墜茵落溷(ついいんらくこん)
→ 人生には運や不運があるということ。
墜茵落溷(ついいんらくこん)とは、人生には浮き沈みがあり、時に良いこと、時に悪いことがあるという意味の言葉だ。
「墜」は落ちる、「茵」は草むら、「落」は落ちる、「溷」は泥濘(ぬかるみ)を指す。
つまり、草むらに落ちたり、泥濘に落ちたりするように、人生にはいいことも悪いこともあるということだ。
この言葉の由来は、中国の古典「荘子」に遡る。
「荘子」の中に、「墜茵落溷、当時応若是」という一節がある。
これは、「草むらに落ちたり、泥濘に落ちたりしても、その時はそれが当たり前のことのように感じる」という意味だ。
人生の浮き沈みを表現した言葉と言えるだろう。
現代社会でも、墜茵落溷という言葉は、人生の起伏を表すのによく使われる。
例えば、「人生は墜茵落溷だ」と言えば、人生にはいいことも悪いこともあるという意味になる。
ビジネスの世界でも、この言葉は当てはまる。
事業の成功と失敗、景気の浮き沈みなど、ビジネスにはつきものだからだ。
しかし、ここで疑問が生まれる。
なぜ、ある人は運が良く、ある人は運が悪いのだろうか。
運の良し悪しは、単なる偶然なのだろうか。
それとも、何か法則があるのだろうか。
次のカテゴリでは、運の良し悪しを左右する要因について考えてみよう。
運の良し悪しを左右する要因
運の良し悪しは、一見すると偶然のように思える。
しかし、よく観察してみると、一定の法則があることに気づく。
それは、「思考と行動」だ。
運が良い人は、ポジティブな思考と行動を心がけている。
一方、運が悪い人は、ネガティブな思考と行動に陥りがちだ。
例えば、運が良い人は、チャンスを積極的に生かそうとする。
新しいことにチャレンジし、失敗を恐れない。
また、人脈を広げ、情報を収集することに努める。
その結果、思いがけない幸運に恵まれることが多いのだ。
そして、運が悪い人は、チャンスを逃してしまうことが多い。
新しいことに挑戦するのを恐れ、失敗を過剰に恐れる。
また、人付き合いを避け、情報収集を怠る。
その結果、良い機会を逃し、不運に見舞われがちなのだ。
アメリカの心理学者、マーティン・セリグマン博士は、この違いを「説明スタイル」と呼んでいる。
運が良い人は、良いことが起きた時、それを自分の努力の結果だと考える。
一方で、悪いことが起きた時は、一時的な出来事だと捉える。
これを「楽観的説明スタイル」と呼ぶ。
対照的に、運が悪い人は、良いことが起きても、それを偶然だと考える。
悪いことが起きると、自分の能力不足のせいだと考え、深く落ち込む。
これを「悲観的説明スタイル」と呼ぶ。
セリグマン博士の研究によると、楽観的説明スタイルの人は、悲観的説明スタイルの人よりも、健康で長生きする傾向があるという。
それから、仕事や学業でも高い成果を上げやすいそうだ。
つまり、運の良し悪しは、単なる偶然ではない。
思考と行動のパターンが、大きく影響しているのだ。
ポジティブな思考と行動を心がければ、運を味方につけることができる。
逆に、ネガティブな思考と行動に陥れば、運は遠ざかってしまう。
運を引き寄せるも遠ざけるも、自分次第なのだ。
運の良し悪しに対する人々の意識
では、実際に人々は、自分の運をどう捉えているのだろうか。
この疑問について、いくつかの興味深い調査結果がある。
まず、アメリカのギャラップ社が行った調査だ。
この調査では、「あなたは自分が運が良いと思いますか?」と尋ねている。
すると、実に54%の人が「はい」と答えたという。
つまり、半数以上のアメリカ人が、自分は運が良いと感じているのだ。
一方、日本では少し様子が異なる。
キャリアバンク社が行った調査によると、「自分は運が良いと思う」と答えた人は、わずか28%だった。
逆に、「運が悪いと思う」と答えた人は、37%にのぼったという。
日本人の方が、自分の運に対して悲観的なのだ。
この違いは、文化的背景が影響しているのかもしれない。
アメリカ文化は、個人の努力を重視する傾向がある。
運が良いのも、自分の努力の結果だと考えるのだ。
一方、日本文化は、個人よりも集団を重視する傾向がある。
自分の運を主張することは、控えめだとされてきた。
また、「出る杭は打たれる」という言葉もあるように、目立つことを良しとしない風潮もある。
そのため、運が良いことを公言しにくい雰囲気があるのかもしれない。
ただし、日本でも、運が良いと感じている人が3割近くいることは注目に値する。
運の良し悪しは、個人の感覚に大きく左右されるのだ。
客観的な状況よりも、主観的な受け止め方が重要なのかもしれない。
また、運が良いと感じている人は、それを素直に喜べる柔軟性を持っているのだろう。
どんな状況でも、ポジティブに捉える力を持っているからこそ、運が味方するのかもしれない。
逆に、運が悪いと感じている人は、ネガティブな思考に囚われているのかもしれない。
物事の良い面を見出す力を養うことが、運を引き寄せるカギとなるのかもしれない。
運の良い人に共通する特徴
運が良いと感じている人には、いくつかの共通点がある。
ここでは、その特徴を3つ紹介しよう。
1. 感謝の気持ちを忘れない
運が良い人は、日々の生活の中で、感謝の気持ちを忘れない。
小さな幸せにも気づき、心から喜ぶことができる。
例えば、朝日が昇るのを見て、「今日も一日が始まる」と感謝する。
美味しい食事に舌鼓を打ち、「こんなに豊かな食生活ができて幸せだ」と感謝する。
些細なことかもしれないが、感謝の気持ちを持つことで、心が豊かになる。
すると、さらに良いことが起こりやすくなるのだ。
感謝の気持ちは、運を引き寄せる磁石のような働きがあるのかもしれない。
2. 他人の幸せを喜べる
運が良い人は、他人の幸せを心から喜ぶことができる。
嫉妬心が少なく、他人の成功を素直に祝福できる。
「あの人が幸せなら、私も嬉しい」と感じられるのだ。
逆に、運が悪い人は、他人の幸せを素直に喜べない。
「どうして自分ではなく、あの人が幸せなのか」と嫉妬心を抱きがちだ。
しかし、他人の不幸は、自分の幸せにはつながらない。
むしろ、他人の幸せを喜ぶことで、自分の心も豊かになる。
それが、運を引き寄せる一歩になるのだ。
3. 失敗を恐れない
運が良い人は、失敗を恐れない。
チャレンジ精神が旺盛で、新しいことにどんどん挑戦する。
たとえ失敗しても、「失敗は成功のもと」と前向きに捉える。
失敗から学び、次のステップにつなげる力を持っている。
逆に、運が悪い人は、失敗を過剰に恐れる。
「失敗したらどうしよう」と不安になり、チャレンジを避ける。
その結果、良い機会を逃してしまうことが多い。
失敗を恐れず、チャレンジする勇気こそが、運を引き寄せるカギとなる。
成功の反対は、失敗ではない。
挑戦しないことなのだ。
これら3つの特徴は、運が良い人に共通して見られる。
感謝の気持ち、他人の幸せを喜ぶ心、失敗を恐れないチャレンジ精神。
これらを身につけることが、運を味方につける近道なのかもしれない。
運を引き寄せたい人は、ぜひ参考にしてほしい。
運を引き寄せる秘訣
運を引き寄せるには、どうすればいいのだろうか。
ここでは、具体的な方法を3つ紹介しよう。
1. ポジティブな言葉を使う
言葉には、現実を創造する力がある。
ポジティブな言葉を使えば、良い現実を引き寄せることができる。
逆に、ネガティブな言葉を使えば、悪い現実を引き寄せてしまう。
例えば、「絶対に失敗したくない」と言うよりも、「必ず成功する」と言う方が良い。
「疲れた」と言うよりも、「エネルギーが湧いてきた」と言う方が良い。
ポジティブな言葉を意識的に使うことで、徐々に思考が変わっていく。
すると、運を引き寄せる力も高まるのだ。
2. 目標を明確にする
運を引き寄せるには、明確な目標を持つことが大切だ。
目標があれば、その達成に向けて行動できる。
行動することで、運を引き寄せるチャンスが増える。
逆に、目標がなければ、日々をただ漠然と過ごすだけだ。
チャンスが来ても、それを活かすことができない。
目標は、具体的で現実的なものがいい。
「一年後に年収を2倍にする」といった具合だ。
そして、その目標に向けて、毎日行動することが大切だ。
小さな積み重ねが、大きな運を引き寄せる。
3. 直感を大切にする
運を引き寄せるには、直感を大切にすることも重要だ。
直感とは、理屈抜きで感じる直観のこと。
「これはチャンスかもしれない」「あの人と話したほうがいいな」といった感覚だ。
論理的には説明できないかもしれないが、直感に従うことで、運を引き寄せるチャンスが増える。
アメリカの著名な起業家、スティーブ・ジョブズは、直感の重要性を説いた。
「直感こそが、人生で最も大切なツールだ」と。
ジョブズは、直感に従って行動することで、数々の革新的な製品を生み出した。
直感は、運を引き寄せる羅針盤なのかもしれない。
これら3つの方法を実践することで、運を引き寄せる力が高まるはずだ。
ポジティブな言葉、明確な目標、直感を大切にする習慣を身につけよう。
そうすることで、人生の浮き沈みを乗り越え、幸運を手にすることができるだろう。
運は、引き寄せるものなのだ。
まとめ
墜茵落溷という言葉には、人生の浮き沈みを表す深い意味がある。
草むらに落ちたり、泥濘に落ちたりするように、人生にはいいことも悪いこともある。
それが、人生の本質なのだ。
しかし、運の良し悪しは、単なる偶然ではない。
思考と行動のパターンが、大きく影響している。
ポジティブな思考と行動を心がければ、運を味方につけることができる。
逆に、ネガティブな思考と行動に陥れば、運は遠ざかってしまう。
アンケート調査によると、日本人は自分の運を悲観的に捉える傾向がある。
アメリカ人に比べ、「自分は運が良い」と感じている人が少ないのだ。
この違いには、文化的背景が影響しているのかもしれない。
日本では、個人の運の良さを主張することは、控えめだとされてきた。
目立つことを良しとしない風潮もあるからだ。
しかし、運が良いと感じている人が3割近くいるのも事実だ。
彼らは、感謝の気持ちを忘れず、他人の幸せを喜び、失敗を恐れないという特徴がある。
どんな状況でも、ポジティブに捉える柔軟性を持っているのだ。
私たち一人一人も、こうした特徴を身につけることで、運を引き寄せることができる。
ポジティブな言葉を使い、明確な目標を持ち、直感を大切にする習慣が大切だ。
そうすることで、人生の浮き沈みを乗り越え、幸運を手にすることができるだろう。
墜茵落溷。
この言葉が示すように、人生にはいいことも悪いことがある。
それを受け入れつつ、運を引き寄せる努力を怠らないこと。
それが、激動の時代を生き抜く私たちに求められる心構えなのかもしれない。
運を味方につけるも、遠ざけるも、すべては自分次第なのだ。
ポジティブな思考と行動を心がけ、人生の主人公として生きること。
それが、墜茵落溷の教訓だと考えている。
【X(旧Twitter)のフォローをお願いします】