旗幟鮮明(きしせんめい)
→ 旗の色が鮮やかなこと。転じて、態度や主義主張がはっきりしていること。
地域の公共体育館のイメージはどんなものだろうか。
私も広島出身で地元にはスポーツセンターというものがある。
年配の人が歩いているプールがあって、くたびれたトレーニング室があって、バドミントンや卓球ができるスペースがあるといったところだろうか。
とてもじゃないが、お世辞にもイケているとはいい難いのが現状ではないだろうか。
そんな中、スゴすぎると注目されている地方の体育館があるのを知っているだろうか。
八戸市にあるスゴすぎるスポーツ施設
(出典:現代ビジネス)
地域の公共体育館のイメージを払拭し、新しい運用形態とこれまでにない汎用性を持たせたアリーナがある。
青森県八戸市にある、FLAT HACHINOHEだ。
東北新幹線の八戸駅から歩いて5分ほどの場所にあり、八戸の新たなランドマークになっている。
FLAT HACHINOHEはスポーツをする人も、スポーツを観戦する人も集まれるアリーナだ。
また、スポーツだけでなくコンサートや地域のイベントにも利用できる。
運営するのは民間企業のクロススポーツマーケティング。
全国約200店舗を展開するスポーツ用品店のSUPER SPORTS XEBIO(スーパースポーツゼビオ)の親会社だ。
八戸市は同社に土地を無償貸与すると共に、年間2,500時間、30年間に渡る有償借り上げをしている。
そして、学校行事やクラブ活動、また市民のスポーツやイベントの場として公共体育館としても利用している。
地方のイケていない体育館との違いとは?
駅からでも見える巨大な黒い建屋は飛行機の格納庫のように見える。
なんとなく気になるロゴや建物のデザインは、ユニクロや楽天、セブンイレブンや本田の軽自動車、Nシリーズのロゴデザインを手がけたSAMURAIが担っている。
行政が全くタッチしていないのがポイントだ。
その資金繰りも民間ならではのハングリーさがあるという。
運営資金は、まず先述した八戸市による30年間にわたる安定した利用料がある。
それから、アイスホッケーチームの東北フリーブレイズ(アジアリーグ所属)のホームアリーナとしても一体経営されている。
このアリーナはスケートリンクにもなっており、ホッケーだけでなくフィギュアスケートやカーリング、スピードスケートなど氷上で戦う総合スケートリンクとしても利用できる。
実際に羽生結弦選手が練習で利用したり、エキシビジョンなども開催されている。
もちろん、一般に開放されている時間帯もある。
複数の顔を見せるFLAT HACHINOHE
なにもFLAT HACHINOHEは、氷上スポーツの場というわけではない。
スケートリンクの上に断熱材を挟み床を張れば、バスケットボールやバレーボールといった様々なアリーナスポーツに対応できる。
Bリーグの試合も可能というわけだ。
それから、使用用途はスポーツだけに留まらない。
天井から重量物を吊れる仕様になっており、コンサートも開催できる。
さらに広々としたロビーは地域物産展などの大規模なイベントにも使えるほか、屋外の広大なスペースを使っての屋外イベントも開催できる。
FLAT HACHINOHEのこだわり設計
プレイヤーにだけベストなこれまでの照明設備では、このFLAT HACHINOHEの空間を作れなかったと運営会社の担当者は語る。
観客にも最高の観戦環境を提供するため、パナソニックと新たな照明設備を開発・設置し、従来の体育館の照明設備とは異なるベストな照明環境を実現したという。
他のスケートリンクと圧倒的に違うのは、リンクと観客席の明暗差だ。
リンクは眩しいほど白く輝いているが、観客席は保安灯ほどの明かりはあるものの、観客席のイスが見えることはほとんどない。
FLAT HACHINOHEの照明設計は、リンクだけが浮かぶように明るく照らされるので、まるで舞台のように映し出される。
明るさの対比が異なる5種類の空間で評価し、実際の照明設計に反映している。
それから、映画館と同じように観客の入退場時は観客席も明るくして、足元まで明るく照らしスムーズな移動を可能にしている。
まだ、先述したとおり、FLAT HACHINOHEは、断熱材と床を張ることでバスケットやバレーボール、フットサルなどの試合もできる。
それぞれのルールブックに沿った照明に切り替え可能だという。
その切り替えは、専用のタブレットにタッチするだけという手軽さというか、テクノロジーを導入している。
テクノロジーを駆使した設計
スケートリンクのセンターには185インチ(およそ4.6m)の4面センタービジョンが天井から吊るされている。
このビジョンには、選手のプロフィールが表示したり、得点したときの演出映像などを表示できる。
コンサートのときは3面を取り外し1面だけにするなども可能で、さらにアリーナ全体を囲むリボンビジョンも得点時の演出用にも活用できる。
リボンビジョンは建屋の外にも配置されており、屋外のスペースにいる人たちにも試合の様子を伝えたり、メッセージを発信できる。
加えて、天井に吊るしたプロジェクターから氷上へプロジェクションマッピングが可能となっている。
FLAT HACHINOHEに設置されているLED照明は全130灯あり、すべてDMXに対応している。
DMXは複数の照明をコンピューターなどで集中管理する舞台照明装置システムのことだ。
これらをタブレット端末からボタン1つで試合展開に合わせて演出ができるようにしているのがイケている。
例えば、タブレットの得点のボタンを押せば、リボンビジョンにはゴールを称える映像が流れ、4面ビジョンにはチームロゴが表示、ファンファーレが会場に鳴り響くといった具合いだ。
まとめ
都心部でしか成り立たないと思われているアリーナ。
その常識を覆すことが青森県八戸市で行われている。
態度や主義主張がはっきりしているからこそ、リーダーシップを取って推進する力が生まれる。
地方だから、田舎だからという言葉は、もはや言い訳にしかならない。
地方の時代が確実に来ていることを改めて痛感し、我々も芯を持って諸々のプロジェクトを進めていく次第である。
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