洒掃薪水(さいそうしんすい)
→ 掃除や炊事など、家事労働のこと。
生きていると掃除、炊事といった家事を誰かがやらないといけないわけだが、必ずしも自分でやる必要がない時代だ。
というのも、家事代行サービスがあるからだ。
この家事代行サービスについて、贅沢だとか自分でやることに意味があるといった全く理論的でない感情論で否定する一定層がいるが、私はとてもいいサービスだと思っている。
使い勝手のいいサービスがあればすぐにでも利用したいと考えている。
ということで、家事代行サービスについて、まとめていこうと思う。
家事代行サービス市場調査データ
2022年6月24日〜6月27日に国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女の1,000人を対象にした市場調査データがある。
2022年現在の利用状況
まず利用状況からということになるが、946人が一度も利用したことがないという結果が出ている。
また、一度は利用したことがあるという人は38人ということで、これだけ見るとまだまだ浸透しているとは言い難いのが現状だ。
リピーターというか、生活に家事代行サービスを取り入れている人で最も利用頻度が高いのは、月に1日未満で6人となっている。
ほぼ毎日利用しているという人は4人ということで、1,000人分の4人なので、0.4%ということになる。
この調査データは、約3年前にも同様の調査をしており、当時と比べてみたときに利用状況に大きな変化はないことがわかったという。
また、利用しない理由として多かったのが、自分でできる、必要性を感じないという、まさに冒頭に述べたところだ。
それから、高額なイメージがある、他人を家に入れたくないといった否定的な意見も多くあった。
利用ジャンル
まだまだ利用者数が少ない現状は理解できたが、実際に利用したことがある人はどういったジャンルの家事代行サービスを利用しているのか。
- 室内清掃や食器洗いなどの清掃関連
- ベビーシッターや子どもの送迎といった育児関連
- 料理の作り置きなどの調理関連
- 衣類の洗濯やアイロンがけなどの洗濯関連
- 日用品や食料品などの買い出し関連
- ペットの散歩や食事などのペット関連
列挙した中でも、清掃関連の利用が多いという状況だ。
その理由は、エアコン清掃など自分達ではできない掃除を頼みたい、手の行き届かないところをプロに掃除してもらえると助かるといったところだ。
費用
どれくらいの予算をかけて利用しているのかといったところが、今後の家事代行サービスの伸びしろの部分では重要になるだろう。
というのも、どれくらいまでの予算ならかけられるかを把握した上で、どれくらいのサービスを提供するのかの逆算ができるからである。
対象となった125人のデータによると、下記のとおりとなっている。
- 3,000円未満:40人(32.0%)
- 3,000〜5,000円:24人(19.2%)
- 5,000〜10,000円:38人(30.4%)
- 10,000〜20,000円:15人(12.0%)
- 20,000〜30,000円:5人(4.0%)
- 30,000〜50,000円:3人(2.4%)
- 50,000円以上:0人(0.0%)
調査によると、自分でできることをなぜ高額な費用をかけてまで誰かにお願いするのかといった意見が圧倒的に多く、高単価を取れているとは言い難い状況だ。
ただ、今回の調査対象が20〜60代という幅広い世代となっている点が、この結果に影響をしているようにも思う。
今後の利用意向
そして重要なのは、今後、家事代行サービスを利用したいのかという世間の声だ。
つまり、ニーズはあるのかという点についての調査は下記のとおりとなっている。
- 是非利用したい:32人(3.2%)
- どちらかといえば利用したい:134人(13.4%)
- どちらともいえない:295人(29.5%)
- あまり利用したくない:158人(15.8%)
- 全く利用したくない:381人(38.1%)
この結果から、私は比較的ポジティブな印象を受けた。
というのも、全く利用したくないと回答した人以外は、気がついたら利用していたといった状況にできる可能性があるからだ。
となると、最大で61.9%の潜在意識とニーズがあるという見方もできるわけだ。
ただし、慣習や意識ををいきなり変えることはできないことは、stakというIoTデバイスの企画、開発、運営をしていたらよくわかる。
家事代行サービスを拡めていくためには、とにかく戦略が重要だろう。
家事代行サービスの市場規模
ということで、家事代行サービスの市場規模はどれくらいなのかについても触れておこう。
野村総合研究所が2017年に実施した調査によると、家事支援サービス業の市場規模は2017年の時点で698億円となっている。
また、2025年の市場規模は少なくとも2,000億円程度、最大で8,000億円程度にまで拡大する可能性があるという。
細かい内訳は下記のとおりだ。
2017年:698億円
- 配偶者のいる25〜44歳以上の女性世帯:274億円
- 25〜64歳の単身世帯:371億円
- 配偶者のいる45歳以上の女性世帯:53億円
2025年(パターン1):2,176億円
- 配偶者のいる25〜44歳以上の女性世帯:675億円
- 25〜64歳の単身世帯:894億円
- 配偶者のいる45歳以上の女性世帯:606億円
2025年(パターン2):8,130億円
- 配偶者のいる25〜44歳以上の女性世帯:1,783億円
- 25〜64歳の単身世帯:2,810億円
- 配偶者のいる45歳以上の女性世帯:3,537億円
この伸びしろの違いが、まさに利用したいと回答した人と利用してみたいと回答した人を含むか含まないかの部分だ。
利用してみたいという人まで取り込むことができれば、市場規模は一気に拡大する。
また、25〜64歳の単身世帯がターゲットになるべきところだと勝手に思っていたが、注目すべきは配偶者のいる45歳以上の女性世帯だ。
パターン2を見れば一目瞭然だが、潜在意識のある人たちを取り込むことができれば、このセグメントが2017年の市場規模は53億円なので最も伸びしろのある部分になる。
家事代行サービスの伸びしろ
なぜ家事代行サービスの市場規模が拡大傾向にあるのか。
- 共働き世帯の増加
- 単身者の増加
- 高齢者の増加
- 家事に対する価値観の変化
- 政府の推進
- 新型コロナウイルスによる新しい生活様式の定着
その理由を列挙したが、共働き世帯は2020年には専業主婦世帯の約2倍以上になっていること、2022年の単身世帯は全世帯の約36%と最も多い割合となっていることは大いに影響があるだろう。
ただ、個人的には列挙した中でも、少子高齢化の部分が私は最も大きな部分だと思っている。
つまり、高齢者の増加の部分は今後も顕著になってくるし、マーケットが拡大する理由の部分でも納得ができるところだ。
なにが言いたいのかというと、高齢者が高齢者の世話をする場面が当たり前になっているのである。
また、家族のことは家族が見ないといけないという、なんかよくわからないしがらみが色濃く残っていたような気がするが、この部分が少しずつ変化しているように思う。
人が人に頼ることはなにも恥ずべきことではなく、困っている人を助けようとするのが人というものだ。
家事代行サービスはそういった部分でポテンシャルの非常に高いものだと思っている。
まとめ
私は介護という言葉が嫌いだ。
介護という言葉を出した瞬間に、一気に高齢者としての線引が行われ、そこには大きな壁ができると思っている。
高齢者だと思われたくないと思っている人が増えているというが、それも私は間違っていると思っている。
そもそも自分を高齢者だという認識がないという意識が単純に無視されているだけで、自分が歳を重ねていることを認める認めないの問題ではないのだ。
なによりも嫌いなのが、介護施設といった施設をつくることが当たり前になっていることだ。
私が高齢者と呼ばれるカテゴリに入ったときに行きたいと思う介護施設など皆無だ。
なぜ、隔離されなければいけないのだろうか。
現代の介護施設が、高齢者が過ごす場所として最適解なのだろうか。
この部分は家事代行サービスというものが拡がれば、もっと幸福度を高めた人生を送れる人が増えると確信している。
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