一髪千鈞(いっぱつせんきん)
→ 一本の髪の毛で千鈞の重さを引く意から、非常に危険なこと。また、無理なことのたとえ。
日本国内でもようやくワクチン接種が急ピッチで広まっている。
東京オリンピックを控えている中で、とてもいい傾向だと思う。
もはや感染者を抑えるにはワクチン接種をして抗体を持つしかないし、それによって経済を回復させなければマズい。
危機感を煽るわけではないが、現状をしっかり把握しておいた方がいい。
東京都の財政状況が新型コロナウイルス対策で大きく悪化
(出典)日本経済新聞
まずはこちらの記事を読めばわかるが、貯金に当たる財政調整基金の残高が2021年度末時点で21億円になる見通しとのことだ。
20年度末の残高見込みと比べると99%減という壊滅的な数字を叩き出している。
休業要請をした飲食店の保証やその他の対策で一気に吐き出したことになる。
2019年度末には1兆円近くあった東京都の貯金が、2年の間にほぼゼロになっているという現状を知っておくべきだ。
東京都は20年度決算の状況をみて、使わなかった財源を今後の新型コロナウイルス対策などに充てる方針を発表している。
けれども、結局は税金から成り立っている行政機関のお財布である。
足りなくなれば当然、増税をして確保していかなければならなくなる。
これは東京都民のみならず、他の政令指定都市でも同様に緊急事態宣言や時短要請を行った地域には少なからず影響は出てくるだろう。
ワクチン接種について
(出典)日本経済新聞
そんな中、菅首相がリーダーシップをとり、全希望者のワクチン接種を10〜11月に終えると表明した。
7月末までに65歳以上の高齢者への接種を終えるとの目標を示していた中で明るい表明である。
6月末には4千万回を超えることができるとの見通しを示している。
実際、周りでもワクチン接種を終えたという人が増えてきており、ようやくコロナの沈静化が進んでいきそうだ。
人と会う機会が減り、外食ができず、お酒も飲めないという環境は、やはりストレスを感じるところも多いだろう。
もちろん、リモートワークが進んだことで打合せの手法がオンラインになったりとプラスの面も多々もたらした。
けれども、本質というか当たり前だったことが当たり前でなくなっていることに違和感を覚える必要がある。
健全ではないことに対しては、しっかり声を上げるべきだということだ。
コロナ禍で売れた商品と売れなくなった商品
ここ数週間で一気に売上を伸ばしている商品があることを知っているだろうか。
- 鎮暈剤(酔い止め)
- 日焼け・日焼け止め
- テーピング
いずれも、前年比248.2%、240.1%、216.1%と、いずれも2倍から2.5倍と大きく伸びているのだ。
自粛を強いられた人々が暖かくなってきて、外に出たくなったことが心理的にもよくわかるデータだ。
だからといって、この情報だけで人が外に出ていると判断することは危険だ。
もう1つ重要なデータがある。
それは、コロナ前の水準をきちんと把握しておくということだ。
上記の商品のコロナ前の基準、つまり2年前と比較すると、鎮暈剤が35.9%、日焼け・日焼け止めが81.4%、テーピングは17.9%となっている。
つまり、大きく伸びたとされるジャンルの商品がコロナ前と比べると実は全然復活していない現状がある。
一方で、こんなデータもある。
1年前から大きく需要が落ちたジャンルの商品群がある。
- エッセンス類(バニラエッセンスなどの香り付け商品)
- 小麦粉
- プレミックス(ホットケーキの粉などの調整粉)
1位はエッセンス類で前年比42.5%、2位が小麦粉で同45.8%、3位はプレミックスで同47.1%と大きく下回っている。
このデータだけ見ると、家であたかもお菓子づくりをしなくなったかのように思ってしまう。
けれども、コロナ前の2年前との比較に注目したい。
小麦粉は103.4%と微増だが、エッセンス類は113.3%、プレミックスも113.6%、ホイップクリームは121.1%、シロップ類は110.4%となっている。
去年のコロナ真っ只中に比べると、お菓子づくりの機会は減ったけれど、コロナ前よりは増えているという結果となる。
要するに、まだまだ家庭でお菓子づくり関連の商品が使われている、売れているという判断ができる。
消費者行動から市況を読むことの大切さ
メディアの報道に対して、直近のデータだけを見ると浅い理解で終わらせてしまう人が増えてしまう。
特にコロナのような今までにないような要因で経済が大きく変化したときにはその傾向が強くなる。
前年比だけではなく2年前の比較やその他の大きな要因があったときのデータとの比較が重要になることを示してみた。
このように消費者行動から市況を読んでいくことで、ビジネスチャンスもあるということだ。
stakもIoTデバイスという特殊な商品を取り扱っている。
自分たちの感覚ではなく、大衆がどのように感じてどのように動くかをきちんとデータから推察していくことの大切さを改めて感じることができた貴重なデータである。
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