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2025年8月29日 投稿:swing16o

定年退職後の茫然自失:人生100年時代における「燃え尽き症候群」の実態と克服への道筋

茫然自失(ぼうぜんじしつ)
→ 気が抜けて、ぼんやりしたさま。

茫然自失という言葉を聞いて、どのような状況を思い浮かべるだろうか。

定年退職後、毎朝起きて行く場所がない。やるべきことが見つからない。そんな状態で日々を過ごす人々が、実は日本中で急増している。

私は以前から、この問題に強い関心を持ってきた。

なぜなら、人生100年時代と言われる現代において、定年後の30年以上をどう生きるかは、個人にとっても社会にとっても極めて重要な課題だからだ。

朝目覚めて、今日も行く場所がない。

手帳を開いても、予定は真っ白。

40年以上働き続けた生活から一転、時間だけが過ぎていく毎日。

これが、多くの定年退職者が直面している現実だ。

茫然自失という四字熟語。

本来は「気が抜けて、ぼんやりしたさま」を意味するこの言葉が、今、定年退職者の心理状態を表す言葉として、改めて注目されている。

茫然自失という概念の歴史的背景

そもそも、茫然自失という言葉は、中国の古典に由来する。

「茫然」は「ぼんやりとしてはっきりしない様子」を、「自失」は「自分を見失う」ことを意味する。

この言葉が日本に伝わったのは、平安時代頃と言われている。

興味深いのは、この言葉が時代とともに意味を変化させてきたことだ。

江戸時代には主に「驚きのあまり我を忘れる」という意味で使われていたが、明治以降、近代化とともに「目的を失って途方に暮れる」という意味合いが強くなってきた。

そして現代、特に2025年を迎えるにあたり、この言葉は新たな社会的意味を持つようになった。

それは「定年退職後の生きがい喪失」という、まさに現代日本が直面する深刻な社会問題を表す言葉となっているのだ。

データで見る定年退職後の「茫然自失」の実態

急増する定年退職者と社会的孤立

パーソルキャリア株式会社が運営する調査機関『Job総研』が606人の社会人男女を対象に実施した「2024年 定年に関する意識調査」によると、全体の80.6%が定年後に不安を抱いている。

具体的には「生活費や医療費への不安」が63.5%で最多となり、次いで「老後の生活設計」が52.8%、「健康問題による活動の制限」が41.3%となった。

さらに衝撃的なのは、定年後の経済不安の有無について、全体の82.3%が「経済不安がある」と回答し、具体的には「年金額の不足」が56.8%で最多となっている。

次いで「現在の生活レベルの維持」が45.7%、「収入源の喪失」が42.2%となったという事実だ。

2025年問題が加速させる「茫然自失」

2025年には団塊世代が後期高齢者になることによって、高齢者に対する社会保障費はさらに増えるものと予測される。

団塊の世代の人数は約800万人と言われており、2025年にはそのすべてが後期高齢者(75歳以上)となるため、日本社会は国民の5人に1人が後期高齢者という「超高齢化社会」を迎える。

この大量の定年退職者の存在は、まさに「茫然自失症候群」とも呼べる社会現象を生み出している。

高齢者の4人に1人が社会的孤立を経験しているとされるが、高齢者だけでなく、子どもや若者、働きざかりの中年層まで、老若男女問わず、孤独感や社会的孤立は、鬱などの精神的健康問題のみならず、認知症や脳卒中といった病気の上昇につながるという深刻な状況が報告されている。

定年退職後の生きがい喪失の深刻さ

高齢者の生きがい実態調査が示す現実

株式会社日本総合研究所が国内の高齢者1,600名を対象に実施した「高齢者の生きがい等意識調査2024」によると、生きがいを持たない高齢者が一定数(「楽しみ、喜びを感じることはない」:4.8%、「今後、現在より充実させたいことはない」:13.0%)存在している。

特に注目すべきは、男女差だ。

おひとりさま男性は1割以上が「楽しみや喜びを感じることはない」と回答し、おひとりさま男性の約4割が「不安解消のためにお金をかけてもよいと思うものはない」と回答した。

この数字は、男性の方が定年後の生きがい喪失に陥りやすいことを示唆している。

コロナ禍がもたらした行動変容の影響

コロナ前と比較して、「インターネットショッピング」・「飼育しているペットの世話」の行動のみ、「増えた」と回答した者が「減った」と回答した者を上回っている。

一方、多くの行動がコロナ前と比較して減少。

特に旅行は激減しており、「国内旅行」では44.8%の者が「減った」と回答した。

このような行動制限は、高齢者の社会的つながりをさらに希薄化させ、茫然自失状態を加速させる要因となっている。

別角度から見る問題の深刻さ:経済的側面と健康面の相関

定年後に必要だと思う資金額について、平均が4,437.8万円、中央値が3,000万円、最頻値が3,000万円となったが、定年後に必要な資金の貯蓄可否については、「蓄えられない派」が43.9%という厳しい現実がある。

この経済的不安は、単なる金銭的問題にとどまらない。

経済不安を解消するためなら定年以降もはたらくかを聞くと、「はたらく派」が82.5%で大多数を占めたという結果が示すように、本来なら第二の人生を楽しむべき時期に、経済的理由から働き続けざるを得ない状況に追い込まれている。

日常生活の不便を感じる状態以降では、楽しみ・喜びを感じられなくなる割合が高く、要支援・要介護の認定を受けている層では、26.7%が今後現在よりも充実させたいことはないと回答した。

これは、健康状態の悪化が生きがい喪失を加速させる「負のスパイラル」の存在を示している。

身体的な衰えとともに、精神的な活力も失われていくのだ。

まとめ

まず重要なのは、定年前からの準備だ。

定年退職をいつ経験するかは予測できるため、定年退職前からよく準備していた人は、定年退職後にこころの健康を良く保つことができると考えられている。

具体的には、以下のような準備が有効だ。

第一に、趣味や社会活動への参加。データが示すように、感じている生きがいとして多く挙げられた項目は「旅行」・「親しい人達との団らん」(それぞれ37.3%、37.1%)となっている。

これらの活動を定年前から始めておくことで、スムーズな移行が可能となる。

第二に、社会的つながりの維持・構築。会話の頻度別に見ると、「生きがいを感じていない」人の割合は、毎日会話をしている人では11.7%であるが、会話が「2日~3日に1回以下」の人では26.8%である。

日常的な会話の機会を確保することが、精神的健康を保つ上で極めて重要だ。

第三に、新たな学びへの挑戦だ。

定年後も知的好奇心を持ち続けることで、脳の活性化と社会参加の機会を同時に得ることができる。

そして、企業側にも重要な役割がある。

働く人材を求める企業側は、短時間勤務や在宅勤務の導入など、一人一人の社員の要望やライフスタイルに合わせた働き方ができるような仕組みをつくり、社内全体で理解を深める必要がでてくる。

また、定年制度そのものの見直しも必要だ。全体の74.6%が「定年は自分で決めたい」と回答しており、定年のタイミングについては、柔軟性が求められている。

画一的な定年制度から、個々人の状況に応じた柔軟な制度への転換が求められている。

stak, Inc.は、テクノロジーを活用した社会課題解決に取り組んでいる。

定年退職後の茫然自失問題についても、以下のようなアプローチが有効だと考えている。

まず、デジタルリテラシー向上支援だ。

高齢者のインターネット活用を促進することで、社会とのつながりを維持し、新たな生きがいを見つける機会を提供できる。

実際、インターネットショッピングは25.3%の高齢者が「増えた」と回答しており、デジタル活用の可能性は大きい。

次に、世代間交流プラットフォームの構築。高齢者の豊富な経験と若い世代の新しい視点を結びつけることで、双方にメリットのある関係を構築できる。

これは、高齢者の社会的役割を再定義し、生きがいを創出する重要な取り組みとなる。

最後に、健康管理と生きがい創出を統合したサービスの開発。

身体的健康と精神的充実を同時にサポートすることで、健康寿命の延伸と生活の質の向上を実現できる。

最後に、定年退職後の茫然自失は、個人の問題ではなく、社会全体で取り組むべき課題だ。

2025年問題が目前に迫る今、この問題への対応は待ったなしの状況にある。

しかし、悲観する必要はない。適切な準備と社会的サポートがあれば、定年後も充実した人生を送ることは十分可能だ。

重要なのは、定年を「終わり」ではなく「新たな始まり」として捉え直すことだ。

人生100年時代において、65歳での定年は人生の通過点に過ぎない。

残された30年以上の時間をどう生きるか。

それは、個人の選択であると同時に、社会全体で支え合いながら創造していくべき未来でもある。

茫然自失から脱却し、第二の人生を輝かせるために、今こそ、個人と社会が手を携えて、新たな高齢社会のあり方を模索する時だ。

stak, Inc.も、テクノロジーの力でその一翼を担っていく所存である。

 

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植田 振一郎 X(旧Twitter)

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