食前方丈(しょくぜんほうじょう)
→ 贅沢な料理のこと。
今回はちょっと特別な旅に出かけよう。
それは、世界中のキッチンを巡る冒険だ。
でも、ただの食べ物の話ではない。
これは、まるで宝石探しのような、希少で贅沢な食材の話だ。
ということで、一緒に出発していこう。
アラスカのキングクラブ
まずはアラスカへ。
そんなアラスカの有明な食材は、巨大なカニ、キングクラブだ。
キングクラブは、その巨大さから「海のモンスター」とも呼ばれることがある。
その大きさは、足を広げると1.8メートルにも達することがあるほどだ。
ただ、その大きさだけが特別なわけではない。
その身は、甘くてジューシーで、特に脚の部分が美味とされている。
アラスカでは、”Alaskan King Crab Legs with Garlic Butter”という料理がある。
これは、ガーリックバターで焼いたキングクラブの脚を食べるというシンプルながらも贅沢な料理なのである。
チリのコピウポア
次に向かうのは、南米のチリ。
ここでは、コピウポアから特別なハチミツが作られている。
コピウポアは、チリ北部の乾燥地帯に自生する植物で、この植物から採れるハチミツは「コピウポアハチミツ」と呼ばれている。
このハチミツは、甘さの中にほのかな苦みがあり、その風味は他のハチミツとは一線を画している。
そして、チリには、”Pan con Miel de Copihue”という料理がある。
これは、コピウポアハチミツを塗ったパンで、そのハチミツの風味を直接楽しむことができる。
イタリアのズッキーニの花
次はイタリアへ。
イタリアでは、ズッキーニの花が贅沢な食材とされている。
ズッキーニの花は、その繊細さと美しい色から「食べられる花」とも呼ばれている。
実ではなく、なぜ花なのかと思うかもしれないが、ズッキーニの花はとてもデリケートで、収穫するのが難しいからだ。
そのため、とても希少価値がある。
イタリアでは、”Fiori di Zucca Ripieni”という料理がある。
これはズッキーニの花にチーズやアンチョビを詰めて揚げたもので、その独特の風味と食感を楽しむことができる。
ベトナムのウェービルコーヒー
次に訪れるのはベトナムだ。
ここでは、ウェービルコーヒーという特別なコーヒーがある。
ウェービルという小さな動物が食べたコーヒーチェリーを排泄したものから作られる。
その独特の製法から、このコーヒーは世界で最も高価なコーヒーとされている。
その風味は、深みがあり、甘みが感じられる。
ベトナムでは、”Cà phê Chồn”という方法でこのコーヒーを楽しむ風習がある。
これはフレンチプレスやドリップ方式で淹れたウェービルコーヒーを、練乳と一緒に飲むという方法のことをいう。
スコットランドのハギス
最期に訪れるのはスコットランド。
スコットランドには、ハギスという特別な料理がある。
内臓肉を細かく刻み、オートミールやタマネギ、スパイスと混ぜ合わせ、羊の胃袋に詰めて調理する。
その風味は独特で、スコットランドの人々に愛されている。
ハギスは、伝統的に羊の胃袋に詰めて調理され、スコットランドの祝祭「バーンズ・スーパー」で食べられる。
スコットランドでは、”Haggis, Neeps and Tatties”という料理があり、これはハギスをスワード(ルタバガ)とポテトのピューレと一緒に食べるという料理だ。
食材と自然や文化との結びつき
紹介してきた食材は、それぞれの地域の自然や文化と深く結びついている。
それぞれが、その地域の人々の知恵や努力の結晶であり、その価値は計り知れないといえるだろう。
これらの食材をただただ、高価や希少という目線だけで見てしまうと、その本当の価値を見落としてしまうかもしれない可能性もある。
それぞれの食材が持つ独特の風味や食感、そしてそれを最大限に引き立てる料理法。
これらは、私たちが食べ物を通じて世界を体験する1つの確固たる方法だ。
なにが言いたいのかというと、食べ物はただお腹を満たすだけではない。
それは、世界と繋がり、新しい体験をする1つの窓が食材と料理の功績ともいえる。
例えば、紹介したキングクラブは、アラスカの厳しい自然環境で生き抜くための特別な生物だ。
その大きさと美味しさは、生存戦略の一部だ。
また、コピウポアのハチミツは、特定の植物とハチとの共生関係から生まれる。
それぞれの食材が、自然の中でどのように生まれ、人間の手によってどのように料理に変えられるのかを考えると、食べ物の奥深さがより理解できる。
そして、これらの食材を使った料理は、その地域の文化や歴史を反映している。
ズッキーニの花を使ったイタリアの料理は、地元の食材を活かす地中海の食文化を表している。
ベトナムのウェービルコーヒーは、コーヒー豆を最大限に活かすための独特の製法を生み出した。
そして、スコットランドのハギスは、食材を無駄なく使う伝統的な調理法を今に伝えている。
これらの食材と料理を通じて、世界を旅することができる。
それは、ただ遠くの国の話を聞くだけではなく、その地の風味を味わい、その文化を体験することだ。
くり返しになるが、食べ物は私たちが生きる世界を理解し、感じる1つの手段だといえる。
希少価値の高い食材
ということで、他にもある希少価値の高い食材を紹介しておく。
フランス:モレル
モレルは、その独特の形状と風味から「森の宝石」とも呼ばれるキノコだ。
春になると森の中で採れるが、育つ場所が特定しにくく、また短期間しか採れないため、非常に希少価値が高い。
フランスでは、”Morels in Cream Sauce”という料理があり、これはクリームソースで煮込んだモレルを食べるというシンプルながらも贅沢な料理だ。
スペイン:ピコス・ブルー
ピコス・ブルーは、スペイン北部のピコス・デ・エウロパ山脈で作られるブルーチーズだ。
このチーズは、特定の地域でしか作られないため、希少価値が高い。
その風味は、濃厚でクリーミーで、ブルーチーズ特有の強い風味がある。
スペインでは、”Picos Blue Cheese with Honey”という料理があり、これはピコス・ブルーを蜂蜜と一緒に食べるという料理で、チーズの風味を引き立てる。
ペルー:ホワイトココア
ホワイトココアは、その希少性から「世界で最も贅沢なチョコレート」とも呼ばれている。
このココアは、特定の地域でしか育たない白いカカオ豆から作られる。
その風味は、通常のチョコレートよりもフルーティで、甘さが特徴だ。
ペルーでは、”White Cocoa Hot Chocolate”という料理があり、これはホワイトココアを使ったホットチョコレートで、そのココアの風味を直接楽しむことができる。
アフリカ:バオバブの果実
バオバブの果実は、アフリカのバオバブという木の果実で、その栄養価の高さから「スーパーフード」とも呼ばれている。
アフリカでは、”Baobab Fruit Smoothie”という料理があり、これはバオバブの果実を使ったスムージーで、その果実の風味と栄養を楽しむことができる。
ベトナム:ホッケイロン
ホッケイロンは、ベトナム原産の希少な果物で、その独特の風味が特徴だ。
ベトナムでは、”Chè Khúc Bạch”という料理があり、これはホッケイロンを使ったデザートで、その果物の風味を楽しむことができる。
アメリカ:チョークチェリー
チョークチェリーは、アメリカ北部で採れる野生のチェリーで、その酸味が特徴だ。
アメリカでは、”Chokecherry Jelly”という料理があり、これはチョークチェリーを使ったジャムで、そのチェリーの風味を楽しむことができる。
オーストラリア:カンガルーミート
カンガルーミートは、オーストラリア固有のカンガルーの肉で、その低脂肪・高タンパクな特性から健康食とされている。
オーストラリアでは、”Grilled Kangaroo Steaks”という料理があり、これはグリルしたカンガルーのステーキで、その肉の風味を楽しむことができる。
オーストラリア:タスマニアンハニー
タスマニアンハニーは、オーストラリアのタスマニア島で採れるハチミツで、その風味の良さから高級ハチミツとされている。
特に、レザーウッドハニーはその独特の風味が評価されている。
オーストラリアでは、”Tasmanian Leatherwood Honey Ice Cream”という料理があり、これはレザーウッドハニーを使ったアイスクリームで、そのハチミツの風味を楽しむことができる。
オーストラリア:マカダミアナッツ
馴染みのある人も多いと思うが、マカダミアナッツは、その豊かな風味とクリーミーな食感から、世界中で高級ナッツとされている。
オーストラリアはマカダミアナッツの主要な生産国で、そのまま食べるだけでなく、料理やデザートにも使われる。
オーストラリアでは、”Macadamia Nut Pie”という料理があり、これはマカダミアナッツを使ったパイで、そのナッツの風味を楽しむことができる。
まとめ
日本にもハチノコという食材があるのを知っているだろうか。
ハチノコは、ハチの幼虫を食べる日本の伝統的な食材で、その栄養価の高さから珍重されている。
ハチノコを醤油と砂糖で煮込んで佃煮として食すのが一般的で、そのハチノコの風味を楽しむことができる。
また、もはやほとんどの人に認知されているが、松茸、ウニ、フグ、伊勢海老、トロといった食材もかなり希少価値の高いものだといえる。
いずれにせよ、世界中にある食材と料理が人の幸せを紡いでいることは間違いないだろう。
かくいう私も、美味しい食事をすることが贅沢の中心にあるように思う。
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