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2024年4月28日 投稿:swing16o

世界を支えるサラリーマンの数とその変遷

池魚籠鳥(ちぎょろうちょう)
→ 囲われ者のたとえとして、サラリーマンのことをいう場合もある。

池魚籠鳥とは、囲われた環境で制約を受けながら生きる人々の姿を表す言葉だ。

中国の古典「荘子」に由来し、「池の魚や籠の鳥のように、自由を奪われた状態」を指す。

この概念は、古来より人々の間で広く認識されてきた。

特に、封建社会では、身分制度によって個人の自由が制限された。

士農工商の区分は、まさに池魚籠鳥の縮図だった。

日本でも、江戸時代の幕藩体制下では、武士や農民の行動が厳しく制約されていた。

鎖国政策により、海外との交流も断たれた。

文字通り、池の中の魚のような存在だったのだ。

明治維新後、身分制度は撤廃された。

しかし、近代化の過程で、新たな池魚籠鳥が生まれた。

それが、サラリーマンである。

会社という「池」に囲われ、自由を制限される。

まさに、現代の池魚籠鳥なのだ。

サラリーマンという言葉の誕生

サラリーマンという言葉は、和製英語として知られる。「Salary(給料)」と「Man(人)」を組み合わせた造語だ。

欧米では、「Employee」や「White-collar worker」と表現されることが多い。

この言葉が生まれたのは、明治時代末期から大正時代にかけてのことだ。

日本の産業化が進み、会社勤めが一般的になり始めた頃だ。

当時の代表的な作家、夏目漱石の小説「三四郎」(1908年)では、早くも「サラリーマン」という言葉が登場している。

本格的に定着したのは、第二次世界大戦後だ。

高度経済成長期を迎え、大企業への就職が多くの人の夢となった。

「朝は会社、夜は家庭」といった、典型的なサラリーマン像が形作られていった。

同時に、「企業戦士」といった言葉も生まれた。

会社のために身を捧げ、残業も厭わない。

そんなサラリーマン像を、美化する向きもあった。

まさに、企業という「池」で泳ぐ、現代の池魚籠鳥だったのだ。

日本のサラリーマンの数の推移

では、実際に日本のサラリーマンの数は、どのように推移してきたのだろうか。

総務省の「労働力調査」を見ると、その変遷が浮き彫りになる。

1950年代初頭、日本の雇用者数は約1,800万人。

そのうち、サラリーマンに相当する「被雇用者」は約1,200万人だった。

全体の3分の2を占める計算だ。

高度成長期に入ると、サラリーマンの数は急増する。

1960年代には2,000万人を突破し、1970年代には3,000万人を超えた。

バブル経済期の1990年には、4,000万人に迫る勢いだった。

しかし、バブル崩壊後は伸び悩む。

2000年代に入ると、サラリーマンの数は横ばいか、微減傾向で推移している。

2020年の調査では、被雇用者数は約3,800万人。ピーク時から、やや減少しているのだ。

この背景には、少子高齢化の影響がある。

生産年齢人口の減少で、サラリーマンの絶対数も減っているのだ。

また、非正規雇用の増加も影響している。

正社員の枠外で働く人が増え、典型的なサラリーマン像とは異なる働き方が広がっているのである。

世界のサラリーマンの数

一方、世界のサラリーマンの数は、どうなっているのだろうか。

国際労働機関(ILO)の統計を見ると、その実態が見えてくる。

2020年時点で、世界の被雇用者数は約32億人。

サラリーマンと聞くと、働くお父さんをイメージすると思うので、ここでは被雇用者数としている点に留意してもらいたい。

1991年の20億人から、大きく増加している。特に、新興国の経済発展が貢献しているようだ。

地域別に見ると、アジア太平洋地域が最多で、約15億人。

次いで、ヨーロッパが約5億人、北米が約2億人と続く。

アフリカは約3億人、中南米が約2億人となっている。

国別では、中国が最多で約7億7,000万人。

2位はインドの約4億6,000万人で、両国だけで世界の4割を占める。

3位はアメリカの約1億3,000万人、4位はインドネシアの約1億1,000万人、5位はブラジルの約8,000万人と続く。

日本は、約5,700万人で11位だ。

1990年代までは、被雇用者数では世界3位に位置していた。

しかし、近年はアジア諸国の追い上げが著しく、順位を下げている。

日本のサラリーマン文化を、新興国が追い抜いていく構図だ。

日本と世界のサラリーマンの比較

では、日本と世界のサラリーマンは、どのような違いがあるのだろうか。

働き方や雇用環境の差異が、浮き彫りになる。

日本のサラリーマンの特徴は、終身雇用と年功序列だ。

一度入社すれば定年まで雇用が保証され、年功で昇進していく。

この慣行は、戦後の高度成長期に定着した。

一方、欧米では解雇が比較的自由だ。

能力主義の色合いが強く、成果を上げられなければ解雇される。

また、自ら転職することも珍しくない。

キャリアアップを目指し、会社を渡り歩くのだ。

アジア諸国は、日本型と欧米型の中間と言える。

シンガポールや香港は、能力主義の傾向が強い。

一方、韓国や台湾は、日本的な終身雇用の慣行を残している。

ただ、近年は欧米型へのシフトが進んでいる。

こうした違いは、池魚籠鳥というイメージにも影響する。

日本のサラリーマンは、同じ「池」で生涯を過ごすことが多い。

一方、欧米では「池」を渡り歩き、自らの価値を高めていく。

アジアは、その中間に位置しているのだ。

ただ、日本でも近年は変化の兆しがある。

年功序列が崩れ、成果主義の色合いが強まっている。

また、転職が以前ほど忌避されなくなった。

終身雇用の「池」から飛び出す人が増えつつあるのだ。

サラリーマンの未来

見てきたように、サラリーマンを取り巻く環境は、大きく変化しつつある。

日本の伝統的なサラリーマン文化は、曲がり角に差し掛かっているのだ。

少子高齢化で、サラリーマンの絶対数が減少傾向にある。

また、非正規雇用の増加で、典型的なサラリーマン像とは異なる働き方が広がっている。

終身雇用や年功序列といった、池魚籠鳥的な雇用慣行も揺らいでいる。

世界に目を向ければ、新興国の台頭が著しい。

かつて日本が誇ったサラリーマン文化を、アジア諸国が追い抜きつつある。

欧米型の能力主義も、徐々に浸透している。

サラリーマンを取り巻く「池」のあり方も、多様化しているのだ。

こうした変化の中で、サラリーマンはどこへ向かうのか。

1つの可能性は、スペシャリストへの道だ。

特定の分野で高度な専門性を身につけ、その能力で勝負する。会社という「池」にとらわれず、自由に泳ぎ回るのだ。

また、起業家への転身も選択肢となる。

自ら会社を立ち上げ、新たな「池」を作り出す。

サラリーマン時代の経験を生かし、イノベーションを起こしていく。

池魚籠鳥から、池を支配する存在へと進化するのだ。

もちろん、伝統的なサラリーマン像が消えるわけではない。

終身雇用や年功序列を守る企業は、今後も一定数残るだろう。

ただ、そこで働く人々も、より広い視野を持つことが求められる。

池の外の世界にも目を向け、時代の変化に対応していくのだ。

サラリーマンの未来は、一様ではない。

多様な選択肢の中で、一人ひとりが自分の道を切り拓いていく。

会社という「池」に安住するのではなく、自らの可能性に賭けていく。

そうした挑戦の積み重ねが、新たな時代を切り拓くのだ。

まとめ

「池魚籠鳥」をテーマに、サラリーマンの実態と未来を考察してきた。

日本では、明治時代末期に「サラリーマン」という言葉が生まれた。

高度成長期を経て、サラリーマンの数は大きく増加。

ピーク時には4,000万人に迫る勢いだった。

しかし、バブル崩壊後は伸び悩み、近年は少子高齢化の影響で減少傾向にある。

世界に目を向ければ、被雇用者の数は増加の一途をたどる。

特にアジア諸国の伸びが著しく、日本は順位を下げている。

欧米型の能力主義が広がる中、日本の終身雇用や年功序列といった慣行は揺らいでいる。

こうした変化の中で、サラリーマンの生き方も問い直されている。

会社という「池」に安住するのではなく、自らの可能性に賭けていく。

スペシャリストとして専門性を磨くのも一つの道だ。起業家への転身も選択肢となる。

多様な選択肢の中で、サラリーマンは新たな時代を切り拓いていく。

一人ひとりが自分の道を模索し、挑戦を重ねる。そうした努力の積み重ねが、サラリーマンの未来を拓いていくのだ。

池魚籠鳥という言葉は、サラリーマンの宿命を表すのかもしれない。

しかし、その「池」のあり方は、変化し続けている。

その変化を乗り越え、新たな地平を切り拓く力がある。

サラリーマンの可能性は、無限に広がっているのだ。

 

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