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2024年6月3日 投稿:swing16o

Amazon 登場前後の本と雑誌の販売部数推移

長目飛耳(ちょうもくひじ)
→ 遠くの事をよく見る目と、よく聞くことのできる耳の意で、情報を収集し、物事を深く鋭く判断することや書籍のことをいう。

長目飛耳は、遠くの事をよく見る目と、よく聞くことのできる耳を意味する言葉だ。

遠くまで見通す目と、遠くまで聞こえる耳。

つまり、広く情報を収集し、物事を深く鋭く判断する能力を表している。

この言葉の由来は、中国の古典「孟子」に遡る。

「孟子曰く、大人者は、長目にして飛耳なり」という一節がある。

これは、「大人物は、遠くまで見通す目と、遠くまで聞こえる耳を持つ」という意味だ。

孟子は、理想的な人物像を描いたのだ。

長目飛耳は、この孟子の言葉から派生した言葉だと言われている。

日本では、書籍を意味する言葉としても使われるようになった。

広く情報を収集し、深い知識を持つための手段として、書籍が重視されたのだ。

長目飛耳の精神は、現代社会でも大切にされている。

情報があふれる時代だからこそ、広く情報を収集し、深く物事を見極める力が求められる。

しかし、皮肉なことに、書籍の売れ行きは年々悪化している。

特に、Amazonの登場は、出版業界に大きな影響を与えた。

オンラインでの書籍販売が当たり前になり、書店の売り上げは激減した。

加えて、電子書籍の普及も、印刷書籍の売れ行きを悪化させている。

YouTubeやNetflixなど、娯楽の選択肢が増えたことも、書籍離れに拍車をかけている。

かつては知識の宝庫と言われた書籍が、今や危機に瀕しているのだ。

長目飛耳の精神を守るためにも、書籍の未来を考えることが求められている。

Amazonの登場前後で、書籍や雑誌の販売部数がどう変化したのか。

そのデータを分析することが、出版業界の未来を考える上で欠かせない。

長目飛耳の視点から、書籍と出版業界の現状を見つめ直してみよう。

日本の書籍・雑誌販売の推移

日本の出版市場は、長らく世界有数の規模を誇ってきた。

日本の書籍と雑誌の売上高推移

しかし、近年は低迷が続いている。

出版科学研究所の調査によると、2010年の書籍・雑誌の推定販売金額は、1兆9,485億円だった。

それが、2020年には1兆3,047億円にまで落ち込んでいる。

実に、6,438億円も減少したのだ。

この減少傾向は、書籍と雑誌の両方に見られる。

書籍の推定販売金額は、2010年の9,865億円から、2020年には7,578億円に減少した。

雑誌に至っては、2010年の9,620億円から、2020年には5.469億円と、ほぼ半減している。

雑誌の落ち込みは特に深刻だ。

これらの数字は、出版不況の深刻さを物語っている。
ではなぜ、これほどまでに書籍や雑誌の売れ行きが悪化したのか。

最大の要因は、Amazonの登場だろう。

1995年にアメリカで創業したAmazonは、2000年に日本でのサービスを開始した。

当初は書籍販売がメインだったが、次第に品揃えを拡大し、今や「モノ」だけでなく「コト」も含めたあらゆる商品を取り扱うようになった。

Amazonの登場は、書籍販売の形を一変させた。

書店に足を運ばなくても、自宅にいながら書籍が買えるようになったのだ。

しかも、Amazonは圧倒的な品揃えと低価格を武器に、瞬く間に市場を席巻した。

多くの書店が、Amazonとの価格競争に敗れ、廃業に追い込まれた。

加えて、電子書籍の普及も、印刷書籍の売れ行きを悪化させた。

2010年代に入ると、KindleをはじめとするAmazonの電子書籍端末が広く普及した。

電子書籍は、印刷書籍よりも安価で、かさばらないという利点がある。

特に、文芸書や実用書など、活字中心の書籍は電子化が進んだ。

一方、雑誌は電子化の波に乗り遅れた。

雑誌は、紙の質感や写真のインパクトが重要な要素だ。

それを電子書籍で再現するのは難しい。

また、広告収入が主な収益源である雑誌は、電子化のメリットが少なかった。

結果として、雑誌は電子化の波に乗り遅れ、売れ行きが急激に悪化したのだ。

こうして見ると、Amazonの登場と電子書籍の普及が、出版不況の主な要因だったことがわかる。

特に2010年代は、その影響が顕著に表れた時期だったと言えるだろう。

世界の書籍・雑誌販売の推移

世界の出版市場も、日本と同様の傾向が見られる。

世界の書籍の売上高推移

国際出版連合(IPA)の調査によると、2012年の世界の書籍・雑誌の売上高は、1,141億ドルだった。

それが、2020年には935億ドルにまで落ち込んでいる。

8年間で、206億ドルも減少したのだ。

ただし、国によって状況は異なる。

アメリカは、世界最大の出版市場だ。

2020年の書籍・雑誌の売上高は、253億ドルと、世界の27%を占めている。

しかし、アメリカでも出版不況の影響は避けられなかった。

2012年の売上高は、303億ドルだったのだ。

8年間で、50億ドルも減少している。

ヨーロッパも、出版不況に苦しんでいる。

ドイツは、ヨーロッパ最大の出版市場だ。

2020年の書籍・雑誌の売上高は、95億ドルだった。

しかし、2012年は107億ドルだった。

12億ドルの減少だ。

フランスやイギリスも、同様の傾向が見られる。

一方、中国は出版市場が拡大している数少ない国の1つだ。

2020年の書籍・雑誌の売上高は、104億ドルと、アメリカに次ぐ世界第2位の規模を誇る。

しかも、2012年の売上高は84億ドルだったのだ。

8年間で、20億ドルも増加している。

中国では、経済成長に伴って中間層が拡大し、教育熱が高まっている。

それが、出版市場の拡大につながっているのだ。

ただし、中国でもAmazonは存在感を増している。

2004年に中国でのサービスを開始したAmazonは、瞬く間に市場を席巻した。

今や、中国の電子書籍市場の70%以上をAmazonが占めていると言われている。

中国の出版社は、Amazonとの競争に苦戦を強いられているのだ。

このように、世界の出版市場は、総じて厳しい状況にある。

Amazonの登場と電子書籍の普及が、その主な要因だ。

ただし、国によって状況は異なる。

経済発展が著しい中国では、出版市場が拡大傾向にある。

出版社は、それぞれの国の状況に応じた戦略を立てる必要があるだろう。

出版社の対応

出版不況が深刻化する中、出版社はどのように対応しているのだろうか。

大きく分けて、3つの戦略が見られる。

1つ目は、電子書籍への対応だ。

多くの出版社が、印刷書籍と並行して電子書籍の販売に力を入れている。

特に、文芸書や実用書など、活字中心の書籍は電子化に適している。

出版社は、Amazonをはじめとする電子書籍ストアとの提携を進めている。

また、自社での電子書籍販売にも乗り出している。

講談社は、2010年に電子書籍ストア「講談社BOOK倶楽部」を立ち上げた。

小学館も、2012年に「小学館eコミックストア」を開設している。

出版社は、電子書籍を新たな収益源として位置づけているのだ。

2つ目は、書籍の高付加価値化だ。

出版社は、安売りされにくい高価格帯の書籍を増やしている。

例えば、豪華な装丁の限定版や、著者のサイン入り本などだ。

また、書籍の内容も、より専門的で高度なものになっている。

一般向けの書籍では価格競争に巻き込まれやすいため、専門書や学術書に注力する出版社が増えているのだ。

3つ目は、出版以外の事業への進出だ。

出版社は、本やコンテンツを軸に、様々な事業を展開し始めている。

例えば、イベントの開催や、グッズの販売、映像制作などだ。

講談社は、2017年に「講談社DX」を立ち上げた。

デジタルマーケティングを軸に、新規事業を創出する部署だ。

小学館も、2019年に「小学館クリエイティブ」を設立している。

コンテンツの二次利用を促進する専門部署だ。

出版社は、本やコンテンツを起点に、新たなビジネスモデルを模索しているのだ。

これらの戦略は、いずれも出版不況への対応策だ。

出版社は、電子書籍や高付加価値化、新規事業への進出で、収益源の多様化を図っている。

ただし、根本的な解決策とは言えない。

出版社は、Amazonをはじめとするプラットフォーマーとの関係を、どう構築していくかが問われている。

自前のプラットフォームを持つのか、提携を深めるのか。

出版社は、戦略的な判断を迫られているのだ。

まとめ

書籍は、長い歴史の中で、知識や文化を伝える重要な役割を果たしてきた。

長目飛耳の精神は、その象徴だ。

広く情報を収集し、深い知識を得るために、書籍は欠かせない存在だった。

しかし、インターネットの普及で、書籍の役割は変わりつつある。

情報はいとも簡単に手に入るようになり、娯楽の選択肢も増えた。

書籍は、もはや知識や文化を独占する存在ではなくなったのだ。

とはいえ、書籍の価値がなくなったわけではない。

活字には、デジタルにはない魅力がある。

紙の質感や、活字の美しさ。

書籍は、五感に訴えかける体験を提供してくれる。

また、書籍は「考える」ことを促してくれる。

能動的に知識を吸収し、自分なりの解釈を加えていく。

それは、受動的に情報を受け取るだけのデジタルにはない、書籍ならではの価値だ。

さらに、書籍は「所有する」ことの喜びも与えてくれる。

自分だけのコレクションを作り、大切に守っていく。

それもまた、電子書籍にはない魅力だ。

こうした書籍の価値を、出版社は改めて見つめ直す必要がある。

そして、その価値を最大限に引き出す方法を考えなければならない。

電子書籍への対応や、書籍の高付加価値化は、その一つの方向性だ。

書籍ならではの魅力を追求し、電子にはない価値を提供する。

そこに、書籍の未来があるのかもしれない。

一方で、出版社は新たな役割も求められている。

情報があふれる時代だからこそ、信頼できる情報を見極める力が必要とされている。

出版社は、情報の「キュレーター」としての役割を担う必要がある。

玉石混交の情報から、真に価値ある情報を選び抜く。

それを、読者に分かりやすく伝えていく。

そんな新たな役割が、出版社には求められているのだ。

書籍の未来は、まだ見えない部分が多い。

Amazonの登場と電子書籍の普及で、出版業界は大きな変革を迫られている。

しかし、だからこそ、出版社には新たな可能性も開けているのだ。

書籍の価値を再定義し、新たな役割を見出していく。

それが、出版社に求められている大きな課題だ。

長目飛耳の精神は、これからも変わることはない。

広く情報を収集し、深い知識を得ること。

その価値は、時代が変わっても色褪せない。

むしろ、情報があふれる時代だからこそ、その価値は高まっているのかもしれない。

出版社は、長目飛耳の精神を守りつつ、新たな時代に適応していく必要がある。

電子書籍や高付加価値化、新規事業への進出。

様々な取り組みを通じて、出版社は進化を続けている。

ただ、その先にあるのは、決して楽観できる未来ばかりではない。

Amazonをはじめとするプラットフォーマーとの関係をどう築いていくか。

出版社の存在意義そのものが問われる時代が、もしかしたら来るかもしれない。

だからこそ、出版社は今、自らの価値を問い直す必要があるのだ。

書籍を通じて、なにを伝えていくのか。

読者に、どんな体験を提供できるのか。

出版社は、原点に立ち返りつつ、新たな一歩を踏み出さなければならない。

書籍の未来は、まだ誰にも分からない。

しかし、1つ言えるのは、出版社の挑戦なくして、その未来はないということだ。

変革の時代を乗り越えるための知恵と勇気。

それが、今の出版社に求められているものなのだ。

長目飛耳の精神を胸に、新たな時代への挑戦が始まっている。

出版社の未来は、その挑戦の先にある。

 

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