巧遅拙速(こうちせっそく)
→ 上手で遅いより、下手でも速いほうがいいということ。
スピード重視という言葉も幾度も書いてきている気がするが、これは生涯言い続けるように思う。
この話はもうウンザリだという人も多いと思うので、スピードに関して違うアプローチをしてみようと思う。
単純に物理的にスピードが速いものにスポットを当ててみよう。
人類が生み出した速いもの
まずは身近な速いものとして自動車について書いていこう。
世界最速の自動車:1227.985km/h(マッハ1)
スラストSSCがその記録を持っていて、1983年に出した記録を上回ったのが1997年で音速を超えた瞬間である。
ちなみに、自動車といってもジェット戦闘機F-4K/Mと同じジェットエンジンを2基搭載している。
世界快速の市販自動車:431.072km/h
ブガッティ・ヴェイロンがその記録を持っていて、ブガッティ・オトモビルが2005年〜2015年にかけて製造されていたスーパーカーだ。
四輪駆動で100km/hに達するまで、2.5秒というスピードを誇っている。
世界最速の電気自動車:549.43km/h
バックアイ・バレットはオハイオ州立大学の学生が開発した電気自動車で、電気自動車の世界最高スピード記録を持っている。
世界一速い列車:603km/h
超電導リニアはJR東海が開発中の磁気浮上式リニアモーターカーで、2015年4月21日の走行試験時に世界記録を達成している。
世界最速の高速列車:574.8km/h
TGVはフランス国鉄が運行する高速鉄道車両で、2007年にLGV東ヨーロッパ線で特別に架線電圧を通常は25kVのところを31kVまで昇圧して、通常よりも大きな車輪で記録を達成している。
営業中で世界一速い列車:431km/h
上海トランスラピッドは中国の上海浦東国際空港にアクセスするための磁気浮上式鉄道で、営業中の世界一速い列車だ。
一般的にはリニアモーターカーと認識されていて、2004年1月から運営を開始しており、私も上海にいた頃には何回か乗っている。
走行している場所も限られていて、最高速度に達するのも一瞬なのだが、一度は乗ってみてもいいだろう。
ちなみに、非商業運行の走行試験では501km/hを記録している。
世界最高記録を持つ蒸気機関車:203km/h
ロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道の蒸気機関車である4468号機マラード号が1938年7月3日に東海岸本線のグランサムにあるストーク・バンクの下り坂で記録している。
世界一速い航空機:12,144km/h(マッハ9.6)
NASAで開発された、X-43A(ハイパーX)が、2004年11月に行われた飛行試験で記録した。
世界一速い有人航空機:7,274km/h(マッハ6.7)
X-15A-2は、アメリカで開発された高高度極超音速実験機で、1967年10月3日に行われた188回目のフライトで記録している。
世界一速いジェット旅客機:2,500km/h(マッハ2.35)
Tu-144はソ連のツポレフ設計局で設計および製造された超音速旅客機だ。
地球から宇宙へ
人類は地球から宇宙へ飛び出しており、そこでも多くの超スピードを記録している。
Apollo10:39,897km/h
映画化によって広く知られているApollo13ミッションから遡ること3代前、Apollo10は月から地球へ帰還中の1969年5月26日に有人飛行体の史上最高速度となる39,897km/hを記録した。
Voyager1:62,140km/h
Voyager1は、1977年9月5日に打ち上げられた宇宙探索機で、太陽系や星間空間の境界を探査するミッションを遂行しながら今も航行を続けている。
2012年8月25日、Voyager1はヘリオポーズ(太陽圏界面)を通過し、星間空間に到達した世界初の宇宙探索機になった。
Voyager1は地球から最も離れた場所を航行する人工物体で、その最高速度は62,140km/hに達する。
Helios2:252,792km/h
人工物体としての史上最高速度記録はHelios2によって記録された。
1976年に太陽系の活動を観測するミッション遂行のために打ち上げられたHelios2が、252,792km/hという最高速度を達成している。
マッハという単位
スピードは時速が使われることが多い。
既出だが、あまりにもスピードが速いものは、マッハという単位を使う。
マッハとは、物理学者のErnst Mach(エルンスト・マッハ)博士が定義した速度の単位である。
マッハ1は、ある空間を振動が伝播する速度、すなわち音速に等しい。
音速は振動を伝播するのがどのような物質であるか、また密度や温度、圧力などによって変動する。
国際標準大気を想定した場合のマッハ1は秒速として約340m/s、時速にして約1,224km/hに相当する。
高空など気圧が低い場合は遅くなり、真空中ではゼロとなり、逆に圧力が高ければ音速は早くなる傾向にある。
日本の長さは約3,000kmなので、マッハ1で移動すれば約2.5時間で北から南までいけるということになる。
地球一周の長さは約40,000kmなので、マッハ1で移動すれば約33時間で一周できる。
上述した、Voyager1だと62,140km/hなので、地球一周は1時間もかからないというわけだ。
人類が生み出しが最速スピードを誇る、Helios2であれば252,792km/hなので、10分かからずに地球一周をしてしまう。
まとめ
私は大学生という時期を東京で過ごした。
東京といっても、八王子市だったので端っこの方だったこともあり、移動手段に車を保有していた。
長期休みに入った際には地元の広島まで車で移動するということもあったが、700〜800kmくらいの距離があるので、はやくても8時間はかかった記憶がある。
一般的な車のスピードはそんなものなので、世界最速の自動車や世界最速の市販自動車がいかにスピードが速いかがわかるだろう。
そして、例えとして地球一周をどのくらいで進むかを出したが、この地球一周をどのくらいで進むかという問いに対しては、なぜか光のことを思い出してしまう。
それは、光は1秒で地球を7周半するというスピードのことだ。
そんな光の速度は、秒速29万9,792.458kmという驚愕のスピードだ。
それから、光に速度があることがわかったのは実は比較的最近のことで、300年ほど前だ。
デンマークの天文学者レーマー(1644〜1710年)が1676年に、木星とその衛星イオを観測中、イオが木星に隠れる周期が、予想よりもわずかに遅れていることに気づいた。
レーマーは、この遅れの原因は光が木星から地球まで届くのに時間がかかること、つまり光に速度があることだと考えたのである
こうして、レーマーの精密な観測データを元に光の速度が初めて計算されたというわけだ。
このときに計算された光の速度は、現在知られているより30%も小さい不正確な値だったとはいえ、レーマーの発見は光には速度があることを初めて証明したという非常に画期的なことだったといえる。
2022年の現代は宇宙産業がより活発になっている。
ということは、さらに速いスピードで進むことができる文明の利器が生まれる可能性も十分にある。
そんな可能性に対してワクワクが止まらない自分がいることも添えておこう。
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