸菌感染症(EHEC)
EHECは、下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状を引き起こす疾患で、特に子供や高齢者に重症化することがある。
ところが、EHECに感染した場合、適切な治療を行うことで、多くの場合は完全に回復することができる。
フレイル(Frailty)
フレイルは、高齢者に見られる身体機能の低下や弱化を指す。
適切な運動や栄養管理、生活習慣の改善などにより、フレイルを予防したり、改善することができる。
小児麻痺(Polio)
小児麻痺は、ウイルス感染によって発症し、脊髄を中心に神経細胞を攻撃することで、四肢の麻痺を引き起こす。
ワクチンの発明により、小児麻痺の発症率は劇的に減少し、現在ではほとんど見られなくなっている。
レプトスピラ症(Leptospirosis)
レプトスピラ症は、レプトスピラという細菌によって引き起こされる感染症で、発熱、頭痛、筋肉痛、腎不全などの症状を引き起こす。
現在では抗生物質の使用により、治療が可能となっている。
まとめ
COVID-19がようやく落ち着いて、日常を取り戻しつつある。
歴史を振り返ると、人類はいつの時代も病気、感染症、疫病、疾患などに多くの生命を奪われ、克服するという流れを辿っている。
ということは、今後も新たな病気、感染症、疫病、疾患などが登場することは避けられないと考えた方がいいだろう。
そのときに冷静にどういう行動をするのか、歴史に学べるところは少なからずあるはずだ。
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