厳正中立(げんせいちゅうりつ)
→ どちらにも偏らないこと。
均衡を保つことや、俯瞰で中立の立場を貫こうとしても、なかなか難しいときがある。
その原因は、人間であるが故の感情というものが邪魔をするからだと結論づけている。
というか、完全な中立の立場というものはないと思っている。
人には少なからず煩悩があり、その煩悩を満たすために文明が進歩してきているという現状がある。
明らかに偏った穿った考え方は危険だが、是是非非で判断すればいいのである。
子どものケンカが生まれやすいとき
兄弟がいる人や子どもがいるという人は、一度はこういった場面に出くわしたことがあると思う。
それは、お菓子などを兄弟や友だちと半分にするという場面だ。
例えば、ケーキの残りが1つしかなくて半分に分けるという状況のとき、多くの人が取る方法はこういった感じだろう。
誰かがケーキをなんとなく半分にして、じゃんけんで勝った方が好きな方を取るという方法だ。
そして、兄弟の場合には年上の方が幾分かずる賢いことも多いので大きな方を取ってしまい、年下が泣き出すといったあるあるに繋がるのだ。
この方法は、どちらにも偏らない平等な方法とはいえないだろう。
そんなとき、絶対に揉めずに半分にする方法があると大人になってから聞いて、なぜかその方法をずっと覚えている自分がいる。
絶対に揉めずに半分にする方法
この方法は非常に単純でわかりやすく、理にかなっている。
その方法を紹介するので、是非子どもたちに拡めて欲しい。
- どちらかが半分だと思う方法で半分にする
- 半分にしなかった方が好きな方を取る
この単純な方法で均衡が保てるのである。
半分ということは、2人いるということが大前提になる。
そのどちらかが、半分だと思う方法で半分にするのである。
どちらが半分にしてもいい。
それこそ、じゃんけんで決めてもいいし、とにかく半分だと思う方法で半分にするのである。
半分にした後は、半分にしなかった人が選べばいいのである。
最初に半分にした人は自分が半分だと思って半分にしているわけだから、どちらを取られても文句がいえないというわけだ。
この方法を聞いたとき、純粋になるほどと納得したことを未だに覚えているというわけだ。
とはいえ、大人になってから知った方法なので実践する場面は未だにないのが、いささか残念である。
今さら聞けないアハ体験ってなぁに?
一時期、流行した言葉にアハ体験というものがあった。
覚えている人もいるだろうが、上述した半分にするときに揉めない方法は私にとっては、まさにアハ体験だったわけだ。
アハ体験とは、ドイツの心理学者カール・ビューラーが提唱した心理学上の概念で、ドイツ語で、Aha-Erlebnisに由来している。
Ahaとは、なるほど!とか、へぇ~!という感動詞のことで、Erlebnisは、経験や体験を意味している。
つまり、つまりアハ体験とは、なにかのきっかけで、これまで理解できなかったことが突然理解できたり、閃いたりする体験のことをいう。
一度気づいてしまえば、見え方が変わり一発で学習が成立することから、一発学習とも呼ばれている。
このアハ体験がどうして起きるのかは諸説あるというのが現状だ。
脳科学の見地では、突発的な閃きにより脳の神経細胞が一瞬で繋ぎ変わることで、一気に問題が解決するからだといわれている。
アハ体験の事例
浮力の原理
アハ体験の事例として最も有名なのが、ギリシャの数学者アルキメデスが発見した浮力の原理を発見したときのエピソードだろう。
その昔、アルキメデスは王冠を壊さずに王冠の金の純度を調べる方法を王から依頼された。
アルキメデスはなかなかその方法を思いつくことができず、考えあぐねていた。
ある日、アルキメデスはお風呂に入ったときにふとした光景を目にする。
それは、湯が湯船から溢れている様子だ。
その瞬間にアルキメデスは、比重という考え方を閃き、王冠の純度を調べる方法を思いついたというエピソードだ。
比重とは、比ある物質の体積あたりの密度(質量)と、同体積となる物質の密度(質量)の比のことをいう。
固体や液体の密度と水の密度の比を意味しているのが一般的だ。
アハ体験がもたらす効果
アハ体験は3つのポジティブな効果をもたらすという。
- アハ体験が起こると理解が容易に行われる
- ポジティブな情動を引き起こしやすくなる
- アハ体験で得た答えを強く確信する
それから、心や脳に様々な効果が期待されている。
脳が一気に活動する
脳科学的な見地では、アハ体験をした瞬間、驚くほど集中的な神経細胞の活動が生じる上に、記憶力ややる気の増強に影響する神経伝達物質である、ドーパミンが分泌されるという。
また、アハ体験をくり返すことで、脳の学習回路が強化されるという効果もあるという。
ストレスの緩和
アハ体験をした際には、湧き上がるような喜びや爽快な気分になるのが一般的だ。
わからないという緊張状態から閃くことで、一気に緩和することでカタルシス(精神浄化)効果を得られるからである。
アハ体験は、リラックス効果やストレスの軽減が期待されており、メンタル面でも良い影響を与えるというのだ。
アハ体験を意図的に起こさせる方法
アハ体験は、たまたま起きた出来事を知覚することが閃きの引き金になっているため、いつ起こるかの予測できない。
そんな特性があるため、意識的に引き起こすことは難しいといわれている。
ただし、意図的に引き起こすことに近づける方法があるという。
それは、下記の2点を意識しながら日々生活をすることだそうだ。
まず、物事を良く考え、学ぶことを積極的に積み重ねることが重要だ。
そして、閃きが起こりやすいよう、時には問題から離れリラックスする時間を取ることも大切だという。
アハ体験の師匠
こうやってアハ体験のことを書いていると、幼い頃にアハ体験をもたらしてくれたアニメのことを思い出した。
それは、一休さんだ。
なにかしらの問題解決に目を閉じて、ポクポクポクと考えてチーンという音と共に閃く一休さんを見たことがある人も多いのではないだろうか。
屏風の虎、この橋渡るべからず、みずあめなど有名な話も多いので、アニメを見たことがなくても話を知っているという人も多いだろう。
そんな一休さんのモデルは実在した人物だ。
一休さんは、1394〜1481年の室町時代の臨済宗の京都出身の禅僧だった。
一休という名前は通称名で、名は宗純(そうじゅん)といい、後小松天皇の子だとされている。
5歳のとき京都の安国寺(現在の京都市中京区 壬生寺の近く)の寺童(お寺の高僧のそば近くに仕える童)となった。
小さいときから利発で頭のよく回るとんちの名人だといわれていた。
大人になると、近江堅田(現在の滋賀県 堅田)の祥瑞寺で臨済宗大徳寺派の禅を受け継ぐ華叟宗曇(けそんそうどん)の弟子となって修行に励む。
そして、師匠である華叟宗曇から、一休という僧侶の号である道号を受けたといわれている。
師匠の華叟宗曇華叟が亡くなった後、一休さんは諸国を行脚して回る。
その行脚のなかで身分の高い人や低い人の別なく、そして武士や庶民を区別することなく多くの人々に禅の教えを説いて廻った。
1474年、80歳のときに勅令を受けて京都の大徳寺住持となり、応仁の乱で荒廃した大徳寺の再興に尽くす。
86歳のとき、禅寺の中心的建物である法堂が完成し、2年後の88歳のときに亡くなるという人生だった。
一休さんについては、実はハッキリとわかっていない部分も多いのだが、禅僧でありながら酒を飲み、女性ともつきあうなど形骸化した慣習や規律に逆らい自由奔放に生きたことは間違いない。
こういった反骨精神が庶民から喝采され、とんちの一休さんという形で伝説化されたのではといわれているのである。
まとめ
喧嘩をせずに半分にする方法からアハ体験へと繋いでみたが、いかがだろうか。
一休さんの話もしたが、一休さんのアニメの基本はとんちなのだが、最初の話と最後の話はなかなか感動的な話だということは案外知られていない。
ネタバレになるので、詳細は書かないので、興味がある人は是非見てもらいたい。
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