【2022年2月】資金調達した注目のスタートアップ

2022-03-06 投稿: 植田 振一郎

起死回生(きしかいせい)
→ 危機的な状況から一変して勢いを盛り返すこと。

デスバレーという言葉を聞いたことがあるだろうか。

死の谷と呼ばれるスタートアップが乗り越えなければならない障害のことだ。

このデスバレー(死の谷)を乗り越えることができず、世の中から姿を消したスタートアップは数多く存在する。

いや、正確にはそういったスタートアップは知られすらしないので、数多く存在するはずだという表現が正しいだろう。

失敗とは知られることなく、成功して初めてピックアップされるわけだ。

そんなスタートアップがデスバレーを乗り越えるターニングポイントとなるのが、資金調達だろう。

2022年2月に資金調達したスタートアップ一覧

Tripledot Studios(トリプルドット・スタジオ)

英国のゲームメーカーである、Tripledot Studios(トリプルドット・スタジオ)が、2022年2月14日に1.16億ドル(約133億円)を調達したと発表した。

この調達で評価額は14億ドルとなり、ユニコーン入りした。

2021年年4月の評価額5億ドルから10ヶ月で約3倍に成長している。

2017年に設立されたトリプルドットは、現在13本のモバイルゲームを運営しており、うち4本は2022年にリリース。

マネタイズ方法は2種類で完全無料の広告モデルと、無料でプレイできるがゲーム内課金があるフリーミアムモデルで、一般的なゲームメーカーと差異はない。

月間アクティブユーザーは2,500万人を超えており、2021年の売り上げは前年比3倍にまで伸びている。

手掛けるゲームは、数独やソリティアなどの古典ゲームやブロックパズルなどがほとんどだ。

ルールは簡単で短時間でステージクリアできるのがポイントで、共通点はポップなデザインとアニメーションがあること。

ターゲットユーザは30歳以上としている。

メタバースや作り込まれた美しいCGとは対照的に、スマホで隙間時間にハマるコンテンツがどこまで伸びていくのか楽しみである。

Ro(ロー)

デジタル医療のユニコーンである、アメリカのRo(ロー)が、既存投資家から1.5億ドル(約173億円)を2022年2月15日に調達した。

この調達で評価額は70億ドルとなった。

Roはオリジナル医薬品のD2Cを展開しており、医師によるオンライン診療でRo製品を処方し、自宅へ配達するというビジネスモデルだ。

製品の治療対象は、男性機能障害(ED)や薄毛、女性向け更年期障害、性病、メンタルヘルス、禁煙などである。

2営業日以内の配送や、配達員に気づかれにくい梱包など患者への配慮が支持を得て急成長を遂げている。

スキンケア領域にもすでに参入しており、2019年から処方箋を必要とするスキンケア医薬品の販売を開始。

男性用はRoman、女性用はRoryで、2021年には2,000万ドル(約23億円)を売り上げている。

また、2020年春には厳格な外出自粛要請の中でオンライン調剤薬局も始めており、1,000以上の医薬品を取り扱っている。

安価で自宅に無料で配送してくれるため、コロナ禍で認知を獲得し、2021年の売上は150%増ということだ。

2020年12月には在宅介護サービスに参入し、着々と垂直統合を続け、デジタル医療全域を網羅しつつある注目のデジタル医療のユニコーンだ。

ClipLine

研修情報の配信システムを手掛ける、ClipLineがシリーズEラウンド2ndクローズで、4.5億円の資金調達を行った。

本ラウンドで総調達額は10.5億円となる。

ClipLineは、飲食や小売など多店舗を展開する企業向けに、現場従業員の知識や技術の平準化を支援するマネジメントSaaSだ。

最大の特徴は、各店舗を統括する本部から発信される、お手本の短尺動画を使う点だという。

従業員一人ひとりに割り振られたIDとシステムが連動し、企業理念や業務解説、間違えやすい手順や対応など、現場のニーズやレベルに合った研修動画をバイネームで視聴させ、管理側がチェックすることができる。

これにより、教育の均質化や低コスト化を通して、売上向上やマネージャー職の業務負担増による離職率削減、業務効率化を狙う。

ClipLineは、2014年10月にリリースされ、2021年末時点で約1.5万店舗、42万ユーザがいる。

導入費用は100万円からで、1店舗あたり1万円前後/月のランニングコストがかかる。

コロナ禍でも解約率1%未満をキープしているということで、2022年内に2万店舗契約を目標としている。

トレタ

飲食店向け予約および顧客台帳サービスのトレタは、融資を含め総額20.3億円の資金調達を行ったと2022年2月16日に発表した。

総調達額は融資を除き、77.4億円となる。

トレタは、飲食店の予約状況をタブレットで簡単に管理できる業界特化型SaaSだ。

一般的に飲食店の顧客管理は、客からの急な変更やキャンセルが頻繁に発生するためアナログでは手間がかかることに着目した。

2013年にサービスを開始して、現在の顧客数は約1万店舗だという。

初期費用は1万円で、月額1万円前後の利用料がかかるというビジネスモデルだ。

今回の資金調達で、飲食店検索から予約、来店後のメニューやオーダー、会計までを一気通貫で管理するCRM(顧客関係管理)領域に進出していく。

ICON Technology(アイコン・テクノロジー)

3Dプリンターで住宅を建設する、アメリカのアイコン・テクノロジーが2022年2月18日に1.85億ドル(約213億円)を調達した。

アイコン・テクノロジーは住宅建設用の3Dプリンターで建築する、建設テック企業だ。

3Dプリンターで印刷(建設)するのは壁のみで、窓ガラスや屋根は既存の住宅と同じだが、アイコンの3Dプリンター住宅は速い、安い、頑丈、の3つの特徴を持つ。

例えば、120〜150㎡の住宅の壁の印刷は、数日で完成するという。

プリンターを動かしたりするため数日かかるが、印刷だけにかかる時間は24時間。

家の完成までにかかる時間は数週間というスピードだ。

印刷したパーツを運んで組み立てるのではなく、建設現場で気象に合わせてセメントを混合して壁をつくる。

同時に3戸の家を建設できるスピード感だ。

また、安全性も高く、標準的なコンクリート建築物と同等以上の耐久性を持ち、火災、洪水、風、その他の自然災害に耐えるという。

Volta Trucks

スウェーデンの電気自動車(EV)スタートアップである、Volta TrucksがシリーズCで2億3000万ユーロ(約2.6億ドル、約300億円)を調達したと2022年2月21日に発表した。

2020年9月に世界初の16トン級フル電動商用トラックを発売した。

都市部での貨物配送に特化した設計で、運転席は中央に配置、座席は従来のトラックよりも低く設置されている。

この設計により、ドライバーは最大220度の視界を確保でき、路上での危険な死角を最小限にする等の工夫がされている。

純電気航続距離は150〜200kmで、2022年2月現在、自動運転機能は搭載されていない。

トラックの正式稼働は2022年半ばからだが、既に2020年に1,000台、2021年11月には1,500台を、ドイツのDBシェンカー等の物流企業から受注している。

最新の実績と合わせると、受注台数は5,000台以上、受注金額は12億ユーロ(約13億ドル、約1,500億円)を超えるという。

ビジネスモデルは、トラック自体の販売プランもあるが、中長期的には保険や充電インフラ、サービスの修理・保守等を含むリース契約の割合を売上高の最大8割まで増やす方針だ。

Volta Trucksは、2025年には最大2万7,000台のEVトラックを生産する予定で、推定120万トンのCO2削減を目指すという。

Camel(キャメル)

フードデリバリー注文の一元管理サービスを展開しているのが、Camel(キャメル) で、2022年2月22日に3億円を調達したと発表した。

Uber Eats、出前館、DiDi Foodなど、フードデリバリーが競争激化する中、タブレット1台に様々なデリバリープラットフォーム経由の注文を表示することができるのが特徴だ。

調理場に注文を飛ばすハンディシステムやレジとも連携し、受注から会計まで一括管理でき、それぞれに再入力の必要がない。

月額7,000円、受注のダッシュボードが見られるプレミアムコースは1万円の価格設定だ。

俺の株式会社やらあめん花月嵐など250社、5,500店舗の顧客を抱えている。

Crezit Holdings(クレジット・ホールディングス)

組み込み型の貸し付けシステムを提供する、クレジット・ホールディングスは、2022年2月24日に6億5,000万円を調達した。

金融サービスに必要なシステムを提供する、Credit as a Service(CaaS)で、顧客企業は与信機能をAPIで手軽に組み込めるのが特徴だ。

現在はCrezit自身が貸し付けているが、今後は銀行や信販会社、消費者金融などと事業会社の間に入って与信システムのみを提供するビジネスモデルを想定している。

顧客企業からは月額のシステム利用費用の他に利息収入の一部を受け取ることでマネタイズの幅を拡げる。

まとめ

日本を含め、世界で注目されているスタートアップの2022年2月の資金調達事情をまとめてみた。

定期的にまとめているが、ユニコーンという言葉が頻繁に飛び交うようになっている。

1回の紹介で複数のユニコーンという言葉を書くことも珍しくなく、日本のスタートアップからも次々にユニコーンが生まれることを期待しているし、stak社もまずはそこを目指したい。

 

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