言文一致(げんぶんいっち)
→ 話し言葉と文章を食い違いのないようにすること。
話し言葉と文章の食い違いを正すことが言文一致させるという作業だとすると、なぜこの行為が必要なのかという疑問が出てくる。
そもそも、話し言葉と文章の2つがあるからややこしいわけだ。
また、なぜわざわざ一致させるということをしなければいけないのだろうか。
別におおよその内容が合っていれば、話し言葉と文章を一致させなくてもいいのではないかという主張をしているのである。
話し言葉と文章と別れている理由
なにが言いたいのかというと、話し言葉と文章が、なぜそもそも別れているのかということを考える必要があるということだ。
いずれにも共通しているのが、言いたいことを伝える、つまり伝達する手法として存在するということだ。
話し言葉を音声と置き換え、文章をテキスト(文字)と置き換えるとわかりやすいだろう。
音声で伝えてもらった方が理解しやすいという人もいれば、テキスト(文字)にして伝えてもらった方が理解しやすいという人もいるだろう。
要するに、どちらにもニーズがあるので、伝え方にも選択肢があるということだ。
そして、それよりも大切なことは、どちらを使うとわかりやすいかという答えは伝える側にはなく、受け取る側にあるということを理解しておかなければいけない。
例えば、どれだけ細かく丁寧に文章にして伝えたと思っていたとしても、相手が全く理解できていなければ、その文章に価値はないということである。
反対に、とても丁寧に話すということで伝えることがいいと思っても、相手によっては話を聞くのは面倒なので文章で送って欲しいという要望があったりするということだ。
と考えると、相手に合わせてどういう手法を用いて伝えることが最適解なのかを判断する必要があるのだ。
話し言葉と文章があるにはきちんと理由があって、わざわざ別れているということは、それを一致させる必要がそもそもあるのかということが私は言いたいのである。
判断するのは受け取る側によるという理解
この感覚はコミュニケーションを図る上で、非常に重要なことだと私は考えている。
くり返しになるが、受け取る側によって判断されるということは、伝えたつもりであっても伝わっていないということが往々にしてあり得るということだ。
話すことで理解が深まるタイプの人に文章で伝えることはミスマッチだし、逆もまた然りということだ。
ここの理解がなければコミュニケーションロスが非常に大きくなるということなのである。
それから、受け取る側がどういう傾向にあるかというのは、流行っているサービスを考えると自ずと見えてくるところがあるという事実に気づくべきだ。
もちろん、大多数の人に当てはまるという程度の傾向で人によって異なるが、世の中の流れを把握するというのは重要なのである。
流行しているサービスとコミュニケーションの関係
話し言葉と文章というコミュニケーション方法を音声とテキスト(文字)に分けたことを今一度思い出して欲しい。
まず、文章、テキスト、文字によって人々になにかを伝えようとしていたサービスを思い浮かべて欲しい。
その典型的な形となって人々の生活に溶け込んでいるものが、本である。
他にも、ブログやメルマガといったサービスも文章、テキスト、文字によって成り立っていることは理解できるだろう。
では、こういったサービスを聞いてどのように思うだろうか。
最新のサービスだと思う人は少ないはずだ。
言い方は悪いかもしれないが、どれも使い古されたサービスである。
一方で、話し言葉、音声によって人々になにかを伝えようとしているサービスを思い浮かべて欲しい。
その典型的な形となって人々の生活に溶け込んでいるものは、ラジオではないだろうか。
それが現在では形が変わっていることがわかる。
従来は、リスナーが聞いて楽しむというスタンスだったものが、誰でも音声配信できるという風に変遷しているのである。
少し前に、Clubhouse(クラブハウス)というサービスに多くの人が集まったことを覚えている人も多いだろう。
その後、音声メディアは廃れていると勝手に思っている人もいるようだが、そんなことはない。
音声メディアの盛り上がりについては、下記の過去記事を時間のある人は読んでもらいたい。
そう、今の時代は音声メディアについて意識せざるを得なくなっているのである。
なぜなら、コミュニケーションツールの1つとして、定着しつつあるからだ。
音声が注目される理由
音声コンテンツや音声メディアが注目されるようになった理由は、間違いなくインターネットの普及などのテクノロジーの進歩がある。
加えて重要なことは、耳を使うという点だ。
耳を使うコミュニケーションのメリットを3つ挙げてみよう。
1)聞きながら他のことができる
聞くという動作は見るのと違って他の動作と並行して行うことがでる。
移動中に聴いたり、家事や運動をしながら利用できるわけです。
つまり、ジョギングや水泳といった他の趣味と同時に行ったり、他の作業を行いながら情報収集できる、このながらが重要な要素なのである。
スマホやPCで目を酷使しているという人も多い中、音声メディアは目を休められるのもいいとされている理由の1つだ。
2)スマートスピーカーなど機器の普及
スマートスピーカーなどのデバイスが普及していることも、音声メディアが拡大している要因の1つだといわれている。
こちらもインターネットの普及が後押ししているという背景があるが、スマホとの連動もしやすく、テレビに代わる媒体として使うという人が少なからず増えている。
また、ワイヤレスイヤホンも多くの人が持つようになり、より快適に聴くことができるようになっていることも音声が注目されている理由として挙げていいだろう。
3)制作コストが動画に比べて安い
こちらはコンテンツを作る側の理由だが、音声だけのコンテンツの場合、動画に比べると安価で手軽に制作できる。
もはやスマホを持っているという人がほとんどなので、スマホで音声を簡単に録ることができる。
また、編集もスマホアプリ等を使えば比較的簡単にできるし、音声を公開するサービスもたくさん出ている。
顔を出す必要もなく、編集の手間もかからないため、コンテンツを量産することが比較的容易だというのも音声が注目されている理由だ。
まとめ
物事を誰かに伝えるときには、どういう方法を使ってコミュニケーションロスを防ぐことを考えるのか、ここは非常に重要だということを説いてきた。
特に組織が小さいうちには、相手によって最短で伝えていかなければスピードが落ちてしまう。
そして、どういう手法を使えば最短ルートでコミュニケーションが図れるかは、今まさに流行っているサービスに注目すると、そのヒントが見えてくることも書いた。
簡単にいうと、今の時代は、文章、テキスト、文字で伝えるよりも、話し言葉、音声で伝える時代だということだ。
もちろん、文章、テキスト、文字で伝えて極力欲しいという人も多くいるだろう。
実際に私はそちらでコミュニケーションをとっていきたい人だ。
となると、私も文章、テキスト、文字で伝えようとしてしまうのだが、これが相手に伝わっていないと感じることが増えているように思う。
となると、私は伝えたつもりであっても、相手には伝わっていないというロスが生まれるというわけだ。
それを避けるために、話し言葉、音声で伝えるということを、あえてやる時間が増えているのは、話すことでコミュニケーションを取るという手法がメジャーになっているからということだ。
一見、時間の無駄に思えることでも、実はそっちの方が最短ルートである可能性があるという場合があることに警鐘を鳴らしておこう。
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