季布一諾(きふのいちだく)
→ 信頼できる堅い約束のこと。
お金の話をすると日本ではネガティブに捉えられやすい。
守銭奴だとか卑しいといったイメージを勝手につけられてしまう傾向は未だに強い。
ましてや、借金 = 悪という考え方の人も圧倒的に多い。
私が借金できるということは信用の証でもあるということを説明しても、なかなか伝わらないというか反応が悪いという場面も多々ある。
とはいえ、ここ数年はその流れも少しずつとある界隈では大きく変遷しているように思う。
そう、それがスタートアップ、日本でいうところのベンチャーの世界だ。
注目されている世界のスタートアップ
創業9年のデジタルメディアのスタートアップである、Cloudinaryが、2022年2月にユニコーンの仲間入りを果たした。
Blackstone Growthによるセカンダリー取引により、その評価額は20億ドル(約2,300億円)に達した。
セカンダリー取引とは、すでに発行されている株式を買い取るというもので、Cloudinaryの創業メンバーや従業員が保有する同社株の一部を買い取るという。
また、このCloudinaryについて特筆すべき点は、設立から2021年に9,000万ドル(約100億円)の収益を上げるまで自己資金で運営してきたということだ。
そして、2022年末までに1億ドル(約115億円)の年間経常収益(ARR)を達成する見込みであるというので驚きだ。
Cloudinaryが、フォーブスが未上場の有望クラウド企業トップ100社を選出する、クラウド100に何度も選出されているのも納得がいく。
スタートアップと携わったことがある人なら誰でも資金調達しないで、1億ドルの年間経常収益を出すというのは本当にスゴいことだ。
くり返すが、売上ではなくて年間経常収益だ。
どんなサービスを展開しているのかというと、画像や動画を編集し、大規模に配信する業務を自動化するソフトウェアを提供している。
顧客数は1万社を超え、その中にはNIKE、テスラ、NBCなどの有名企業も含まれる。
Eコマース関連マーケティングの急拡大を追い風に事業を伸ばし、管理しているデジタル資産は2018年末の250億から600億に増えている。
その中核にあるのが、AI(人工知能)を用いて人々の関心を引く上で最適な画像や動画の見せ方の提案だ。
Cloudinaryアルゴリズムは、毎秒500~2,000ピースのコンテンツを処理している。
こうしたAIの活用によって、企業のCIO(最高情報責任者)やマーケターを顧客にしてきたのである。
そして、Cloudinaryのユーザ数は世界で100万人を超えた。
自社開発により提供機能を強化しており、2022年1月には初めてのM&Aも実行している。
今後、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、ブロックチェーンアプリケーション、NFT(非代替性トークン)などの分野へ積極的に出ていくと思われる。
シンガポールの政府系ファンドであるテマセク・ホールディングスが支援するファッションテクノロジーのスタートアップが、Zilingoだ。
関係者によると10億ドル以上の評価額で、1億5,000万ドルから2億ドル(約230億円)の資金調達を目指しているという。
シンガポールを拠点とするZilingoは、2015年にファッション系プロダクトのオンラインマーケットプレイスとして誕生した。
CEOのアンキティ・ボーズ(Ankiti Bose)、チーフ・テクノロジー・オフィサーのドルブ・カプール(Dhruv Kapoor)らが共同で設立した。
設立当初は東南アジアの消費者をターゲットにしていたが、時間をかけて世界の卸売バイヤーと販売者をつなぐB2Bのマーケットプレイスに進化している。
また、2019年6月には、ニューヨークとロサンゼルスにオフィスを構えてアメリカでの事業を開始している。
ファッションのサプライチェーンをデジタルで変革するためにアメリカ全体で1億ドル(約110億円)の投資を行った。
ファッション業界は搾取的で無駄が多く、率直に言って完全に壊れているとCEOのボーズは語っている。
また、私たちは根っからのテクノロジー企業であり、ビジネスと世界を改善するテクノロジーの力を固く信じているとも主張している。
今後、Zilingoのプラットフォームは、ビジネスの大小にかかわらず、公正で透明性があり、手頃な価格で迅速なサプライチェーンを利用できるよう、この業界での競争条件を整えていくという。
シンガポールを中心に暗号通貨事業を展開する、Amber Group(アンバー・グループ)は、2022年2月22日にテマセクの主導で2億ドル(約230億円)を調達した。
また、この資金調達により、評価額を30億ドル(約3,300億円)に引き上げたことを発表している。
約7ヶ月の調達時には10億ドル(約1,100億円)とされていたところから3倍への急成長だ。
2019年のフォーブスの30アンダー30アジアに選出されたAmber Groupの共同創業者でCEOのマイケル・ウーは、次のように語っている。
私たちは、デジタル資産が人々に機会と権限を与え、すべての人にとってより良い世界を形作ることができる、デジタルの未来を作る手助けをしたいと考えていると。
暗号通貨の取引や投資プラットフォームを提供するAmber Groupは、累計1兆ドル以上のトランザクションを処理し、50億ドル以上のデジタル資産を管理しているとされている。
ホームオフィスを香港からシンガポールに移転したのも、シンガポールは取引所が営業ライセンスを申請できる制度のため、暗号通貨ビジネスに優しい国とされているからである。
そして、アジア、ヨーロッパ、アメリカで事業を展開しており、オーストラリア、スイス、イギリスの規制当局からの承認を受けている。
さらに、最近では日本の規制当局の認可を受けた取引所であるDeCurret(ディーカレット)を買収し、日本に進出してきたので今後の動きには今まで以上に注目したい。
まとめ
日本から少し海外へ目を向けると、そこには数多くのスタートアップがある。
すでに世界には、評価額が10億ドル(約1,100億円)を超える、いわゆるユニコーン企業は1,000社あるという。
それだけ期待されているスタートアップが生まれているということは、大きくなれるチャンスが拡がっているということでもある。
どうせなら、日本だけでなく世界を見ようと思う人が少しでも増えるといいなと思う次第である。
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