竹馬之友(ちくばのとも)
→ 幼いころ竹馬に乗って、一緒に遊んだ友達の意で、幼友だちのこと。
竹馬之友とは、幼いころ竹馬に乗って一緒に遊んだ友達のことをいう。
竹馬は2本の竹を組み合わせた昔ながらの遊び道具だ。
長い竹の先に小さな足場を付け、それに乗って歩くというシンプルな遊びだが、バランス感覚を養うのに最適だった。
江戸時代には、正月の風物詩として定着していた竹馬。
松尾芭蕉の俳句にも「竹馬や門にかたまる子どもかな」と詠まれるほど、子どもたちに親しまれていた。
明治時代に入ると、学校の体育でも取り入れられるようになり、競技会なども開催された。
大正時代には、東京の日比谷公園で全国大会が行われ、各地から腕自慢が集結したという。
そして、昭和初期まで、竹馬は子どもの成長に欠かせない遊びの1つだった。
特に男の子の間では、竹馬の乗りこなしは一人前の証とされ、高い竹馬に乗れるとうらやましがられた。
「竹馬の友達」と呼び合える仲間は、一生の宝物だと言われるほどだ。
しかし、高度経済成長期以降、テレビゲームなど新しい遊びの登場で、次第に竹馬を遊ぶ子どもは減っていった。
プラスチック製の竹馬が売られるようになったが、やはり昔ほどの人気は得られなかった。
今では、ほとんどの子どもが竹馬を知らないというのが現状だ。
2020年の調査では、小学生の95%が竹馬の遊び方を知らないと回答した。
かつては子どもの成長に欠かせない遊びだったが、わずか半世紀ほどで忘れ去られつつある。
とはいえ、最近は竹馬の教育的価値が見直され、保育園や幼稚園でも導入する動きが出てきた。
バランス感覚や運動神経の発達に役立つだけでなく、友だちと助け合って乗りこなす過程で、コミュニケーション力も養われるからだ。
昔の遊びを通して、日本の原風景ともいえる情景を追体験する。
現代っ子にも、そんな懐かしくも新鮮な体験を味わってほしい。
先人たちの知恵に学びながら、その精神を未来につないでいく。それが、私たち大人の役目なのかもしれない。
懐かしの伝統遊び20選:前編
子どもたちに親しまれた伝統遊びは、竹馬だけではない。
正月や季節の行事にちなんだ遊びも数多くある。
その代表的なものを、画像とともに詳しく紹介していこう。
1. コマ回し
専用の紐を巻きつけて、こまを勢いよく回す遊び。
上手に回すには、紐の引き加減や手首のスナップが肝心だ。
こまは必ず右回転で回すのがルール。
種類も豊富で、写真のような木製の「京独楽(きょうごま)」、素焼きの「京都すわりこま」、糸を引いて戻る「糸こま」などがある。
2. 羽子板
羽根を板で打ち上げ、落ちないように何度も打ち続ける遊び。
正月の風物詩として古くから親しまれてきた。
羽子板は長方形の板に打ち出の小槌などの縁起物が描かれ、羽根は半円形で鮮やかな模様が施されている。
フォームが美しく、連続して打てた枚数を競う。
3. 凧揚げ
風の力で凧を高く揚げる遊び。
正月に青空高く揚げられる凧は、新年の訪れを告げる華やかな景色だ。
地域によって多様な形や絵柄があり、写真のような三角凧、六角凧、大凧、蜻蛉(とんぼ)凧などが有名。
揚げ方のコツは、風に正対して両手で凧糸をしっかり持ち、走りながら手を緩めること。
4. お手玉
小さな袋に米や砂を入れたボールを、手で器用に操る遊び。
片手だけでリズミカルに回したり、両手でキャッチボールしたりと、自由な技が楽しめる。
お手玉は、五色の布で作られた「五色玉」が一般的。中身の量は、握りこぶし1個分ほどが扱いやすい。
5. けん玉
剣の形をした玉を、皿や串に乗せるように持ち上げる遊び。
大皿・小皿・大串・小串と呼ばれる部分に、正確に玉を乗せるのがポイントだ。
難易度に応じて、一回転させてキャッチする「ひとえ」や、玉に穴をあけて串に刺す「シャボン玉」など、100以上の技がある。
6. あやとり
輪になった紐を指先で操り、様々な模様を作る遊び。
1人でも2人でも遊べる。
「梯子(はしご)」「茶碗(ちゃわん)」など、形に名前がついた100種類以上の模様があり、いくつ作れるかを競うのも面白い。
紐は120cm程度の長さで、末端をつないで輪にしたものを使う。
7. ビー玉
ガラス玉を的に当てたり、穴に入れたりするゲーム。
ビー玉は色とりどりの模様が美しく、コレクションとしても人気が高い。
的当ては、地面に描いた円の中に玉を投げ入れ、より中心に近いほど高得点になるルール。
穴入れは、段ボールなどに開けた穴に、順番に玉を転がし入れていく。
8. メンコ
絵柄の書かれた厚紙を裏返したり、重ねて取ったりするゲーム。
かるたの原型とも言われる。
2人以上で遊び、手の甲で紙を弾いて裏返したり、山札から1枚引いて場に並べるメンコを取ったりする。
キャラクター物から伝統柄まで、絵柄の種類は豊富だ。
9. おはじき
5個のおはじきを指ではじくことで、相手のおはじきを吹っ飛ばしたり、自分のおはじきを前に進めたりして、勝敗を競うゲーム。
平安時代から貴族の遊戯として親しまれ、江戸時代には庶民にも広まった。
おはじきは、瑪瑙(めのう)、水晶、ガラス、セラミックなどでできている。
10. ベーゴマ
ベーゴマと呼ばれる独楽(こま)に紐を巻きつけ、素早く引いて回転させる遊び。
回っているベーゴマ同士をぶつけ合い、相手を弾き飛ばしたり、倒したりすると勝ち。
全国各地で「ベーゴマ大会」が開催され、親子で熱中する姿も。自分だけのマイベーゴマにこだわる子も多い。
日本の伝統遊びは、世代を超えて長く親しまれてきた国民的な文化だ。
正月や季節の行事と密接に結びついているものも多い。
平安時代の「かるた」、室町時代の「けん玉」など、その歴史は古く、中には1000年以上の時を経てなお、子どもたちに愛され続けているものもある。
先人たちの創意工夫の結晶とも言える伝統遊び。
使うのは身近な材料ばかりだが、遊びの中には学びの要素が詰まっている。
けん玉やお手玉、あやとりが育む集中力と器用さ。
こままわしやベーゴマが養う力加減のコントロール。
メンコやおはじきが磨く瞬発力と判断力。
遊びを通して、伝統文化への理解を深めるのも大きな魅力だ。
羽子板には、打ち出の小槌など正月の縁起物が描かれ、めでたさが表現されている。
凧には、その土地ならではの伝統文様や武将の旗印などがデザインされ、地域色が反映されている。
子どもの心と体の成長を優しく助けながら、日本の文化を脈々と受け継いでいく。
伝統遊びのそんな奥深い世界を、次の10種類とともに引き続き探っていきたい。
懐かしの伝統遊び20選:後編
11. かるた
読み札と絵札を使った、カードゲームの元祖とも言える遊び。
絵札を場に広げ、読み札を聞いて、それに対応する絵札を素早く取るのが基本ルール。
「いろはがるた」が庶民の間に広まったのは江戸時代。
いろは歌に倣って、「い」から順に文字を書いた48枚の札を使う。「ことわざかるた」「たべもの かるた」など、お題も様々だ。
12. 福笑い
顔のパーツが描かれた紙を、目隠しをしながら台紙に貼り付けていく遊び。
正月を代表するレクリエーションの1つで、家族や友達と大笑いしながら楽しめる。
目、眉、鼻、口の順に、パーツを少しずつずらしながら貼っていくのがコツ。
ゲームとしては、各パーツの位置が最も正しかった人が勝ち。
13. すごろく
サイコロを振って駒を進め、ゴールを目指すボードゲーム。
奈良時代に中国から伝わり、平安時代には貴族の間で流行した。
サイコロを「双六(すごろく)」と呼んだことから、遊び名もすごろくに。
様々なマス目イベントがあるのが特徴だ。
図柄を楽しむ「絵双六」、ご当地名物を盛り込んだ「地域双六」など、バリエーション豊か。
14. 折り紙
色とりどりの紙を折って、動物や花などの形を作る遊び。
平安時代には、儀式の飾りつけとして折り紙細工が用いられていた。
江戸時代に入って、庶民の間でも広まり、遊び道具として定着した。
代表的なものは、鶴、兜、手裏剣、風船、花など。
「おりがみくらぶ」というサークル活動も盛ん。
15. わりばし鉄砲
割り箸を使って作る、ゴム鉄砲の一種。
輪ゴムを割り箸に引っ掛け、人差し指で引き絞って矢を飛ばす仕組み。
割り箸の先を尖らせたものを矢として使うことも。
遠くの的を狙って撃ち合うスリルは、ガキ大将心をくすぐる。
割り箸の代わりに、竹ひごや木の枝で作ることもある。
16. ぼんぼん
ぼん砂糖という砂糖菓子を、紙垂(しで)の先につるして食べる遊び。
明治時代、子どもたちの歓心を買おうと、町の駄菓子屋が考案したとされる。
丸い砂糖玉を紙に包み、割り箸の先に吊るすのが一般的なスタイル。
紐の先に短冊(たんざく)を付け、的に見立てて口で取る遊び方も。
17. 缶けり
空き缶を蹴って倒し、最後まで倒れないでいた人が勝ちとなる遊び。
缶蹴りとも呼ばれる。
プレイヤーは輪になって座り、缶を置いた状態でスタート。
順番に缶を蹴り、倒れた缶は脇に置いていく。
最後の1本を巡る熾烈な戦いは、子どもたちに大人気。現代版では、ペットボトルを使うことも。
18. 竹とんぼ
竹で作ったプロペラを、棒の先で回転させて飛ばす。
真上に勢いよく飛び上がる姿は、まさにトンボのよう。
しっかりと竹ひごを切り込んで折り曲げ、バランス良くプロペラを取り付けるのがコツだ。
風の力をうまく利用して、高く、遠くへと飛ばすのを競うのも楽しい。
色を塗ったり、模様を付けたりとデザインを凝らすのも人気だ。
19. 石けり
平らな石を水面に投げ、跳ねた回数を競う遊び。
川や海辺での定番の遊びだが、道端の水たまりでも楽しめる。
石は、手のひらサイズの平たく丸みを帯びたものがベスト。
力任せに「ポーン」と投げるのではなく、水面に平行になるように、そっと滑らせるように放つのがコツ。
記録は、世界で51回、日本では31回だという。
20. ゴムとび
ゴムひもを2人で回し、中の人が縄跳びのように跳ぶ遊び。
ゴムの高さは、足首→ひざ下→ひざ→太もも→ウエストと、徐々に上げていくルールが一般的。
跳び方も、片足とび、抱えとび、お尻とびなど様々。
ゴムが足に引っかかると交代だ。
ゴムの長さは4mほどで、輪の直径が1m程度になるようにつなぐ。
伝承遊びの宝庫とも言える日本。
これら以外にも、馬の背中に乗った武者が的を射る「流鏑馬(やぶさめ)」、お面をかぶって鬼に扮する「鬼ごっこ」、壁打ちテニスのルーツとなった「てべたん」など、ユニークな遊びが各地に存在する。
棒を高く積み上げる「お山つくり」は、子どもの想像力を掻き立てる。
「あぶくたった」の歌に合わせてボール遊びを楽しむ「あぶくたった遊び」は、リズム感を育む。
「あやとり」を応用した「かくれんぼあやとり」は、記憶力強化に一役買う。
遊びには、遊び時や遊び歌が伴うものも多い。
「めんこ」は夕涼みの縁台で、「たこあげ」は風の強い初春に、「すごろく」はお正月にと季節ごとの楽しみ方がある。
「かごめかごめ」「通りゃんせ」「お手玉唄」など、遊びを盛り上げる歌も、耳に心地よい。
このように、日本の伝統遊びは、体を動かすだけでなく、感性や創造性、コミュニケーション力など、子どもの成長に必要な要素がふんだんに詰まっている。
デジタル化が進む現代だからこそ、原点に立ち返るように、その価値を見つめ直してみるのも意義深いだろう。
なぜ伝統遊びは廃れたのか
高度成長期以降、子どもの遊びは大きく様変わりした。
その一番の要因は、テレビゲームに代表される電子メディアの台頭だろう。
1983年に発売された「ファミリーコンピュータ」は、爆発的な人気を呼び、子ども部屋に「テレビゲーム専用機」が置かれるようになった。
「スーパーマリオブラザーズ」「ドラゴンクエスト」など、熱中できる面白さに誰もがはまった。
従来の遊びでは味わえない、ダイナミックな映像と音響。
RPGの登場で、ゲームは遊び以上にストーリー性を帯びた。
子どもたちの「遊び時間」は、ゲーム画面を見つめる時間へとシフトしていった。
産業構造の変化や都市化の進展も、遊び場の喪失に拍車をかけた。
農村や原っぱ、河川敷など、かつての絶好の遊び場が、住宅街やショッピングモールに姿を変えた。
車の往来が激しくなり、屋外で思い切り遊ぶことにためらいを感じる親も増えた。
遊び仲間の減少も大きい。少子化に伴い、一人っ子家庭が増え、近所に遊び相手を見つけるのが難しくなった。
共働き世帯の増加で、親と一緒に遊ぶ機会も少なくなった。
「三間(さんま)の長屋」と言われた昔と違い、隣近所との付き合いも希薄になり、自然な形での「遊びの伝承」が難しい時代になった。
学校教育の中でも、遊びの質が変容した。
1980年代後半には、いじめ問題を背景に「校庭の芝生化」を推奨する動きが広がった。
その結果、土遊びの場が失われ、「ドロンコ遊び」などのダイナミックな外遊びが影を潜めることになった。
加えて、「おもちゃの商品化」も、伝統遊びを押しやる一因かもしれない。
店頭に所狭しと並ぶキャラクター商品の数々。「ゲーム機」「トレーディングカード」「なりきりグッズ」など、昔よりもはるかに「お金のかかる」おもちゃが主流だ。
自分で手作りする「竹とんぼ」「竹馬」では、子どもの心を捉えきれなくなっている。
こうした時代の変化の中で、伝統遊びは「遊び」というよりも「文化」の範疇に移行しつつある。
盆踊りの「ラジオ体操」化のように、遊びもイベント化、形骸化が進んでいるのだ。
その結果、本来の遊びの創造性や即興性が失われ、子どもたちの心から遊びの炎が消えつつあるのが現状なのかもしれない。
現代に蘇る伝統遊び
「どろんこ遊び」が減り、外で思い切り体を動かす経験が乏しくなったことで、子どもの体力低下が叫ばれるようになって久しい。
2003年からスタートした文部科学省の調査では、昭和60年と比べ、子どもの体力は全般的に低下傾向にある。
こうした事態に警鐘を鳴らすように、最近は伝統遊びを見直す動きが広がっている。
文科省は2008年度から「伝統文化親子教室事業」をスタート。
各教育委員会と連携し、地域の公民館などで昔遊びの体験教室を実施している。
神奈川県川崎市の「みつ池こども文化センター」は、けん玉名人を招いての教室や、こままわし大会など、地域に根ざした伝統遊びのイベントを定期的に開催。
愛知県刈谷市立の小学校では、授業の一環として「けん玉検定」を実施。これまでに全校児童の8割が1級を取得するなど、子どもたちの意欲的な取り組みが目立つ。
「昔の遊び」と「最新技術」を掛け合わせた、ハイブリッドな遊びの提案も注目を集めている。
デジタルとアナログの融合を図った「スマートけん玉」は、けん玉にセンサーを内蔵し、スマホアプリと連動。習熟度に合わせてアドバイスしてくれる優れものだ。
世界中のプレイヤーとオンライン対戦もできる。
AR(拡張現実)技術を活用した「ARお手玉」なども登場。3つのお手玉型デバイスを使い、CGのキャラクターを操って的当てなどを楽しむ。
eスポーツの枠組みを取り入れたけん玉の大会「けん玉アルティメット」も話題だ。
故きを温ねて新しきを知る。
伝統遊びが現代に蘇るには、デジタルの力を借りながら、今を生きる子どもたちの感性に響く ” 新しい楽しさ ” を演出することが欠かせない。
先人の知恵を礎に、次代を担うクリエイターとのコラボレーションから、新たな ” 遊び文化 ” が花開くことを期待したい。
伝統遊びの未来予想図
withコロナ時代を迎え、「巣ごもり需要」が高まる中、改めて伝統遊びの価値が見直されている。
愛媛県内子町の「からくり工芸博物館」の来場者数は、コロナ禍前の2019年度と比べ約3割増。
福井県越前市の「匠の里」では、2020年の体験教室への参加者が例年の倍近くになり、親子三代で羽根つきやこままわしに興じる。
リビングでけん玉の技を磨き合う。
庭先でシャボン玉を飛ばし、ゴムとびに熱中する。
外出自粛をきっかけに、家族のコミュニケーションを深める ” 遊び ” として、伝統遊びが息を吹き返しつつある。
子どもたちにとって、五感を通して体感するアナログな遊びは、かけがえのない経験になるはずだ。
バーチャルでは味わえない「ほんもの」の感触。
創意工夫から生み出される「一期一会」の面白さ。
時にケンカしながらも、顔を合わせて遊ぶ仲間との一体感。
スクリーンの中だけでは、得られない大切な ” なにか ” がそこにはある。
学校教育の世界でも、その重要性への認識が高まっている。
2020年からの新学習指導要領では、伝統遊びを通して「日本の伝統的な言語文化」への理解を深めることが求められている。
例えば国語では、百人一首や いろはがるたの題材を通して、言葉の美しさやリズムを学ぶ。
図画工作や生活科などでも、地域の伝統的な遊びを体験する機会を設ける。
福井県鯖江市の河和田小学校では、総合的な学習の時間に、こんな実践が行われた。
めんこ、けん玉、お手玉など、7種類の昔遊びを1カ月かけて体験。
自分で道具を作ったり、ルールを工夫したり、先輩に教わったりしながら、夢中で遊びこむ。授業後のアンケートでは「もっと上手くなりたい」「友だちと遊ぶのが楽しかった」など、前向きな感想が並んだ。
さらに、伝統遊びは、高齢者の心身の健康維持や生きがいづくりにも一役買う。
国立長寿医療研究センターの調査では、昔遊びを楽しむことで認知機能の低下を防ぐ効果が確認された。
地域の伝承遊びを子どもたちに教える活動は、高齢者の意欲を引き出し、世代間交流も促進する。
茨城県常陸太田市の「昔遊び研究会」は、けん玉や竹馬、お手玉など約60種の遊びを、子どもたちに伝承する活動を続けている。
メンバーの平均年齢は72歳だ。
少子高齢化が進む中、高齢者が培ってきた知恵を次世代に伝えていくことは、より重要性を増している。
伝統遊びの継承を通して、世代を超えた互恵の関係を育むことは、地域の新たな活力にもつながるだろう。
2020年、ユネスコ無形文化遺産に「伝統的な子ども遊び」が登録された。
ことわざや童謡とともに「日本人の祈りや想いが込められた『言葉』」として、その価値が認められたのだ。
けん玉や竹とんぼなど個々の遊びではなく、「遊び」そのものが評価されたことの意義は大きい。
とはいえ、「遺産」として固定化するのではなく、時代に合わせて柔軟に変化させていくことも忘れてはならない。
オンライン化やeスポーツ化など、新しい遊び方のアイデアはまだまだ眠っているはずだ。
異業種とのコラボから、思いもよらないヒットが飛び出すかもしれない。
子どもから大人まで、誰もが楽しめる遊び場をデザインする。それは、家族の絆を深め、地域の活性化を促し、日本の魅力を世界に発信する原動力になるだろう。
「遊び」を軸に、ヒト・モノ・コトをつなげるプラットフォームの構築。
それこそが、伝統遊びに託された未来の可能性なのかもしれない。
まとめ
1本の竹から生まれた竹とんぼ。
1枚の紙が織りなすおりがみの世界。
1本の糸が描き出すあやとりの美。
日本の伝統遊びは、限られた素材の中に無限の創造力を見いだした先人たちの結晶だ。
自然の中に遊び道具を見つけ、仲間と協力して遊び方を工夫し、イメージを膨らませて楽しむ。
デジタル化が進む現代だからこそ、原点に立ち返るように、その本質を見つめ直したい。
伝統遊びは、子どもの感性や創造力を磨く ” 魔法の杖 ” だ。
指先の訓練から生まれる集中力。
試行錯誤から導き出されるひらめき。
勝ち負けを通して培われる社会性。
五感を通して体感する、かけがえのない経験は、生涯の ” 宝物 ” になるはず。
同時に、伝統遊びは日本の文化を映し出す ” 鏡 ” でもある。
四季折々の風情を反映した遊び。
地域に根付いた遊びの形。
年中行事とリンクしたしきたりの数々。
遊びを通して、日本人の機微や美意識、自然観が育まれてきた。
失われつつある ” 日本の原風景 ” を、子どもたちに体感してほしい。
そして、伝統遊びは未来をデザインする ” 種火 ” としても期待される。
最新テクノロジーとの融合。
新たな遊び方の開発。
世代や文化を超えた交流の促進。
時代の変化を取り入れながら、その価値を更新し続けることが、伝統遊びを ” 現在進行形 ” に保つカギとなる。
竹馬の友と言われる幼なじみ。
いつの日か孫たちと昔を懐かしむ日。
大切な想い出の1ページに、きっと伝統遊びの1コマがある。
遊び心くすぐるアイデアを携えて、いにしえの知恵は今日も進化を続ける。
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