既往不咎(きおうふきゅう)
→ 済んでしまったことは、咎(とが)めないということ。
過ぎ去ったことを咎めたり、悔やんでしまっても仕方がない。
戻ることはできないし、仮に戻れたとしても同じようにミスや失敗は将来に起きてしまう。
つまり、1つ1つのミスや失敗した過去をその場で真正面から対応していくことは生きていく上で非効率すぎる。
もちろん、原因を究明したり経験を次に活かすことは重要だが、前に進むために未来へ向けて行動を起こす方が、よっぽど建設的である。
過去を振り返らないという意味で、こんな記事を見つけたので紹介していこう。
コクヨが挑むキャンパスノートの未来形
(出典:日経ビジネス)
学生時代にキャンパスノートを使ったことがないという人はいないといっても過言ではないだろう。
Campusと表記した方がピンとくる人が多いかもしれない。
そんなキャンパスノートを展開しているのは、文具メーカーの大手である、KOKUYO(コクヨ)だ。
Campusというフォントが表紙に記されたノートは、年間1億冊売り上げるというのだから驚きだ。
日本の総人口は約1億2,000万人で、総人口には字が書けない赤ちゃんたちも含まれることを考えると、まさに1人1冊のレベルで買われているということになる。
そんなコクヨが、Carry Campus(キャリーキャンパス)というスマホアプリをリリースしたという。
そのコンセプトは、ノートをスマートフォンに入れて持ち運ぶというもの。
ノートのページを撮影するだけで保存し、いつでもアプリの中で見返すことができる。
さらに、取り込んだページを編集して自分仕様にアレンジできたりと、編集機能は文房具メーカーらしく多彩である。
Carry Campus(キャリーキャンパス)アプリとは?
コクヨが満を持してリリースした、Carry Campus(キャリーキャンパス)アプリの特徴をより具体的に挙げていこう。
まずは、今だけペンという機能に注目したい。
その名のとおり、書いた字が3秒で消えるペンだ。
くり返し書いて覚える暗記学習にもってこいの機能で、覚えたい箇所に暗記マーカーを塗ったり、赤色の暗記シートで文字を隠すことも可能である。
また、暗記マーカーでチェックした回数は自動でカウントされるので、受験生や資格試験に挑戦している人たちには嬉しい機能だろう。
そして、閲覧ヒートマップを使えば、ページ内でよく見た箇所、見落とし気味の箇所がサーモグラフィーのように色分けされる。
マジックスポイトという機能もあり、文字の色を吸い取ると、その色の文字が見えなくなる機能も暗記するときに便利だ。
他にも、音声を録音して再生したり、OK、花丸マークといったスタンプを貼ったり、ページの順番を並べ替えたりと、自在にノートを編集できるのも暗記する際には嬉しい。
もう1つの目玉機能として、学習カレンダー機能がある。
英語、数学、化学など科目ごとにノートを作成し、テストの予定とリンクさせることで、本番に向けて計画的に勉強を進めることができる。
テストまで、あと○日とカウントダウン表示されたり、アプリを使った日々の学習時間も学習レポートで確認できる。
テスト結果を入力すれば、各教科の点数や偏差値の推移がグラフで追える。
それから、スーという公式キャラクターが、学習記録に応じて、初めてのノート作成おめでとう!とか三日坊主を突破したよ!といった具合いに応援コメントをつぶやいてくれる。
勉強の成果が見えるのがポイントで、こうすると継続が可能になる。
パーソナルトレーナー専任のジムやマンツーマンの塾のように、身近に寄り添ってくれることでモチベーションの維持に繋がるというわけだ。
そんなアプリのコンセプトはノートとテストをつなぐ勉強アプリで、中高生をメインターゲットに、3年間で100万ダウンロードを狙うという。
2021年5月1日時点の文部科学省が行ったの学校基本調査によると、全国の中高生の数は計623万7,870人。
ということは、少なくとも中高生の2割弱にこのアプリをリーチさせたいという意向だ。
Carry Campus(キャリーキャンパス)アプリ誕生の理由
ここ数年、オンライン授業が急速に拡大したのは、もはや周知の事実だ。
キャンパスノートを中心に、文房具というアナログのツールを提供してきたコクヨにとっても、デジタル化への対応は急務だった。
そこで、オンライン授業をどのように受講しているかと全国の中高生に尋ねたところ、6割近くが自分のスマホで受講していると答えた。
一方で、オンライン授業の際、机上に紙のノートはあるかという質問には7割弱があるを選んだ。
中高生にとってスマホはもはや学習ツールになっているが、多くは手書きのノートも併用していることがアプリ開発のヒントになった。
中でも、注目したのが撮影という行為だ。
中高生の間では、ノートを撮影してスマホに取り込み、勉強するスタイルが一般化している。
加えて、大半の中高生が勉強計画をうまく立てられずに悩んでいることが判明した。
このあたりを鑑みて、ノートを撮影するだけで保存と編集ができて、テストに向けてコツコツと勉強を積み重ねられるアプリを目指すことにしたのである。
KOKUYO(コクヨ)の挑戦
コンセプトが固まると、延べ100人の中高生にヒアリングを実施した。
プロトタイプを作ってはブラッシュアップをくり返し、アプリリリースに至った。
そして、KOKUYO(コクヨ)は2021年に長期ビジョンを策定した。
そこで掲げたのは、2030年に売上高を5,000億円にするというものだ。
2020年12月期のコクヨの売上高は3,006億円なので、事業規模を約2,000億円上乗せする必要がある。
事業規模2,000億円の上乗せの部分に、まさに今回紹介したCarry Campus(キャリーキャンパス)のような、DX戦略が含まれている。
まとめ
大手企業も次々にDX戦略を掲げている。
ただ、実際に上手く機能し始めている企業はまだまだ少ないのが実態だ。
そんな中、文具メーカー大手のKOKUYO(コクヨ)の戦略はコンセプトやターゲットもしっかりしていて、ビジョンがある。
もちろん、そんな簡単にすべてが上手くいくとは限らないが、今後の動きにも是非注目したい。
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