五里霧中(ごりむちゅう)
→ 物事の手がかりがつかめない状態。
物事の手がかりがつかめない状態なんて私からすると日常だ。
正解なんかないから手当り次第、考えたことを実行していくしかない。
このアドリブ力を活かした機動力こそが私自身の長所でもあると自負していて、41歳を迎えるまでに進化してきたつもりでいる。
そんな自負があるからこそ、時代の変遷を感じるだけでなく言語化できる。
ググるという基本
私はメディアではないし、情報誌の編集者でもない。
なので、あくまで自分を中心とした見解にはなるが、私の半生が基準になることを大前提に書いていく。
私は41歳を迎える1981年生まれの世代だ。
マーケティングやブランディングの業界では、Z世代という言葉やその次のα世代という言葉が飛び交っているのが現在だが、こういう分類をするならば、ミレニアル世代になる。
とはいえ、ミレニアル世代の先頭あたりに位置するので、ミレニアル世代の後半やZ世代の先頭の人たちとは随分乖離があるように思う。
今や5年とか10年単位で区切ることができないくらい、テクノロジーの進歩は著しく変遷もはやい。
ということで、私基準となるのだが、物事の手がかりをつかもうとするときの基本にあるスタンスはググるだ。
ググるという言葉はもはや誰でも知っているといっても過言ではないだろうが、改めて説明すると検索するということだ。
私が社会人になったあたりは、なにかわからないことがあれば検索するということが基本中の基本だった。
検索するときに使うのは、もっぱらGoogleだったのだが、私の少し上の世代の人たちはYahoo!を使っていた人が多い。
当時は、GoogleとYahoo!の検索エンジンは別々のものだったからで、その時代を知っている世代だ。
今はYahoo!も基本的にはGoogleの検索エンジンと同じものになっているのだが、当時の名残から検索エンジン未だにYahoo!を使うという人もいるのが実態だ。
この検索するという行為が、Googleのサービスを使っていることから、いつの間にかググるという言葉として定着したというわけだ。
そして、私の基本にあるのはググることである。
ググるからタグるへ
そんなググる時代からタグる時代が訪れた。
その要因は間違いなくSNSの浸透だ。
特にInstagramの影響は多大で、写真や動画を投稿するときにハッシュタグをつけるというカルチャーが定着した。
そして、このハッシュタグを頼りに物事の手がかりをつかもうとする人たちが増えたというわけだ。
これをハッシュタグのタグの部分を取って、タグると呼ぶようになったのである。
私たちは飲食店やファッションに関して調べようとするときに、まずググるという行動をするわけだが、まずタグるという人たちが生まれてきたことを意味している。
ハッシュタグの文化は、Instagram以外のSNSにも浸透していて、エゴサーチをするときなどにも使われる。
エゴサーチとは、自分自身や関わっている会社、自社サービスなどについて、世間からどのような意見があるのか知るために検索することである。
このエゴサーチについては、ググるとタグるの中間にあるイメージだが、このカルチャーもインターネットの普及により生まれたものだ。
そして、stak, Inc. には私よりも年齢が下の世代がどんどん入っており、新たに始めている事業も若者がターゲットの部分もあるため、確実にタグるというカルチャーが浸透していることを実感している。
タグる次はレコる
そんなタグるカルチャーから次のカルチャーが生まれ始めている。
このことについて私はくり返し主張しているが、新たなカルチャーがレコメンド、つまり推奨だ。
このレコメンドの頭文字を取って、勝手に私が名付けたのが、レコるというカルチャーだ。
インターネットの普及により、誰もが簡単に情報にアクセスできるようになった今、自ら情報を取りに行くということをする必要がなくなった。
要するに、誰かが推奨しているものに乗っかればいいという、思考するという行動を飛ばす傾向が強くなってきているというわけだ。
その発端は、AmazonやYouTubeのオススメというUIおよびUXだろう。
その人が興味がありそうなものを履歴やAIなどを駆使して、より長く滞在させるためにオススメをレコメンドしていくという手法を根付かせた。
ついオススメされる他のモノを買ってしまったとか、オススメされた動画を見てしまったという経験をしたことがある人は多いはずだ。
また、この人がオススメするものならいいものだというファン心理が消費に繋がっている。
これは1つ前のタグる文化を生んだSNSからインフルエンサーと呼ばれる人たちが多く誕生したことが大きいだろう。
好きなインフルエンサーがオススメする商品やサービスをオススメされたら、つい買ってしまうというわけだ。
また、このレコるカルチャーは、自分主体の意思を通すのではなく委ねるという行為を加速させている。
例えば、バス旅行での人気コンテンツが行き先がどこかわからないといったものだったり、サイコロで行き先が決まるきっぷのようなコンテンツが人気になっているのである。
サイコロで行き先が決まる切符とは、JR西日本がサイコロの出た目で決まる行き先までの割引乗車券を発売する異例のキャンペーンのことだ。
すでにキャンペーンは終了しているが、4,500円を支払ってエントリーして、エントリーが完了したら、アプリ上で500円を支払ってサイコロを振る。
行き先は下記のの7駅で、大阪、新大阪、京都から着地までの往復乗車券、在来線特急または新幹線の普通車指定席特急券がセットになってい。
- 芦原温泉:確率6分の1、割引率62.6%(福井で途中下車可)
- 餘部(あまるべ):確率6分の1、割引率58.5%(城崎温泉で途中下車可)
- 東舞鶴:確率6分の1、割引率45.5%(西舞鶴で途中下車可)
- 白浜:確率6分の1、割引率56.1%
- 倉敷:確率6分の1、割引率62.6%(岡山で途中下車可)
- 尾道:確率36分の5、割引率71.1%
- 博多:確率36分の1、割引率82.9%
合計5,000円でいずれかのきっぷが買えるというわけだが、割引率はレア駅の博多は8割以上、最も少ない東舞鶴でも5割近いので損をすることはないが、払い戻しはできない。
きっぷは購入時に利用日と乗車列車を指定し、利用する際は、駅へ行ってきっぷを受け取るだけ。
エントリーは6人まで同時にできるので、グループでの旅行にも使えるというルールだった。
JR西日本によると、2022年7月19日のエントリー開始から2022年8月1日までに約5万エントリーがあり、約10万人分の購入があったというから、かなりの反響があったことになる。
こういったエンタメ性の高いコンテンツは、レコるカルチャーの一部分として定着していくと思っている。
自分で意思決定をすることをせず、誰かに決めてもらうという方がワクワクするとか楽だという概念が生まれつつあるということだ。
一見すると、怠慢のように思えるかもしれないが、休みの日くらい脳を休息させるために誰かにいざなわれたいというニーズがあることも理解できる。
また、知らない場所で自分でアレコレ調べるよりも、レコられたもので過ごす方が充実する可能性も十分にある。
このレコるというマーケットは、まだまだ伸びしろが大きいということを改めて主張しておきたい。
まとめ
物事の手がかりがつかめない状態のときに、あなたはまずどういった行動を起こすだろうか。
私と同様にまずはググるという人もいるだろうし、タグるという人もいるだろう。
それから、誰かのオススメに従う、つまりレコるという行動を取るという人が現れても全く不思議ではないということだ。
時代は常に変遷し、そのスピードが衰えることはもはやないだろう。
けれども、物事の手がかりがつかめない状態というのは不変なので、どうやってアジャストさせるかというところには大きなビジネスチャンスが生まれるというわけだ。
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