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2023年3月5日 投稿:swing16o

注目されているDeep Tech(ディープテック)とは?

時節到来(じせつとうらい)
→ 待っていた好機がやってくること。

Deep Tech(ディープテック)という言葉をご存知だろうか。

あまり知られていない言葉かもしれないが、高度な科学技術や工学技術を利用した新しい製品やサービスを指す。

具体的には、AI(人工知能)、ブロックチェーン、バイオテクノロジー、クォンタムコンピューティング、ロボティクス、物理学などの分野で、深い学問と高度な技術を必要とするイノベーションを指す。

このDeep Tech(ディープテック)の分野に今、注目が集まっている。

今さら聞けないDeep Tech(ディープテック)ってなぁに?

冒頭で少々書いたが、Deep Tech(ディープテック)の特徴としては、下記が挙げられる。

1)長期的な研究と開発に基づくイノベーション

Deep Techは、長期的な研究と開発に基づくイノベーションであり、しばしば基礎研究や応用研究の結果を利用している。

2)高度な技術

Deep Techは、高度な技術を必要とするため、多くの場合にエンジニアや科学者の専門的な知識とスキルを必要としている。

3)大きなマーケット

Deep Techは、大きなマーケットを形成する可能性がある。

例えば、AI(人工知能)やロボティクスを活用した自動運転車やバイオテクノロジーを活用した医療機器などがある。

4)社会的な影響

Deep Techは、社会的な影響が大きいため、エシカルな考慮が必要となる。

例えば、AI技術の悪用や個人情報の漏洩などの問題があるといった具合いだ。

総括すると、Deep Tech(ディープテック)は、新しい市場や産業を生み出すことができ、経済成長の推進力となる可能性が高い。

その一方で、新しい技術によって生じる社会的な問題にも対処する必要があるため、研究開発やイノベーションに従事する人々には、高い責任感が求められるといったところだ。

世界的に注目されているDeep Tech(ディープテック)の事例

Deep Tech(ディープテック)が注目されている分野も冒頭に少々書いたが、より具体的な事例を挙げてイメージをしてみよう。

くり返しになるが、Deep Techとは、基礎的な科学研究や技術革新をベースにしている先進的で高度な技術を指す。

そして、世界的に注目されているDeep Techの例は下記のとおりだ。

人工知能(AI)技術

自然言語処理、機械学習、深層学習などのAI技術を用いた、自動運転車、ロボット、音声アシスタント、医療診断などの分野での応用が進んでいる。

量子コンピュータ

従来のコンピュータとは異なり、量子力学の原理を用いて情報を処理することができる量子コンピューターが注目されている。

ブロックチェーン技術

分散型台帳技術を用いたブロックチェーン技術は、金融、医療、不動産、電力などの様々な分野で、セキュリティや透明性の向上を目的に導入されている。

生命科学技術

ゲノム編集技術やCRISPR-Cas9技術をはじめとする、生命科学技術の進歩により、疾患の治療や農業の向上などに貢献している。

ナノテクノロジー

ナノメートル単位の微小な材料を扱う技術で、電子デバイスやセンサー、医療機器、材料などの分野で使用されている。

ロボティクス

ロボット技術の進歩により、自動車産業、医療、配送、農業、建設などの分野での自動化が進んでいる。

3Dプリンティング

3Dプリンティング技術は、建築、医療、自動車産業、航空宇宙産業などの分野で、設計や製造の効率化を実現することができる。

エネルギー技術

再生可能エネルギーの技術革新やエネルギーの貯蔵技術など、エネルギーの生産や使用方法に関する技術が進んでいる。

日本のDeep Tech(ディープテック)TOP10

それでは、より具体的にどんな企業がDeep Tech(ディープテック)の分野で注目されているのか。

Forbes JAPANは2023年2月25日に日本経済を牽引する次世代の研究開発型スタートアップを応援するというコンセプトのもと、日本発エマージング・ディープテックTOP10を発表した。

史上初!日本のディープテックTOP10、1位は核融合の京都フュージョニアリング

(出典:Forbes)

こちらの記事にとてもわかりやすく記載されているので、1社ずつ紹介していこう。

第1位:京都フュージョニアリング

  • 設立:2019年10月
  • 累計調達額:16.7億円以上

カーボンニュートラルな発電が可能な核融合の主要装置やコンポーネントを開発する京都大学発ベンチャーだ。

2022年7月、世界初の核融合発電試験プラント建設プロジェクトを始動している。

選定理由は、世界中の核融合プロジェクトに対して主要な装置やコンポーネントを供給するビジネスモデルで、世界中から問い合わせが殺到していることにあるという。

事業のグローバル展開と社会的インパクトの大きさ、学術界での科学的評価など総合的に高く評価された。

第2位:ノイルイミューン・バイオテック

  • 設立:2015年4月
  • 累計調達額:53.2億円以上

独自のPRIME技術を利用した固形がんに有効なCAR-T細胞療法を開発している。

複数のパイプラインが進行中で、すでに国内外のファーマ5社とライセンスに関する契約を締結している。

選定理由は、従来は難しかった固形がんに対して治療効果を発揮する画期的な技術を展開しているところだ。

複数のパイプラインを有しており、Adaptimmune、Autolusなどの海外ファーマや、武田薬品工業、中外製薬、第一三共などの国内大手と契約を締結している実績も評価された。

第3位:Heartseed(ハートシート)

  • 設立:2015年11月
  • 累計調達額:82億円以上

iPS細胞由来の再生心筋により、心不全患者の治療を目指す慶應義塾大学発スタートアップだ。

日本で治験を実施しており、製薬大手ノボノルディスクとの提携で世界展開を狙っている。

選定理由は、日本が強みをもつiPS細胞技術をベースに、心臓病の巨大市場に挑戦している点が大きいだろう。

海外メガファーマのノボノルディスクとのマイルストン総額5.98億ドルのライセンスアウト契約締結という圧倒的なトラクションが評価された。

第4位:Synspective(シンスペクティブ

  • 設立:2018年2月
  • 累計調達額:230億円以上

独自の小型レーダー衛星を開発し、打ち上げた衛星から得られる地表観測データを解析している企業だ。

すでに複数機の打ち上げに成功し、企業や政府にサービスを提供している。

選定理由は、世界的に市場が急成長しているレーダー衛星の分野で、創業4年半で累計230億円超の資金調達に成功している点だ。

また、すでに複数機の打ち上げを実現し、国内外でトラクションも出ているところも大きく、28ヶ国からなるチームのグローバル性も高く評価された。

第5位:GITAI Japan(ギタイ)

  • 設立:2016年7月
  • 累計調達額:24億円以上

自律型ロボットアームなど、宇宙空間での作業用の汎用ロボットを開発している企業だ。

2021年、ISS(国際宇宙ステーション)船内での技術実証が完了しており、アメリカのNASAなどと取引実績を有している。

選定理由は、ISSでの実証が完了し、アメリカの宇宙民間企業やNASAとも取引実績を上げているところが大きい。

2022年にはロサンゼルスオフィスも開設し、Googleに買収されたSCHAFTのコアメンバーなど、世界トップレベルのエンジニアが集結している点も評価に繋がっている。

第6位:AIメディカルサービス

  • 設立:2017年9月
  • 累計調達額:145億円以上

胃がん鑑別AIをはじめとする内視鏡に特化した画像診断支援AIを開発している企業だ。

同分野の医学論文では世界一位の引用件数を誇り、2022年にアメリカとシンガポールに現地法人を設立している。

選定理由は、内視鏡AI分野では世界屈指の研究実績を保有しているところだ。

また、同分野の医学論文では世界一位の引用件数を持っており、北アメリカのトップ大学病院とCancer Centerを含む海外の主要大学病院とも医療現場改革に向けた共同研究の議論を開始している。

経営チームや調達額の大きさも評価された。

第7位:リージョナルフィッシュ

  • 設立:2019年4月
  • 累計調達額:26.4億円以上

ゲノム編集技術で水産物を品種改良し、可食部を増量したマダイなどを販売している企業だ。

AIやIoT活用の陸上養殖システムも展開しており、タイやインドネシアで現地企業との共同研究も開始している。

選定理由は、世界初となるゲノム編集により品種改良された水産物の届出が国に受理され、国内で自社販売しているところだ。

また、タイやインドネシアで現地企業との共同研究も開始しており、食の課題解決というポテンシャルが大きなテーマでの推進力が評価された。

第8位:Telexistence(テレイグジスタンス)

  • 設立:2017年1月
  • 累計調達額:39.4億円以上

小売りや物流現場の自動化を目的とした遠隔操作が可能な人工知能ロボットを開発、およびそれらを利用したサービスを提供している企業だ。

クライアントにファミリーマートを持っており、300店舗に導入が決定している。

選定理由は、人工知能ロボットの実用化に成功し、2022年8月には飲料を陳列棚に自動で補充するロボットとして、ファミリーマートが300店舗に導入を決定した点だろう。

規模が大きい小売市場での実績とグローバル展開へのポテンシャルが評価された。

第9位:SkyDrive(スカイドライブ)

  • 設立:2018年7月
  • 累計調達額:147億円以上

垂直離着陸、自動運転が可能なエアモビリティである、空飛ぶクルマと貨物用ドローンの開発、製造、販売を行っている企業だ。

空飛ぶクルマは2025年の大阪万博での実用化を目指している。

選定理由は、海外出身者による開発人材体制や、米国やベトナムでの事業提携、資金調達実績、また国土交通省との航空機認証プロセスも開始しているあたりだ。

未来のエアモビリティを実現するための推進力の高さが評価された。

第10位:ルカ・サイエンス

  • 設立:2018年12月
  • 累計調達額:48.9億円以上

独自の高機能ミトコンドリアプラットフォームを用いて、機能不全や損傷した細胞、臓器のエネルギー回復や機能を修復させる医薬品を開発している企業だ。

国内外の大学などとも共同研究を推進している。

選定理由は、細胞にあるミトコンドリアを製剤化して治療薬にするという大胆な発想で、日本発の創薬モダリティ創出という期待値が大きいところにあるだろう。

製薬企業やオックスフォード大学とも共同研究を開始しており、経営チームの成熟度や、海外投資家からの調達力も評価された。

まとめ

Deep Tech(ディープテック)と呼ばれるテックの分野についてまとめてみたが、いかがだろうか。

どの企業もいわゆる参入障壁が高いスタートアップだということが理解できるだろう。

そして、紹介した10社のスタートアップはどれも設立10年未満で、中には設立5年未満で100億円以上の資金調達をしているところもある。

裏を返せば、それほど期待値も高いスタートアップだということだろう。

今後も日本のDeep Tech(ディープテック)のみならず、世界のDeep Tech(ディープテック)に注目していこうと思う。

 

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